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監督 : 若松節朗 原作 : 山崎豊子 出演 : 渡辺謙 、 三浦友和 、 松雪泰子 、 鈴木京香 、 石坂浩二 公式サイトはこちら。<Story>昭和30年代。巨大企業・国民航空社員の恩地元(渡辺謙)は、労働組合委員長を務めた結果、会社から10年におよぶ僻地での海外勤務を命じられた。かつて共に闘った同期の行天四郎(三浦友和)が組合を抜けてエリートコースを歩みはじめる一方で、恩地は家族との長年にわたる離れ離れの生活で焦燥感と孤独に追いつめられ、本社への復帰を果たすも不遇な日々は続くのだった。そんな中、航空史上最大のジャンボ機墜落事故が起こり…。沈まぬ太陽 - goo 映画<感想>本当はこれ、試写会にお誘いいただいていたんですが、子どもの体調が悪くなって試写はお断りしたんですね。何せ3時間半なので、試写会も土曜日のものでしたから、ちょっと出にくいというのもあり。劇場で観ようか~? と思っておりましたら、地元のミニコミ誌の懸賞に出した、劇場鑑賞券プレゼントで当選しました。今年初めての劇場鑑賞券当選です。DSCI0477 posted by (C)rose_chocolatたまたま今回お誘いした方が旅行業界の方だったんで、いろいろと裏話のようなもの? を聞かせてもらっちゃったり。 そっちの話も面白かったです。これは山崎豊子氏の壮大な小説が原作で、しかも原作も5巻ほどに分かれているため、この内容を3時間半近くに入れてしまうのもかなり無理があったように感じた。インターミッションが10分間というのは『愛のむきだし』と同じなんですが、4時間ほどあったあの作品よりは、内容に引き込まれてはいかないようにも感じる。ジャンルが違うから仕方ないのでしょうけど。。。1つ1つのことを丁寧に描いているのがよくわかる。 御巣鷹山のシーンなど、緊迫した様子が伝わってきていて工夫しているのだけど、全体にどうにも長くなってしまって、ラストに近づくにつれて引きのばしたような感じが伝わってしまうのには残念に思う。この作品を通じて一貫していることは、国民航空のモデルとなったであろう航空会社や、最近では脱線事故を起こしたJR西日本などに共通して流れる体質の糾弾ではないだろうか。事なかれ主義というか、身内可愛さというか、元が親方日の丸の企業に少なからずある感覚は、およそ乗客の感覚とはかけ離れていることが多い。昔からの悪しき習慣は断ち切っていって欲しいという思いが、制作側のベースにあるのだろうか。会社がよくなっていってほしい、顧客にもよくなっていただきたい、その一心で折衝した人間が辛酸を舐めさせられる。 恩地は苦境の連続である。組合員を左遷させる、こういう会社は絶対に今でも存在しているであろう。いい方向に変えたかった人間が冷遇されてしまうのは、組織の嫌な一面で、その嫌がらせを長年にわたって受けた恩地にはお気の毒としか言えなくなってしまう。 だがその苦しい歳月の中でも、彼は自分がどこで輝けるのか、自分の本当の居場所はどこか、この自分に今できることは何なのか、常に考えていけたのではないだろうか。 誠意を持って顧客に対応する、それこそが仕事の基本だから。 そう考える恩地を見ていると清々しささえ感じる。そして、大変なことはあったと思うが、それでも恩地の希望にどこまでもついていった家族は素敵でした。 鈴木京香さんが、うまく幅広い年代を演じていました。この物語のベースにもなったと思われる日航が今、経営危機に直面しており、奇しくもタイムリーな公開日になってしまった。 たぶん関係者はこの映画を苦々しい思いで見ていることだろう。そしてジャンボ機墜落事故の被害者の関係の方たちも、この映画を様々な思いで鑑賞したり、感じたりしていることと思う。もう二度とこのようなことがないように、その想いが共通であることを信じたい。*********************************今日の評価 : ★★★
2009.10.30
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監督・脚本・編集 : 冨永昌敬 原作 : 太宰治 出演 : 染谷将太 、 川上未映子 、 仲里依紗 、 窪塚洋介 、 ふかわりょう 鑑賞劇場 : テアトル新宿公式サイトはこちら。<Story>日本が戦争に負けた年、「新しい男」に生まれ変わる決意をした利助(染谷将太)だったが、血を吐いて結核療養の健康道場に入る。患者は塾生、看護婦を助手と称し、屈伸鍛練や摩擦など一風変わった治療法を実践するそこでは、互いをあだ名で呼び合うのが習わしで、利助は「ひばり」と名づけられる。しばらくすると新しい組長こと看護婦長の竹さん(川上未映子)が赴任する。ひばりは助手のマア坊(仲里依紗)や竹さんとの日々を詩人のつくし(窪塚洋介)に宛てた手紙に綴る。パンドラの匣 - goo 映画<感想>これも上映館が非常に少なくて、貴重な平日休みを費やして鑑賞(涙やっぱり太宰ものはハズせませんので。。このあとに『THIS IS IT』を鑑賞したんですが、あっちの方が日記書くの速かったんで、これは後からのUP分。どうしても『ヴィヨンの妻』と比べてしまいますが、こちらのほうが繊細な雰囲気があり、画質も綺麗。そして何と言っても、キャストに、第138回芥川賞受賞作「乳と卵」の著者である、川上未映子氏が抜擢されていること。「乳と卵」は読みましたが、その何とも言えない文体がまた彼女の魅力だったりします。そしてミュージシャンでもある彼女。 下の写真のような、ギター弾き語りなどはお手の物だったんでしょうね。また女優としても活躍して、何ともマルチな魅力がある彼女。 今回の「竹さん」役に大抜擢なんですが、よくぞ出演してくれた、というか、これほどまでにピッタリな配役もそうそうないのではないだろうか。大胆で、かつ気風もよく、それでいて押さえるところはしっかりとしていて。 ですけどどこかでちゃんと自分の効果や価値を計算しながら生きるしたたかさもある。 「年増」と言われてしまう竹さんですが、それでも官能的な雰囲気も残していて、こういうバランスは、川上未映子にしか出せない味とでも形容すればいいのだろうか。 不思議なまでに当てはまっている。終戦後の、どことなく日本全体が「これでいいのだろうか」と戸惑いながら進んでいく感じや、それでも旧きよきものが色濃く残っている様子、その中に織り交ぜられる、昔の人の、立場をわきまえつつもおきゃんな感じなどがよく出ている。この「道場」も本当に不思議な場所で、実際当時の結核療養施設には珍しい描写である。 暗くて希望が少ない感じのする従来の描写とは違い、「若い女性指導員」 をたくさん配置して、鍛練と摩擦で健康体を取り戻すという発想が明るい。 この映画の鑑賞後に原作を読みました。 200ページくらいなので、2時間ほどで読めてしまいましたが、太宰の作品の中ではこれは明るい分野に属するのではないだろうか。 (C) 2009「パンドラの匣」製作委員会竹さんがクールで大人な、昔気質の女性だとしたら、対するマー坊はおきゃんそのものである。 この道場のムードメーカー的存在かもしれない。 一歩間違えれば同性から総スカンを食らうキャラクターなのに、そうなっていないのは時代のせいだろうか。 総スカンのギリギリ手前で止める計算が、彼女にもあるのかもしれない。仲里依紗のふわっとした雰囲気が、殺風景な療養所にも彩りを添えている。 総じて女性陣の衣装などもまた、観るべきものがあり、和服のコーディネートなどはかなり楽しめる。 これも『ヴィヨン・・』よりも小ざっぱりとした和服で、凝ったところを見せないようにしてもついついレア感が滲み出るのが何ともお洒落。道場の女性たちの白衣も、ちょっとコスプレ感もあって楽しい。こう書くとこの映画は女性たちに引っ張られているようにも見えるけど、登場人物の数の上では男性の方が圧倒的に多く、1人1人個性的に仕上げている。原作とはベースになっている設定が多少異なっていて、ラストなどはかなりいじっているけど、それもありかもしれないと思わせるのは、窪塚洋介の魅力だからなのだろう。 そして主人公の「ひばり」。 染谷くんはどことなく頼りなさ気に感じてしまうが、内面の成長が伴っていて、語り部としてはよかったように思う。 他にも、かっぽれや越後獅子なども、味のあるキャラクターに仕上がっていた。 友情出演のKIKIも優美さが引き出されている。原作はなるほどと思わせるが、映画のラストも面白みがあって、いい意味で映画への改編が成功している。 ビジュアル的にも面白かった。『ヴィヨン・・』よりも、こちらの方が無理なく設定としては受け入れられるし、人物の心情も追いやすい。 そして何よりも、この作品独自の世界が展開されていくことによって、観客が最後まで飽きずに引き込まれていっている。 ***********************************今日の評価 : ★★★★☆
2009.10.28
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原題: THIS IS IT監督 : ケニー・オルテガ 振り付け : トラビス・ペイン 出演 : マイケル・ジャクソン 公式サイトはこちら。<概略>2009年6月25日に急逝した“キング・オブ・ポップ”マイケル・ジャクソン。本作は、ロンドンで実施予定だったコンサート「THIS IS IT」の何百時間にも及ぶリハーサルとビハインド・ザ・シーンの映像を、『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』の監督・振り付けのケニー・オルテガが、死の直前までマイケルが行っていた猛特訓風景とその素顔を収めた貴重な映像の数々を基に構成。あたかも観客が、実現されなかったロンドンコンサートの最前列にいるかのような臨場感溢れる仕上がりになっている。また、舞台上の振り付けから照明、美術、ステージの背景となるビデオ映像の細部にいたるまで、マイケルのステージに対する深いこだわりが感じられる。(作品資料より)[ 2009年10月28日公開 ]マイケル・ジャクソン THIS IS IT - goo 映画<感想>昨日の初日に行ってきました!もちろん夜7時からの回ですw見回すと、結構気合入った方々がお越しでして。。。 マイケルの帽子みたいなの? かぶってる人とか、コスプレっぽいお方もあり。。本当は、前の『クリエイション ダーウィンの幻想』と、この『THIS IS IT』の間に、3本観ているんですが(!)、忘れてしまいそうなのでこっちを先にUPします。ほぼ全編リハーサルの映像。リハーサルにも拘らず、そこにいるスタッフでさえも熱狂させてしまう、魔法のようなマイケル。「スリラー」とか、「オフ・ザ・ウォール」の頃に、聞きまくった自分としては、本当に懐かしい。。。あの頃はMTV全盛期でしたね。自分は彼のコンサートは行ったことないんですが、まさに彼は今でも"KING OF POP"なんだなあと思わせる瞬間がたくさんあった。とにかく、自分のサウンドに関しては完璧主義者であるマイケル。ダンスはもちろん、音楽に至っては音のわずかな速さの違いや、強弱、そして余韻までも指示を出す。微に入り際に渡り。。。という感じですが、彼の言う通りにやってみると本当にそれが素晴らしくなっている。「音楽を知り尽くしている」という言葉そのもの。ダンサーのオーディションの時のマイケルの言葉が印象的。「美しくてセクシー、ダンスがうまいっていうのだけじゃダメなんだ、その人自身に、華がないといけない」・・・・つまり、彼の音楽に携わる者たちは、1人1人が確立したプロフェッショナルであり、パフォーマーでないといけないということ。華がある。。。 これほど難しいこともないだろう。華というものは、努力して必ず得られるものではないからである。やはり天性のものがあって、彼のもとへ集まってくるのではないだろうか。この女性ギタリスト、小柄なのにとてもパワフルで好きでした。 ギターソロなんかももう、男性ギタリスト顔負け。 でもやっぱり彼女には華がある。 彼女だけじゃなくて、マイケルに携わる人たちにはみんな自信があって華がある。そしてそんなスタッフたちをマイケルがこよなく愛しているのも伝わって来るんですね。で、スタッフもマイケルの才能を認めているし。双方ともに信頼し合って作り上げていく世界。そして50歳にもなるというのに、彼の動きが全く25年前とか30年前と(!)変わらないっていうのも本当に驚きなのです。それだけ自分に課していることが多くて、そのプレッシャーが、外には出さないところで彼を追い詰めていったのか。とにかくこのリハーサルがロンドン公演で日の目を見なかったことが残念なのです。 これだけの手をかけて、愛情をかけたステージ、お客さんを酔わせてほしかった。そして世界を、まだまだ酔わせてほしかった。ただそれだけです。マスコミが取り上げている、奇行とかのイメージで最近は私たちは彼を捉える事が多くなっていて、彼の純粋な音楽への愛情にはあまり目を向けて来なかったのではないだろうか。その部分が存分に味わえる。最後の2曲、"This Is It" や "Heal The World" などには、今後彼が目指していた方向が示唆されていただけに、志半ばにして突然この世を去ってしまったことが本当に悔やまれます。とにかくまだ早すぎる。 逝ってしまうには。まだまた歌って欲しかった。合掌。パンフレットの製作はありません。そしてエンドロール後も映像があります。 席を立たないで下さいね。ところで・・・・。終わり15分前、ちょうど"Billie Jean"のところで、何と何と、映写機トラブル。。。。。。これはサイアクでした。10分間の中断、そして曲の途中から再開。せめて"Billie Jean"の曲の初めから再現してほしかった。実際のコンサートを想像してみてください。いちばんここがクライマックスに向けて盛り上がるところなのにー。ぷんぷん!ちなみに払い戻しはありませんでした(怒***********************************今日の評価 : ★★★★☆
