王道ロマンス小説にハマったので感想ブログを作ってみた

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2022.02.18
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2021年8月刊
ジュリアンパブリッシング・ロイヤルキス
著者:すずね凛さん


↑楽天ブックスより、あらすじ文引用

電子書籍版のみの販売のようです。
kindle unlimited会員向けの読み放題にて読了。

ここからネタバレと感想。

ルシオン国の王家直属の騎士団団長・セドリックは国王の密命により、腹心の部下であるジェロームと共にここ数か月人探しの任務に就いていた。
国王の話によれば自分付きの小間使いの少女に手を付けた所、王妃に見つかり小間使いは担当を外され、厩に追いやられた挙句、後に放逐されてしまったと言う。
だが、少女の同僚から出て行く時の少女は妊娠していたと聞くと話は変わってくる。
王妃との間には長らく子が出来ず、このまま授からなければその子が唯一の子になるかもしれない。それが男子なら、いずれ王位を継ぐ存在だ。
そこで口が堅く信頼しているセドリックに捜索を命じたのだが、すぐに見つかると思われた少女の探索は思いの外難航した。
何故か少女は身上書を偽っており、記載された住所もデタラメ。
正直、浮気の尻拭いなどやらされて内心不満たらたらではあったものの、国王直々の命となれば手を抜くわけにもいかない。
それから更に数か月を費やし捜索を続けた所、漸く一人該当者を見つけた。
国境近くのオージェスト地方に、オードランド男爵家という没落貴族の娘は今年18歳で、9ヵ月ほど前に男子を出産したと聞き及び、外見を尋ねると国王が話していた人物像と一致する。
セドリックはジェロームと共に件の男爵邸に辿り着くと、丁度赤ん坊をあやしながら若い女性が玄関から現れた。騎士二人に驚く彼女にセドリックは挨拶の後、その子に関して国王の命で首都から来たことを告げると思い当たる節があるだろうと尋ねた。

少女・ヴィヴィアンヌは彼らを応接間に通すと、近くに住む後見人である叔父を呼んだ。
どうやらセドリックが言っているのは去年亡くなった双子の姉・ヴィクトリアのことらしい。
父が亡くなり、後に莫大な借金があることが判明して、その返済のために領地含め金目の物を全て売り払ったオードランド家はあっという間に没落した。
父の弟のジャンが後見人となり援助はしてくれたが生活は苦しく、姉が身分を偽って王宮の下働きをして仕送りをしてくれていた。
やがて働きが認められて国王付きの小間使いになり、給料が上がったと喜んでいた姉はその数か月後に突然帰郷したかと思えば、妊娠したのだと告げた。

叔父は世間体を気にして姉を追い出せと激怒したが、ヴィヴィアンヌの必死の執り成しにより、彼女に甘い叔父は渋々許しはしたものの、ヴィクトリアの存在を隠すことが条件だった。
その後、姉は難産の末に男の子を産んだが、産後の肥立ちが悪く、最後まで父親の名を言わぬまま亡くなってしまった。
以来、ヴィヴィアンヌはジョルジュと名付けられた甥を母親代わりになって育てて来たのだが、先ほどのセドリックの言葉通りなら、まさかこの子の父とは・・・。

セドリックと話をしていた叔父に呼ばれ応接室に入ると、話し合いにより決定したことをヴィヴィアンヌに教えてくれた。
まだ公には出来ないが、ジョルジュは国王の落とし胤として扱われ、これからセドリック達が24時間体制で護衛に付くこと、養育費として結構な金額が月末に王宮からの使者が届けに来るそうだ。生活に困窮している上に乳飲み子を抱えたヴィヴィアンヌにとって養育費の支給は大変ありがたいのだが、叔父に台所へ連れて行かれて聞かされた内容に耳を疑った。
ヴィヴィアンヌにヴィクトリアのフリをしろと言うのだ。
本当にヴィクトリアが王の愛人だったのか確信はないが、王の子だと匂わせるだけで毎月高額な養育費が貰える。それで借金も返せるし、そのうち貯金も出来るだろう。
止めにそれがジョルジュの将来の為だと言われれば頷くしかない。
かくてヴィヴィアンヌはヴィクトリアと名乗り、ジョルジュと二人セドリック達の護衛と国王からの支援を受けることになったのだった。

序盤の国王の話とヴィクトリアの境遇からジョルジュはやはり?となってしまいますが、実はミスリードだったりします。
産まれてこの方、寂れたこの地育ちのヴィヴィアンヌはこれまで年頃の男性と出会いが無く、ハンサムなセドリックに一目で心奪われていた。
叔父にはボロが出ないよう彼らに不用意に近付くなときつく言い含められていたが、ヴィヴィアンヌはジョルジュの離乳食と同じメニューであるパンケーキとスープという質素な夕食にセドリックを招いた。
料理の腕を褒められ、お世辞でも嬉しくなったが、話の延長でジェロームが王宮の指示を仰ぐために三日ほど留守にすること、その間セドリックが庭にテントを張って寝ずに護衛すると言う。彼女はせめて野営ではなく屋敷内で寝てくれと申し出るも、彼にきっぱり断られ一線を引かれてしまうのでした。

