歩人のたわごと

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2024/01/24
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カテゴリ: エッセイ


年賀状

 今年の正月で年賀状を出すのをやめることにした。昨年はたしか親戚を主体に六十枚ほど出した記憶がある。それを一挙にやめるのだから多少の迷いはあった。
 数年前から、「今年限りにて年賀状を失礼します」という類のことわりを書き添えた年賀状が届くようになった。これを〈年賀状じまい〉というらしい。ボク自身も、歳を重ねるごとに年賀状を出すことに負担を感じるようになっていたので、「あ、そうですか」と、何の抵抗もなく受け止めている。
 そんなわけで、いくらか残っていた迷いを振り切って出すのをやめた。事前の断りもなく突然やめたので、相手には失礼なことをしたことになるが、いずれにしても不義理をすることに変わりはない。そうは言うもののやはり気が咎める。せめて賀状をいただいた相手には何らかのお断りをと考え、ラインやメールアドレスのわかる人には、賀状のお礼を兼ねて、今年からの年賀状欠礼の意思をお伝えした。
 不義理と言えば、以前に大学の同窓生の「メーリングリスト」で、年寄りが元気に生きるための三原則というのを受信したことがある。それは「転ぶな」、「風邪ひくな」、「義理を欠け」というのである。この中で最後の「義理を欠け」というのが意外に難しい。今回の年賀状対応は、その「義理を欠く」を実行したことになるだろう。
 手元に1976年以降の自分が出した年賀状の控えが残っている。ほぼ半世紀も前のものであるが、一つ紹介しよう。
1976年の願い
ジャイアンツの優勝と高松での雪見酒
昨年度は惜しくも優勝できなかったジャイアンツには
ぜひ優勝してもらいたいと思います。
それと、ここ何年か積もるほど降らない高松に
雪が積もって雪見酒をやるのを楽しみにしています。
1976年1月(原文はタテのハガキに横書き)

 当時は仕事の関係で高松在住、かなりのジャイアンツファンであった。懐かしい。ただ、ボクの年賀状には謹賀新年という言葉と、干支に関する表現を一切使わないことを信条としてきたことがこれを見ておわかりいただけると思う。
 たまたま、このエッセイを書いている本日、一月二十日の朝日新聞朝刊「折々のことば」に以下の文があった。
「身の回りの一つ二つのものを捨てれば、かなりの程度世を捨てられるし、世から捨てられるのである。」
 ドイツ文学者の種村季弘という人の著書『雨の日はソファで散歩』の中の一文だという。短い言葉だがタイムリーであったので心に響いた。ボクは身の回りのものを一つ捨てたことになる。(2024年1月)



今夜はエッセーサークルの新年会
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Last updated  2024/01/24 08:51:59 PM
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