2009.10.28
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監督 : 佐藤祐市 脚本 : いずみ吉紘 出演 : 小池徹平 、 マイコ 、 池田鉄洋 、 田辺誠一 、 品川祐 、 田中圭 、 中村靖日 、 千葉雅子 、 森本レオ 試写会場 : 映画美学校公式サイトはこちら。<Story>高校中退でニートのマ男(小池徹平)は、母(朝加真由美)の死をきっかけに一大決心。プログラマの資格を取得して、なんとか小さなIT企業に就職する。しかし、そこは想像を絶する“ブラック会社”だった!サービス残業・徹夜は当たり前、ありえない仕事量、納期を目指して毎日デスマ(デスマーチ:死の行軍)が続く!超過酷でへんてこな職場と、クセ者ぞろいの同僚たちに、マ男の限界はピークに。「もう俺は限界かもしれない!!」果たして、マ男の運命は…?[ 2009年11月21日公開 ]ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない - goo 映画<感想>Yahooユーザーレビュアー試写会にて鑑賞。会場はほぼ満席。正直とても長いタイトルだと思いますし(笑)、チラシなんかでもにぎにぎしかったので、お笑いに近いノリなのかと思ってました。まあそれは当たってるって言えば当たってるんですが。。。最近の過重労働ぶりを象徴するような話だし、昨年の世界同時不況からの雇用確保の難しさなども織り込まれている。タイトルから、もっともっと「映画にはできない」という意味のブラックな会社なのかと思いましたが、あくまでも労働者サイドからみた場合のブラックさのようです。会社自体は正当なことをしてはいても、それが従業員の精神的・肉体的な犠牲の上に成り立っているようではダメなことは百も承知している。 が、しかし、現実にこのような会社はきっと存在しているだろう。その原因が外部からの圧力とか競争に勝てないとなどというのならまだ社内で奮起すればいいという道もあるが、内部同士の足の引っ張り合いが会社の発展を妨害しているとしたら、出社するのも嫌だろうし、ストレスの持って行き場がなくなる。ここに出てくるリーダーは、自分の権威だけが大事で、そして井出はリーダーの腰巾着。 彼らのイジメのターゲットもちゃんと存在している。 そして白馬の王子様やみんなの憧れもいるし。 やっぱりあるんだろうなーこういう会社(苦笑「そんな会社しか拾ってくれなかった」マ男が、救いようがない現実に直面しても逃げられない理由も本当に切ないのですが、過去の自分と決別していく彼が、いままでどうしようもなかった周囲を動かして行く。中西さんも上原さんも藤田さんも、それまではなかった自分の思わぬ面が、マ男の存在で引き出されていく。実際にはこの結末はどうなんだろう・・・? と思わなくもないが、これもこういう世の中なんで、いいのかもしれない。 結構笑わせていただいてしまったし。上映終了後、佐藤祐市監督のティーチインがありました。・キャスティングについて小池徹平くんとは旧知の間柄だったんで、この映画は彼で行くと聞いた時は、正直やりやすいと思った(笑アイドル系のように見られがちな彼だが、実は骨っぽいものを持っていて、演技に対しての取り組み方とか、現場での姿勢なんかがとても好きな俳優でもあります。1人の「役者」として彼を見てほしいという思いがありますね。品川祐さんは沖縄でご一緒だった時、飲みに行って「態度が悪い人だな」と思ったんですが(笑)、最後に小声で「今度使って下さい」なんて言ってました(笑) お笑いの人は根が真面目なんですね。 こちらからオファーをした時に快諾してくれました。マイコさんは、普通の女性が言うと嫌みになってしまうところが、彼女が言うとそうは聞こえないような部分があり、立派にコメディエンヌとして素質がある女優さんだなと感じました。組み合わせについては、リーダーが品川さんなら井出は誰がいいのか、など、原作も非常に濃いキャラクターなので、考えながら決めていきました。・小道具についてリラックマ=マイコさんっていうイメージはあまりないだろうなと思い、敢えて採用しました(笑ああいう感じで、会社で見ている人も多いんじゃないかなと思いまして。割とそんなところもこだわっています。・この映画で愛情を込めた部分は?最後のマ男の選択はもしかしたら今よりももっと辛いものになるかもしれないが、逃げることよりも、一歩を踏み出すことを描いて行きたかった。過去の自分を決別することは悲しいと小池くんが言ってましたが、何かを捨てないと先には進んで行けないから。あとは最後にみんなが協力するところなどでしょうか。他にも、実際にIT企業で働いているのでこの映画は人ごとには感じなかった、とか、今就活中なので参考にしたい、などの方々もおられました。先が見えない、希望が持ちにくい時代だからこそ、ブラックさの中にもユーモアがあり、シニカルな目線もありという本作は、楽しませてくれそうです。そして佐藤監督は、とてもユーモラスで明るい監督でした。そして笑いに対してもすごく真面目に取り組んでおられる印象。 劇中に出てくる、某映画のパロディなんかはかなり笑ってしまった。キャラクターの特徴も、例えば木村くんなんかは冷酷なのにどこかズッコけていたり、通り一遍の性格だけじゃなくて、その人の裏側ものぞかせているなど、細かい配慮がなされた作品でした。**********************************今日の評価 : ★★★☆
2009.10.25
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原題: LA DANSE, LE BALLET DE L'OPE'RA DE PARIS監督 : フレデリック・ワイズマン 出演 : パリ・オペラ座エトワールほかダンサーたち 、 ブリジット・ルフェーブル 、 パリ・オペラ座職員 鑑賞劇場 : 109シネマズ川崎公式サイトはこちら。<Story>シンボリックな円屋根の下、今日もダンサーたちが入念なリハーサルに臨んでいる。気鋭の振付家と共につくり上げてゆく演目は古典からコンテンポラリーまで幅広い。エトワールと呼ばれるトップ中のトップを頂点に厳然たる階級社会を築くバレエの殿堂パリ・オペラ座。そこでは、ダンサーたち以外にも、衣装係、照明係などのいわゆる裏方をつとめるスタッフ、芸術監督、広報担当者らが一丸となって最高の芸術を目指している。パリ・オペラ座のすべて - goo 映画<感想>こういう、芸術系の作品は絶対に外せない私。シネコンでうまくかかってたんで、逃さず鑑賞できました。 ○・シネマ、たぶん激混みだからね。。。フレデリック・ワイズマンの作品は実は初めてです。ドキュメンタリーは大好きなんですけどね。3時間にわたる長尺の本作、大勢のオペラ座に関わる人たちが出てきますが、エトワールだからと言って、独立したインタビューの時間を長く取る訳ではなくて、彼らもオペラ座を支える一員に過ぎない、というスタンスで撮影している。すなわち、スポットライトが当たる人間だけをクローズアップするのではなく、衣装・調理・劇場清掃といった裏方さんに至るまで、無言のうちに粛々と映し出している。公平に、ということなんだと思いました。そして最高のものを提供するために集まってくる一流の仕事ぶりは、裏方にまでしっかりと及んでいて、特にくどくどど説明がなくても仕事の流れを見ているだけで、彼らの技量がしっかりと伝わってくる。ですけどやっぱり目を惹くのはダンサーたち。だけど彼らの普段の様子も容赦なく映し出しているんですよね。華やかな舞台ももちろんありなんですが、それに向かって日々努力しているところも容赦なく。だから、エトワールの女性たちが、振付の微妙なところに悪戦苦闘している様子などは、客席から見たらわからないくらいの、本当に些細な表現をとても苦労しているのがわかる。その些細なところができるかできないかで、舞台での動きや表情がまるで変わってくる。最高の状態を観客に提供するために、彼らに課される課題は重く、それがクリアできる年齢が限られてしまうのも致し方ない。 その修了が決まっているからこそ、上に向って挑戦していくのだろう。映画には練習風景だけではなくて、ところどころ舞台の場面も挿入されている。古典ものの「くるみ割り人形」などはおなじみでわかりやすいが、現代美術のようなテイストの、実験的な舞台もある。 普段私たちが見慣れている舞台は前者のクラッシックな雰囲気のもので、いきなりモダンなものが出てくると、どこに理解する主点を置いていいのかが一瞬わからなくなってしまうのだけど、動きの敏捷さや表現の細かさで、その言わんとするところを的確に伝えているのはさすが。ソロパートなどは踊り以上に演技が要求されていて、練習の段階から何やら官能的な雰囲気まで漂うのには驚いてしまう。それほど日常の鍛錬を通じて、自分たちの肉体を知り尽くしているのであろう。ここまでプロッフェッショナルな世界を淡々と描いていくワイズマンの手法に、観ている側は戸惑うこともあるかもしれない。何故なら、余計な説明は一切ないし、必要かもしれないと思われる人々へのインタビューもそれほどないからだ。そのことがかえって逆に、オペラ座の日常をありのまま伝えることになっているし、先入観をなくして観客も鑑賞できるのかもしれない。日常はドラマチックな振れ幅は小さく、そして日々の積み重ねが舞台で開花するということはこの世界でも当然のことであって、その当たり前のことをそのまま切り取って見せてもらっている。あるいは、そのまま切り取ったように見えて、実は「日常の延長である非日常」を映しだすために、計算された映像があるのかもしれない。オペラ座という世界の日常風景の中にも、こうして様々な要素が流れていることがわかる。**********************************今日の評価 : ★★★☆
2009.10.25
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原題: Creation監督: ジョン・アミエル出演: ポール・ベタニー、ジェニファー・コネリー、ジェレミー・ノーザム第22回東京国際映画祭 natural TIFF部門出品作品第22回東京国際映画祭『クリエイション ダーウィンの幻想』ページはこちら。『クリエイション ダーウィンの幻想』公式サイト(英語)はこちら。<概略>19世紀、当時の宗教、哲学に反する画期的な生物学理論を確立した「種の起源」の作者チャールズ・ダーウィンとその家族を描くドラマ。ダーウィンとその献身的で篤い信仰心を持つ妻エマを、実際におしどり夫婦として知られるポール・ベタニー、ジェニファー・コネリーが演じる。製作は『ラストエンペラー』のジェレミー・トーマス。<感想>TIFF2日目となった10月20日。 行けそうな時間と相談しながら決めた1本でした。 何気にジェニファー・コネリーが出ているのに大々的には宣伝が出ていなくて、もしかして大穴かも!? という思いもあり、またテーマ的にも深そうなのでチョイス。『シーリーン』がこの日の2本目で、この前に『ダーウィン・・』を観たのですが、こちらの方が感想長くなりそうなので後に回しました。・・・というか、先週、このTIFFの週が半端じゃない忙しさで、ほとんど毎日あれやこれやと気が張る出来事ばかりで、緊張の1週間。帰宅も午前様っていうことが多かったしー。今年のTIFFも、仕事の後に2本鑑賞とか、ホントーにマジでありえないスケジュールばかりでして。今、公私ともにとても多忙で疲れているので日記もなかなか進まないですし、たくさんTBコメント頂戴しているのに全然お返しできずごめんなさい。ゆるりと進んで行きますので。。。物語はすでにダーウィンが学者として成功しているところから始まり、彼が「種の起源」を出版するまでの軌跡を描いている。「種の起源」っていう本の名前こそ知っているけど、それが生み出された背景などは、恐らく知らない人がほとんどなのでは?キリスト教的概念が人々の思考を支配していた当時、ダーウィンの思想は、その一般的概念を大きく脅かしかねないものであった。だが科学的にも検証を重ねてきた結果、最早真実を人々に公開しない訳にはいかないと思うところまで、彼ら新進の学者たちは画策していたわけです。この新しい概念は当然古い考えと対立するわけで、敬虔なキリスト教信者である妻、そして村の人々、教会と、彼は多くのものから疎まれることになる。そして同じ家族である妻との、心が通わなくなる状態が起こってくる。これが彼にとっては一番の痛手だったのではないだろうか。妻と心が通わなくなるまでには実はもう1つ理由があって、これが作品の大きな軸にもなっている。様々なことを生み出してしていったダーウィンだが、アニーもまた、彼を十分にインスパイアさせてくれた「創造者」、クリエイターであった。だが運命の申し出はかくも惨い。しかしながらその流れにいつまでも浸っていては、前に進めない。