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2022.03.01
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カテゴリ: こはく文庫
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2021年10月刊
くるみ舎・こはく文庫
著者:夕日さん

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美しい双子の妹・ラケルと常に比べられ、“双子の出来が悪い方”“双子の地味な方”と呼ばれ冷遇されてきた伯爵令嬢のヒルダ・ブローム。両親の愛情は愛らしい妹に向けられ、屋敷をしばしば訪れる幼馴染のイェルドも妹に見惚れてばかりだ。ヒルダはイェルドに恋心を抱いていたが、ラケルを盲信する彼を見続けるうちにその恋心も萎みつつあった。すべての贅はラケルのためにあり、伯爵家の恥にならない程度の質素なものだけがヒルダに与えられる。ヒルダは愛を得ることを、すっかり諦めていた。そんな日常の中での慰めは、五年前、病にかかり行くことになった療養地で出会った、三つ年下の美しい謎の少年……“アレク”との手紙のやり取りだった。ある日、ヒルダに“後妻を探している侯爵様”との結婚話が浮上する。幼馴染のイェルドとの婚約が決まったラケルの「私だけお嫁に行くのでは、お姉様が可哀想」という一言から決まった縁談らしい。幸せな結婚をするラケルとは違い、自分は高位貴族との繋がりのために四十歳近くも年上の、好色として有名な侯爵の元に売られるのだと涙するヒルダ。そこへ、長い間外交に出ていた第二王子アレクサンデルから突然、「ブローム家の娘を花嫁に迎えたい」と書状が届く。突然の王子からの求婚に色めき立つ両親とラケルだったが、屋敷を訪れた第二王子はラケルには目もくれず、「僕が迎えにきたのはヒルダだ、その女ではない」と言い放ち……。
↑楽天ブックスより、あらすじ文引用

「私の異世界カフェが騎士さんたちの溜まり場にされています!」  ​の作者さんですね。
​​kindle unlimited会員向けの読み放題にて読了。
不遇ヒロインのシンデレラスートーリーです。

ここからネタバレと感想。



ブローム伯爵家の長女であるヒルダは、いつも社交界でも評判の美人な双子の妹・ラケルと​比べられては「双子の失敗作」と揶揄されていた。
両親は金の卵たる妹ばかりを贔屓して可愛がり、ヒルダのことを見ようともしない。
ラケルから度重なる嫌がらせを受け続け、子供の頃はそれを訴えもしたが相手にされず反対に自分のせいにされて以来、両親に期待することも止めてしまった。
加えてラケルは人心掌握に長けており、自慢の美貌と相俟って屋敷の使用人たち全てが彼女の味方であり信奉者であった。
どこにも居場所のないヒルダを幼馴染のイエルドだけは気遣い優しく接してくれていたが、彼もまたラケルに恋をしていた。
イエルドはブローム領の隣の領地を治めるセランデル侯爵の嫡男で、両親は何としてもラケルと結婚させるべく躍起になっていたのだが、既に本人は妹に気があるのだから婚約が決まるのも時間の問題であろう。
ラケルの婚姻が正式に決まれば次は自ずとヒルダの番であるのだが、どうせ好きな相手とは一緒になれるわけがない。政略結婚の駒とされてもこの家から出られるのであればどこでもいいとまで考えるようになっていた。

その夜、自室に戻ったヒルダは大事にしまっていた手紙の束を眺めて、21年間の人生の中で唯一幸せだった数か月間を思い出していた。
5年前、流行り病で肺を悪くしたヒルダは父の妹である叔母のマティルダの元へ療養の名目で預けられた。マティルダは姉妹に分け隔てなく接してくれる数少ない人物であった。
ある日、叔父のジョージから図書室のカギを渡されたヒルダは大好きな本を抱え外出すると、野原で読み耽っていた。そこで金髪碧眼の少年に話しかけられたのだが、本好き同士すぐに意気投合して以来少年との交流が続いた。
少年はアレクと名乗り、ヒルダと同じく療養目的でこの地に訪れ、今は領主の城に滞在しているらしい。目立たぬ所にだが護衛が控えていることと言い、アレクはかなりの身分であることが窺い知れた。

