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資本主義の精神を読む 次に小説を二冊取り上げてみましょう。一冊目は、ダニエル・デフォーの『ロビンソン・クルーソー』です。1719年に刊行された冒険小説で、船乗りのロビンソン・クルーソーは航海に出たものの風雨に遭って難破し、ただ一人で島に漂着します。そこで、何とか工夫をして生き残り、救助されて国に帰るまでが描かれています。少年少女文庫に入っているような小説を、なぜビジネスパーソンにすすめる本として、挙げるのか、不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれません。もちろん、読み物として、孤島でのサバイバルを「疑似体験」するだけでも、ワクワクして楽しめます。しかし、今の時代に対応する知恵を探す意味でも、『ロビンソン・クルーソー』はとても役立つと思うのです。私が大学に入ったころ、経済史の大家から講義でよく言われたのは、このロビンソン・クルーソーこそが資本主義の始まりを体現する人物だということでした。主人公は南海の孤島に漂流して、やがて従者が一人できますが、まるで経営者のように自分ですべてをコーディネートし、必要なものや道具を生み出し、島での暮らし方や時間割を決めていきます。そして、あたかも労働者のように手足を動かし、工夫をしながら働きます。ここに資本主義の精神の原型が示されるというのです。実は、経済学者のマックス・ウェーバーが『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の中で、このロビンソン・クルーソーについて触れています。そのことから、資本主義の精神をよく知るためには、『ロビンソン・クルーソー』を読んでみなさいということだったのです。少し脱線しますが、このあたりの事情をもうすこし述べておきます。マックス・ウェーバーは、19世紀末から20世紀初頭を生き、20世紀最大の社会科学者と呼ばれた人物です。いまでは学生でも知らない人がいますが、学生運動が激しかった1970年代には、〝社会主義の神様〟と言われたマルクスの対抗馬として、社会主義批判のウェーバーが引っ張り出され、「マルクスかウェーバーか」で議論沸騰したほどです。いうまでもなく、マルクスとウェーバーは単純な二項対立で語ることはできないのですが、ともかくもマルクスに対抗しうる知の巨人だったことは疑いなく、ある人々からは〝聖マックス〟と奉られていました。ウェーバーは「資本主義」という巨大な社会システムについて、それがどのように始まったのかという「来し方」と、それがどのように発展、あるいは衰滅して、どこへ行きつくのかという「行く末」について、洞察しようとしたのです。また、ウェーバーの生きた19世紀末から20世紀にかけては、イマン所私たちの社会に見られるいろいろな価値観の原型が形成された時代でした。産業や科学技術のみならず、たとえば宗教かんとか、一夫一婦制の家族観とか、社会道徳、倫理観、平等な人間関係のルールとか、娯楽のあり方とか、今の私たちがスタンダードとしていることの大部分が彼の頃にはほぼできあがったのです。ウェーバーはそれに社会学という学問的な側面から対峙しました。資本主義というものは絶えざるイノベーションを必要としますから、これをベースとする社会は一時たりとも静止状態にはなりません。ということは、それに合わせて人々のほうも変化していかなければならないわけで、それができない人間は容赦なく取り残されます。そのような中で、人間はなにを失ってはならないのか、あるいは何を失わざるをえないのかを、ウェーバーは社会学の地平から見つめたのです。『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を読むと、人間の働くどうきが何によって形成され、どのようなプロセスによって高度な資本主義社会が実現したのかがわかります。考察の対象は西洋のキリスト教社会ですが、そうした個別の差異を超えた普遍的な真理をも、この本は語っています。働くという行為から魂が抜け落ちると、それは単なるスポーツと同じようなものになり、社会全体が暴走する機械のようになっていくというシナリオは、今の市場主導の資本主義を言い当てているようで、うならされるものがあります。 【逆境からの仕事学】姜 尚中Kang Sang-jung/NHK出版新書
May 22, 2024
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逆境に折れそうなときに読む本 それでは、この不確実な時代にこそ、ビジネスパーソンの皆さんに一度は読んでいただきたい、おすすめの書籍を五冊挙げてみることにします。いずれも古典、すなわち「干物」であり、一見するとビジネスに直結するように見えない本も含まれていますが、それぞれの本に対する私なりの視点も示しておきますので、読み解くときのヒントにしていただければと思います。まず最初はヴィクトール・フランクルの「それでも人生にイエスを言う」です。フランクルは1905年にオーストラリアのウィーンで生まれた宇田屋人で、のちに精神科医として活躍をしました。もしかするとこの本よりも、ナチス強制収容所での体験をした「夜と霧」をご存じの方が多いかもしれません。「それでも人生にイエスを言う」という書名だけを聞くと、単純に人生を礼賛する本のように思えるかもしれませんが、これは強制収容所で歌い継がれていた歌の題名なのです。つまり、明日をもしれない絶望的な状況におかれているときに、ユダヤ人たちは「それでも人生にイエスを言う」と歌ったのです。フランクルはそれをあえて書名に使って、逆境に耐える生き方を私たちに示してくれていると言えます。序章でも触れましたが、熊本大地震の震災の現場を見ると、やはり個人の力ではどうしようもないものが頻繁に起きる時代に成っているように感じます。リーマンショックなどの世界経済の混乱も然りです。予測しがたいことが、自然でも人間の社会でも生じやすくなっていて、それが一人ひとりにとっては逆境という形で人生に降りかかってくるかもしれないのです。そうした逆境にどう向き合うのか。ただ乗り越えるとか、打ち克つということだけではなく、あえて強い言い方をすると、〝サバイバー〟になってほしいのです。それは単に自分の長い人生の中に位置づけ直して前向きに生きていくことだと思うのです。「それでも人生にイエスを言う」の全体を貫いているのは、人間は意味を求める存在であり、人生とは生きる意味と価値を求めるという考え方です。しばしば「人生には意味がない」という人もいますが、そういう発言をすること自体、意味を求めていることの裏返しかもしれません。たとえばですが、がんで余命数年と宣言されても、そうしても生きていなければならないと思えるほど、その期間を超えてしばしば生きのびることができるほど、人生は意味を求める存在なのです。フランクルは、それをニーチェの「力への意志」をもじって、「意味への意志」と呼んでいます。この意味が枯渇したときは、人間はいとも簡単に死に絶えてしまいます。それに近い体験をフランクルは強制収容所でしています。彼は健勝な人たちが、収容所に入れられたとたんに生きる意味を失って、早く死んでいくのを目撃しています。フランクル自身は小柄で、どちらかというと華奢な人ですが、収容所を何か所も転々としたにもかかわらず、どういうわけか生き残ったのです。本の中で、「私は人生にまだなにを期待できるか」と問うことはありません。今ではもう、『人生は私に何を期待しているか』と問うだけです」(山田邦男・松田美佳訳、春秋社)という一節が出てきます。大切なことは、人生の不遇を嘆くのではなくて、自分に課されたものを自らに問いかけ、それに応えていくことであり、それが生きることだというのです。課される内容は、人それぞれ異なります。本の中でも、洋服屋の店員である一介の青年が、自分の仕事など取るに足らず、意味が見いだせないということを述べます。そのときフランクルは、「重要なことは、自分の持ち場、自分の活動範囲においてどれほど最善を尽くしているかだけだということです。活動範囲の大きさは大切ではありません。(中略)各人の具体的な活動範囲内では、ひとりひとりの人間がかけがえなく代理不可能なのです。だれもがそうです」と応えています。つまり、あらゆる職業に、それぞれ大きな責任が課せられているのです。そしてそれに気づいた人は、その大きさに身震いするけれども、なにかしら喜びを覚えることができるのです。この本はビジネスにすぐ役立つハウツーや生き方を示した本ではありません。しかし、今後ビジネスパーソンが社会の中で葛藤したり、深く思い悩んだりすることがあったときに、まちがいなく慰めになると思います。私もこの本からずいぶん教えられ、つらく長い歳月に耐えられたという経験があります。とても厳しいことを言うようですが、今後、右肩上がりの高度成長期が長時間持続するといった、幸福な時代はもう二度とやってこないでしょう。生活の浮き沈みが激しく、困難な事態にいつ陥るかわかりません。そういう不安と向き合いながらも、仕事や自分のミッションを成し遂げていくには、逆境に耐えられる何かが土台にならなければなりません。フランクルのこの本は、仕事の最もベースになるべき、〝自分にとっての仕事の意味〟についての答えや、励ましを与えてくれたのです。 【逆境からの仕事学】姜 尚中Kang sang-jung/NHK出版新書
May 21, 2024
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時代に対応する術を学ぼう 読書の効用として最初に挙げられるのは、本を読むことによって、自分の置かれた状況を正しく理解したり、新しいアイデアのヒントを得たり、あるいは失敗の原因を探ったりする際にたいへんに役に立つということです。オーソドックスな発想かもしれませんが、とりわけ、いまは明日の見えにくい「不確実な時代」ですから、未来予測まではできなくとも、万一に備えるための準備として、過去のさまざまな事例を本から学んでおくのがいいと思います。時代というのは、たえず移り変わっていくものですが、その流れを見ていると、ことさらに大きな変わり目が、何年に一度、十年に一度いう単位で現れることに気づかされます。電車の軌道を切り替えるポイントを「転轍」と言いますが、そのような転轍が、ときおり歴史の中にもあるからです。今の日本社会は、まさに転轍の最中にあるように感じます。何度か申し上げたように、学歴社会モデルから個人経験モデルへの大転換が起きているからです。厳し社会を生き抜いていくビジネスパーソンは、このような路線変更をいち早く気づき、その意味を正しく見抜く必要があります。そして、それに臨機応変に対応できなければなりません。世の中の動きに敏感であろうという思考は、私はおそらく普通の力よりも強く、若い頃から習い症になっていた気がします。それは自分の出自にも関係していて、世の趨勢しだいでどう変わるかわからない身の上なので、常に安閑としていられず、ややもすれば疑心暗鬼になって社会を見つめるくせがついたのではないかと思います。しかし、いまやこれほども、予測不調和な時代ですから、不安になるのはみな同じです。社会を見る目をつけるためにも、できるだけよい本をたくさん読んでください。本の中には、同時代では的外れのように思え、何十年か経ったのちに正しかったことが分かるものもあります。逆に、リアルタイムでは時代をたいへん言い当てているように見えながら、わずか数年で古びてしまう本もあります。私たちはその辺りを見る目もしっかり養って、「今だけの流行りのもの」と「普遍的な真理を蔵しているもの」を見分ける必要があるのでしょう。そこを鍛えて、10年先、20年先の肥しとして、自分の中にしっかりストックしていきたいものです。 【逆境からの仕事学】姜 尚中kang sang-jung/NHK出版新書
