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カテゴリ: ★★★★☆な本

小さなレコード店や製函工場で、時代の波に取り残されてなお、使い慣れた旧式の道具たちと血を通わすようにして生きる雪沼の人々。廃業の日、無人のボウリング場にひょっこり現れたカップルに、最後のゲームをプレゼントしようと思い立つ店主を描く佳品「スタンス・ドット」をはじめ、山あいの寂びた町の日々の移ろいのなかに、それぞれの人生の甘苦を映しだす川端賞・谷崎賞受賞の傑作連作小説。


<感想> ★★★★☆

堀江敏行さんの本を読むのは二回目になります。

本書は雪沼という町を舞台にした連作短編です。

ブームが去った後も妻と立ち上げたボウリング場を細々と守ってきた老人、

小さな店主いるちいさなレコード店・・・・。 そんな人々の静かな日常を独特

の筆致で描いていきます。 それぞれの作品の登場人物は他の作品の人

物と関わりを持っています。 密接とは言いがたい淡いながらも長年続いて

いる人間関係。 そのあたりの微妙な距離感を巧く表現していると思います。


後半の作品では舞台が日本だと認識できますが、前半の作品は田舎町を

舞台にした翻訳小説を読んでいるような気分にさせられます。 特に一作目

の「スタンス・ドット」はその傾向が強いように思います。 


『いつか王子駅で』に比べると、著者独特の文章の堅さはなりをひそめてい

ますが、エンターテイメントとして読むには無理があります。 ただ、文学とし

てのクオリティーの高さは賞賛に値します。 

質のいい作品をお求めの方、ホッとした時間をお探しの方にオススメです。






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最終更新日  2008.03.11 01:44:19
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