《櫻井ジャーナル》

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2023.08.04
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カテゴリ: カテゴリ未分類

 西アフリカのニジェールで7月26日に大統領警護隊がフランスの傀儡と言われているモハメド・バズーム大統領を拘束、国境を閉鎖し、非常事態を宣言した。マリ、ギニア、ブルキナ・ファソに続き、フランスの傀儡政権が倒されたことになる。ニジェールの新しい軍事指導者たちは同国にあるアメリカ軍基地を閉鎖したとも伝えられている。

 これに対し、アフリカの資源を略奪してきた欧米諸国はクーデターを批判、その手先であるECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)は軍事行動を起こすと恫喝、フランス自体が軍事介入する可能性も言われているのだが、ハードルは高い。

 そのうち4カ国が欧米の支配国に反旗を翻したわけだが、ニジェール以外の3カ国は、ニジェールへの攻撃を自分たちへの攻撃とみなすと警告している。

 そのほかのECOWAS加盟国でも国民は欧米の略奪に対する怒りを強めている。ニジェールに軍事介入した場合、自国が不安定化する可能性が高く、しかも北の隣国、アルジェリアもニジェールのクーデターを支持している。

 しかし、イギリスやフランスはアフリカでの略奪を止めるわけにはいかない。支配システムを維持できないからだ。

 第2次世界大戦中、アメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領は植民地やファシズムに反対していたが、イギリスの首相で帝国主義者のウィンストン・チャーチルは植民地を放棄するつもりはなかった。他の宗主国も同じだ。

 帝国主義者にとっては都合の良いことに、ルーズベルトはドイツが降伏する前の月、1945年4月に急死、シオニストをスポンサーとし、ルーズベルトとは考え方が全く違うハリー・トルーマンが副大統領から大統領へ昇格した。

 その後、欧米諸国は金融システムを利用して「旧植民地」を支配、略奪を続ける。要するに、高利貸しと同じ手法を使い始める。ターゲット国でCIAがクーデターを実行して独裁者を作り上げ、返済できないような借金をさせ、絞り上げるわけだ。その仕組みが出来上がれば、独裁者が去っても略奪を止められない。「融資」は独裁者がオフショア市場に持つ口座へと沈み、国民のために使われることはない。その仕組みの中で重要な役割を果たすことになるのが世界銀行やIMFだ。欧米の巨大金融機関の「債権」を買取り、借金を取り立てる。

 金融システムの根幹は通貨の発行権にある。アメリカが世界に大きな影響力を持っているのは基軸通貨であるドルを発行しているからにほかならない。そのドル体制が揺らいでいるので、支配システムを再構築するために戦争を仕掛け、ロシアや中国との戦争へ向かっているのだ。

 アフリカでは欧米から独立するため、アフリカ独自の通貨を作る動きがあった。その中心にいた人物がムハンマド・アル・カダフィにほかならない。2011年2月にリビアをアメリカ、イギリス、フランスなどはサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を使って軍事侵攻、10月にはカダフィを惨殺している。その侵略戦争で地上のアル・カイダ系武装集団LIFG、空のNATO軍が連携していたことが明確になっている。

 西側では悪魔化して描かれていたカダフィだが、その体制では福祉が充実していた。例えば大学まで授業料を払う必要がなく、医療費、電気代、水道料も無料、家や自動車を買うときのローンは国が半額を援助することになっていた。しかも北欧のように税率が高いわけではない。「血の弾圧」があったわけでもない。アメリカ/NATOによる侵略戦争の後、リビアは破壊され、無法地帯になった。これが「先進国」が言うところの民主化や人権の実態だ。

 リビアには地下に石油が存在しているが、それ以上にアメリカなどが侵略した理由は、カダフィがアフリカ独自の基軸通貨「ディナール」を導入しようと計画していたことにあると見る人は少なくない。

 アフリカに独自の基軸通貨を導入する計画で中心的な役割を果たしていたのはカダフィのほか、チュニジアのベン・アリやエジプトのホスニ・ムバラク。イスラムに則った金利を取らない銀行を創設しようと計画していたとされているのだが、アリとムバラクは「アラブの春」で排除された。

 こうした計画に参加することが予定された国にはスーダン、南スーダン、赤道ギニア、コンゴ、コンゴ民主共和国、ガボン、南アフリカ、ウガンダ、チャド、スリナム、カメルーン、モーリタニア、ザンビア、ソマリア、ガーナ、エチオピア、ケニア、タンザニア、モザンビーク、コートジボワール、イエメン、アルジェリア、アンゴラ、ナイジェリアが含まれる。(F. William Engdahl, “Hillary Emails, Gold Dinars and Arab Springs,” NEO, 17 March 2016)

 金貨ディナールの導入はドル体制への挑戦だけでなく、CFAフランの体制を揺るがすことにもなる。リビア侵略にフランスが積極的だった理由のひとつはこの辺にあると言われている。

 イギリスの帝国主義は19世紀の終わりに南部アフリカを軍事侵略、そこで産出される金やダイヤモンドを支配するところから始まる。つまりアフリカでの略奪はイギリスを支える重要な柱のひとつだ。






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最終更新日  2023.08.04 10:14:24


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