May 21, 2024
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命をかける命をかける覚悟がなければ成功は期しえない 松下幸之助のそばについて七年ぐらいの頃だった。西宮の家の茶室で二人でお茶を飲んでいた。当時の私はまだ緊張しており、松下の隣でじっとしていた。それまでわりとやさしく話しかけていた松下が、そのときは、いささか厳しい表情で、「心を許して遊ぶという言葉があるやろ。しかし、心を許して遊ぶ人は、経営者にはなれへんで。心置きなく眠る人もいるやろ。そういう人も経営者たる資格はないな」と、つぶやいたのである。私が、経営者といえども人間だから、たまには遊んでもいいのではないですか、と尋ねると、「信長は酒を飲んでいる隣国のことは忘れなかったという。命をかける覚悟というものがなければ、経営者になるべきではない」と強い口調で言った。まだ若かった私は「そんな厳しいものですか」という返事をするのが精いっぱいであった。しかしその言葉の鮮烈な印象は、以後消えることはなかった。会社にいるときは当然のこと、たとえテレビのCMを見るときでも、この辺りは看板が少ないから自社製品の売れ行きは悪いのではないかと、常に真剣な注意を払って経営に結びつけていた。そしてヒントを得るとすぐに実行し、成功させていた。経営者は、数人、数百人の社員とその家族の生活を、ある時は生命すらをも左右する存在である。だとすれば、「経営者は経営者は仕事に没頭し、人生から仕事を引いたらゼロになってもいい」という覚悟と実践がなければならない。そしてまた、それだけの価値があるものだということを松下は提言し、経営のために命を落としても、それは本望であると考えていた。そうことでは身が持たないという人は、およそ経営やになるべきではないのだ。一つの会社の中で税因果そう考えるべきだとは言わない。少なくとも会社の最高の指導者になった人たちは、その覚悟がいる。ほかの社員と同じように、遊びに行きかす、休みも取ります、ということではどうにもならない。「先憂後楽という言葉があるやろ。せめて一つの組織の最高指導者ぐらいは、先憂後楽の心掛けで、その会社に命をかける思いがなければ、経営はうまくいかんね。みんなと同じように、遊びとか安見とか言っておって、なおかつ経営が成功するなどということはありえないことや。経営というのはそんな簡単なものではないわ」およそ経営者たるものは、人より先に憂い、人よりも後に楽しむということでなければならない。人が遊んでいても自分は常に働いている。遊んでいるようでも頭は常に働いている。先憂の志があればそうなるのである。先憂を広義に解釈すれば、発意ということにもなる。誰よりも先に発意し、案ずるものを持たなければならない。ある講演では次のように話した。「自分はこの仕事に命をかけてやっているのかどうかというと、これまで困難な問題に出くわすたびに自問自答してきました。そうすると、非常に煩悶の多い時に感じることは、命をかけるようなところがどうもなかったように思われるのです。それで、心を入れかえてその困難に向かっていきました、そうすると、そこに勇気がわき、困難も困難とならず、新しい創意工夫も次々と起こってくるのです。そういう体験をたくさん持っています」そして指導者が、自分はみんなのために死ぬという覚悟を、部下のために死ぬという覚悟を持っていれば、それはみんなにわかるものである。それがなければ、みんな心から敬服してついていくということにならない。秀吉が毛利と戦ったとき、高松城を水攻めにした。長大な堤を築き、近くの川にミスを流し込んで城の周囲を湖と化したのである。秀吉の大群に囲まれ、水のため援軍の手も断たれた高松城では、食料も尽き果て、城兵は正を待つのみという状況に陥った。そのとき、城の守将である清水宗治は、自分の首と引き換えに城兵の命を助けるという、秀吉の講和条件に喜んで応じた。そして、みずから舟をこぎ出し、敵味方の見守る中で、従容として切腹したと伝えられている。部下の命を救うということが、戦国の武士としての一つの心構えだったのである。よく「一将功成りて万骨枯る」ということがいわれる。しかし、ただ何もなくて万骨が一将のために命を捨てるものでもないだろう。そのうらには、清水宗治のように、戦いに利あらざる時は、責任を一心ににない、自分の命を捨てて部下の命を助けるという対象の心意気というか責任感があって、それば部下をして神妙を賭してまで働かせる力になったわけである。このことは今日の指導者にも基本的に通じることだと思う。幸い今日の時代においては、実際に命を取られるということはめったにない。しかし、いわばそれほどの思いをももって事に当たらなければ、成功は期待し得ないのである。 【成功の法則「松下幸之助はなぜ成功したのか」】江口克彦著/PHP
May 20, 2024
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七つのスキル「せつめいよこれ」 ㈱櫻井弘話し方研究所代表取締役社長 櫻井弘説明の方法「説明」という漢字は「説いて明らかにする」と書きます。しかも「説」という漢字には、「口」が二つもあるのです。つまり、一種類の説明の仕方では、相手になかなか伝わらないのです。分かりやすく説明するためには、伝える方法がさまざまあるということです。そこで、今回は、分かりやすく伝えるための「七つのスキル」を「せつめいよこれ」という語呂合わせでご紹介します。① [せ]「整理」して順序よく話す「誰に何をどのような順番で話すのか」を事前に整理してから伝えるようにしましょう。② [つ]「強めの箇所」 「強調点・山場」のインパクトをはっきり打ち出し、相手の印象に残るように伝えましょう。③ [め]「目配り」相手の反応をキャッチして察知し、目で言葉を届けるという「双方向のやり取り」を意識して伝えるようにしましょう。④ [い]「一時に一事」 「あれもこれも」と同時に伝えずに、「ここまでよろしいですか?」と一つずつ丁寧に伝えていきましょう。⑤ [よ]「予告する」人は見通しがつくと安心して話を聞くことができます。「概要・項目・サブテーマ」などを予告してから説明すると効果的です。⑥ [こ]「言葉の吟味」自分が説明で使う言葉が、聞き手にとって理解できる言葉であるか否かを事前に吟味しておきましょう。⑦ [れ]「例を挙げる」 具体的な体験談はストーリー性があったり、共感が湧くのでとても印象に残り、確実に相手に届きます。 日本人の説明で多いパターンが、淡々と同じリズムで伝える説明調の話し方です。「信頼を結ぶ話し方」で説明するときには、「せつめいよこれ」のごろ合わせを意識して伝えることが求められます。1 せ 整理2 つ 強める箇所3 め 目配り4 い 一時に一事5 よ 予告する6 こ 言葉の吟味7 れ 例を挙げる 【信頼を結ぶ話し方▶18◀】公明新聞2022.3.24
July 17, 2023
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「具体的に」「分けて」「結論から」㈱櫻井弘話し方研究所代表取締役社長 櫻井 弘オンラインでは新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、今まで当たり前のように行っていたことができなくなり、新たな工夫や見直しが必要になりました。その中の一つとして、オンラインによるコミュニケーションを取ることが急激に増えた結果、「話し方」も意識せざるを得なくなったのです。そして、簡潔に話し、分かりやすく伝えるための「話し方」が求められるようになりました。そこで、今回はオンライン時代にも通じる「信頼を結ぶ話し方」として「具・分・け」という三つのポイントを紹介します。① [具体的に話す] ウェブ会議サービス「Zoom」など、動画を使ったコミュニケーションのやりとりが増えました。私もオンライン研修で会議の場を分けるブレイクアウトルーム機能を使った実習のときに、各ルームに「九には入って短時間話してから、急に抜ける」という場面があります。このように、短時間で変化する状況での話し方としては「具体的に話す」ことが不可欠になります。具体的に話すための方法として、「定量見える化」と言われるように、「数値」や「事例」のほか「ビジュアル」「映像」を使った話し方が求められます。② [分けて話す]「分かる」は「分ける」と言います。「原因と結果」「よい例と悪い例」「ビフォーとアフター」など「対比・比較」をして、「関係を明確にする」と、分かりやすく伝えることができます。③ [結論から簡潔に話す]ビジネスの現場で使う話し方の代表例が、「結論専攻の話し方」です。忙しい現代において、聞き手は結論を先に知りたがっているからです。「結論から申し上げます」を口癖にしておきましょう。その時に簡潔に話す方法の一つとして「一言で言うと」という表現を使うことで、簡潔で説得力のある話し方ができるのです。 【信頼を呼ぶ話し方▶17◀】公明新聞2022.3.17
July 7, 2023
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スタート時に「間」を取る(株)櫻井弘話し方研究所 代表取締役社長 櫻井 弘人前でのスピーチ人前で話す時、上がってしまう代表的な原因の一つとして挙げられるのが「沈黙」ではないでしょうか? 聞き手が「あがっているのかな?」などと感じると、話し手は不安になります。そこで、今回は「沈黙」を、「自分の気持ちを整え、聞いてもらうための状況づくりの時間」へと変えてしまう住p-血の「スタートの間」について紹介します。全体では話す3秒くらいの「間」を意識的にとります。その時の五つの手順です。➀[全体を見渡す]本来の立ち位置より30㌢ぐらいは後ろに立ってから、一歩前に出て、全体を見渡します。すると、聴き手には背筋が伸びて、どっしりと落ち着いた話に映ります。②[鼻呼吸]口をしっかり閉じて鼻で呼吸して、体中に十分空気を取り入れます。「沈黙」ができるので、聴き手にさらに注意を喚起して、話し手に注目させることができます。③[さわやかなあいさつ]あがりの対処法で紹介したように、「占めた!」と思って、口をはっきり開けて、明るくさわやかな第一声であいさつをします。④[2~3秒の間を取る]あいさつに対する返事をキャッチするための間を取ると同時に、再び花呼吸で十分空気を入れておきます。⑥[フルネームで名乗る]そこで、自分自身の間違いようのない情報として「自分の名前」を「フルネーム」でゆっくり、はっきりと名乗ります。これで緊張した気持ちを静めて、聴き手に話を聞いてもらうための状況づくりも整うのです。この後に内容を離すことで、スピーチのスタートの足並みがそろって、呼吸も相、話している内容をきちんと聞き手に届けることができます。大勢の前での緊張するスピーチのスタートにおいて、意識的に「間」を取ることで、信頼を結ぶ話し方ができるのです。 【信頼を結ぶ話し方▶16◀】公明新聞2022.3.10
June 28, 2023