そのジレンマから立ち上がりたいのなら、徹底的に、見つめたくないものと向かい合わないといけない。 その苦しさ、思いが伝わらないもどかしさ。それをひっくり返すだけの要素があるのが、夫婦なのかもしれないと感じます。一緒に人生を歩もうと誓っただけの力。 その決断はさわやかでした。語り口はビターで、文芸ものにテイストが近く、かつ、家族であったり夫婦の愛情であったりというミニマムな範囲のことも密度濃く描いている。そしてバックに当時の社会背景を織り交ぜており、とても無駄がなくバランスが取れた映画。ダーウィン夫妻役のポール・ベタニー、ジェニファー・コネリーの演技もいい。これはぜひ日本公開されてほしいところ。これだけの映画を、映画祭でしか観れないというのは何とも惜しい話です。 実現するといいですね。上映終了後、ティーチインがありました。登壇者は、プロデューサーのジェレミー・トーマス氏。日本ではおなじみの映画ばかり手がけて来られた、映画界の第一人者です。ジェレミー・トーマス氏(以下J): この映画、日本ではまだ配給がついてないが、ここに来ている皆さんの口コミでどうにかなるかもしれませんので(笑)、ぜひよろしくお願いします。日本には55回くらい(!)来ています。 今、映画に対しての世界の食欲みたいなものが減っているとつくづく感じていて、そんな中、このような映画祭はお客さんと話せる貴重な場所であると思っています。この、ダーウィン夫妻には、実際に夫婦であるポール・ベタニー、ジェニファー・コネリーを起用しました。これはあまり例がないことで、ある意味とっても危険なんです(笑) カメラの前に夫妻で経って演技するっていうことだから。ポール・ベタニーに関しては、ダーウィンは最初から彼で行こうと決めてました。 顔つきがまずとても似ている。 それがきまった後で、実はジェニファーが妻の役をやりたがっていると聞いたんで、彼女にしたんだ。Q:この作品は、キリスト教色の強い海外では、どのような反応があったのか。J:基本的には反応は良かった。アメリカではこの11月に公開です。メル・ギブソンの『パッション』にも方向は似ていると思うが、本作品は宗教と科学のバランスが取れた作品のような気がする。ダーウィンは誰も思い浮かばなかったことをしている。 そして、家族に起こったある出来事が「種の起源」の出版を遅らせたわけで、これが出た時は物議を醸したと言われているようだ。この作品の原書は"Annie's Box"だったんだけど、僕はそれは映画ではダメだと判断した。 ダーウィンの頭の中ではあくまでも「クリエイション」そのものだったから。 物議のフレーバーを醸し出す感じにしたかった。バチカンもダーウィンの思想を受け継いでいるので、問題はないと思う。Q:役者さんたちには注文をつけているのか。J:自分は脚本・フォトのクオリティ・演技、全てに渡って細かく注文をつけている。キャスティング、音楽、執筆、全て関わっている。 そういう意味ではインディペンデントに近い感じ。ジェニーのショットはタイで撮影している。 セットをタイまで持って行って撮影しました。ダーウィンの3代後の子孫が、この映画の元となったものをお書きなんだそうです。それだけの想いを、この映画からは感じることができた。公開してほしいなあ。。。これは今年鑑賞したTIFF作品の中では、間違いなく一押しですね。***********************************今日の評価 : ★★★★☆
2009.10.20
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原題: Shirin監督: アッバス・キアロスタミ出演: ジュリエット・ビノシュ、ニキ・キャリミー、ゴルシフテ・ファラーハニー「アジアの風」部門出品作品第22回東京国際映画祭 『シーリーン』ページはこちら。<Story>イランの古典叙事詩に基づく悲恋物語「シーリーン」の映画が上映中。しかしカメラはそれを写さず、客席で鑑賞する100人を超える女優たちの顔だけを次々にとらえ続ける。クライマックスが近づき、彼女らの目には大粒の涙が光り始める…。<感想>実はこの日はこれがお目当てだったのでした。 ただ終映が夜中なのは参りましたが。。。上映前に関係者の女性がマイクで監督のメッセージを読みあげてました。「今回はどうしても仕事が立て込んでしまって、東京に行くことができませんでした。 みなさんにお目にかかりたかったです。この映画は最初の30分だけ我慢してくれれば、ご褒美があります。」「『Shirin』は12世紀のイラン人詩人ニザーミー原作の情熱的な愛についての物語であり、また110人以上の女優を観客に、劇中劇でシーリーン自身がホスローとの愛を語る物語でもある」・・・ということなんだそうです。 この映画はまさにそれをそのまま再現したもの。 ただし目線はあくまで観客を見つめる側からのものだけ。 つまり、「シーリーン」のあらすじについての映像は(冒頭の数分間の概略を除いては)全くない。TIFFの解説には、「観客は自分たちが見ている映画のヒロインと一体化する。その時、観客は見る側としての主体と、見られる側の客体の、双方になり得るのだ」とあったのですが、正直「シーリーン」についての予備知識が皆無な自分にはかなり厳しかった。冒頭の数分間の映像の記憶を頼りにして、彼女たちの表情を手掛かりにして進むしかない。みなさんとても美しいですし、涙を流しているのですが、音声の変化も唐突なので、一体どこに共感しているのかが読みにくかった。 というより読めないのは正直辛い。 それでも彼女たちの声や別ショットを絶対に見せないところなどは、本当にこの作品に関しては貫きたいものがあったのでしょうね。
2009.10.20
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原題:Dieci Inverni / Ten Winters監督:ヴァレリオ・ミエーリ出演:イザベッラ・ラゴネーゼ、ミケーレ・リオンディーノ、グレン・ブラックホールコンペティション部門 インターナショナル・プレミア第22回東京国際映画祭 『テン・ウィンターズ』 ページはこちら。<Story>1999年冬。小さなフェリーがヴェネチアの水上を横切っていく。大学でロシア文学を学ぶため小さな町からやってきたシャイな18歳の少女カミッラ(イザベッラ・ラゴネーゼ)は、群集の中からひとりの少年(ミケーレ・リオンディーノ)に気付く。彼もまたスーツケースを抱えてやってきた新参者だった。彼女は控えめに、そして彼は大胆に、視線を交わす。本作は、10年におよぶ愛の物語であり、そのプロローグを絵画的に描いた作品である。関係がゆるやかに繋がりつつ、困難を乗り越え大人へと成長していくふたりの人生には、冬がめぐってくるたびに、新たな窓が開いていく。<感想>TIFFのチケット、どれ買おうかなーと見てたら、この映画の写真の雰囲気があまりにも素敵だったんで、絶対にこれは行こうと決めてました。美男美女。すてきー。DSCI0460 posted by (C)rose_chocolatヒルズの、メトロハットを上がってすぐ右にあった、コンペティション部門の映画を集めた噴水パネル。これ、雪が降っているみたいだったんで、思わず1枚撮ってしまいました。DSCI0462 posted by (C)rose_chocolat題名の通り、10年の歳月をかけて育まれていく男女の恋物語。 そして舞台は必ず冬。 出逢いの冬、波瀾の冬、疑惑の冬、転機の冬。 決して同じ冬は来ない。 冬が来るたびに変わっていく2人の距離も見逃せないところ。 カミッラは、よくありがちな、女は黙ってついていく。。。 というタイプの女性ではないです。 むしろ自分に訪れるものには積極的にチャレンジしていくタイプ。 それが失敗に終わっても、理不尽だったとしても、まずはその道でやっていこうとする。傷ついて、痛い思いをしたり、後悔してしまったり。だけどまっすぐに自分に正直に、彼女は人生を泳いで行きます。対するシルヴェストロは、典型的なやんちゃな若者。何を考えているのかどっちつかずで、カミッラに対しても様々な態度で接する。だけどカミッラから何となく離れられない。 その彼がだんだんゆっくりと、 大人の男に成長していく姿はいいものです。 女性よりも男性の方が、大人になるための成長がゆっくりだから。男と女の役割が入れ替わっているようにも見えるのは、世相なんでしょうね。 でもとても好感持てます。 言いたくても言えない、言わない。 言ってしまった瞬間に、壊れてしまうから。 大切なものは、大切な時に、大切にしてあげる。 何か素敵な映画でした。 終映後、トークショーがありました。登壇者は監督のヴァレリオ・ミエーリ氏と、プロデューサーのウリアナ・コバレバ氏。ヴァレリオ・ミエーリ監督:「これは自伝的要素が強いです。映画の製作は、ローマの映画学校にいた時に実験的な形で始まって、初めはとても小さい構想だったのですが、プロデューサーが可能性を伸ばしてくれて、ここまでの作品となりました。初めての仕事だったが、周りの経験豊富な方々と一緒に仕事をすることができて、この作品もベネチア・東京と2つの国際映画祭に出すことができました。」プロデューサーのウリアナ・コバレバ氏:「ロケ地は、ベネチアとロシアです。いい脚本があったら映画化したいと思っていたところに、ヴァレリオ・ミエーリ監督の作品があった。 ありのままを描いた感じがとても気に入りました。 彼は哲学の学位を持っており、シンプルで深い発想がそこから出ていました。」Q:カミッラがとても大人びていて、シルヴェストロの変化がゆっくりなのがとても面白かった。 男女が10年間で変化していく様子について、どこに気をつけて制作していきましたか?「カミッラの方が変化が激しい。 シルヴェストロは我が道をゆっくりと行くというタイプにしました。 というのは、男性の方が精神的な成長が遅いからなんです。映画の終わりで、シルヴェストロは今の自分とほぼ同じ年にして、カミッラと対等になるように設定してます。カミッラはハッキリとした性格だけど、ドの冬もいろいろなことに直面していて、ロシアの出来事も、シモーネとのことも間違いだったということに気が付きながら進んで行く。この2人が愛し合うためには、それぞれが違う清張を送らなければならなかった訳です。」Q:キャスティングについて。「自分で決めました。 シルヴェストロ役のミケーレ・リオンディーノは悪役が多くて、このイメージに合うかどうかというところはあったのですが、最初に観た時から数か月後に彼に会った時にイメージが変わっていて、この役で行けそうという予感がして、彼に決めました。カミッラ役のイザベッラ・ラゴネーゼも、快く引き受けてくれました。」この映画、どうやら監督とプロデューサーが下敷きになっていたようで、映画と同じように10年前に出会って、ゆっくりとお互いが必要となる関係になっていったようです。だからとてもリアリティに溢れてて。そういうところもこの作品の素敵なところなのかもしれません。イタリアとロシアの初の合作映画、そこも興味をそそりました。 一般公開されたら、もう1回観たくなるような1本でした。今日の評価 : ★★★★
2009.10.18
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監督:ホセ・ルイス・ゲリンnatural TIFF 特別上映作品第22回東京国際映画祭公式サイト 『イニスフリー』ページ はこちら。<Story>ジョン・フォードの『静かなる男』の舞台、アイルランドのイニスフリーをめぐるドキュメンタリー。緑豊かな村に今も変わらず息づく詩情豊かな自然と人々の表情を劇映画の手法も用いながら描く。<感想>ようやく東京国際映画祭の記事に入りました(苦笑とにかくいろいろ今週立て込んでおりまして。今年は4本しか鑑賞できないと思うんですが、自分の予定がぎりぎりまでわからなくて、TIFFのスケジュールとチケット残席をにらめっこしながらの決定になりました。この作品のあとに、観たいのがあって、その時間合わせで何かないかな・・・ と探して、これがたまたま空いていたので鑑賞、といった感じです。20年ほど前のドキュメンタリーをここに引っ張ってきたというのも、考えてみるとなかなか乙なチョイスなのかなと。 「natural TIFF」というジャンルでの出品ですから。そのジャンル名の通り、自然がとにかく美しい、イニスフリーです。"I will arise and go now, and go to Innisfree, "という力強い出だしで始まる、ノーベル文学賞受賞の詩人、 William Butler Yeatsの作品である、"The Lake Isle of Innisfree" (「イニスフリーの孤島」)をベースに作っているようです。実は英詩は学生時代に少しかじっていて、この詩もそういえば授業でやったなあ・・・ などと懐かしく思い出しました。この最初のフレーズが印象的なんですよね。さあ立ち上がって、イニスフリーへ行こう・・・・・という書き出しの後に続く、イニスフリーの情景の数々の描写は、映画の中の様々な風景そのもの。その美しい風景を見つめつつ、描写されていくことがらは、決して単に美しいと思うことばかりではない。アイルランドの歴史をひも解いてみればわかると思うのだが、たどってきた道のりは艱難辛苦に満ちており、特にイギリスへの想いは実に複雑。そこを知識として鑑賞前に知っておくと、この作品の読み方がわかってきます。酒場で歌を歌いながら過去の栄光を振り返っているイニスフリーの老人たち。 彼らの胸中はそこへの虚しさから去来している。そして、その小さな町にやってきた映画があった。『静かなる男』は、イニスフリーを舞台に骨太な恋模様を描いたもので、もう50年以上前だというのにそのロケ風景などを思い起こしたり、貴重な町の観光収入源にもなっていたりする。きっと今の老人たちが若かりし頃のロケだったのだろう、その頃のことを語る彼らの表情は生き生きとしている。一言で言ってしまえば、イニスフリーの町の美しい風景の裏側にある悲喜交々を語る、といったところなのだろう。ただし、ここに出てくるエピソードが地域限定、年代限定に近い要素も大いにあり、それに通じていないと映画に乗りにくい部分はある。不思議だったのは、登場人物たちのほとんどが老人たちと子どもたちであったこと。 彼らの中間の、ミドルエイジ世代の姿をあまり見かけなかったのは気のせいか。アイルランドを巡る様々な歴史や紛争の陰で、老人たちは最早自分たちのノスタルジーを子どもにしか託せなくなってしまったのかと思うと、何となくその理由が飲み込めるようにも思う。********************************今日の評価 : ★★★
