音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2018年06月08日
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カテゴリ: クラシック音楽

河村尚子の2014年以来の新録音はオール・ショパンプログラム。
彼女の「演奏会で何度も取り上げ、これらの作品の解釈が熟してきている今、どうしても録音として残しておきたい」という言葉を裏付ける傑作。
私見では現時点での彼女の最高傑作と考えている。
テンポはかなり遅い部類だが、遅いことにより、微妙なニュアンスが加わり、味わい深い演奏になっている。
隅々まで神経が行き届き、感情の赴くままに演奏する場面は全くない。
最初の「幻想ポロネーズ」からして、尋常な出来ではない。
大方の演奏では最後は尻すぼみになるものだが、彼女の演奏では最後まで感興が損なわれない。
次の「幻想即興曲」は少し遅めのテンポで、指に任せた安直なアプローチではない。
ところどころ、おっと思わせるアゴーギグが聴ける。
これも、常識では考えられない、
次の遺作の前奏曲と3つのマズルカはあまり馴染んでいないので、評価は避ける。
メインの24の前奏曲集は、どの曲もとても意味深く、短いためか、なんとなく過ぎてしまう曲が皆無。
当ブログが好きな第4曲も、普通ならサラッと過ぎていくところが、とてもニュアンスのある演奏で、当ブログがいつもイメージするジェリー・マリガン(night lights 収録)のイメージに最も近かった。
細部を注意深く聴いてみたが、処理の曖昧なところはなく、実に潔癖な演奏だった。
テンポが遅めなので、16番のようなテンポの速い曲でも危なっかしいところがなく、安心して聴くことができる。
参考までに聴いたアルゲリッチ(DGG)の情熱に任せた奔放な演奏は、ツボにはまると凄いが、そうでないときはちょっとと思うことがあり、あまり参考にならなかった。
上述の16番も凄いスピードで、あれよあれよと思っているうちに終わってしまう。
こうなると、車ですっ飛ばしている時の快感に似てくる。
ただ、スピードが速すぎて、ブレーキの利かない車のように制御しきれていないところもある。
おそらく河村の演奏の対極にある演奏。
第13番の中間部では少しテンポを落としてじっくりとうたっていて、何とも言えない至福の時間を感じてしまう。
力強い打鍵もアルゲリッチに負けていない。
もう一枚メジューエワの演奏は、河村の演奏に近いが、河村に比べて訴求力が弱い。
以前聴いたときは、何曲かで違和感があったのだが、どの曲だったか忘れてて、その曲に辿りつくことが出来なかった。
ということで、最初に結論を言ってしまったが、前奏曲集や幻想ポロネーズなどの出色な演奏として、ぜひ聴いていただきたい。
今後当ブログの中では基準となる演奏の一つになるだろう。
ただ音量を絞ると箱庭的になってしまうので、大きな音量で聞いて頂ければと思う。


河村尚子:ショパン:24の前奏曲&幻想ポロネーズ
(RCA SICC-19009)

1.幻想ポロネーズ
2.幻想即興曲
3.前奏曲
4.3つのマズルカ
7.24の前奏曲

河村尚子(p)

2017年9月25-27日 ベルリン,イエス・キリスト教会





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Last updated  2022年04月04日 17時43分57秒
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