三日後、ジェロームが帰還し指示書をセドリックに渡すと、やはりこのまま護衛の任を続行せよとのことだった。国王のご落胤の護衛は人探しに比べれば遥かに重要であるとは言え、こんな長閑な村では明らかに閑職だ。
だが、ジェロームは色々あったセドリックに王が暫しの休息を与えられたに違いないと宥めたが、話し声に気付いたのかヴィヴィアンヌが出て来て食事に誘われた。
どうやら自分のいない間に交流があったらしいと内心ジェロームは喜ぶのだった。

当初人見知りでセドリックの顔を見る度に泣き出したジョルジュは今ではすっかり彼がお気に入りだった。そんなジョルジュをセドリックも可愛がっていた。
彼は男手が無く滞っていた薪割りや屋敷の修復を買って出て、そのついでに余った木材でジョルジュのためのブランコまで作ってくれた。
おかげで、ヴィヴィアンヌのとの交流の機会も増え、彼女に請われるままヴィーと呼ぶようになり、いつしかセドリックも美しく気立ての良いヴィヴィアンヌに惹かれて行くのでした。

ある日、ジャム用に果物を詰みにジョルジュを連れて森に入った彼らは、ほんの少し目を離した隙にジョルジュが狼に連れ去られてしまいます。
間一髪のところでセドリックが狼を切り伏せて事なきを得たが、ヴィヴィアンヌは取り乱し過呼吸になりかけた。彼女を落ち着けるため咄嗟にキスをしてしまったセドリックは歯止めが利かなくなり思わずディープなものになってしまったが、済んでの所で思い止まりヴィヴィアンヌに詫びるのだった。
その時二人は、母狼が死んで取り残された子狼を保護すると、屋敷の離れの庭師宅にいる最近出産した雌犬に育てさせることにした。

お互い両想いなのに国王の愛人だと言う先入観のせいで一歩踏み出せないセドリックと、愛しい彼に嘘をついていることで罪悪感があるヴィヴィアンヌに読んでてじれじれします。
そして、この作家さんならこれくらいのページでは既に1,2回は致してるとこですが、まだお互いの気持ちにも気付いていないと言う結構珍しい状況です。

二人の付かず離れずの日々が続き、買い出しを買って出たセドリックが留守にしている間に、ジェロームからセドリックの過去を聞いたヴィヴィアンヌ。
数年前の彼には美しい許嫁がいたのだが、派手好きな上にセドリックの遠征中に遊び歩き、後から知った彼からもその行動を諫められていた。周りも心配していると悪い予感は的中。
許嫁は浮気をした挙句妊娠してしまった。セドリックは許嫁の不義を責めたが、結局は自分の落ち度として婚約破棄をし、元許嫁は浮気相手と結婚した。
以来、女性不信となった彼は仕事に打ち込んでいたのだと言う。
そんなセドリックがここでは随分と明るくよく笑う。まるで以前の彼に戻ったようだとジェロームはヴィヴィアンヌに感謝していた。

何ともやるせない過去を聞かされ、益々セドリックが好きになるヴィヴィアンヌだったが、ある日ジョルジュが高熱で倒れた。診察した町医者の話では高熱病とのことで、治療には首都にある王立病院にある薬が必要だと言う。そこでセドリックが馬を飛ばして取りに行くことになったのだが、折しも外は嵐の到来で大荒れ。心配するヴィヴィアンヌを勇気づけるとセドリックは首都に馬を走らせたのでした。

嵐は収まることが無く、どうやらこの国全体を席巻しているらしい。外の様子を見に行っていたジェロームは川が氾濫してこのままでは橋も流されそうだと懸念していた。
悪い予感は的中し、橋が流されヴィヴィアンヌはセドリックが村に入れないことを心配しているとボロボロな姿の彼が帰って来て、大事に持っていた薬を医者に渡すと倒れたのだった。

薬の効果は早々に現れ、ジョルジュは無事持ち直し、セドリックも背中を打撲した程度であった。ヴィヴィアンヌは彼の看病を願い出て、つい勢いで好きですと告白してしまった。
彼は少々面食らっていたが、自分も同じ気持ちだと伝えると、彼が起き上がれるようになった頃、二人は結ばれたのでした。
が、ヴィヴィアンヌが処女だったと知り、セドリックは混乱。
そこで彼女は事のあらましを全て彼に話すのだった。