2009.10.18
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監督 : 野村友里 出演 : 高橋皖司 、 秋山鐘一郎 、 森岡尚子 、 UA 、 千宗屋 、 浅野忠信 鑑賞劇場 : 恵比寿ガーデンシネマ公式サイトはこちら。<Story>“食べる”という欲求を通して、複雑な時代をシンプルに生きる人たちと出会い、生きるという事を知る為の旅に出る事からこの映画は始まる。各界で活躍する人たちにインタビューを行い、それを通じて過去と未来をつなぎ、現代の日本という時代性を浮き彫りにしていく。浅野忠信(俳優)、UA(歌手)、千宗屋(茶道)、高橋皖司(丸十高橋/築地魚河岸市場鮮魚仲買)、秋山鐘一郎(鰹節問屋)など、多彩なゲストに取材を行っている。eatrip(イートリップ) - goo 映画<感想>これ、実は6月にも恵比寿で期間限定上映があったんですが、その時は都合合わなくて行けず。この10月も3週間限定上映でしたので、これを逃すともう機会がないと思い、行ってきました。奇しくも1本目が『ファイティング・シェフ』でしたので、この日は「食つながり」の映画鑑賞になりました。もう予告から本当に楽しみでした。まず自然に生きている感じがすること、そして身体に良さそうな素材のものを本当に美味しそうに食べているシーンがあって。いろいろな人がいろいろな自分だけの「食」にこだわっている。 ある人は水、ある人は自給自足、ある人は食する時に共にしてくれる人がいるかどうかに。人間にとっては必要不可欠なこと、ただしそのスタイルは多種多様。 多くの食のなかで、根源で共通するものの存在を追いかけていったような1本でした。 監督がフードスタイリストの野村友里さんで、彼女自身も「eatrip」を主宰しており、この映画とリンクさせています。(C)2009スタイルジャムこのタイトル、「eatrip」も実にいいと思います。 食べながらいろんな人と出会い、多くのものを共有していく楽しさを味わうことの重要性。 心をこめて出してもらった料理、みんなで囲んで一緒に食べた食卓。子どものころから培われてきた記憶が、大人になっても鮮やかに思い出されることがあるように、子どもの頃に与えられた「食」に対しての思い出が、大人になってからのその人の人生観にも影響してくるのかもしれません。 まさに、食べることは人生を旅することなんだなあと、改めて自分自身のことも見つめたくなったりする。(C)2009スタイルジャムこの映画には何人もの人が出てきますが、 印象に残ったものを。 歌手のUAさん。 「食べることは、エロスな表現の初歩のこと。 そこにあまり快楽がないと、他のことがあんまり発展しないっていう感じがする」 「あなたにとって食べることとは何ですか?」 という質問への回答です。 すごく深いかも。 食に対しての感動や、あるいは時に官能を感じているからこそ、他の感覚も磨かれていくような気がします。 それがごくごく自然な形で身の回りに存在することが大事なんだと思います。 大本山池上本願寺住職、酒井日慈氏。 「生き生きと生きる。 だから幸せ。 食くらい、幸せなものはない。」 もう齢91歳のご住職が、こころから発した言葉。 食は五感で味わうもの、だそうです。 毎日毎日のこと、だからこそおろそかにはできない。 この映画に出てくる全員のパーティーシーンがあり、 またその食事の美味しそうなこと。 こういうパーティー、いいなあ。 本木雅弘さんの長女、内田伽羅ちゃんがママの内田也哉子さんとご一緒にご出演されてて、 とても微笑ましかったです。また浅野忠信さんの言葉も、何気に彼の私生活がのぞけるような感じでもあって、こんな時にポロっと俳優さんが本音を出しているんだと納得です。たくさんの人々が、全く違う観点から食を語っていましたが、決して主張を押し付けているのではなく、それぞれが、食を愛していきたいという願いが心地よく表現されていた映画でした。 **********************************今日の評価 : ★★★★
2009.10.16
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原題: EL POLLO, EL PEZ Y EL CANGREJO REAL/THE CHICKEN, THE FISH AND THE KING CRAB監督 : ホセ・ルイス・ロペス・リナレス 出演 : ヘスース・アルマグロ 、 セルジュ・ヴィエラ 、 ペドロ・ラルンベ 、 ポール・ボキューズ 鑑賞劇場 : TOHOシネマズシャンテ公式サイトはこちら。<Story>“世界一有名なシェフ”の異名を取るポール・ボキューズ氏の呼びかけにより、87年からリヨンで開催されているフランス料理の国際大会「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」。この世界最高峰の美食オリンピックに挑む事になったスペイン代表ヘスース。本選出場が決まって以来、同僚シェフや諮問委員会のアドバイスを受けながら試行錯誤を繰り返してきた。果たして、へスースは審査員たちをうならせる料理を作ることができるか。ファイティング・シェフ ~美食オリンピックへの道 - goo 映画<感想>“世界一有名なシェフ”の異名をとるポール・ボキューズ氏の呼びかけにより、1987年以来2年に1度“食の都”リヨンで開かれているフランス料理の国際大会、“ボキューズ・ドール国際料理コンクール” ということで、この2007年大会をベースに、そこに参加するスペインチームの奮闘ぶりを中心に描き、食について考察している。 このコンテスト、大らかなスペイン人にはかなり酷だったのではないだろうか。 彼らにとって、ナショナリズム、オリジナリティ、そして美しさ、美味しさまで計算して完璧な料理を作り上げるのは、肩の凝る作業だったに違いない。だがせっかく出るからにはできるだけのことをしたい、レストラン向けの料理をしていてはダメなんだと悟ったとき、ヘスースの姿勢は変わっていきます。フランスから前回優勝者を招いて、そのアドヴァイスを訊いた後、無謀とも言える決断をしたのは、恐らくそれまでの彼らだったらなかったことに違いない。 ただ上には上がいるとはよく言ったもので、・・・。 常連? 上位? 12カ国のプレートはまるで違っているのが、スクリーン越しでも分かってしまう切なさもある。 完璧なコンテストを制する国が存在していて、そしてその料理の内容は明らかに他と違う。 やっぱり唸ってしまいますね。 上位国の中には日本もあり、長谷川幸太郎シェフがアイデンティティ賞を受賞していて、その作品も(見た目でしかわからないけど)実に繊細でお見事。 見ていて非常にうれしいこと。 もちろんここに出てくる料理人たちは、コンテスト向けの規定に合わせた料理をしている訳で、普段は勿論レストランで腕前を発揮している。仕事としてのofficialな料理と、このコンテストのようなspecificな料理とを使い分けて、その2つの顔を切り替えていかないといけない。 コンテストでの上位の国というのは、この使い分けがきちっとできているのでしょう。それぞれの国のそれぞれの事情。 表彰台での男泣きも、これだけどプレッシャーに打ち勝ったんだから当然のこと。 料理人の限界まで要求される仕事をしたのだから。 力を出し切った姿が見てとれる。コンテストを制した国も、そうじゃない国も、それぞれ精いっぱい戦って戦い尽くして。 そんな戦いの後の料理は、やはり、ママの味が恋しいのですね。 **********************************今日の評価 : ★★★☆
2009.10.16
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原題: THE TIME TRAVELER'S WIFE監督 : ロベルト・シュベンケ 脚本 : ブルース・ジョエル・ルービン 出演 : レイチェル・マクアダムス 、 エリック・バナ 、 アーリス・ハワード 、 ロン・リビングストン 試写会場 : 109シネマズMM横浜公式サイトはこちら。<Story>ヘンリー(エリック・バナ)は、遺伝子の異常から一つの時間軸にとどまることができないタイムトラベラー。自分の意思に関係なく、現在、過去、未来を瞬間移動する。それは、誰にも信じてもらえない、秘密を抱えた孤独な人生。ある日、旅した過去で、一点の曇りもないキレイな心を持つ少女・クレア(レイチェル・マクアダムス)と出会う。クレアが「未来から来た」というヘンリーの言葉を信じた瞬間から、二人の特別な愛の物語は始まる。過去を訪れるたびにクレアの相談相手となり、彼女の成長を見守り続けたヘンリー。親友から、互いに心ときめく存在に変わっていったふたりは、ついに同じ時代で固く強く結ばれる。しかし、愛すれば愛するほど、二人は気づく。一緒にいられる時間が、あまりにも短いことに…。[ 2009年10月24日公開 ]きみがぼくを見つけた日 - goo 映画<感想>ひさびさ、シネコン試写が当たりました。DSCI0455 posted by (C)rose_chocolat「遺伝子の異常によって、時を移動してしまう能力が身についてしまった」という設定のヘンリー。やっと待ち焦がれた人に逢えたかと思うと、 その姿が砂のように消えて行ってしまう。。。 というのは予告でもやっていましたね。困るのは移動する時間と場所を選べないこと。そして何故か裸で移動です(笑その時代で洋服を探すので、実は彼の裸のシーンは多く、こういうところはエリックファンにはサービスかも? 笑ヘンリーは時間を選べない。移動先がクレアと出会う前であっても、そして知らない方がいいことを知ってしまっても、その事実を全て受け入れないといけない。知りたくないことを知らされるほど辛いことはない。 そして彼は自分の運命を知って、最愛の人たちにできることは何なのかを考えていきます。いつやってきて、いついなくなるのか、 誰にもわからないし、選ぶことはできない。 もしそんな人を好きになってしまって、伴侶になってしまったら、 一体どんな生活が待っているのだろうか。 クレアとヘンリーの関係は常に不安定です。クレアはそんなヘンリーに不満を持ちますが、やがて彼女自身も彼が背負う運命に気が付き、彼との時間の過ごし方について考えを変えたり、そのことに対して前向きに受け入れていきます。(C)MMVIIIINTERNATIONALESCARENAFILMPRODUKTIONSGESELLSCHAFT2MBH&CO.KG(tm)NEWLINEPRODUCTIONS,INC. 主人公は、エリック・バナ演じるテイラーかと思ったのですが、 この原題を見ると、あくまでレイチェル・マクアダムス演じるクレアの目線の映画なんですね。 『ベンジャミン・バトン』をどうも思いだすんだけど。。。 と思ったら、何とエンドロールのexecutive producerに名を連ねていたのは、ブラッド・ピットじゃないですか。 これも同じワーナーっていうのも何か意味があるんでしょうか。 ただ、ベンジャミン・・・と違うのは、あの映画は出来事が順番だったので、何となく推測がつきやすかったのに対して、 ここに出てくるテイラーは、選ぶことはできないけれど、自分の人生の過去や未来を見ることができ、そしてその時々を分かち合うことができる。 それが故に、知りたくないことまで知ってしまうのだけど。 そしてクレアや家族、そして友人たちに支えられて、テイラーは生きていく。 今ここにあの人がいてくれたら。。。 あの人に1度逢ってみたかった。 そんな願いが叶ったらいいなと思ったことはないだろうか。 もう逢えないと思っていた人に思いがけなく出会えた時、その出逢いに感謝しつつも、想いの丈を思いっきり伝えたくなる。 アルバにとっては悲しいことだけど、逢えた時にこそ、テイラーに逢えてよかったという喜びを最大限に伝えていた。 抱きしめても、抱きしめても、 形あるものはいつかは消えてなくなるもの。 でも、いつでもまた逢えると信じていれば、逢えるのかもしれない。 温かいものが心に流れているから、たとえ今すぐ逢いたいときにそばにいることができなくても、さみしくない。人と人との間に流れる想いを感じさせてくれた1本のような気がします。 だらだらと長くすることなく、すっきりとしたラストも好感が持てる。 そして、細かいセリフの1つ1つ、あるいは何気ない人間の動作にに伏線がうまく隠されているので、 お見逃しのないように。 **********************************今日の評価 : ★★★☆