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語呂合わせ「せめてあしふく」で(株)櫻井弘話し方研究所 代表取締役社長 櫻井 弘態度を整える謝罪会見の時に「申し訳ありません!」と頭を深々と下げたとしても、ポケットに手を突っ込んでいたら、クレームの嵐になるのは明らかです。言行不一致では違和感しか相手に伝わらないからです。そこで、今回は相手に大きな影響を及ぼす話し手の態度を調えるポイントを、「せめてあしふく」というロゴ合わせで紹介します。[せ]「背筋を伸ばす」……聞き手をしっかり認識できて、堂々とした感じも出て声もしっかり届きます。[め]目線をしっかり向ける……以前(第9回)にご紹介したアイコンタクトの仕方「左目で相手の左目あるいは鼻を見る」を用い、目で言葉を届けて、相手の反応もしっかりとキャッチしましょう。[て]「手の位置」……手は「横に添える」が基本です。前に組むのが良いですが、組むときは指をそろえてから軽く組むようにしましょう。「後ろ手」は自分を縛っているかのように映ります。声も出にくく、偉そうに映りますので、基本的にはやらないようにしましょう。[あし]「足の位置」……特に男性の場合、足の広さは最大でも「肩幅止まり」にしましょう。肩幅以上になると応援団のように映ります。「休め」の姿勢は足を組み替えるので、体が左右に揺れて落ち着きません。かかとを握り拳一つ分くらい空けて、両足に体重をしっかりとのせて安定して起ちましょう。[ふく]「服装のチェック」……襟や袖、ポケットのふたなど、相手に違和感を与えることのないように、「身だしなみ」を整えておきましょう。以上のように「背(せ)め(目)て(手)あし(足)ふく(服)という語呂合わせで、相手に大きな影響を及ぼす態度を調えるポイントを簡単に覚えることができます。初対面は一度しかありません。この時の第一印象につながる態度を整えることが信頼を結ぶ話し方に不可欠な条件を心得ましょう。 【信頼を結ぶ話し方▶15◀】公明新聞2022.2.24
June 8, 2023
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「プラスの信号」と言い聞かせて㈱櫻井弘話し方研究所代表取締役社長 櫻井 弘あがりの対処法「一対一の愛環ではあまりあがらないけれど、大勢の前や改まった場所で話すときには上がってしまうという人、手を挙げてください!」。このような質問をすると、95%以上の人は手を挙げるのです。つまり「あがり症だと思っている人は、あなただけではない」ということなのです。ではなぜ「自分だけが上がり症なのではないか?」と思ってしまうのでしょうか?その答えは簡単で、自分二が合いの人からは、自分が上がっているように見えないからです。なぜならば、自分の顔は見えないので、話している時に誰かと眼が合ったりすると「あがって映っているのに違いない! どうしよう」などと「自意識過剰状態」になっているのが、あがりだからです。実は自分も他の人から見れば、結構落ち着いて話しているように映っているのです。そこで、今回は「あがりについて三つの対処法」をご紹介します。① [あがっていいんです!]「あがったらいけない。あがらないように話さなければ」と思っていませんか? 「なぜあがるのか?」。この答えは「話す意欲や向上心があるから」です。従って、あがること自体は決して悪くなく、むしろ「プラスの信号」と捉えましょう。② [あがったら「シメタ!」と思いましょう]人前で話すときは誰も助けてはくれません。従って、あがりの自覚を感じた時は「シメタ! プラスの信号だ! うまくいくぞ!」と自分に言い聞かせて、自分が堂々と話している姿を想像しながら、準備した話に集中することが肝心です。③ [自分が思っているほど相手には、あがって映っていない]自分の話す姿を録画し、自分の目で確認してみます。すると、客観的に見て、自分が思っているほどあがって見えないのがよく分かるのです。「あなたの話はあなたしかできない!」。今回の「三つの対処法」であがりを味方にして、あなたの持ち味を発揮しましょう。 【信頼を呼ぶ話し方▶13◀】公明新聞2022.2.10
May 28, 2023
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同意や共感などの5種類(株)櫻井弘 話し方研究所 代表取締役社長 櫻井 弘相づち「相づち上手」は「コミュニケーション上手」と言っても過言ではありません。なぜならば、コミュニケーションは、「双方向」だからです。特に、返して、つまり聞き手としての反応の示し方である「相づち」がとても大事になってきます。相づちは餅つきに例えると、返してと言えます。返し手が「よいしょ!」「どっこい」「どうした!」などとタイミングよく言葉を挟みながら、お餅を返していくことで、つき手が力を最大に発揮できます。そこで、今回は「うなずき」とセットにすることで、さらに相手の信頼を得ることができる聴き方としての「相づちの種類」を五つご紹介します。➀「同意」……セールスの聴き方として有名な「YES BAT方式」のように、まずは相手の話に「同意する」ということが重要です。②「共感」……「大変でしたね」「うれしいですね」など、相手の気持ちを代弁するような言葉を目指しましょう。③「促進」……口の重い人に対しては「というと?」「それからどうしました?」などの言葉によって、相手に話させるように促していくやり方です。④「整理」……逆に、情報が錯綜しているようなときは「要するに」「つまり・ということですね」などと話を整理しましょう。⑤「転換」……自分の話に持っていくように軌道修正するときは「今の話で思いだしたのですが」と相手の話に乗ったように見せて「ところで!」と転換するコツです。以上のように、相づち言葉にも大きく分けて「同意・共感・促進・整理・転換」という5種類があることを忘れないでほしいと思います。私はこの5種類の相づち言葉の頭文字をつなげて「動・共・促・整・転」と中国のおまじないのように覚えています。そして、相づちを発するときには「言葉に心を乗せて行動」を心掛けています。 【信頼を結ぶ話し方▶12◀】公明新聞2022.2.3
May 24, 2023
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顔の表情を意識し繊細、正確に(株)櫻井弘 話し方研究所 代表取締役社長 櫻井 弘うなずき方「聴く」ことは、実は「積極的な表現活動」なのです。よく聞く言葉で「私は話下手なので、聞き役に回ることが多いです」があります。この場合、聞き方をかなり消極的に捉え、まるで、「休憩」のように思っている人が多いようですが、これは大いなる勘違いです。そこで、今回は信頼を得る聞き方の具体的なスキルとしての「うなずき」について触れていきます。うなずきは「首から上のボディーランゲージ」と言われるくらい、首を上下に動かすことによって「分かりますよ」「どうぞ安心して話してください」などのメッセージを即座に伝えることができるのです。コーチングの世界では、うなずきのことを「ポンピング」と呼んで、井戸水をくみ上げる井戸のポンプに例えています。井戸はポンプの上下運動をするだけで井戸水を勢いよく出すことができます。すなわち、われわれの日常の会話で言うと、聴き手がうなずくことで、話し手はどんどん口から言葉が出てきて話してしまうというわけです。ところが、われわれ日本人は、学校教育でも具体的な「聴き方」について学んだことがありません。従って、学生から社会人になったときに、研修講師がまず教えるのが、「傾聴のスキル」なのです。その中でも、一番できていないのが、前回触れた「アイコンタクト」と今回の「うなずき」なのです。うなずきがないと話しては一気に不安になってしまいます。なぜならば、聴き手が分かっているのか、いないのかが分からないからです。うなずきは、反応の具体的な方法の一つです。井戸のポンプは上下運動だけですが、信頼を得る聴き方としてのうなずき方は、顔の表情を伴ってもっと繊細に正確に相手に伝えていく必要があります。これが「訊くことは積極的な表現活動」というゆえんです。次回はうなずきとセットになっている「相づち言葉」について触れていきます。 【信頼を結ぶ話し方▶10◀】公明新聞2022.1.20
May 11, 2023
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格差が固定化された時代に生きる仕事と社会の関係で考えてみたいことの一つは、格差の問題です。二〇〇〇年代と二〇一〇年代を比較して、日本で働く人たちの大きな意識の変化があったとすると、その一つは格差についてではないでしょうか。学歴社会に基づく予定調和の時代はすでに変わっています。平等主義と能力主義の蜜月時代が崩れてしまったのです。不平等は、さまざまな格差の問題を現れてきています。10年単位で考えると、正規雇用に対して、非正規雇用が増えたことで、格差が広がっている側面もあります。また、アベノミクスが期待するトリクルダウンは、富める者が富めば、富が滴り落ちて、低所得者にも富がいきわたるという考え方ですが、実際には高所得層と低所得層の格差が一層開き、富める者ばかり富む状態になっています。ここでも格差の固定化が見られるのです。私たちの世代が大学で学び、働いてきた時期は、幸福な時代だったのかもしれません。ピケティが言うように、第一次世界大戦、第二次世界大戦を経た後、1970年代半ばぐらいまでは、特に先進億で所得再分配がうまくいった時期です。そうした次代に私は思春期を送ったのです。今の若い世代にこれを当てはめることはもうできません。二〇代の若者のかなりの割合が現状に現状肯定的であっても、その満足度が親と同居する「パラサイト」によってかろうじて成り立って入りとすれば、格差が生み出す不安が若者の未来に暗い影を落としていることは間違いありません。しかも、正規雇用と非正規雇用ディバイドも広がりつつあるとすると、現状の皇帝と保守化という若者のトレンドは、見たくない現実を先のばししただけの一次的な気休めとも言えなくはありません。少子高齢化が進み、働き手が少なくなっている中で、日本経済が以前のように大きく成長し、中流と呼ばれる人たちが増えるということは考えにくい。中長期的には、日本が1960年代から70年代にかけて体験したような高度成長期に戻ることは、まずあり得ないと考えた方がよいでしょう。私たちは「定常化社会」と言われる、成長がほぼゼロに近い社会へと向かいつつあります。これを「熟成社会」と言ってもかまいませんが、熟成しているからと言って、よいとは限りません。文明史的に見ると、男女ともに識字率が高くなり、進学率が高くなると、少子高齢化に進んでいきます。そして、働き方が少なくなるということは消費する者も少なくなるため、低成長になると考えられます。これは人口動態が関係しているので、変化は劇的には怒らないとすると、おそらくこれからの日本経済の動向も長いスパンで見ていかなければさらないのだろうと思います。 【逆境からの仕事学】姜尚中著/NHK出版新書
March 7, 2023
