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千日尼
千日尼は、夫・阿仏房と共に、佐渡に流罪中の日蓮大聖人に帰依しました。大聖人に真心を尽くしてお仕えした、佐渡の中心的な女性門下です。
「阿仏房尼」と呼ばれていましたが、ある時期から「千日尼」と記されていることから、大聖人から法号を頂いたと考えられます。「千日』とは、一説には、大聖人が佐渡に滞在した日数に由来するともいわれます。
2 年 5 カ月に及ぶ佐渡流罪中、大聖人は衣食住も満足でなく、念仏者らに命を狙われる過酷な状況に置かれました。そうした大聖人の身を案じた千日尼は、食料を用意し、夫の阿仏房に櫃を背負わせ、地頭や念仏者らの監視の目をかいくぐって塚原の三昧堂にお届けするなどしました。大聖人を支えたことで、阿仏房夫妻は、住まいを追われ、罰金を科せられ、屋敷を取り上げられています。
後に大聖人は、難に屈せず信心を貫く純真な千日尼のことを、「いつの世になっても、忘れることはありません」「まさに、亡くなった母が佐渡の国に生まれ変わってこられたのでしょうか」(新 1741 ・全 1313 、通解)と最大限にたたえられています。
大聖人が赦免になってからも、千日尼の求道の炎はいやまして燃え上がります。文永 11 年( 1274 年)から 5 年間に 3 度、遠く山海を隔てた身延の大聖人のもとへ、夫にお手紙と御供養を託して送り出しています。
女人成仏や謗法の罪の軽重等、法理について大聖人に質問するなど、清らかな信仰を貫いた千日尼。夫妻の心を受け継いだ子息の藤九郎は、立派な法華経の行者へと成長していきました。
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御身は佐渡国におわせども、心はこの国に来れり。仏になる道もかくのごとし。我らは穢土に候えども、心は霊山に住むべし。御面(かお)を見てはなに(何)かせん、心こそ大切に候え。
千日尼御前御返事(雷門鼓御書)
新 1746 ・全 1316
心は不思議です。目には見えません。しかし、その心は、物理的な距離を越えて結ばれます。
弘安元年( 1278 年)の初冬、身延の大聖人のもとに、千日尼からの真心の御供養が届きました。
佐渡から遠く離れた身延の地へ、たびたび夫を送り出してきた千日尼。この時、すでに高齢だった彼女には、心のどこかに、〝もう二度と、大聖人にお会いできない〟という寂しさがあったかもしれません。その心を包む込むような温かい励ましの言葉です。
〝あなたの心は、間違いなく私のところに来ていますよ〟
〝お会いしたからといって何になるでしょう〟
何度も夫を送り出すという行動となって表れた、師を求める千日尼の変わらぬ志を、最大にたたえられているのです。
かつて池田先生は、「師弟不二」について語りました。
「自分の中に、師をたもって自立するということです。私の中に戸田先生がいる。口で言うべきではなく、心の問題です。『不二』というのは、自分の中にあるからです」
会えるか、会えないかといった、表面上の事実よりも、「心こそ大切に候え」です。
心に師を抱き、心の師と共に進む人間に行き詰まりはありません。
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いよいよ信心をは(励)げみ給うべし。仏法の道理を人に語らん者をば、男女僧尼必ずにく(憎)むべし。よしにく(憎)まばにくめ、法華経・釈迦仏・天台・妙楽・伝教・章安等の金言に身をまか(任)すべし。
「如説修行」の人とは、これなり。
阿仏房尼御前御返事 新 1730 ・全 1308
命懸けで信心を貫いてきた千日尼に、今一重覚悟を促し、力強く激励されています。
大聖人が鎌倉に御帰還された後も、勇敢に広布の旗を掲げ阿仏房と千日尼の夫妻。念仏が盛んだったとされる当時の佐渡で、言われない中傷や批難に遭ったことは想像に難くありません。
〝よし、憎みたい者は憎めばよい!〟――突き抜けるような御本仏の大確信の音声が胸に響いてくるようです。低次元な批判に振り回されて、くよくよする必要など全くないのだ、と。
「一切の苦難は、自身の生命を金剛不壊に鍛え上げ、宿命の鉄鎖を断ち切って人生を自由に遊戯しゆく力を開発する原動力になる」
この池田先生の指導の通り、どんな批判も圧迫も、人間革命のエネルギーへと変えていくために、「金言に身をまかす」如説修行が何より重要です。
私たちの基準は、時や場所によってコロコロ変わる世間の評判でも、自らの弱い生命でもありません。御書、そして御書を身で読まれた三代会長のご指導こそ、不滅の羅針盤です。どこまでも心広々と、広布の大道を歩んでいこうではありませんか。
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【大慈悲の心音 門下への便り】聖教新聞 2022.4.17
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