2009.10.15
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監督 : 吉田大八 出演 : 堺雅人 、 松雪泰子 、 満島ひかり 、 中村優子 、 新井浩文 、 児嶋一哉(アンジャッシュ) 、 安藤サクラ 、 内野聖陽 公式サイトはこちら。<Story>米特殊部隊ジェットパイロットのジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐(堺雅人)。華麗なる経歴と流暢な日本語で次々と女性をおとす彼は、実は名前も経歴もでっちあげの稀代の日本人詐欺師だ。今は弁当屋の女社長・しのぶ(松雪泰子)を夢中にさせているにも係わらず、博物館のエリート学芸員の春(満島ひかり)や銀座のホステス・未知子(中村優子)もその毒牙にかけようとしていた。しかしそんな中、しのぶの弟・達也(新井浩文)に、クヒオが詐欺師だと見抜かれてしまい……。クヒオ大佐 - goo 映画<感想>堺さんだし予告も楽しそうだし、っていうことでこれは観ておかないとなって感じで鑑賞。クヒオ大佐が、どうしようもないホラ吹きってことは見ているこちら側はわかっているので、その騙し方をじっくりと楽しむ感じ。携帯のない時代って、こういうことするのに無茶苦茶エネルギー使ったんだなーっていうのがよくわかる。しかも周りにバレバレだし(笑計算ずくで行動しているし、それがうまくいってる場面もあるんだけど、相手が予想外の行動に出た時のクヒオの顔が変わるのが面白い。それでも彼は彼なりに一生懸命その場から起死回生を図っているのもわかるんですけどね。3人の女性たちを見てて、クヒオが女性を選ぶ基準っていうのがちょっと不明な感じがしましたね。弁当屋のしのぶは、美人でお金が自由になるってことでわかるんだけど、>博物館のエリート学芸員の春>銀座のホステス・未知子ここの選定基準がわからん。少なくとも春はエリート学芸員には見えなかったけど。。。 (服装があまりにもフツーな感じだったんで)ホステスだって、普通、銀座のお店にはクヒオみたいなのはいきなり入れないでしょ!? って激しく思ってしまうんだけど。 そして未知子がクヒオの来店動機をすっかり見抜いてしまうのが笑える。 未知子とは役者が違うのに、本気で騙そうと思っているクヒオも笑える。(C)2009 『クヒオ大佐』製作委員会クヒオは、騙しているつもりがかなり初歩的なドジを踏んでて、しかもそれを学習していないっていうのが、自分的にどうもなあーと感じました。頭悪い・・・?しのぶの弟にも指摘されているのにわかってない(笑(この弟役の、新井浩文さんはうまかった)今なら携帯とかネットとかで簡単に正体バレそうですけど、当時はそういうのがないからわかりにくい。だけど女性を騙すのにいつも同じようなネタなので、いくらなんでもいい加減わかりそうなのにってこっちは思うんだけど。あと堺さんの「つけ鼻」が結構不自然に見えちゃうんですよね。やっぱり、私たちはスクリーンやTVでの堺さんを知っているせいか、どうしても「あ、鼻つけてるんだ・・・」って方に意識が行っちゃいます。あんまりハーフに見えなかったし。。。 ってそれは仕方ないですかね。 エリザベス女王のいとこの。。。って。女性も、自分の心の隙間にすーっと入ってくる存在があったら、それにぞっこんになるのかな。 それはしょうがないけど、渦中にいる間はそのいい加減さに気がつかない。 終わってみて初めて、「何であんなのと付き合ってたんだろ」って思うのが常ですから(笑大体、付き合いだしてから「お金がどーの・・・」って言ってくる男はダメダメなんだけど(笑)、好きだからついつい払ってしまうんでしょうね。お金のために自分が利用されているってわかるまでは止められないんだと思います。3人の女性たちの演技は、それぞれの役に合っててよかった。特に満島ひかり&安藤サクラが出て来た時は、思わず『愛のむきだし』かと思いましたが(笑)、なんかこの2人って目が離せない。 次はどんな演技してくるのかいつもわくわくする。松雪さんも、綺麗どころなんだけど、あくせく働いてる生活感も滲み出てる。中村さんは他の2人に比べてインパクトは薄かったけど、ホステスの裏表を演じ分けていたのは細かかったですね。クヒオがどうして人をだますようになるのか、そこの原点も描かれているのはこの作品を理解する上で大事なことでした。満たされない想いを彼自身も抱えている。 それが彼を妄想へと駆り立てて、何もない自分でも、自分を繕えば他人が寄ってくるということがわかったから。あの米軍の制服は彼にとって、シンデレラの衣装だったのではないでしょうか。 いつかは魔法は解けるけど、それまでの間に束の間の美味しさを提供してくれるから。ただ、米軍が日本を守る動機と、クヒオが女たちを騙した時に使う言い訳が同じって言うのもどうかなあ・・?望んでいることをした、って彼は言ってますけど、果たしてそうか? 全員を騙しおおせたわけじゃないですからね。あと内野さんがご出演なんですけど、彼の出演した部分が本編とすっぱり切り離してもおかしくないくらいつながってなかった。普通に面白いは面白いんだけど、疑問点もいっぱい感じてしまった1本でした。***********************************今日の評価 : ★★★
2009.10.14
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『パイレーツ・ロック』の試写会の後、レセプションがありました。実はこれ、試写会当選者の半分しか本来はご招待じゃなかったんですが、(ちなみに自分はハズれてました。 試写のみのご招待)当日、主催者様から、「人数に余裕ができましたので、よかったらご希望の方全員どうぞ」と、お声がかかりました!よかったよかった。これは参加するしかないですよね^^実はこの試写会に、amebloの hyoutanさんと michiさん がたまたまお越しで、「知ってる人がいてよかったね!!」ってみんなで言ってたところでした。今回1人ずつの当選なんで、みなさん同伴者がいないから、ぽつんぽつんとレセプションってどうなんだろうね。。。? って。ですので誰か知っている方がいらしていただけると非常に心強いです。michiさんとは初対面でしたので、hyoutanさんにご紹介していただきました。他にも、yahooのCartoucheさん もお見えだったようで。。。ご挨拶できなくて残念でした~ またいつか!東宝東和試写室から少し歩いたところにあるパン屋さん、「BOULANGERIE A」さんがレセプション会場でした。DSCI0454 posted by (C)rose_chocolatパン屋さんなんだけど、カフェもなさっているようです。カウンターをちょこっと写してみました。(人がたくさんいたんで、お店の全体像はカットしました)DSCI0443 posted by (C)rose_chocolatそして飲み物が配られて、駐日英国大使館の方の音頭で乾杯の後、いよいよお料理が出てきました^^パン屋さんだけあって、ハード系のパンをスライスしたものにクリームチーズを塗ったものがオードブルに。このあたり、パンを焼く私としては、興味津々。一体何が入っているのか?? いろいろ眺めちゃいました(笑DSCI0448 posted by (C)rose_chocolatスパニッシュオムレツ。周りのトマトソースが美味しそう! というか美味しかった^^DSCI0447 posted by (C)rose_chocolatポテトのオードブル。これスパイシーで、いい感じのお味でした。DSCI0450 posted by (C)rose_chocolatそしてピザトースト。すごい大きい!食べやすいように、小さい四角にカットしてありました。DSCI0451 posted by (C)rose_chocolatピザトーストは、トマトソース系と、もう1つは、カマンベール&照り焼きチキン&長ねぎ、だそうです。この長ねぎのが美味しかったなー。手前のはノアレザン系のパン。DSCI0453 posted by (C)rose_chocolat甘いケーキを細かくカットしたものもありました。DSCI0452 posted by (C)rose_chocolat実はこの後、私は予定があったので(どんだけ遅いんじゃ。。。 苦笑)hyoutanさん、michiさんとともに途中で失礼してしまいましたが、思いもかけずレセプションにお招きいただいて大変嬉しかったです!主催者の方、ありがとうございました。愉快な映画&素敵なビュッフェで、大満足の1日でございました。
2009.10.13
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原題: THE BOAT THAT ROCKED監督・脚本 : リチャード・カーティス 出演 : フィリップ・シーモア・ホフマン 、 ビル・ナイ 、 リス・エヴァンス 、 ニック・フロスト 、 ケネス・ブラナー 、 トム・スターリッジ 試写会場 : 東宝東和試写室公式サイトはこちら。<Story>1966年、北海に浮かぶ船に高校を退学になったカール(トム・スターリッジ)がやってくる。更正のため、母親に名付け親のクエンティン(ビル・ナイ)に預けられたのだ。この船は海賊ラジオ局で、クエンティンはその経営者。1日45分しかヒットレコードをかける時間がないBBCラジオに対し、24時間いつでもロックを流すこのラジオ局は若者に圧倒的な支持を受けていた。しかしその一方、政府はこの海賊ラジオ局を潰そうと画策しているのだった…。[ 2009年10月24日公開 ]パイレーツ・ロック - goo 映画<感想>UK Japan公認ブロガー枠にて当選。昨年、日英修好通商条約締結150周年を記念して開催された、UK Japan 2008終了後、運営はそのまま駐日英国大使館に引き継がれたそうで、今回のご案内もそちらからいただきました。予告でもすごく面白そうだったこの映画。場所も試写室だし、とても期待してました。やっぱり何と言っても使用楽曲の多さですね。エンドロール見てもわかりますけど、大体50曲くらいはあったのでは?この話、設定は1966年ですけど、実はあんまりその年代にこだわってないような選曲で(笑)、'70s'80sの音楽も使われてたような気がするけど。。。そこにこだわらないで、幅広く音楽に対してのリスペクトを散りばめた作品でした。例えば↓の画像なんかは、このアルバムのパロディだし。(今回の使用画像は、UK Japanさんよりご提供いただいています)(C) 2009 Universal Studios. All Rights Reserved.海賊局なるものがイギリスに数多く存在していたことが映画の中でも紹介されている。その数、数百局だとか。それだけ当時は音楽を熱望する人々がいて、また政府も自由にさせなかった背景が見えてくるのが面白い。保守的な英国が、ロックの台頭に危機感を覚えたってことなんでしょう。この映画に出てくるDJ達。 誰もがひと癖あるキャラクターだし、単純に観てて面白い。 そして揃いも揃って音楽馬鹿(笑「音楽のためなら死ねる」って、本当にそれをやっちゃいそうな人も多数いて(笑)、筋金入りをたくさん見て笑うのがこの映画の楽しみ方。ちゃんとイケメンも揃えているところが好きです^^リス・エヴァンスのクールさは、ロッド・スチュアートみたいだったし、トム・スターリッジとトム・ウィズダムの若手クンたちも見ててかわゆい(笑ビル・ナイは最初から最後まで衣装がピシっと決まってて、イギリス紳士らしいんだけど、やってることがフツーじゃないのがパイレーツ・ロックならではかな。あと、イケメンじゃない組も(!)、何故かモテモテでしょうがない設定なんで、そのモテっぷりを眺めるだけでも単純に面白い。そして、潰す潰すと言いながらも、無能な政府も笑える対象。 ここではケネス・ブラナーが、ちょっとこれまたズッコけた感じの役人やってました。(C) 2009 Universal Studios. All Rights Reserved.わずか40数年前に、イギリスでこんな状況があったとはとても信じられない。 みんな音楽を熱望してた空気もうまく伝えています。当時は娯楽があまりなかったから、ラジオは貴重な遊びであり社交であり。 ラジオを囲んでDJに熱い視線を送る大衆の姿も印象的。ただ単に音楽が好き! だけじゃなくて、そこにカールの成長のエピソードや、当時の社会情勢、女の子たちのファッションの可愛らしさなんかも織り交ぜてて楽しいですね。 そこに適当にお馬鹿な要素が入ってくるんで。。 久々に最初から最後まで笑ってドキドキしちゃいました。 あまりネタばれしたくないのであとは劇場で。『ラブ・アクチュアリー』のリチャード・カーティス監督なので、ワイワイ人が出てくる話はやっぱりうまいと感じます。 "THE BOAT THAT ROCKED" っていうタイトルもうまいし。あとは何と言っても音楽でしょう。 数々のリスペクト映像にはこちらが恐縮しちゃうくらいです。これはサントラ欲しくなっちゃいますね。 実はこれ、試写会の後に、少しレセプションがありました。そのレポは次の日記で。。。**********************************今日の評価 : ★★★★★