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すべてのわざには時がある「すべてのわざには時がある」というのはとても含蓄のある言葉で、要するに、人間が何かをなすには、すべてそれにふさわしい時があるというのです。すなわち、植えるときに時があり、生まれるに時があり、死ぬに時があり、そして踊るに時があり、笑いに時があり、悲しみに時がある。そしてもう一人、私の解釈を言えば――多少希望的な癇癪かもしれませんが――、どんなにつらいことがあっても、悪いことが続いても、必ず「時」が待っていてくれる――、だから焦らずたゆまず、じっくりと心落ちつけていきなさいという意味ではないかと思うのです。これは「いま」と「ここ」を一生懸命生きようということでもあります。不確実だから、明日どうなるか分からないから、それゆえにこそ、いま、ここを精一杯生きるのです。人間の思考の中には、「過去」と「現在」と「未来」という三つの時間概念があります。その中で、とかく重くみなされがちなのは「未来」です。私たちは二言めには「将来こんなポストを就くために」とか、「先々の蓄えのために」とか、「幸福な老後のために」とか言って、何かに追い立てられるように励んでいます。しかし、未来というのは影も形もない概念だけの存在であり、「先のことを考えてもしかたがない」というのも本当なのです。それならば、「未来などまぼろしさ」と割り切って刹那的に生きられるかというと、なかなかそれもできません。この先、路頭に迷わずに生きていけるだろうかと恐れ、目標の位置まで上がれるだろうかと恐れ、その恐怖に駆り立てられ、取り憑かれたように働き、さらに心をすり減らしてしまったりします。そして、次に足をとられてしまうのが過去です。終わったことに悔んでも仕方がないのに、いつまでもそこに縛られて、先に進むことができない。これもよくある現象です。人間の悲劇は、「未来を予測したがる」ことと「記憶を持っている」ということに起因しています。すなわち、過去を悔み、未来を不安に思うために、心の病に陥ってしまうのです。私もまさにそうした状態だったのです。「時」が待ってくれるという安心感があるからこそ、人は「いま、ここ」に懸けて、一生懸命頑張ることができるのです。これが、もし、「急がなければ手遅れになる」とか、「時間は待ってくれない」などという焦りから実行するのなら、やはりそれは心のこもらない中途半端な行いになってしまう気がします。ですから、「すべてのわざには時がある」というのは、のんびりしているようで、最終的にはたいへん沈着冷静な叡智なのです。いまは不遇であっても、必ず時が巡ってくることを信じて待つ。ただ待つのではなく、「いま」と「ここ」を頑張りながら「この時」を待つ。そんな意味ではないかと私は解釈しています。 【逆境からの仕事学】姜尚中著/NHK出版新書
February 18, 2023
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〝自然〟であれ逆境の時代を生き抜くビジネスパーソンには、どのような態度や覚悟が必要になってくるのでしょうか。これは大変に難しい問題なので、最適の特効薬のような答えを言うことはできませんが、一つだけ、よいヒントになりそうな言葉が浮かんでいます。それは「〝自然(じねん)〟であれ」ということです。〝自然〟とは、ネイチャーの意味での「しぜん」ではありません。仏教用語でいうところの「じねん」です。自然には「おのずから」という意味も含まれ、すなわち、ありのまま、そのままということです。無理せず、見栄も張らず、作為的にもならず、ありのままの自分を意識するということです。かといって、別に努力を放棄するわけでもありません。そうではなく、無理して自分を大きく見せたりしないのです。と同時に、自分を安く見積もることでもありません。いま、ここに存在している一個の人間として、自分をそのまま認識する――。それが自然です。それは、人間がこうありたいという本来性みたいなものと言ってもかまいません。英語でいうと、「オーセンティック(authentic)」が近いのではないかと思います。仕事との関係で語るのならば、他人にとってどう見えるかではなく、その人自身にとってこの仕事はどういう意味があるのかを考え、内側から湧き起こるモチベーションや使命感に支えられて仕事と向き合うことです。かつての学歴社会モデルが生きていた時代であれば、「〝自然〟であれ」という言葉は空虚に響いたかもしれません。学歴を高めるというある一定の役割行動に従ってロールプレイを行っていれば、自分の生活がよいものになると信じていられたからです。会社の中で地位が少し上昇すると、それを通じて「お前は一人前になった」と言われ、それが大人になることだとされた。当時はそのようにして地位の獲得・配分と自己実現が自動的になされていたと思うのです。そうした中では、本来の自分というものを問わなくてもすみました。しかし、この二五年間で学歴社会モデルの神話が終わり、その間に広がってきたのは「個人経歴モデル」です。学歴ではなく、グローバル時代の中で一定のパフォーマンスを発揮する能力を持つ人材こそ、求められるようになってきたのです。すなわち、自分で物事を考えて主体的に責任を負い、自分の活動をコーディネートすることができ、あらゆる場面に自分で柔軟に対応して、絶えず即時的にプログラミングを変えて行動できる人材です。いま、大学においてはそうしたマルチな人材を育成することが最大の目標とされ、企業もまた一番欲しているのはそういう人材です。しかし、個人経歴もデルでいちばん抜け落ちているのは、その仕事は自分が本来欲してものなのか、あるいは自分の中にある価値と適合性を持っているのかを問うことです。自然であるためには、自分の中から出てくるモチベーションに真剣に耳を傾ける必要があります。社会的にもっとも価値があるとされているからそれを学習しなさい、という模倣の段階を超えて、自分なりのモチベーションや使命感にいかに向き合うか。それは内なる自分の価値を発見することと言い換えられるかもしれません。この根底の部分の目的意識や志がないと、いくらマルチな能力を持っていたとしても、仕事から真の充実感を得ることはできないでしょうし、本当の意味ですぐれたパフォーマンスを発揮することはできないでしょう。当然ですが、内なる価値に気づくことはなかなか難しいことです。私はこれを可能にするのは、人文知であると思っています。なぜなら、人文知は何よりも人間の生きる意味や目的に関わって、それを内側から作りだしてくれるものだからです。 【逆境からの仕事学】姜尚中著/NHK出版新書
February 9, 2023
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仕事は「社会への入場チケット」であるでは、この章の本題、「仕事とは何なのか」という問題に入っていきましょう。その問いの一つの答えとして、まず「仕事とは社会への入場チケット」であると、定義したいと思います。「あなたをこの社会の一員として認めます」という認定証のような者、あるいは「ここに出入りしていいですよ」というフリーパスのようなもの、と言えましょうか。実は、この定義はかなり私の幼いころからの実感にもとづいています。というのも、私は子供のころから「働くこと」は「一人前の社会人の証」であるとして、かなり強い憧れを持っていたからです。それは自分の出自のことと強く関係しているのですが、「在日」である私は、両親や在日のコミュニティーによって庇護されて生きるのではなく、一般人として社会の中で生きていたいと思っていました。そのためには、自分の力で仕事をして、収入を得て、自分の足でしっかり立たねばと思っていました。逆にそれさえ出来れば何憚ることなく、胸を張って生きることができると考えたのです。自分が一人の個人としてこの世に存在していくためには、家族やコミュニティーの中で認められているだけでは不十分で、世間一般に認められなければならない、そのためには「仕事」という行為をもって立つ以外にないと考えたのです。そのように、幼かった私は自分は在日であるからこそ、自分の居場所を得るために働かねばならないと考えたのですが、その後、私はこのことは在日であるないにかかわらず、「人間はなぜ働くのか」という問いに対する存外に正しい答えであることに気がつきました。私が熊本で中学、高校時代を過ごした1960年代は、序章で触れたように、学歴社会の神話がまだ強く生きていました。誰しも頑張って勉強をして勉強をして学力を伸ばし、学歴をつけることで、社会的地位が得られると漠然と信じられていた時代でした。しかし、当時の私の願望には、出世したいとか、成功したいといった気持ちはあまり含まれていませんでした。金持ちになりたいという願望もほとんどなかったのです。私のような考え方がすべてだとは思いませんが、人は働く理由はただ「お金がほしいから」、「食べていくため」という単純な理由ではないのです。私がそれでも働きたいと思っていたのは、やはり社会の中で自分の居場所がほしかったからでした。つまり、仕事とは自分が社会の一員としてこの世に存在していくためのチケットなのです。それはまた、人が生きていく上で求めずにはいられない、必要不可欠の、あるいは必要最低限のチケットであると思います。 【逆境からの仕事学】姜尚中著/NHK出版新書
February 3, 2023
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温かい組織部下が上司に従うのは、魅力という情のウエイトが高いからです。情のない組織は、規則やシステムを数多く設けて社員を従わせようと工夫するが、むしろ冷たい関係になって、個人無視、自由度のない経営を進めることになる。人間が息苦しいと感じるような経営は長続きしません。 【仕事ができる人の心得】株式会社武蔵野代表取締役社長小山 昇著/阪急コミュニケーションズ
September 19, 2021
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温かい組織部下が上司に従うのは、魅力という情のウエイトが高いからです。情のない組織は、規則やシステムを数多く設けて社員を従わせようと工夫するが、むしろ冷たい関係になって、個人無視、自由度のない経営を進めることになる。人間が息苦しいと感じるような経営は長続きしません。 【仕事ができる人の心得】株式会社武蔵野代表取締役社長小山 昇著/阪急コミュニケーションズ
October 3, 2020
