この不景気で、経営するレストランも、週末にちょろちょろと客が来るぐらいまでになってしまった。

ただ、さすがにクリスマスは違う、特に今年のクリスマスは。

店は何週間も前から予約でいっぱいだ。

それもそのはず、この一年の間にライバルのレストランがかなり閉店した。

予約の電話が鳴り続ける。

予約の客には無理を言ったが、今日は２４日、２５日ともに各テーブルを４回転以上させる。

それでも、直前の予約はかなりお断りした。集中するのはしょうがない。

それに、一番高いコースの予約が多い。景気が戻ったのか。

高級食材の品質には気を使う。店の評判に関わる。でも、まとまれば、多少、材料代は安く付くものだ。

また、高い料理の客には高いワインが売れる。シャンパンも大量に仕入れた。よく冷えている。

人手の方も心配したが、厨房、ホールともに充分な人数を確保できた。

実は、閉店したライバル店のレストランのコックやホール従業員が快く引き受けてくれたのだ。

臨時採用のスタッフ達で店に活気が戻った。

飾り付けた新品のツリーがきらびやかだ。今年は、特別、大きなのをおごった。

よかった。開店の時間をむかえたが、キャンセルの電話が一本もない。

ところが何時間たっても、客は一人も来ない。

臨時採用のスタッフ達が私を見て笑っている。写メ撮ってる奴もいる。