2009.10.13
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明日のパンがない! っていつも慌てるんですけど、どうしても1種類作るのに2時間はかかる。長い。。。短時間で何か作れないか?? と、ふと思い出したのが、マフィン。マフィンならささっとできるよね?BAGEL&BAGELさんで出している、「She Knows Muffin オリジナル・レシピ集」 から作ってみました。「基本のマフィンから、甘くないお食事系マフィン、豪華デコレーションタイプなどいろいろ楽しめるレシピ集」っていうことなんですけど、今回はお食事系マフィン2種。ハムチーズと、カレーソーセージです。2つとも途中まで作り方は同じ。全卵と上白糖を、割としっかり目に泡立てます。DSCI0425 posted by (C)rose_chocolat↑ ここからもうちょっと上がってくるまで泡立てるんですけどね。泡立てが終わったら、粉を入れてさっくりと混ぜます。ぐるぐるしないこと!DSCI0426 posted by (C)rose_chocolat途中で残りの具を入れます。 ここではハムチーズとパセリ。DSCI0427 posted by (C)rose_chocolat具が混ざったら、パラフィンを敷いたマフィン型に6等分して入れます。DSCI0428 posted by (C)rose_chocolat180℃のオーブンで25分。焼けました。DSCI0429 posted by (C)rose_chocolatハムチーズのマフィンです。DSCI0432 posted by (C)rose_chocolat断面!! 笑DSCI0434 posted by (C)rose_chocolatもう1つの、カレーソーセージマフィン。具を混ぜるところでカレー粉を入れます。6等分したところ。DSCI0430 posted by (C)rose_chocolat焼き上がり。今回は上にとろけるチーズを乗せてます。DSCI0435 posted by (C)rose_chocolatvolcano! って感じですよね。は、羽根が。。。 wDSCI0436 posted by (C)rose_chocolatそして断面!DSCI0440 posted by (C)rose_chocolatパンを作るのと同じ時間で、2種類作れるのはいいですよね。作業はちと忙しいですが。。。
2009.10.12
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秋になって、いちじくが出回ってるんで、美味しそう! と思って買ってきました。こういう時に作るのは、いちじくのガレット。約1年ぶりなんだけど。DSCI0421 posted by (C)rose_chocolatなんか。。。作ったんだけど、色がなあ~。イマイチだよなあ・・・。 って思ってて。この日記で作ってるのと、色が全然違ってる。(イマイチなんで今日は写真小さめ。 w)DSCI0422 posted by (C)rose_chocolat食べてみると、うーん。。。 って感じで。切ってみないとわかんないんだよねえ。 いちじく。ドライは全然問題ないんだけど、生は難しいよ。でも結構表面柔らかかったから、これ以上待てなかったし。よく見て買いましょう!! 笑
2009.10.12
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監督 : 堀部圭亮 原作 : 木下半太 出演 : 内野聖陽 、 佐津川愛美 、 モト冬樹 、 斎藤工 、 大堀こういち 、 芦名星 、 本上まなみ 公式サイトはこちら。<Story>小川順(斎藤工)は、鋭い頭の痛みで目を覚ますと、そこは急停止したエレベーターの中だった。一緒に乗り合わせたのは、刑務所帰りの男(内野聖陽)、過去が見える超能力者(モト冬樹)、自殺願望のゴスロリ少女(佐津川愛美)と、見るからにワケありな3人。非常ボタンは故障し携帯電話は電池切れ、助けを呼ぶこともできない。なぜか互いの秘密を暴露し合うハメになった時、思いもよらぬ事件が起きてしまう……。悪夢のエレベーター - goo 映画<感想>とにかく内野さんがご出演ですし、上映館も少ないので、早めに観たかった作品です。原作は、シリーズ累計40万部を突破した木下半太の人気小説「悪夢シリーズ」3部作の第1弾「悪夢のエレベーター」(単独で26万部の売上!)を映画化したサスペンス・コメディーということなのですけど、全くこれは知りませんでした。堀部監督も、俳優や構成作家というよりは元K2のイメージの方が断然あるんで、今回監督をしたっていうのがそもそも驚きでして。観始めて、エレベーター内ということもあり、 この作品みたいなパターンか!? と一瞬頭をよぎりましたが、そうではないことはわかってきます。密室内も4人なんで、動きや見せ場もあるし。(C)2009「悪夢のエレベーター」製作委員会内野さんは直近で 舞台「BLACKBIRD」 を鑑賞しています。 これは伊藤歩さんとの2人劇で、それぞれの心情描写が中心の舞台でした。本作も少人数の場面が多く、物語の裏側なども細かく描いていて、映画というよりは舞台に近い印象を受けます。モトさんの女装もかなり笑えますし、管理人の大堀こういちさんもとんでもなくすごいキャラクターだったんですが、今回はやはり佐津川愛美さんに尽きるでしょうね。とにかく彼女がいい。眼に何とも言えない力があって、ちゃんとキャラクターを演じ分けられるのは大したものです。彼女は、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』 でとても印象に残る女優さんだなと思っていました。 この映画を観た堀部監督が彼女にオファーかけたのもすごくよくわかる。 まだ今も20歳そこそこなんですね。 とてもそうは思えない迫力あります。 劇団本谷有希子の舞台「来来来来来」 も観たかったのですが都合つかずで。。。 またこの映画で彼女の凄さを見せてもらったように思いました。計画通りに進めようとするけど、想定外のこともたくさん起こってきて、そして初めに仕掛けられたからくりに気がつくというお話なんですが、登場人物のそれぞれのお芝居のうまさに飽きることなく見せてもらった作品でした。*********************************今日の評価 : ★★★☆
2009.10.10
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監督・脚本 : 益子昌一 原作 : 東野圭吾出演 : 寺尾聰 、 竹野内豊 、 伊東四朗 、 長谷川初範 、 木下ほうか 、 池内万作 、 岡田亮輔 、 佐藤貴広 、 黒田耕平 、 酒井美紀 、 山谷初男 公式サイトはこちら。<Story>残虐な犯罪を続ける少年犯。彼らは“少年法”に保護されている。最愛の娘が、少年達によって、凌辱され殺された。ある日、謎の密告電話により、失意のどん底に落ちていた父親・長峰重樹(寺尾聰)は、犯人を知ることになる。「我が国の法律では未成年者に極刑は望めない!」復讐が何も解決しない虚しい行為だと分かっていながら、父親は自ら犯人を追う…。そして、長峰を追う2人の刑事。織部孝史(竹野内豊)と真野信一(伊東四朗)。被害者の絶望は、永遠に消えない。そして、少年達は犯した罪と同等の刑を受けることはない。法律を守るという建前の正義を優先する警察組織に、不条理さを感じる刑事たち。それぞれが苦悩しながら、事件は衝撃の結末に向けて、加速していく…。さまよう刃 - goo 映画<感想> 少しネタばれ気味です。東野圭吾さんの原作は未読です。現実にこのような事件が起きているということを勘案して感想を述べたいのですが、やはり親の立場から考えると、長峰の気持ちは当然と言えましょう。最愛の子が蹂躙されて殺害されてしまったら、殺したいほど憎くなるのは無理もありません。少年法で分厚く守られている「凶悪犯」に対して、何の手だてもないとしたら、何も知らされないとなるならば、自分の手で決着をつけなければ一生後悔するという長峰の心情は察するに余りあります。この映画でも、長峰の他にもう1人、お子さんが被害に遭った父親が出演しますが、その彼の演技も胸に迫りました。外国などでは、未成年であっても凶悪犯は顔写真と実名報道がなされます。 その扱いに比べるとあまりにも日本では、未成年が犯人である場合に、被害者側が報われなさ過ぎる。映画の中でも、「とても刑罰とは言えない罰」と形容されているように、成人とほぼ同じような残虐な事件であっても、未成年だからという理由で、更生目的の柔らかい罰しか与えられていない。現実、「少年法に守られているので犯罪で捕まっても平気」という考えで犯罪を行う未成年も多い。そして仮に「更生」して社会復帰したとしても、再犯の可能性はないとは言えず、本来の構成の目的を果たしていなかったケースだってある。そのアンバランスに対して、手だてを打って行かなければいけないと感じます。被害者は、関係者を失う哀しみに加えて、知らされない苦しみも味わうことになる。この映画でも、長峰の意志に対して、若い織部は、日頃の警察組織の対応への疑問もあって心を動かされてしまうけど、真野はあくまでも法律重視の立場を貫く。「知れば知るほど、被害者は苦しむ」と。せめて被害者側が、その心の痛みを軽減できるようにはならないのだろうかと思いました。テーマとしては、現在の少年法のあり方に大きく疑問を投げかけるもので、恐らく大きな反響もあると思う。ですが、映画を見る限り、かなり細かいところの矛盾点が目に付いてしまいました。ネタばれなのですが、長峰が携帯の電源を入れっぱなしというところ。 今はGPSですとか発着信履歴などで、居場所は簡単にわかってしまいますので、どう考えてもこれは発見されるまでの時間が長すぎてしまう。 実際にはもっと早く長峰を発見できると思うのだけど。それと警察の対応です。いきなり立ちふさがるっていうのはないと思うんだけど。。。 あと、長峰に電話するのも。そして、長峰を追う展開は少々長く描きすぎたようにも思います。 少しダレてしまったような。川崎の街は、銀柳商店街とかチッタ前の石畳なんかは妙に親近感ありましたが、あの街中をあの捜索劇というのは、いかにも探してますよーと言う感じがしてしまいまして。。。 あんなミス、するのでしょうか。 そういう不思議な点が目立ってしまった。個人的には、酒井美紀さんがペンションの経営者の娘さんっていう設定がよかった。「白線流し」を見ていた自分としては、彼女には「信州」「父親想いの娘」という役はとても似合うように感じます。長峰にはいい人生を歩いてもらいたい、でも自分の父を大事にしたいという彼女の板挟みの心情も理解できました。そしてその父親役の山谷初男さんも、同じ父としての想いを感じていたのでしょうか。 非人道的な行為は、例え未成年であってもいかがなものかと思うのは、立場を超えて共通だと思うのです。*********************************今日の評価 : ★★☆
2009.10.10
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原題:LE CODE A CHANGE 監督:ダニエル・トンプソン出演:ダニー・ブーン、パトリック・ブリュエル、エマニュエル・セニエ、クリストファー・トンプソン撮影:ジャン=マルク・ファーブル鑑賞劇場 : TOHOシネマズららぽーと横浜フランス映画祭2009公式サイトはこちら。<Story>夕食会、それは上辺をどう取り繕うか問われる場だ。身なりを整え顔は笑顔、ハッタリはばれないよう、様々なことをみんなで分かち合う。不安はユーモアで隠し、苦しいことは笑い声で抑えつける。それが一番大切なことだと、誰もがそう信じている。礼儀をわきまえて、真心も欺瞞も尊重し、上機嫌に努めていれば、楽しい夜になるのだ。しかしみんなが帰途につき始めると、仮面はどんどん剥がれていって……。(フランス映画祭2009公式サイトより)<感想>『西のエデン』に続いての2本目。さすがに終了が午後11時台ということで少々眠気に襲われたのは致し方ないかな(笑それでも、スクリーンにはそこそこお客さんがいるのがこういう企画の嬉しいところ。奇しくも、つい先日DVD鑑賞したばかりの『モンテーニュ通りのカフェ』の、ダニエル・トンプソン監督作品です。これも、『モンテーニュ・・』と同じくオムニバス作品。「パリに暮らす男女11人の本音と建前」といったところでしょうか。それにしてもここに出てくる男女の、表と裏の顔の違いにはかなりあっけに取られてしまう。 でもどこの国でもこんなものなんだろうか。ホームパーティーという習慣が庶民レベルにまで根付いていない日本では、ここまであけすけに語ることもないのかもしれないけど。さすがに、そこに集まって食事をしている誰かと誰かがどうにかなって。。。が複数あると、一見楽しいはずの食事会も、底にどろんとしたものが流れちゃってくる。それでも、そこに出席している間だけは、どうにか体裁を保とうと努力はするのでしょうね。なのですが、出席者の胸の内は実はこんなところにいたくなくて、楽しい思い出を彷徨っていたりするのなんかは、妙に共感できてしまう部分もある。その場で初めて会った人が、テンション違い過ぎると、何となく鬱陶しくなるのもそうだし(笑また反対に、やけに意気投合してしまうこともあったりで。 そんな出会いもあるからパリという街は面白そうに感じる。お話は、ある年の夏至の夜に持たれたホームパーティーの様子と、そのちょうど1年後の日のことを描いている。たった1年、あっという間・・・ と思うのだけど、その1年間の間に何と様々な心境の変化があるのだろうか。再び同じメンバーが召集されても、中には人生を劇的に変化させている人もいる。そして気持ちは離れてしまっているかもしれないし。アパルトマンのドアにある暗証番号。 日本でいうところの「オートロック」に近いんですが、この暗証番号=コードを変えてしまうと、それまでのコードを知る客は入れなくなる。今までは良かったけど、でもきっかけがあると、もう元には戻れない。 戻りたくないし、過去の人間関係も断ち切りたくて、コードを変えてシャットアウトしたくなってしまうのも、人間の心境なのかもしれない。ちょっぴり楽しくてほろ苦い、大人のオムニバスでした。『潜水服は蝶の夢を見る』に出演した、エマニュエル・セニエが妖艶。 どこまでも大人の女性の魅力を出している。 こういう女優さん好きです。*********************************今日の評価 : ★★★