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×上手に教えられる人がリーダーになれる 「リーダーは、教え方が上手でなくてはいけない」――多くの人がこう誤解しています。でも、リーダーはティーチャ―である必要はありません。教え方が上手である必要はありません。教え方が上手でなくてもいいのです。リーダーは、教えることが必要ですが、まず先頭に立って行動することが必要なのです。 リーダーが犯す最大の過ちが、ティーチャ―になってしまうことです。 あなたの会社にもこんな上司がいませんか? 部下に対して、「毎朝会社の掃除をすると良いことがあるぞ」など、どこかで聞きかじった知識を教え込もうとする人です。そして自分は言うだけで、先頭に立って行動しない。 これはティーチャ―であって、リーダーではありません。 そう教えられた部下はどう反応するのでしょうか。「おまえこそやれよ」と思うだけでおしまいです。 理屈では人は動きません。部下に理屈を教えるのはティーチャ―であって、リーダーの役目ではありません。 リーダーとティーチャ―は、根本的に違うのです。 部下に面と向かって指示だけをするのはリーダーです。 一方、そこから一八〇度ぐるりと見気を変え、部下に背中を見せて行動を始めてこそリーダーなのです。リーダーとは、文字通りリードする人のこと。先頭に立って行動するからリーダーなのです。 リーダーは自分の背中を見せて、無言で部下を率いるのが役目です。 でも、部下がすぐについてくると期待してはいけません。「ひょっとしたら動いてくれるかも」という程度に考えておくべきです。理屈ばかり言って「部下がついてこない」なんてぼやいているうちは、リーダーとして三流です。 実は、私は今の会社を始めて以来ずっと、事務所にいる時は、毎朝トイレ掃除をしています。部下に見せつけるためではなく、自分のためにも会社のためにも一番良いと思うからやっているわけです。 「ついてくれればいいな」という気持ちはありますが、私の信念でやっているだけですから、ついてこなくてもかまわないというスタンスです。 最近は、自己啓発本の影響なのか、社員に無理やりトイレ掃除をやらせる会社が増えているようですが、「掃除をすれば会社の業績が上向くかも」などという欲得ずくのケチな考えでやっているうちは報われません。 リーダー自身が「これをやらなきゃ自分じゃない」と思えるようになって初めて、部下がついてくる可能性が出てくるし、そもそもそこまでの信念で実行していたのなら、部下がついてこなくたって気にはならないのです。 リーダーはティーチャ―とは違う。自分が先頭に立ってやる 【間違いだらけの仕事の習慣】小宮一慶著/青春文庫
April 30, 2020
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×親しみやすい上司ほど良い いきなりですが、「物分かりがよくて親しみやすい上司」をどう思いますか? 仕事が嫌いな人は、切磋琢磨を好まず、和気あいあいの職場を求めます。自分の実力が大したことはないので、しばしばトップランナーや上司を巻き込んで、自分と同じ位置に引きずり落とそうとします。その方が居心地がいいからです。組織というのは、放っておくとそうした力が強くなり、徐々に競争力を失って保守化していきます。 そこに、リーダーの存在意義があります。リーダーの大切な役割の一つは、組織にあえて波風を立てること。保守化して淀んだ組織をかき回し、組織を活性化するわけです。 今から十数年前、たまたま居合わせたサービス業の中小企業で、こんな場面に遭遇しました。社長が車でどこかの営業所へ行くといったところ、一人の女子社員がなれなれしく、「ちょうどよかった。社長、悪いけど、この段ボールを持って行ってよ」と友達のように声をかけたのです。 社長はなんと答えたと思いますか? 「宅急便で送ってくれ」と拒否したのです。私は、これこそリーダーにふさわしい行動だと感じました。 えてして、こういう言動をするのは、実績は振るわないがムードメーカーという人だったり、実力はないのにボス的存在の社員だったりするので、同調する社員がたくさんいる場合が多い。リーダーがしっかりしてないと、つい負けてしまいます。 たしかに、営業所に行くのですから、車に積んでいけば「効果的」です。でも、それをしたら、社長は便利屋になってしまいます。そんなリーダーの率いる組織は、和気あいあいになって競争力を失っていくことでしょう。結局、この女性は、社長を自分のレベルに引きずり降ろそうとして失敗に終わったのです。 当時、その会社の売り上げは十数億円程度でしたが、今では二百億円を超えて上場も果たしています。それができたのも社長のリーダーシップがあったからだと確信しています。 実力はないのに自分の存在感だけは確保したい人は、自分が向上するよりも、立場が上の人や良いパフォーマンスを出している人の足を引っ張ろうとしがちです。その方がずっと楽だからです。 リーダーや経営者は、なあなあでまるく収めていてはいけません。波風を立てて組織をかきまわすくらいでないと、組織を成長させることはできません。 リーダーは波風を立てるくらいが良い 【間違いだらけの仕事の習慣】小宮一慶著/青春文庫
April 29, 2020
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「地位が人をつくる」という言葉を信用していませんか? これはじつにいい加減な言葉です。もし、本当に「地位が人をつくる」のなら苦労はありません。企業の二代目、三代目は、早く社長にしてしまえばいいし、日本の総理大臣は誰がなっても安心でしょう。 しかし、実際にはそんなことはありません。あなたも、「地位は人をつくらない」ケースをよく目にしているのではありませんか? 高い地位についたからといって、高い能力を養えたり、発揮できるわけではないのです。 もちろん、なかには高いポストに就いたことによって、さらに伸びる人や、それまで隠されていた能力を発揮して、素晴らしい業績を残す人も確かにいます。 違いはどこにあるのでしょうか。 先にも少し述べましたが、それは、準備をしているかどうかです。基礎的な知識を蓄え、論理的な思考を磨いているかどうか、それが違いを生んでいるのです。 地位につくのは「チャンス」です。チャンスはいつやって来るか分かりません。いつチャンス来ても生かせるように、常日頃から「準備」をしていかなくてはいけません。それをしているかどうかが、ポストについてからの評価を決めるわけです。 私はよく講演で言うのですが、「チャンス」の対の言葉は「準備」なのです。 コンサルタントをしていると、準備をしていない人が、運や世渡りだけでたまたま企業のトップにつく例をよく目にします。本人はラッキーだと思っているかもしれませんが、これほど危険なことはありません。実力がないから、すぐに馬脚をあらわし、中小企業の場合だと、それだけで会社がつぶれる原因になります。これでは、本人にとっても社員にとっても悲劇です。 これは中小企業だけでなく、大企業でも同じこと。東京電力などいい例でしょう。規制に守られているから、準備などしなくても、世渡りだけでトップになれたのです。そうして、ふさわしくない人が次々トップについた結果、今では破たんの憂き目にあっているわけです。東日本大震災はきっかけに過ぎません。 ふさわしくない人がトップにつくと、遅かれ早かれその組織は崩壊するしかないのです。 報われる人の教訓2 「準備」ができていなければ、どんなポストについてもダメ 【間違いだらけの仕事の習慣】小宮一慶著/青春文庫
April 12, 2020
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「努力は必ず報われる」と教えられてきませんでしたが? もちろん努力は必要ですが、それだけではダメなのです。同じ努力するなら「正しい努力」をしなければならないのです。 もちろん必死に努力をするのは大事ですが、それはあくまで必要条件で、十分条件ではありません。必死にがんばったからといって、必ずしも評価を受けるとは限らないのです。「それじゃ、まるでギャンブルじゃないか」と思うかもしれませんが、そうではありません。正しい努力を重ねて、実力がある一定のレベルに達した後で、初めて人は評価してくれるのです。そのレベルに達するまでは、我慢しなくてはなりません。 たとえば、Jリーガーになりたい人が必死で毎日毎に卓球を練習をしても、Jリーガーにはなれません。しかるべき、サッカーの練習をするのです。それが正しい努力です。そして、その努力を積み重ねるのです。努力と評価は、必ずしも正比例していません。絶えず努力を重ねたとしても、それに比例して直線的に評価が上がるわけではないのです。その代わり、努力がある一定のレベルに達すると、周囲が評価するレベルとなるのです。つまり、評価というのは、スロープ状ではなく、階段状に高まるわけです。 もちろん、精一杯努力して、少しでも早く報われる方がうれしいに決まっています。しかし、そこに大きな問題があります。早く「一人前」のステージに達したからといって、「一流」のステージにも早く到達するとは限らない。早く一人前になった人は、周りにちやほやされるので、それっきり伸びないことが多いからです。 むしろ、他人よりも時間が余計にかかる人の方が、自分が遅いことを知っているので、努力をやめません。そうして、年を重ねても伸びていくのです。ですから、不器用なくらいの人の方が、最終的には大きい仕事をやり遂げる例も少なくありません。 評価は他人がするものです。ですから、若い人に言いたいのは、自分で勝手な評価を下して一喜一憂しないでほしいということです。そして、実力がつけば、他人が自然に評価してくれます。そのレベルになれば、自分自身で仕事に「喜び」を見いだすことできます。お客様や社内からも「信用」を得る。それが、ゆくゆくは「富」につながっていきます。この「喜び→信用→富」という順番が大切なのです。あくまでも「富」つまりお金はよい仕事、正しい努力の結果で、後からついてくるものだと考えてください。 ×努力は必ず報われる 【間違いだらけの仕事の習慣】小宮一慶著/青春新書
March 29, 2020
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「百点満点の仕事なんてめざしていたら時間がいくらあっても足りない。八十点の仕事をいかにたくさんできるかが重要だ」 一見正しく聞こえますね。確かに時間は大切です。しかし、これを信じたら、あなたの人生は取り返しがつかなくなります。 より良い仕事をしようと頑張る力は、身体の筋肉と同じで、鍛えれば鍛えるほど強くなりますが、怠けているとあっという間に衰えます。 若いうちは実力がない、その実力を一〇〇%出したところでたいした評価はしてもらえません。ましてや八〇%なんて誰も評価しません。最も大切なことは全力を出す習慣です。そうすれば、大したことのない実力でもそのうち周囲に評価されるようになります。 二十~三十代で、自分のエネルギーを一〇〇%出す訓練をしていれば、その習慣は年を重ねても維持できます。ところが若いときに八〇%程度の力しか出さないことに慣れてしまうと、四十~五十代になってパワーを出そうとしても出せなくなってしまうのです。 運よく管理職、役員に昇進できたとしても、十分には務まらないでしょう。 そういう人を、これまでたくさん見てきました。私は二十数社の非常勤役員をしています。役員会によく出席するのですが、まったく発言しない役員がいるのです。当初は、社長や私に遠慮しているのかと思ったのですが、そうではありませんでした。 本人に意見がないのです。若いときに頭を一〇〇%フル稼働させてこなかったからでしょう。「論理的に深く考える回路」が、脳内にできていないまま年をとってしまったのです。 経営というものは、右から左へルーティンをこなす業務ではありません。新規事業を立ち上げたり、不採算事業から撤退する判断をしなければいけないのです。 それなのに、その役員は担当部署以外のことについてはまったく判断できない。自分の担当部署についても、深く物を考える習慣がないから、前例に従ったありきたりの発言しかできない。まさに思考停止の状態です。それでいて、社長が何か雄と「その通りだ」とうなずいたりする。これでは、何の役にも立ちません。 こうならないために、若いうちから、目の前の仕事に自分の能力とエネルギーをとにかく一〇〇%惜しみなく注ぎ込む習慣を持つことです。すべての目の前ことに全力を尽くすことが大事なのです。 ×仕事は頭を使って要領よくやる 【間違いだらけの仕事の習慣】小宮一慶著/青春文庫
March 28, 2020