この地に来て二か月ほど経つと、虐める相手がいない事で退屈したラケルにせがまれたのか、両親から帰宅を促す手紙が何通も送られて来るようになった。一か月ほどマティルダが誤魔化してくれていたけれど、あまり無視し続けてもあの両親のことだそのうち誘拐だと騒ぎ出しかねず叔母たちへの迷惑を考えると帰らないわけにもいかない。
ヒルダはアレクに別れを告げに行くと案の定嫌だと駄々をこねられたが、手紙のやり取りを約束したことで渋々納得したのだった。
ただ、ヒルダへの手紙は邸に送ると廃棄される恐れがあるため、月に一度場所を決めてアレクの方から使いを出すのでそこに彼女が赴いて手紙の受け渡しをするという方法となった。
以降、3年間文通は続いたのだが、二年前アレクが外国に行くことが決まって今後の手紙のやり取りが難しくなったと使いの老紳士から告げられた。
彼の最後の手紙には「いつか必ず迎えに行くから待っていて欲しい」という言葉で〆られていた。

翌日、ヒルダは父からラケルとイエルドとの婚約が決まったことを告げられた。
思っていた通りだったと彼女は素直に妹を祝福しその場を辞そうとすると、なんとヒルダにも縁談が来ていると言う。
だが、相手がランローブ侯爵と聞き、彼女は凍り付いた。
それもそのはず、侯爵は貴族界隈でも好色で暴力的な人物として有名な人物であり、しかもヒルダとは40近くの年齢差がある。愕然とする姉の表情を見てラケルはほくそ笑んでいた。
アレクからの手紙の束を抱き締め、ヒルダはこんな結婚を強いられるなら修道院に入ろうと決心していた。男性との関りを全て断絶されるためアレクが帰国しても手紙のやり取りすらできなくなるが、あの侯爵に嫁ぐよりは遥かにマシだ。
明日になったら両親と話そうと決意し眠りについたヒルダは、翌朝階下の騒々しさで目を覚ました。

執事を捕まえて話を聞くと、早朝王宮から使いが来て、第二王子のアレクサンデルの来訪の先触れがあったらしい。
しかも、この家の娘を嫁に貰いたいとも記されていたそうで両親とラケルが歓喜で大興奮のようだ。
だが、ラケルはイエルドとの婚約が決まったばかりなのに、まさか昨日の今日で破談にするつもりなのか。さすがにそれは高位貴族に対して無礼すぎるだろうとヒルダは思いつつ、邸の者総出でアレクサンデルを迎えることとなった。

現れた王子は金髪碧眼の見目麗しい青年だった。
彼は頭を下げる伯爵家の面々から目的の人物を見つけると、ヒルダの前に立ち「久しぶりだね」と声を掛けた。驚いた彼女が顔を上げよくよく見るとあのアレクではないか。
高位貴族の子息であろうとは思っていたものの、まさか王子だったとは。しかも彼は自分に求婚している。
両親はラケルの間違いでは?と話に割り込んできた。だが、彼はきっぱり自分の花嫁はヒルダだと言い切るとそのまま彼女を王宮に連れ帰ったのであった。

王宮に着き、多少落ち着きを取り戻すとアレクから事の経緯を聞かされた。
5年前、王位継承権を巡り派閥争いが起きたのだと言う。当時のアレクは病弱だったこともあり、母の実家であるズヴェンデン公爵家の領地に静養という名目で身を寄せていたのだそうだ。
そこでの彼の生活ぶりはヒルダも知る所である。
彼女が邸に戻り、マティルダからヒルダの伯爵家での扱いを聞いたアレクは心を痛め何とかしたいと考えてはみたものの、その頃は暗殺の危険性もあったため自分が動くのは少々無理があった。
そこで文通のみのやり取りに甘んじていたわけであるが、あれから3年経ち3つ上の彼女はいつ縁談が決まってもおかしくない年齢となりアレクは焦った。そこでヒルダ・ブローム伯爵令嬢と結婚したいと父に話した所、家格の問題により却下されてしまった。
その後もアレクは諦めず何度も懇願すると、漸く父王が折れて難しい案件の外交任務を成功させたら結婚を認めてやるとの約束を取り付け、先日無事その任務を終わらせ帰国したのだそうだ。
なのに、これでヒルダを迎えに行けると思いきや、彼女にランローブ侯爵との縁談が持ち上がったと聞き及び矢も楯もたまらず駆け付けたのだと言う。
身分違いな事や本当に自分でいいのかと一抹の不安が無いわけでもなかったが、想い続けていたアレクに求婚されて嬉しくないわけがなくヒルダはそれを受け入れるのだった。