2009.10.09
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原題:EDEN A L'OUEST 監督:コスタ・ガヴラス出演:リッカルド・スカマルチョ、ジュリアンヌ・コーラー鑑賞劇場 : TOHOシネマズららぽーと横浜フランス映画祭2009公式サイトはこちら。<Story>エリアス(リッカルド・スカマルチョ)の旅は美しいエーゲ海から始まった。不法入国者とともに貨物船に乗り込み、希望を胸に、密入国を企てたのだ。しかしその旅は、裏切りのために一転、苦渋に満ちたものになる。故国を離れ、アイデンティティーを失ったエリアスが最後にたどり着いた街は、夢の中に何度も現れた輝けるパリだった……。 (フランス映画祭2009公式サイトより)<感想>この秋、全国のTOHOシネマズで行われる、 「フランス映画祭2009」アンコール上映企画 の一環。来年春に行われる「フランス映画祭2010」のプレイベントとして、4本の作品を順次上映していきます。この4本の中では、『未来の食卓』だけが鑑賞済み。 当時チケットも即完売が多くて、なかなか取れなかったので、せっかくの機会ですので2本鑑賞してきました。"社会派の巨匠コスタ・ガヴラス監督が描く、現代の『オデュッセイア』"というキャッチフレーズがついていて、なるほど。。。と納得。(とは言っても『オデュッセイア』を大幅に短縮したエピソードではあるのですが)自身がギリシャ生まれで、19歳でフランスに渡り、映画監督として成功して現在に至る彼には、きっとこの作品は原点であり、描きたいとずっと温めていたテーマのように思える。今年は移民を扱った映画が多いという印象がある。 先日鑑賞した『正義のゆくえ』、 『扉をたたく人』もそう。 この2本がアメリカ移民なら、本作品は複雑化するヨーロッパ移民を取り上げている。 ギリシャから移民船に乗ったものの、途中で裏切りの気配を感じて海に飛び込むエリアス。移民船からの上陸者は彼以外にいないところなどは『オデュッセイア』なのでしょうか。流れ着いた場所も何ともロマンチック、リゾート施設の「エデン」のヌーディストビーチ。。。 ここから彼の放浪が始まって行きます。それにしても「芸は身を助ける」んですね。 彼がフランス語を勉強していたことが結局は危機を脱するポイントにもなる訳ですから。そして彼に対して差し伸べられる救いの手の数々のエピソードも、まるで夢の世界のようにちょうどいいところですっと出されてくる。彼の真面目な気質がそうさせるのだろうか。 本能的に、手を差し伸べられるべき人間に彼が入っていくのはきっとそんなものがあるのだろう。彼に旅支度をさせたハンブルクのマダム、途中で彼を商売に参加させた小鳥屋のソフィー、ヒッチハイクのトラックの運転手、パリのカフェのオーナー、パートナーの形見のジャケットをあげるパリのマダム。。。 いずれ劣らず温かい眼差しがこの映画の救いになっている。そうかと思えば、随所で登場する彼への試練と、移民政策の徹底ぶりが、否応なしに現実を見せつける。サルコジ政権になってから、それまでの労働力補強政策を一転させて、密入国取締りを強化させているフランス。 フランス人が移民に対して持つ複雑な感情も、最もと言えば最もなお話である。 夢破れてもなお、富める国を目指して行く人々は、そこで待ち受けていることが何かも知らずにがむしゃらに進んでいく。 そしてたどり着いた先でも、夢がないと生きる希望さえも見出せない彼らの切なさも沁みてくる。ファンタジーと社会問題を融合させた良作でした。*********************************今日の評価 : ★★★★
2009.10.09
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モニタープラザさんの企画で投稿しています。記事を書いて応募すると素敵な賞品が当たるらしいです(笑今回応募するのは、レイノーの食器!テーブルウェア・フェスティバルに毎年参加している私としては、これは見逃せません!【テーブルウェア・フェスティバル】レイノー食器(10,000円相当)3名様 ←参加中一応参考までに、今まで書いたテーブルウェア・フェスティバル記事をご紹介。2006年2007 Part12007 Part2(→ レイノー社の製品をご紹介しています)2007 Part32008 Part12008 Part22008 Part3(→ レイノー社の製品をご紹介しています)2009 Part12009 Part22009 Part3(→ レイノー社の製品をご紹介しています)2009 Part4レイノー社の展示、こうして見ると、毎年どこかでご紹介していますね。DSC022680012 posted by (C)rose_chocolatDSC022700010 posted by (C)rose_chocolats-DSC03057 posted by (C)rose_chocolat可愛い食器なので、人目を惹くんです。コーディネートもいつも美しくて、お気に入りブランドだったりします。今回のテーマは、「心に残るおもてなし」です。やっぱり、楽天blogのお友達の、みえこさんのお宅に伺った時のことが印象的ですね。もう2年前になるんですね! 早い。。。あの時は天然と一緒に行きました。で、あの時はまさか受験するなどとも思いもせず。。。懐かしいです。とにかくごちそうが素晴らしい!静岡おでん、カレー、おなかいっぱいになっちゃいました。とにかく、天然がお腹が痛くなるくらい食べすぎちゃって、お恥ずかしかった。。。みえこさんのおうちはお庭もきれいで、よく手入れなさってます。そして心がこもったおうちで、心がこもったお料理を出していただいて、楽しかった~。自分も人をお招きするときには、楽しんでいただきたいといつも思っていますが、それを、肩の力を抜いて、さりげなくできるみえこさんは尊敬です!またオフ会したいですね。
2009.10.08
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原題: CROSSING OVER監督・脚本 : ウェイン・クラマー 出演 : ハリソン・フォード 、 レイ・リオッタ 、 アシュレイ・ジャッド 、 ジム・スタージェス 、 クリフ・カーティス 、 アリシー・ブラガ 公式サイトはこちら。<Story>ロサンゼルス、移民・関税執行局(I.C.E.)のベテラン捜査官マックス・ブローガン(ハリソン・フォード)は、不法滞在の移民たちを取り締まりながらも、彼らの境遇に同情していた。メキシコから不法入国してきた若い母親のミレヤ(アリシー・ブラガ)は、息子をアメリカに残したまま、メキシコに強制送還されてしまう。女優を目指しオーストラリアから観光ビザで入国クしたクレア(アリス・イヴ)は、グリーンカードを手に入れるため、偶然出会った移民判定官の男(レイ・リオッタ)に身を任せる…。正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官 - goo 映画<感想>この日の2本目。 これも上映館少ないですね。 せっかくなので一緒に鑑賞してしまいました。つい最近も『扉をたたく人』などのように、9.11以降の不法滞在者や、移民を描いた映画が増えている。 裁定や待遇を巡ってやはりいろいろな葛藤が生まれてしまうが故なのかとも感じる。この映画は、ICE捜査官であるマックスを中心に、いくつかのケースをオムニバスがかった方法で配置していっている。テロ防止のためにアメリカが取っている対策について、いろいろなメディアを通じて、かなり厳しいものであることは伝わっている。 目的遂行のためには時として人非人的な対応をする政府。 それが家族離散であろうが、永遠の訣れであろうがお構いなしに。もう少しどうにかならないものか? と、蚊帳の外から見ているこちらは思うのだけど、その甘さの隙を突いてよからぬことを企む輩もいることもまた事実。そして何とかして、どうにかしてグリーンカードが欲しいという人たちの気持ちを逆手に取って悪事を働く者も、数多存在する。そんな現状に、マックスは理不尽なものを感じていたと思いたい。でも実際には、マックスのような人情をお持ちの捜査官はあまり(というかほとんど)いないのが現状なんだろうなーという見透かしはあるかな。(c)2008 The Weinstein Company, LLC All Rights Reserved.だからタズリマのケースに関しては本当に胸が痛くて。彼女があの場所で、あの主張をしたことは大変は勇気が行ったことで、だけど思春期のまっすぐな気持ち故にどこかでそれを表現したかったのかもしれない。しかしながら、それがどのような結果をもたらすかについては思い及ばなかったのではないだろうか。そこまで冷酷な仕打ちをするの? 3歳で合衆国にやってきた少女の生活を全て奪うって。でもそれがアメリカの掲げる「正義」であるのだから、脅かすものに対しての万全の策を取らないといけないのはわかる。 タズリマは彼女の正義を貫き、合衆国は合衆国の正義で応答した。 それだけと言えばそれだけ。 だが彼女たちが流した涙が大地に沁み込んでも、その熱さまでは伝わらない。 そこが物悲しい。個人的にジム・スタージェスくんは好きなので、彼ってこれに出てたんだ! と気がついた時は嬉しかった(笑)『アクロス・ザ・ユニバース』で見せてくれたお得意の歌もちゃんとある。 しかも彼が作詞作曲したのもあるじゃないの! 何気に大サービスだったりして。このジムくんの設定が今一つわからなかったので調べたら、南ア出身のユダヤ系移民だった。 これにはなるほどと思う。 アメリカへ移民を希望しているのは、何も中南米系、アジア系に限らず、同じ英語圏の国の人達ももちろんいる訳だから。これはオーストラリア出身のクレアにも当てはまる。使用言語は同じ英語だし、一見見分けもつかない彼らは「目に見えない移民」と呼ばれているらしい。だからと言って、審査が甘くなるわけではない。 自国民以外に対しては厳格に対処していく。 なのでグリーンカードの偽造などはかなりまずい。そこを利用する卑劣な人間も大勢いる。 困っている人、そしてそれをビジネスチャンスとして群がる人も絶えることはない。全部で7つの移民のケースがこの映画には語られている。そんなにまでしてアメリカ人になりたいのか?そう訊いたらたぶん彼らは全員Yesと答えるだろう。母国では得られないものを目指して彼らはやってくる。お金であったり、地位名声であったり、安定した生活であったり、将来性であったり。帰化したとしないでは雲泥の差が存在する。 ただし帰化したと言っても、元の民族としての誇りを失うことはない。 それどころか、己のアイデンティティを見つめて次代に引き継ぐために、大事にしていきたいと思うのではないだろうか。それが悲しい結果で現れてしまったのが、ハミードたちのケース。合衆国に移民としてやってきた世代と、合衆国で生まれたアメリカ国民とのギャップを改めて思わせる。「人種の坩堝」とはよく言ったもので、言葉にすれば本当に簡単であっけなく聞こえる。 だがしかしそこにあふれる想いは人それぞれ。エピソードの合間に挿入されるハイウェイの画像は、行き交う人々の様々な想いを示唆し、ラストのアメリカ-メキシコ国境ゲートでの映像の、車の流れるスピードの落差に、祖国を諦めてアメリカという国へ賭ける人々の希望をひしひしと感じる。正義を貫くために、その想いを受け止める幅が格段に狭まってしまったアメリカという国。『扉をたたく人』同様、ここでも星条旗の重たさがのしかかってくるようでした。**********************************今日の評価 : ★★★★☆
2009.10.07