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強い組織 トップが1週間留守をしても大丈夫な組織です。トップの大切な仕事は、お客様を迎え入れる前に、まず中にいる人を育てることです。 強くなる 1つの白星が自信を生み、2つの白星が自信を大きくする。勝つことによって、技に磨きがかかる。気力も充実する。 つらい つらいときほど、人の情けが身にしみる。やさしい励ましで、なえかけた気持ちにまた張りが出てくる。 手 手は脳の出先機関です。頭でなく手を使えば収入になる。1先手を打つ。2手数を出す。3手を入れる。4手を尽くす。5手をつなぐ。6手を結ぶ。7手を合わせる。 定期訪問 お客様を敵の手から守ることです。売り込みではなく、お客様確保が目的です。降ろうと照ろうと、注文が取れようと取れまいと、そういうことに関係なくお客様を訪問することが大切です。 適材適所 思わしくなくても、もっとすぐれた点があると信じて、仕事を変えてやることです。魚がその人の能力なら、水は環境です。その人に合う水を選んであげることです。 哲学 物事をどう考えるかということです。しっかりとした考え方をもつことです。どうしたらお客さまに喜んでいただけるかです。 撤退 時間をかけて少しずつ引く。一度に引いてはいけない。積極的な働きかけをしない。資金を投入すればするほど引き際が難しくなり、時がたてば泥沼に引きりる込まれ、命取りになる。 【仕事ができる人の心得】株式会社武蔵野代表取締役 小山昇著/阪急コミュニケーションズ
March 20, 2020
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着手半分 物事に実際に着手したら、半分(5割)はでき上がったも同然です。あれこれ考えるだけで、なかなか手がけない人も多い。着手する点を早く見つけ、まずはとりかかることが大事です。イヤな思いをしたことがない人はやらない。 チャンス 貯金ができない、前から準備をしていないとつかめない。一度つかむと次々と回ってくる。一度逃すとなかなか回ってこない。問題意識をもたないとつかめない。 中途半端 逃げ道を用意して臨むからです。 超一流 物事の長所しか見えない人です。 長所 ほめることによって特徴が引きだされる。ほめられた人は、うぬぼれるより、期待に応えようとの意欲を強く抱く。 朝令暮改 方針がコロコロと変わることです。変化に対応して生き抜くには、これしかありません。 直観力 経験の積み重ねの結果です。過去のうまくいったイメージを多くもつことです。ボーッと仕事をしていては養えない。 沈黙 意志の弱い人は、心で思っても口には出さない。一緒に仕事をしたことがない、信頼関係がないからめったなことは言わない。ポストにしがみついている幹部は、ヘタなことを言ってせっかくの地位を失うことを恐れて、積極的に発言しない。こういう会社は社会の役に立たないから、業績が低下していく。 【仕事のできる人の心得】株式会社武蔵野代表取締役社長 小山昇著/阪急コミュニケーションズ
March 19, 2020
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成功者に共通する性格として、謙虚で細やかな気遣いがある事は、先にも述べたとおりです。 もう一つ加えるとすると「気前がいい」という共通項があります。 最近は、上下関係を感じさせないフレンドリーな上司がよいと勘違いしている人が多いからか、上司と食事に行ったら十円単位まで細かく割り勘にされたという、信じられない話を聞くことがあります。こういう上司は、成功するとは思えません。お金の使い方をよく知っています。節約はしますが、使うべきところはきちんとお金を使うのです。 ありがたいことに、私も顧問先の社長さんからよく食事を御馳走してもらっています。本来ならコンサルタントの仕事を受注しているこちらがおごらなくてはいけないのですが。 では、成功者は誰にでも優しく、気前がいいかというと、決してそんなことはありません。じつは、人をシビアに見極めています。 一流ではない。あるいは将来一流になる可能性がない、ともに成長していこうという価値観を共有できそうにないと思われてしまうと、あっさり身切られてしまいます。特に、自己中心的な人、自意識過剰な人を嫌います。 成功している人は、自分の生き方をきちんと知ってします。何が本質か、何が本当に大事なことかという価値観がしっかり確立され、何が不要でくだらないかを知っています。だからニセ物はすぐに見抜かれ、見切られてしまう。 その結果、成功し続けている人のまわりには、「類は友を呼ぶ」という言葉がそのまま通用するほど、良い人が集まるのです。 もちろん、二流の人が、この「素早い見切り」の真似をしたら逆効果です。価値観がしっかりしないと、良い人まで見切ってしまうからです。 もちろん、直接の利害関係がなくても、話をして気分がいい人、また会いたいと思った人には奢っているのだと思います。そうでない人には奢らない。 気はいいけれども、意味のないところには、お金を使わない。そこが、大ざっぱな見栄っ張りとは違う点です。 若い人には、一流人から認められる人になってほしいと思います。 報われる人の習慣 成功者は、ダメな人の見切りが早い 【間違いだらけの仕事の習慣】小宮一慶著/青春新書
March 13, 2020
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「できる人は、器が大きい。穏やかで、気分の上下がなく、落ち着いていて、めったに怒らない。小物に限ってすぐがみがみ言う」――そう考えて、ミスした後輩を叱りたいのをぐっと抑えてストレスをためたり、手間をいとわず自分のミスを指摘し、時には叱責してくれる上司をバカにしたりしていませんか? 仕事上でお付き合いした成功者の方々を見ても、「めったに怒らない」というタイプはほとんどいません。 できる人は「せっかち」です。 「せっかち」というと、マイナスのイメージが強いかもせれませんが、そうではありません。確かに、悪い「せっかち」は、周囲を巻き込んで浮足立たせてしまいます。上司がこの悪い「せっかち」になると、部下に余計なプレッシャーをかけて、組織全体のパフォーマンスを落としてしまいます。 よい意味での「せっかち」は、そうではありません。いいかえれば、動きが早いのです。そして、自分のなかではせっかちでも、周囲にはそれを感じさせません。先延ばしせず、目の前の仕事を、手を抜かずにできるだけ早く片づけようとします。 できる社長は、私が同席している場合でも、重要な案件をその場で決済している場面をよく目にします。「明日考えればいいや」という先延ばしの習慣は持っていません。よほど難しい案件は別として、成功した人の行動は、ほぼ例外なく早いといっていいでしょう。 いいかえれば、「直観」で判断し、行動しているわけです。もっとも、「直観」といっても、経験のない人が当てずっぽうで結論を出すのとは違います。 成功者は、これまでの経験や勉強をもとにして、確固とした原理原則を持っています。それにのっとって判断するので、大きく間違えることはありません。 そして、せっかちだけでなく、信念があるから怒るのです。自分の私利私欲ではなく、良い仕事をしたいという良い欲が信念となり、それに反することに憤りを感じるのです。松下幸之助さんは、相手が気絶するほど怒ったといわれています。 そうした様子を見ていると、「できる人は怒らない」というのは誤りで、「本当にできる人は怒る」というのが正解だと思います。 ◇報われる人の習慣! 信念のある人は怒る 【間違いだらけの仕事の習慣】小宮一慶著/青春文庫
March 12, 2020
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戦力 分散してはいけない。どこかに集中させるものです。総合力では大企業に負けるので、ある一点に集中させる。 全力 何時も全力で取り組んでいないと、いざという時に何もできない。機械も人も同じです。 創造 手で紙の上に絵あるいは文字として書かれて初めて、この世に存在する。過去の体験、記憶の再現以外のことはできない。 想像力 いまだに実現していない物事を頭の中で映像化することです。頭の中で実現のイメージができたとき、そのイメージは現実のものとなる。 組織 1変化を好まない。お客様のために活動することよりも、組織の存続の方が優先されやすい。2お客さまから成果を上げるための内部体制のことです。役割分担として必要なものであり、従業員のためのものでないから、その目的を果たすために従業員の間に混乱が起きるのは当たり前です。お客様の要求に合せてコロコロ変えることを誇りとする。3まず商品ありき、組織はあと。 育つ 一流は一流の中に入ってこそ育つ。一流の素質でも、三流の中に入っては二流止まりです。イヤな思い、つらい思いをしないと人は育たない。環境が大切です。社員は社員によって、人は人によって育つ。 そのうち 今やる気がないという意思のことです。いつまでたってもできない。実行しない。 損 個人的なことには敏感だが、会社のこととなると鈍感になる。 損の道を行くこと 常日頃から蓄え(利益)をしておきなさいという意味です。蓄えがないと、本当に損をしなければならない場面で損ができません。 第一印象 第一印象は1笑顔、2身だしなみ、3態度、4挨拶、5言葉づかいで決まります。感じを悪くしようと思う人はいないはずなのに、感じの悪い人が絶えないのは、そのことを意識して変えないからです。 体験 実行して得た知識です。体験したことをどう自分がノウハウに変えたかが大切です。頭の中で理解できていると思っても、そのイメージは正しくないことが多い。だから、体でタッチする。五官で感じて、正しいイメージにする。 大丈夫 相手があることだから、これでよいという対策はない。思いもよらないことが起きることを想定できた時が、大丈夫な時なのです。 【仕事ができる人の心得】株式会社武蔵野代表取締役 小山昇著/阪急コミュニケーションズ
March 10, 2020
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誠実 言う事と実行することが同じ人です。 成長 人間は失敗から学び、失敗によって成長する。前向きのチャレンジは失敗してもどんどんしたほうがよい。失敗せずに問題を解決した人と、5回失敗して問題を解決した人では、要した時間と金額が同じであれば後者の方が優秀です。大切なのは失敗から何を学んだかです。 正当な理由 どんな理由があろうとも、お客様に支持されないものはダメです。業績が悪ければ何の意味もありません。 責任を持たない人 自分の都合のよいことばかりを口にする 世間体 社会のためとか主人・子どものためとか周りばかり気にしていて、自分の意志のままに生きない人。自分の意志に従って生きると波風が立つので、世間に合せるのが結局一番楽だということになってしまう。 絶体絶命 人間はぎりぎりのところまで追いつめられると、そこからいろいろ学んで大きく成長する。こっぴどく負かされて、負け続けて体で本質を知る。 絶頂 極めてはいけない。あとは下るだけだからです。一歩手前でナンバー・ワン、ナンバー・ツーを引き抜いて新規事業に当て、95%の状態で安定させることが大切です。 節度 公私混同をしない。金の使い方をきれいにする。投機に手を出さない。女に金を使わない。社員には社長の金の使い方が丸見えであり、悪いことばかりが真似される。 説得 理屈でねじ伏せてもダメ。酒を飲みながらがよい。その行為の性質上、程度の差こそあれ、その人の非を責めるという部分が含まれがちである。自分が傷ついても、相手が説得に応じる場合は、1共通の利益がある時。2互いに助力を必要とする時。3互いに役立つ時。 【仕事ができる人の心得】株式会社武蔵野代表取締役 小山昇著/阪急コミュニケーションズ