以来、王子宮で暮らすことになったヒルダの生活は伯爵家にいた頃と比べて何とも穏やかで優しい時間であった。
先日、国王と王太子にも謁見したが、どうやら気に入られたようで後は挙式を待つばかり。
そんなある日、見覚えのない護衛騎士からラケルからという手紙を渡された。
読んでみると婚姻の祝福をしたいので一度屋敷に帰って来てほしいと綴られている。
あの性格の悪い妹のことだ、何か裏がありそうであるものの、確かにあの時は家族とは挨拶もせず別れてしまったのが少し気掛かりではあった。
そこで、少し実家に行ってくるとアレク宛にメモを残し、久しぶりに邸に帰ると両親はおらず妹だけが出迎えに現れた。

ラケルは姉の顔を見るなり、イエルドをヒルダに譲るからアレクサンデルの婚約者を変われと言う。
自分の方が王子妃に相応しいからと、呆れた理由と申し出にさすがにヒルダはキレて、バカにするなと怒鳴りつけたのだが、ラケルの信奉者である使用人たちに取り押さえられ部屋に閉じ込められてしまった。
どうやら、彼女が留守のうちにアレクに会ってこっそり媚薬を飲ませて関係を迫る腹積もりのようだが、彼はメモをもう見ている可能性も高く、そう易々とは策に嵌らないであろう。
それを願いつつ、脱走を試みたヒルダは女中頭に見つかり殺害されそうになるも、寸での所でアレクの護衛騎士によって救い出されたのであった。
アレクやはりメモを読んでいて、ヒルダではなくラケルが城に現れたことで緊急事態と察したらしく、その場で早々にラケルを取り押さえて計画を白状させたのだそうだ。

どうやら王子と結婚したいと駄々をこねたものの、流石に王家に逆らうわけにもいかずに両親は今度ばかりはラケルの我儘に耳を貸さなかったようだ。
今回の件はラケルの独断によるものだが、両親も監督不行き届きということで罰として領地の一部を没収されることとなった。
ラケルは王子妃に対する不敬罪含め、障害に脅迫と結構な罪に問われて結果、終生修道院送りと決まったのだった。
心底ラケルに惚れこんでいたイエルドはショックを受けていたようであったが、ヒルダと面会したときにはもう踏ん切りがついたと溢していた。

ヒルダの両親は今になって王子妃になる彼女にすり寄ろうと、毎日のように手紙を送って来たが彼女の目に留まる前に悉くアレクによって握り潰されている。
アレクとの結婚の報告をした際、マティルダが心から祝福してくれただけで充分であり、ヒルダはこれからの幸福に思いを馳せるのだった。


このレーベルにしてはページ数も多目でそこそこ読み応えはありました。テンプレな展開ではあるんですけど、変に奇をてらった部分も無く逆に安心して読めた印象です。
まー、クソ家族でしたね。中でも妹が筋金入りのクズだった。
親の育て方もあるんだろうけど、21にもなってあれじゃもう一生治らないっすわ。
厳しい修道院でも味方付けそうでもあるけど、さすがに王子妃になったヒロインとはもう接点無くなるだろうから一安心ではあるか。
妹の婚約者が良い人なだけに気の毒な気はするけど、アレのどこにそんなに惚れこむ要素があったのか(^_^;) 単に外見だろうか。


評価:★★★★
お話自体は面白いです。
敢えてネタバレに記載してませんがラブシーンは多目の方かと。​​ ​​





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最終更新日  2022.03.02 21:11:25
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