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原題: CLOUDY WITH A CHANCE OF MEATBALLS監督 : クリス・ミラー&フィル・ロード公式サイトはこちら。<Story>フリント・ロックウッドの夢は偉大な発明家になること!しかし、彼の発明は風変わりで、皆に迷惑をかけていた。彼の住む港町では、みんな、朝から晩まで、町の名物であるサーディーン(イワシ)料理を食べて暮らしていた。皆にもっと美味しいものを食べさせたいと思ったフリントは、水を何でも好きな食べ物に変えることができるマシーンを発明する。だが、完成したマシーンを起動させようとした時、不慮の事故が起こり、マシーンは雲の彼方へと飛んでいってしまう。またまた失敗かと思われた発明だったが、巨大な雨雲が町に近づいてくると、空から大量のチーズバーガーが降ってくる。サーディーンしか食べられなかった町の人たちは大喜び。フリントが、研究室にあるコンピューターから食べたいものを入力すれば、どんな食べ物でも空から降ってくるのだ。一躍、町のヒーローとなったフリントだったが、町の人たちは気付いていなかった。空から降ってくる食べ物が、日に日に巨大化していることに…。くもりときどきミートボール 3D - goo 映画<感想>水曜レディースデーなんだけど台風が来そうということで、大急ぎで2本鑑賞。台風じゃなかったらあともう1~2本観たんですが。。。自分にとって初の3D鑑賞となった。3Dってアクション&ヒーローものが3Dとして挙げられていることが多いんだけど、正直聞くだけでお腹いっぱいなんです。なので敢えて料金払う必要もないと思ってました。そもそも試写会ですと2Dだし(笑ですけどこれは吹替&3Dしかないので仕方なく。。。 なんですが、身近なものを3Dで見ると面白いことに気がつく。予告(『カールじいさん』でした)&エンドロールまで3Dにこだわってて、これならエキストラ払ってもまあまあ満足かなあと思ったりもした。(ちなみに今日は迷いもなく6ポイント使って無料観賞。引いてもまだ25ポイントもある自分って。。。)簡単に言うとかなり面白かった。 今年観たアニメの中では『ボルト』よりも数段面白かったし、身近な論点もかなり含まれている。それは、食糧に対しての人間の奢った気持ちと、食糧事情の歪みである。サーディンだけを食べさせられる島の人々。それがいったん何でも食べられるようになると、何も考えずに食欲の向くままに食べていく。嫌いなものは残し、好きなものだけを好きなだけ食べ、飽食にまみれ、ダイエットのために食べ残す私たちに対しての警鐘にも受け取れそう。空から落ちてくるのは、いわゆるジャンクフードが中心ですが、自分たちの利益のために、安い食べ物をじゃんじゃん作っている営利企業(→ これは市長に投影されているのかな?)への当てつけっぽくも感じたり。それは、ブレントや市長といったキャラクターに代表されるように、心や身体の歪みをもたらしている。果てしなく続くアンバランスな食糧事情と、親子の葛藤をうまく取り合わせている。亡き母は「あなたはできる」とフリントを励ましてくれたけど、父は自分を認めてくれない。。。でもそれは認めないのではなくて、彼がしていることの間違いを自分で気がつくまで待っていたと思うんです。誰かに認められたいから行動を起こすのではなくて、人のためになることを本当にしているのか、そこに気がつくまで、父親は息子を見守っています。これは大きな愛情でしょうね。目先のことしか考えないんだけど細やかな母性本能に対して、ある意味ブレーキをかけていく役割です。これは大事なことで、どちらかのバランスが崩れてしまうと、子どもにとってはあまり良くない結果になってしまいます。でも本音は子どもは可愛い。 可愛いからこそ、厳しいのです。そしてメガネっ子萌えにもたまらんであろう感じです。本当の自分を見せるとカッコ悪い、だから何かでカバーして隠している。 それはもったいないよってこと。その本質の部分こそが、その人を一番輝かせていると思うんです。だから堂々とすればいい。 そこを認めてくれる人はきっとどこかにいるはずだから。エンドロールまでもが、3Dということを意識した作りになっていて、とても可愛らしかった。吹替版ということで、最後にしょこたんの曲が流れていました。 吹替バージョンによくありがちな、日本語の曲で洋画の余韻を壊すこともなく、久々に違和感なかった。 きっとビートが似ているせいかもしれない。どことなく、全般的に絵が『モンスター&エイリアン』に似ているのは気のせいだろうか。サムの声が、『ER緊急救命室』のニーラ・ラスゴートラでおなじみの、私の好きな甲斐田裕子さんっていうのもよかったです。それにしてもこれを観てしまうと、ピザとかパスタっていうのは当分食べなくてもいい感じになるね(笑**********************************今日の評価 : ★★★★
2009.10.07
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原題: FAUTEUILS D'ORCHESTRE/AVENUE MONTAIGNE監督: ダニエル・トンプソン出演: セシール・ド・フランス / ヴァレリー・ルメルシエ / アルベール・デュポンテル / クロード・ブラッスール / クリストファー・トンプソン / シドニー・ポラック公式サイトはこちら。<Story>パリに憧れてマコンから上京してきたジェシカ(セシル・ドゥ・フランス)は、ギャルソンとして由緒ある「カフェ・ド・テアトル」で働くようになる。パリでも有名なそのカフェには、映画監督や有名女優、資産家などセレブの人々がやってくる。だが、華やかそうに見える彼らは、様々な苦悩を抱えていた。TVドラマで人気を博す女優のカトリーヌ(ヴァレリー・ルメルシェ)は自身のキャリアに満足できずにいる。美術収集家・グランベール(クロード・ブラッスール)は自分の人生にとって大切なものを見つめ直すため貴重なコレクションを放出しようとしている。著名ピアニストのジャン=フランソワ(アルベール・デュポンテル)は、歩んできた道のりに違和感を感じ、本当に音楽を必要とする人々の前で演奏したいと苦悩していた。やがて運命の日。ジャン=フランソワ、グランベール、カトリーヌそれぞれの人生が、緩やかに幕を開ける――。(cinemacafe.netより)<感想>昨年見逃してしまった1本。フランス好きとしてはやはりスルーはもったいない。 ということで鑑賞。主役の、セシル・ドゥ・フランスさんのお名前からしてもう、まさにこの役を演じるために現れたという感じです。とても好奇心旺盛なジェシカ。とりあえず、自分と出会った人や物事には、チャレンジして向かい合っていく精神はたくましい。そしてその中からどんどん出会いが広がっていく。ジェシカが持つ不思議な魅力なんでしょうね。何かが起こった時に、自分には関係ないこととして通り過ぎて行くのか、それとも自分のアンテナに引っ掛かったことには足を止めて立ち止まって見るのか。 そこが人生の分かれ道かもしれない。彼女が勤めるカフェに集う人々。いわゆる成功者、セレブと呼ばれる人にも何故か皆、悩みや葛藤があるという設定も面白い。 成功したからもう何も怖いものはないんじゃないかと思われがちな彼らでも、否、成功したからこそ、より複雑な悩みが待っているような気もする。それまで費やしてきた時間と労力、そして得た地位と名声が、彼らにシンプルになることをためらわせているのかもしれない。だけど思い切ってそれらの枠組みから外れてみることで、いかにそれまでの自分たちが窮屈なことに囚われていたかがよく見えてくる。個人的に好きな、アルベール・デュポンテル演じるピアニストの苦悩もよかった。 途中で、ジェシカが屋上に上がってパリの街並みを眺めるシーンがあるが、この景色が最高に美しい。夜明けのパリだもんね。パリは恋もそうだけど、チャンスをつかむことも何だか面白そうと感じます。***********************************今日の評価 : ★★★☆
2009.10.05
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原題: MY SISTER'S KEEPER監督・脚本 : ニック・カサヴェテス 出演 : キャメロン・ディアス 、 アビゲイル・ブレスリン 、 アレック・ボールドウィン 、 ジェイソン・パトリック 、 ソフィア・ヴァジリーヴァ 、 ジョーン・キューザック 試写会場 : 中野サンプラザ公式サイトはこちら。<Story>11歳の少女アナ(アビゲイル・ブレスリン)は、白血病の姉に臓器を提供するドナーとして、遺伝子操作によってこの世に生まれた。母サラ(キャメロン・ディアス)は愛する家族のためなら当然と信じ、アナはこれまで何度も姉の治療のために犠牲を強いられてきた。そんなある日、「もうケイトのために手術を受けるのは嫌。私の体は、自分で守りたい」と、アナは突然、両親を相手に訴訟を起こす。しかし、その決断にはある隠された理由があった…。[ 2009年10月9日公開 ]私の中のあなた - goo 映画<感想>あちこちで大きめの試写会が行われており、かなり前評判を耳にする機会も多い作品。試写会前の情報シャットアウトするのは大変でした。。。もともと病気ものは苦手なんですが、キャメロン・ディアスのママ役というのもとっても気になるんですよねー。一体どんなもんかと、その興味で鑑賞。 およそのあらすじは予告ですとかサイトにも出ています。 これを見る限りでは、いかにもアメリカだなあという印象。だって11歳の子が、自分の実の親を訴えるんですから。 訴訟社会ならではです。そもそも、ドナーを生み出すために子どもを作るという発想からして違う。 そして、生まれて間もなくから、身体の提供できる部分は提供させられてしまっていて、かつ腎臓移植を要請されているという、日本では考えられない話です。そのあたりの感覚的な相違点を踏まえた上で、この映画は鑑賞した方がよいかもしれません。日本で病気ものの映画となると、ひたすらがんばって生きましたという、お決まりのお涙頂戴になるのですが、本作のタッチはあくまでもライトです。最も、敢えてそうしているかもしれませんが、根底には困っている人に周りが手を差し伸べるという構造がちゃんとしているんでしょうね。 この発想は、『JUNO ジュノ』 にも通じるものがあります。アメリカでは当たり前のことなんですけど、これが日本ではそこがつながっていなくて、困ったことは家庭内だけで解決しなさいという目線です。この映画では、1つの困難を周りでも支える姿勢がしっかりしていたのが印象に残る。病気の子を抱えているのは負担が大きいのはわかるのだけど、あまりその大変さを表に出さない雰囲気で話は進む。もっともここは映画だからなのかなあ。。。??予想では、キャメロン母とアビゲイル娘ちゃんがバチバチ、火花散らして争う。。。 みたいな感じかと思っていましたが、物語が意外な方向に進んでいく。そして、このお話の中心は、アビゲイルちゃんというよりも、白血病のお姉ちゃん・ケイト(ソフィア・ヴァジリーヴァ)だったような気がするんですよね。(C) MMIX New Line Productions,Inc.All Rights Reserved.同じ病気だったテイラー(トーマス・デッカー)と知り合って、惹かれ合って。彼と出会ってからのケイトは輝いていました。そしてそんなケイトを優しく見守る家族もよかった。今ある限りの時間を精一杯自分らしく過ごすこと。 そのためには協力をを惜しまない姿勢はとても前向きだと思います。テイラーとのことも、自分らしく生きていくためには絶対に必要な時間だったし、そう思ったら、彼が言った、「癌になったから、きみに出会えた」という言葉さえも、愛しく感じられるのだろう。キャメロン・ディアスは初の母親役ということで、どんな感じかなと思いましたが、かなりいつものキャメロンに近かった(笑ラブコメとかで見せる、元気一杯、やる気いっぱいの彼女に近い。弁護士であり母親でありというアグレッシブな設定、かつ初めての母親役なので、やっぱりどうしても従来の彼女のイメージで見がちな部分は否定できないですね。なおかつ、ケイトのためにアナを納得させようというエゴに近いものが前面に出てましたので、普通の母親とは大きく違う設定もあり、およそ母親というイメージには遠いかも。母と子の、1対1のスキンシップの部分や、子どものことが好きという場面などが、もう少しあるとよかったかなあ・・・? とも思いました。 アナに対して、あんまり愛情がないのかな? とも思えるくらい、スキンシップは少なかったです。 この映画のマイナスポイントになってしまってたかも。ビーチの場面。この映画では一番好きなのですが、台詞がなくて音楽だけで情景を説明しています。この曲がまた、この場面にぴったりな歌詞だったように記憶してます(字幕がここはなかったんで、詳しくは思いだせないんですが)ここは家族が本当に自由に思い思いに過ごしている場面。パパ役のジェイソン・パトリックの想いもよくわかるし、それに(しぶしぶですが)ついてくるキャメロン、そして家族たちが無邪気になっていて素敵だった。ケイトが家族を思いやっているというのがこの映画のポイントになってきます。この想いがこの映画を支えているんですね。でも、こんなに家族に優しくできるものなのかと思うと、常日頃からもっと優しくしてあげないといけないかなーなどと、我が身を振りかえってみたりしました。アビゲイルちゃんもすごくしっかりとして来て、頭の回転が早いんだなと思える場面もたくさんありました。自分を冷静に見つめて、家族のためにどうしたらいいか、小さいながらも懸命に考えている。そんな微妙な立場をうまく演じていたと思います。************************************今日の評価 : ★★★☆
2009.10.01
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