February 24, 2020
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すぐやる すぐやる、あとで直す。「そのうちに」というのは、やる気のない証拠です。やりながら手直しをしていけば、パーフェクトに近づいていくものです。決めるべき時に決めることが、成功の秘訣です。事を始めるにも、打ち切るにも見切りは大事です。 素敵な人 情熱をもって生きている人です。 ストレス 1何でも前向きにしないとすぐにたまる。自分の好きなことをやっていれば、疲れを感じても、ストレスを感じることはない。②自分でストレスを捨てるパターンをつくる。カラオケとか。③早く取り除き、心を傷つけない。 素直 「すみません」「失敗しました」が自然と口から出ることです。すぐに口から出ないと、後々になって倍の苦しみを味わうことになる。過去の経験や知識だけで物事を決めつけたり、否定しない人です。 スピード 早く始めることです。早く対応することです。どんなよいことも、時間がかかると効果が薄れる。 スランプ いままで手抜きをしていた結果です。見込み客が極度に不足している状態です。ライバル会社からお客を奪うことが脱出の一番の方法です。 誠意 形で著さなければ相手は納得しない。訪問回数でしか表現できない。 成果 花を咲かせることではありません。実をならせることです。方針実施の先にあります。 正確 2つのルートから情報が入って来て、どちらも同じ内容だったものをいいます。 成功 変化し続けることです。あらかじめ設定された価値ある目標を、段階を追って実現していくことです。 成功体験 過去に満足した途端に後れをとってしまう。変化の激しい時代は判断を間違う。進むべき道を教えてくれるのはお客様の声です。 【仕事のできる人の心得】株式会社武蔵野代表取締役社長 小山昇著/阪急コミュニケーションズ
February 18, 2020
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充実 朝起きて、今日の予定があり、それをクリアした時に感じることができる。 充実感 目標のない人は味わえない。目標をつくり、努力して、汗を流し、到達した時に味わえる。 集中 やらないことを決めることです。二兎を追わない。二足のわらじを履かないこと。窓口をできるだけ小さくして、長い時間をかけることです。 集中力 1つの事だけをやり抜くことです。時間を決めてやる。 重点化 強いものを教化する。ナンバー・ワンにしていくことです。ダメなものを何とかしようと思ってはいけない。 習得 自ら努力して学ぼうという姿勢が大事です。知識や努力は与えられるものではなく、自分で吸収していくものです。 執念 困難を克服して実行する力。社長には絶対必要です。 修行 「形」から入って「心」に至る。「形」ができれば、あとは自然と「心」がついてくる。毎日毎日飽きずにやることが大切です。 出世しない人 ➀自分勝手な人。②下に威張る人。③ケチな人。このうち1つでも当てはまる人は、人間のネットワークができない。 【仕事ができる人の心得】株式会社武蔵野代表取締役社長 小山昇著/阪急コミュニケーションズ
February 14, 2020
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交渉事 体力勝負。②自分の陣地で行う。③人数を多くする。必ず2人以上で、嫌われ役とまとめ役で交渉する。 攻勢 自分の強いところに力を入れて、相手の一番弱いところを攻める。 好調 気を許して手を広げ過ぎて失敗する。目の前のものがすべて凶器となり、骨抜きにされてもまだ気がつかない。 高度化 みんなができるようになることです。質がよくなることです。複雑になることではありません。 後輩 悪いことや安易なことはすぐにまねするが、良いことや複雑なことをまねさせるには、大変根気のいる人たちです。また、先輩社員の悪い部分だけを映す鏡になりやすい人たちでもあります。 合理化 いらない仕事を捨てることです。いらない仕事はどんどん手抜きをし、どうでもよい仕事はしないことです。 声 思いと体がつながった結果です。一般的に明るい人の声は大きく、暗い人の声は小さい。 誤解 人生にはつきものです。わからない時にはどんなに言ってもわかってもらえない。解ける時にはおのずと解けるものです。 心 安定させるのが難しいものです。 心しだい 多くの人は、自分はちっとも変ろうとせず、周りを変えようとばかり考える。「○○がこうしてくれたら」自分が変わらなければ、何も変わらない。自分が変われば周りが変わる。 【仕事ができる人の心得】株式会社武蔵野代表取締役所長 小山昇著/阪急コミュニケーションズ
February 5, 2020
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謙虚 失敗をいちいち正当化しないことです。周りの人がバカらしくなって、本当のことを言わなくなります。 現在 過去の決定です。よくても、悪くても。 現実 自分の手足を動かして、自分で触れて、自分で学んだものです。自分の肌で体感したものだけです。 現状 何をやったらよいかわからないのではなく、今どうなっているかわからないということです。いろいろ見て回る。聞いて回るのが一番です。 現状維持 長い目で見れば先細りです。 賢人 傾聴力がすぐれている人です。 減点主義 無能な管理職の得意技です。アラを探し、欠点を見つけ、それも大勢に影響のないような問題を取り上げ、重箱の隅を楊枝でつつく。 見当違い 人は信用してよいが、仕事は信用してはいけない。社長が現場の仕事をしたのだから大丈夫ではなく、社長が現場の仕事をしたのだから一番あぶない。ポイント、急所がずれている。 講義 自分の仕事に置き換えて聞かないと身につかない。 【仕事ができる人の心得】株式会社武蔵野代表取締役社長 小山昇著/阪急コミュニケーションズ
February 4, 2020
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計画性 今日実行したことを、1週間後、1カ月後、1年後のスケジュールにすることです。80%以上は繰り返し仕事です。 景気減退 高級飲食店が先に売り上げが落ち、大衆店は半年遅れる。常に先行指標となる業界を見つめていれば分かります。 経験 実務の幅を広げることです。初めてのことは最初は失敗するのが当然です。小さな失敗を経験することです。失敗をしながら未経験の分野を体験していくことです。 稽古 目先を見ないで、3年先を見すえて日々修行することです。 迎合 部下とお友達になっている、仲良しグループのことです。仲よしであってもよいことは一つもない。 継続 何かを制限しないと長くは続かない。同じことを繰り返し行うことは、どんなに素晴らしいマニュアルにも勝る。 下駄 履かせてはいけない。優秀な人にはかせると、次の評価の時に差がなくなるので不満を持つ。古い人に足を引っ張られる。 結果 どんなに努力をしたと主張しても、どんなに理論がかなっていても、利益がなければ失敗です。 【仕事ができる人の心得】株式会社武蔵野代表取締役社長 小山昇著/阪急コミュニケーションズ
February 3, 2020
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義理は世渡りの掟、情の掟です。上手に間違いなく世をわたるには①顔を立てる。②よく根回しをする。③相手の状況を判断する。④人前で行わない。こういう戒めが大切です。 気力 並み居る強豪を倒して、日本一になるのだという目標を持った時に出てくる。志の前に一人ひとり自らの意欲が高まる。 金欠病 仕事をして、ジーッとしていれば治る。 愚痴 不幸のイメージ化です。ダメ人間の手軽なストレス解消法です。仕事や人間関係がうまくいくならよいが、実際はなんの変化も起きません。時間の無駄です。 苦痛 意味のない作業を強いられる時です。 暗い人 自分でなんでも解決しようと思っている人です。自分のカラに閉じこもる。 苦しい 一時的なものです。自分でつくりだしているものです。 苦しみ 病気、貧困、争いの3つです。 【仕事ができる人の心得】株式会社武蔵野代表取締役社長 小山昇著/阪急コミュニケーションズ
January 31, 2020
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人に説明をするときには、相手が反論できない、しにくい、相手が納得しやすいことをしっかりと話すことが大事です。 例えば、日本経済に閉そく感があるということは、誰もが否定しにくいことです。そうした事実をきちんと積み重ねていかなければなりません。 「だから、海外進出をするべきです」 「海外進出をした方が良いと思われます」 と話をもっていけば、相手は逃げられなくなります。 そうはいっても、「本当に大丈夫なのか」という意見は必ずと言っていいほど出てきます。もちろん絶対に大丈夫などということはありませんから、進出した同業他社などの成功例や失敗例、それぞれの確率などが分かる資料をきちんとそろえておくべきです。 ここで気をつけなければならないことは、絶対に嘘をつかないようにすることです。 「過去、70パーセントの企業が成功しています」 「成功した企業のリターンはこれぐらいの数字です」 というように、必ず事実を伝えるようにします。 官僚や政治家がよくやるような、こじつけの数字をもちだしてくるのは厳禁です。なぜなら、プロジェクトを実現させたいがために、都合のよいデータをひっぱりだしてくると、あとでひどいしっぺ返しをくらうこともあるからです。 現に、今、年金が大変なことになっているのは、十年前、十五年前の非常に甘い人口推計を使ったからです。当時、国民を納得させるには、そのほうが都合が良かったからだと思いますが、見込み通りになっていないことは明らかでしょう。 自分に都合の良い前提で話をしていると、相手の論理的思考力が高い場合、そこで疑義をはさまれて、相手はすべてに対して疑いを持つようになります。 前にも述べましたが、特に、日本人は、 「この人が言うことは、確からしい」 「あいつの言うことは信じられない」 といったように、話の内容よりも、誰が言ったかで判断する傾向があります。 一つでも「こいつの言っていることは嘘だ」と思われたら、それ以降のほかのことすべてについて、疑わしいと思われてしまうのです。 こんな状態では、当然、相手は納得しません。 【一番役立つ! ロジカルシンキング】小宮一慶著/PHPビジネス新書
October 17, 2019
