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2024.04.08
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カテゴリ: 蜜猫


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2024年2月刊
蜜猫文庫
著者:クレインさん

子爵令嬢コレットは弟を救う為、戦時中に縁があった公爵フェリクスの家に援助を求めにくいが、出征している彼の妻だと勘違いされ成り行きで妻を演じることに。帰ってきたフェリクスは一部記憶がなく彼女を妻として受け入れてしまう。「俺はきみに恋に落ちたんだろうな」真実を言えぬまま甘い初夜を迎え引き返せない所まで来てしまった。そんなある日、記憶を取り戻す為、二人の出会いであるコレットの家に向かう事になり!?



登場人物
 コレット=勘違いから戦争で不在中の当主の妻として公爵家に迎え入れられた子
      爵令嬢。
フェリクス=バシュラール公爵家当主。
ベルトラン=第三王子。
 ロドルフ=フェリクスの父で前当主。


3年にも及ぶ、隣国・フォルタン王国​との戦争が終り、公爵邸に戻って来た当主のフェリクス。主の帰還に喜びに沸く屋敷の者たち。母が亡くなって以来不仲だった父もこの時ばかりは息子の無事を喜んでいるようだった。だが、父の横には見知らぬ女性が。
執事からの紹介によると彼女は自分の妻だという。
母譲りの美貌ながら病的な青白い肌に黒髪のせいで、まるで吸血鬼のようだと令嬢達から怖がられているフェリクスはとにかくモテなかった。
おかげで出征前も婚約者がいなかったので余計に妻と言うワードにピンと来ない。いや、待てよ、もしやあの時か。実は彼は戦場で怪我を負った際、一時期記憶障害も起こしていた。
2年ほど前のことだが、彼女が屋敷に来たのも2年前と聞くので時期もピッタリ。当時のことは靄がかかったかのように思い出せないが、その時に出会って恋をし、求婚していたとしたら辻褄は合う。
見れば彼女は母の形見でもある家宝のレッドダイヤモンドの指輪までしている。失くしたと思っていたのに、彼女に贈っていたのだな。
そんな事情もあって、フェリクスはあっさり自分が不在中に屋敷にいた女性を妻として受け入れたのだった。

一方、当の本人であるコレットは嘘がバレやしないかと生きた心地がしなかった。この2年、前当主・ロドルフには随分良くしてもらったし、使用人たちも皆、奥様と呼んで慕ってくれた。でも、フェリクスが帰ってきたら嘘もバレてしまう。断罪の時を待っていたのだが、彼は特に疑問にも思わずコレットを受け入れたのでビックリ。しかも、当然とばかりに押し倒して来たので肝が冷えた。
そりゃ夫婦なんだしと思い直し、フェリクスを受け入れたものの、本当はあの時から彼が好きだったので嬉しくもあった。このまま黙っていればフェリクスの妻でいられる。
それにしても、どうしてこんなにあっさり信じたのか、疑問に思っていると彼から記憶障害を起こしていた時のことで覚えていないのだと申し訳なさそうに言われて合点がいった。
相手の記憶が無いのを良いことに、狡いと思いながらも彼の妻を演じ続けることにしたコレットは、彼から結婚に至った経緯を尋ねられて巧妙に嘘と真実を交えながら二人の出会いを語った。

国境近くの豊かな領地を持つアングラード子爵の長女として産まれたコレットは優しい両親と弟に囲まれ幸せに暮らしていた。実りの良いこの地は税収も良く、父は商会も営んでいたので羽振りも良かったが、そんな平和が崩れ去ったのは3年前、コレットが17歳の時だった。
隣国フォルタン王国が国境から攻め入り子爵領にも侵攻。父は家族を別荘まで逃がし、少しでも時間稼ぎになればと駐留していた騎士団と共に戦ったが多勢に無勢、父は戦死しその遺体は長い事晒されていたという。王都から第三王子率いる軍が到着するとフォルタン軍は撤退して行ったが、お嬢様育ちの母と病弱な弟を抱えてコレットは途方に暮れていた。
屋敷は司令部にするとして接収され、コレットは領内の女たちと怪我人達の治療と看護に奔走。フェリクスとの出会いもその時で、運び込まれた彼は腹に大きな傷を負い更に落馬して頭を打っていた。
部隊の隊長だという彼はコレットに感謝し、曲がったことが大嫌いな彼の一声で治療所の治安もかなり良くなった。女たちはまるで吸血鬼のようで怖いと彼の看護を嫌がっていたが、コレットは清拭したフェリクスの美しい顔に一目惚れ。進んで彼の看護をしていた。
そのせいか二人の仲は深まり、軽口も言い合うように。
そんな最中、動けるようになったフェリクスに出動命令が出て、この地を去り際、礼代わりにと渡されたのがあの指輪だった。
戦死して遺品泥棒にあったら死んでも死にきれない。家宝の指輪なので預かってほしい。
失くしたくないからと強引に押し切られる形で受け取ったものなので、実際は求婚などされていない。