彼女は嘘をついていたことを詫びたが、やはりセドリックにしてみれば国王の愛人に手を出したことを気にしていたようで、真実を聞き安堵していた。
二人は話し合い、王に全てを話し許しを請うと決めた。
ジョルジュの体調が戻り次第王宮へ行くことになったのだが、叔父に打ち明けると案の定反対された。詐欺罪になるとわめく彼を無視して追い出すと、数日後、首都から兵士が訪れてセドリックを反逆罪として拘束すると、ジョルジュと共に首都に連れて行かれてしまうのだった。

予想だにしなかった事態に混乱するヴィヴィアンヌに隠れていたジェロームはどうにも陰謀の匂いがすると思案顔。
その言葉通り、セドリックがいなくなった途端に現れた叔父が彼を陥れ、王宮に密告したことを楽しそうに告げると前から懸想していたヴィヴィアンヌを自分の物にしようと迫って来た。
叔父は更に、父亡きあとオードランド家の財産を食い潰し没落させたこと、王宮からの養育費もほとんど着服していたことを暴露した。そんな叔父は潜んでいたジェロームの当身をくらって昏倒。ヴィヴィアンヌはセドリックの無実を証明するためジェロームと王宮へ向かうことに。

出立の際、郵便屋が転送されまくっていたと言う姉の手紙を届けて来た。
それを読む暇も無く、王宮に着いた二人はジョルジュを連れて逃げようとしたセドリックが王の怒りを買って重罪にされそうな場に居合わせます。
ヴィヴィアンヌは王の前に飛び出て、事のあらましを打ち明けるとすべては自分のせいだとセドリックを庇うと彼もまた同じように願い出た。かばい合う二人の姿を見てそれまで黙って見ていた王妃が口を開き、この隠し子騒動の真相を話したのだった。

王妃は政略結婚とは言え、王を愛していた。だが子宝に恵まれず、世継ぎの為にもいずれ王が愛人を作ることにも目を瞑らなければならない。でもどうしても許せず、美しい小間使いの少女を褥に呼んだとを耳に挟み、侍女に命じて飲み物に睡眠薬を仕込ませた。
眠り込んだ二人の衣服を乱してことに及んだ風を装うと、翌朝現場に踏み込んで責め立てたと言うことだった。これに懲りて女を引っ張り込もうとはしないだろうと。
だが、そのせいで何の罪もないヴィクトリアには本当に悪いことをしたと王妃は詫び、そんな彼女の想いを知った王は、セドリック達にも謝罪すると詐欺罪については不問にしたのだった。
そして、セドリックは騎士団長の任を解かれ、新たに国境警備隊隊長を任命された。
更にオージェスト地方を拠点にするよう申し渡すと、ヴィヴィアンヌには養い子支援の対象者として、引き続き国から養育費の支給を受けることになった。

この騒動で読むのが後回しになった姉の手紙はマルタン・グラッセルという人物に宛てたものであった。その手紙には妊娠を告げ、早くあなたに会いたいと綴られていたが、セドリックによれば宛先は当時激戦地で多くの戦死者を出した所と言う。
恐らくマルタンも例に漏れずに戦死してしまい、受取人がいないことであちこち転送された挙句、漸くオードランド家に行き着いたのだろう。
国王が相手でないのは判明していたが、ジョルジュが不義の子ではなかったのが知れただけでも喜ばしいことであった。

2年後、長閑だったオージェスト地方は国境の守りの地として、警備隊が置かれると大勢の兵士たちが移り住むようになってからは人口も増えて栄え始めていた。
当初、ヴィヴィアンヌが兵士たちのためにオードランド邸を寮に改築すると、あの後脳溢血で急逝した叔父が貯め込んだ金品で、更に今度は家族向けの宿舎をいくつか建設した。
おかげで、単身赴任が多かった彼らは家族も呼び寄せられるようになり、離れ離れだった兵士たちとその家族は隊長夫妻に感謝した。
多忙でまだ式を挙げていなかった二人は、皆の好意によって結婚式を挙げたのだった。

更に数年後、ジョルジュは10歳になり今では飛び級するほどの秀才ぶりだった。
国王夫妻はこの度念願の子を授かり、先日王太子が産まれたと言う知らせを受けた。
ヴィヴィアンヌはセドリックとの間に長女ロザリンドを産み、今年でもう3歳になる。
彼らとジェロームの家族と共に幸せそうに暮らしている様が描かれて、了。


王の浮気話の真相がそれかーーいっ、て感じで少し拍子抜け。王妃も随分と回りくどいことをしたものだけど、それだけ夫によそ見して欲しくなかったんでしょう。
おかげで養育費詐欺には問われずに済んだものの、お姉さんが気の毒過ぎる。
あと、叔父が怪しいなと思っていたら案の定やらかしてました。聞かれもしないのにベラベラ喋ってくれたシーンには笑いがこみ上げたけど(笑)
展開自体は割と王道で、やはりこの作家さん、ストーリーは概ね面白かったです。

評価:★★★★☆
イラストが少し特徴的かな





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最終更新日  2022.02.19 10:02:51
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