それから暫く経って、軍の移動により子爵領に平和は訪れた。
だが、激戦地だったため、かつての豊な地は焼野原。屋敷は王子たちが引き上げた後、使用人たちによって金目の物を持ち逃げされていた。多少持っていた金品は戦時中のインフレによりすぐに底をつき、コレットたちは困窮。間の悪いことに弟のオーブリーが体調を崩して寝たきりになってしまい彼女は決断を迫られた。フェリクスには悪いけど戦時のどさくさで失くしたことにして売ってしまおうかと何度も考え、しげしげと眺めていると指輪にバシュラールという刻印が。バシュラールと言えばこの国唯一の公爵家。指輪を届ければ多少の謝礼金が貰えるかもしれない。
王都に行けさえすれば後は身売りでも何でもして稼げば家族を養える。丁度、物資を届けに来ていた荷馬車の馭者に頼み込み、何とか公爵領に辿り着いたコレットが指輪を届けると、ロドルフは彼女を息子の嫁と勘違い。あれよあれよという間に公爵夫人にされてしまった。
ロドルフはフェリクスの嫁ならばと、コレットからの訴えを聞き入れすぐさま子爵領に人をやり支援。オーブリーに腕利きの医師を寄越した上に完治すると屋敷に母共々迎え入れ面倒を見てくれた。今は母も弟も領地が心配だからと帰ってしまったけれど、コレットはせめてもの恩返しにと家政を手伝い、足の悪いロドルフの世話をした。おかげですっかり彼女は気に入られ、今に至る。

コレットの思惑といくつかの真実を伏せた話を聞いてフェリクスは感動していた。記憶を失くしていた頃の自分を褒めてやりたい。
よくぞ、こんな出来た嫁を見つけたものだと。
すっかりコレットを気に入ったフェリクスは彼女を溺愛。まだ神殿と王に許可を貰っていないので正式な夫婦ではないから早く式を挙げたいとロドルフをせっついていた。
好きな人と結婚できるのは嬉しい。でも、詐欺紛いのことをしている自覚のあるコレットは罪悪感に苛まれていた。フェリクスが子爵領の現状をベルトランに直訴し、早急に復興支援してもらえるよう手配してくれたので、もう少しすれば以前のように美しい地に戻るだろう。
しかし、敗戦国となったフォルタン王国の一部の者が報復のチャンスを狙っているとの一報が。その工作員がどうやら領民が戻りつつある子爵領・メルシエに潜伏しているらしく・・・。


国境近くに領地を構えていたせいで戦争に巻き込まれてしまったアングラード子爵家。コレットは戦争で父を失い、母と弟を支えて必死に生きていました。
軍が引き上げ、元々豊な地なのですぐにやり直せるかと思いきや、待っていたのは辛い現実。世間知らずのお嬢様が領主代理なら不正もバレないだろうと物資や支援金も横取りされて領地にはほとんど支援が来ない。弟が病に罹り食うや食わずな生活を強いられていたコレットは追い詰められ、フェリクスから預かった指輪で金を得ようと公爵家へ。謝礼金を得られれば御の字かと思っていたら公爵夫人の扱いを受け、芋づる式に領地も徐々にだが復興できて家族も救える結果に。
でも、いつバレるかと冷や冷や。フェリクスが帰還して断罪されるのを覚悟していたら、記憶の無い彼に歓迎された上に自慢の妻だと周囲に自慢までされて居た堪れない。
式の準備も着々と進んだある日、彼がコレットの家族に挨拶したいとメルシエを訪れた際、例の工作員に彼女が攫われピンチに。この騒動は割と早く解決するんですが、これを機にコレットは真実を彼に打ち明けます。怒り狂うかに思われた彼は実は少し前に記憶を取り戻しており、求婚などしていない事も思い出していました。でも、実は彼も看護してくれたコレットに一目惚れし妻に迎えたいと考えていて、だからあの指輪を渡したのだと白状。求婚しなかったのは断られるのが怖かったから、尤もな理由を付けて押し付けたのだという。正直、勇気を出してプロポーズしておけばコレットが罪悪感に苛まれることは無かったのではと思いますが、上手くいって何より。
一々、周囲には込入った事情を話す必要は無しと二人の無の中でだけに秘めて、後にフェリクス達は予定通りに式を挙げハッピーエンドで終わっています。
ラストに記載されてた顔はフェリクス似で性格はコレット似という、二人の娘の逸話が気になる。


評価:★★★★★
かなりの良作だったと思います。





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最終更新日  2024.04.08 09:00:10
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