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私は講演会などで、成功する人に共通する5つの特色を話すことがあります。 1せっかち 2人を心から褒めることができる 3他人のことでも自分のことのように思える 4怖いけど優しい 5素直 これらは、「成功する人に共通するものは何だろう」と考え、さまざまな仮説を立てて検証した結果、得られたものです。 どうして、こういうことを例に出すのかというと、コンサルティングを行う上で必要な、「類型化」の訓練をぜひとも行ってほしいからです。「成功する人の5つの特色」も、成功する人に共通する性質を集約して導き出したもので、類型化にほかなりません。 さまざまな経験を集約して、どこにその本質が隠れているかを見つけ出す。これは、経営コンサルタントに求められているすごく大事な視点です。(略)失敗する経営者の特質として、「公私混同」「私利私欲」「CS(お客様満足度)よりもES(従業員満足度)」「和気あいあい」というキーワドを挙げ、これらに共通するのは「内部志向」だとお伝えしましたが、これも累計型です。失敗する経営者の特徴を彼らの経験を洗い出して集約し、内部志向という本質を導き出したのです。 たくさんの会社経営者を見るのが経営コンサルタントです。それを類型化して、見つけ出した本質を多くの人に伝えていく。これがお客さまに求められています。 類型化できるようには、やはり仮説を立てて検証することが基本になります。新聞記事や日々の経験から、自分が関心を持ったことについて仮説を立てて検証を繰り返していけば、必ず本質を見つけ出すヒントがつかめるようになるはずです。 【コンサルタントの仕事力】小宮一慶著/Asahi Shinsho 323
August 30, 2019
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誇りは命よりも大事です。砂漠の民、ベドウィンは、誇りのためには死ぬことも辞さない民族ですが、先進諸国の人々にはこの哲学はなかなか理解されません。なぜなら、組織のために貢献することを強要されすぎると、誇りがもてなくなるという社会システムが日本を含む先進諸国の文明だからです。 しかし、いい男というのは、誇り高き男なのです。誇りを持っていない男は、間違いなくダメな男です。男は誇りのために生きてこそ、魂が清らかになるのです。出世や成功や見栄のために生きると、魂は汚れてしまいます。いい男は、誇りのために生きた結果、成功したり、出世するのです。出世と誇りとでは、誇りの方を優先させないといけないのです。誇りを守るためなら、出世を犠牲にしてこそ男です。 ◇ では、迷った時、何をどう考え判断したらいいのでしょうか。 それは誇りです。誇りを持てるほうの道を選ぶことです。男は、金や学歴がなくても、誇りを持っていることが重要なのです。目先のことに惑わされることなく、誇りが持てる方向で意思決定をしていると、いつか必ず自分の才能が花開くことが来ます。 (略) 結局誇り高い道を選んだ人が最後に笑う人になるのです。試行錯誤しながら自己実現を図った人が最後に笑うのです。自分の能力を信じた者だけが、自分の能力を引き出せるのです。 【女は男のどこを見ているか】岩月謙司著/ちくま新書
May 30, 2019
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経営コンサルタント 浜口直太計画は緻密、行動は大胆かつ速く仕事で成功し続けている人たちを見ると、いくつかの共通点があります。その一つに、計画は緻密に立てる一方、いざ行動となると、かなり大胆で早い行動をとることが挙げられます。なぜ計画を緻密になるかというと、しっかり計画を立てること自体とても勉強になり、力がつくからなのです。初めてやること、前例がないことの計画を緻密に立てるということは、相当勉強しないとできません。しっかり情報収集し、影響を受けることすべてを洗い出し、それを計画に反映させないと、緻密にはなれませんし、進める中で矛盾することがどんどん出てきます。過去さまざまなプロジェクトをいろいろな方と一緒にやってきました。その中で、初めてやるのに、また前例がないのにもかかわらず、一生懸命徹底的に調査、研究、分析し、ビックリするぐらいの計画書を作られる方々がいました。「ここまで緻密に準備してきたんだ! まさに人生を賭けた真剣勝負なんだ!」と。そんな人に限って、実行するとなると、かなり思い切りがいい。緻密な計画を何度も造り直しているうちに、その計画が頭にたたき込まれ、染みついたよう。つまり事細かに計画が完璧にインプットされているので、かえって勘が働き、実行段階では大胆かつ早くできるのです。とても頼もしいですし、その「絵に描(か)いた餅」に依存せず、自らの直観と情熱で行動する姿は、勇敢なリーダーとして輝いて見えます。この人と一緒にこのプロジェクトを成功させたい、この人から学びたい、とついつい思わされます。実際に、周りの人もそんな機械のような緻密さを持つ一方、人間身のある大胆な人には、ついていきたくなるものです。 【「仕事がデキる人」へ】公明新聞2014.8.14
August 21, 2014
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凡人が行動するとき、最低必要なことは根性だと思います。根性の元になるのは、燃えるような闘志です。それによって燃えるような行動、そして人生へと誘導されます。 燃えるように生き始めたら、もう凡人ではなくなります。それは凡人としての目標に対する無気力さや保守的な言動がなくなったことを意味します。 燃えるような闘志で行動し続ければ、何事も最後に成就するというのが、私と私の友人たちの体験です。 凡人だった人が成功できたとき、そこには間違いなく燃えるように生き抜いた行動があり、人生があります。 ◇ 「成功するための秘訣は、成功するまで止めないこと。若い人たちにも、自分がこれと思った道を貫いて欲しい。とにかく、自分なりに好きなことをやり抜けば、成果は出ます。そしたら、人はそれを見て感動してくれます」 【一流の行動力】浜口直太著/グラフ社
June 12, 2013
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意外と理解されていない問題解決力のポイントは、願い祈ることです。 なぜ、願い祈ることが大切かといいますと、願い祈り始めると「何が何でも解決するぞ!」という執念が出てくるからなのです。 人間は理屈好きな動物ですが、それ以前に「感情の動物」なのです。ですから、願い祈ることで執念が出てきて、感情でもって俄然頑張り始めるのです。 願うこと、祈ることは、人間が持っている特権です。人間にならだれにでもできますが、日本人はぜんぜん行っていません。 一方、欧米人は、毎日の生活の中で、願い祈ることは普通です。宗教的な文化も手伝ってか、習慣化しています。物心ついたときから、自然と身についています。 残念ながら、日本の場合、願い祈ることは、年末年始や受験など特殊な場合でしかありません。 理由として願い祈ることでの成果を体験していないからなのでしょう。 【問題解決の法則】著者 浜口直太/グラフ社
May 15, 2013
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- プレジデント(2012年8月26日)素晴らしいアイデアを考えついたかと思えば、混乱して思考停止状態になってしまう頭のなか。しかし、どのように物事を考えているのか、そのメカニズムについて私たちはあまり関心を抱いてこなかったように思える。それだけに科学的に立証された脳の仕組みを知ることで、的確な判断をくだす思考法のヒントを与えてくれそうな気がしてくる。北京オリンピックの競泳日本代表チームに招かれて「勝つための脳」に関する講義・指導を行い、北島康介選手のアテネオリンピックに続く100メートル・200メートル平泳ぎ金メダル獲得など輝かしい結果に大きく貢献した日本大学大学院総合科学研究科の林成之教授は、脳神経外科医として長年にわたって研究を積み重ねてきた脳の仕組みを次のように説明する。「脳に入ってきた情報はまず『大脳皮質神経細胞』で認識され、次に『A10神経群』と呼ばれる部分に到達します。ここで『好きだ』『嫌いだ』といった感情が生まれ、その感情がレッテルとして情報に張られます。次に情報を理解・判断する『前頭前野』へ入っていき、自分に対してプラスの情報であれば『自己報酬神経群』へ持ち込まれます。そして、自分にとって価値の高いものにするために『線条体-基底核-視床』『海馬回・リンビック』へと進んでいきます。A10神経群から海馬回・リンビックまでの神経群を『ダイナミック・センターコア』といって、このなかを情報がぐるぐる回りながら、人間は思考しているのです」私たちの脳のなかでは、実に複雑な思考システムが機能しているわけだ。しかし、驚いてばかりはいられない。林教授は思考力を高めるための重要なポイントを伝授する。それは、各神経群の機能を守るために生まれてきた「本能」の働きと、それを脳にとってプラスに作用させる「習慣」についてである。まず、A10神経群について林教授は、「自分を守りたいという自己保存の本能が基盤になっています。たとえばテストで悪い点数をとると、自分を守るために『こんな点数は覚えておきたくない』『この科目は嫌いだ』というように好き嫌いが決められます。そこで『もうダメだ』『もう無理だ』と思うと、脳の"否定語"として作用して、脳の思考力をダウンさせてしまいます。つまり、何事も否定的にとらえないことが、脳にとって"いい習慣"になるのです」と語る。次の前頭前野で物事を理解して「正しいか」「正しくないか」を判断する基盤になっている本能が「統一・一貫性」である。私たちが「筋の通らないものはダメ」と判断するのは、すべてこの統一・一貫性が基盤になっているから。それゆえ、その理由を問われても「いいものはいい」「悪いものは悪い」としか答えようがない。実はそうした統一・一貫性を活用することで集中力を高められるという。「仕事をしていれば、嫌なことでも考えなくてはいけないことが当然出てくるでしょう。そのときに大切なのは『環境の統一・一貫性』を保ってあげることです。つまり、自分の脳がよく働く一定の環境をつくってあげる。その環境のことを私は"マイゾーン"と呼んでいます。それはトイレのなかだったり、蒲団に入って目を閉じた状態だったり、人によってさまざまでしょう。しかし、マイゾーンに入っていると、集中力が高まって考え続けることができるようになります」もちろん、オフィスに自分専用の個室がなくても一向に構わない。デスクの周りを整理して、目に入るものは考えるのに必要な資料だけという状態に保つだけでも、マイゾーンをつくることは十分に可能なのだ。そして次第に隣で同僚が電話をしていても気にならなくなり、ダイナミック・センターコアのなかで思考を巡らせるようになっていく。さらに次の自己報酬神経群だが、文字通り自分に対する報酬が与えられることによって機能する神経群である。では、脳にとっての報酬とは何だろう。「人間には生まれながらにして持った『仲間になりたい』という本能があって、脳に『人が喜ぶことが自分にとってもうれしい』と感じさせます。つまり、貢献心が満たされるときに『自分にとっての報酬』ととらえ、『自分でやってやる』という欲望へつながっているのです」と林教授は語る。何かトラブルに巻き込まれて「嫌だな」「面倒だな」と感じた途端に思考力が低下し、解決策を見出せなくなる。逆に「このトラブルを解決することでお客さまや会社の仲間を助けることができる」と肯定型でとらえられれば、「このオレが最高の解決策を出すのだ」というモチベーションが生まれてくる。また林教授は、「自己報酬神経群は『もうできた』『もう終わりだ』と思った瞬間に、モチベーションを低下させる機能があるので注意してください」と注意を促す。「だいたできた」と感じることで、無意識のうちに思考することをやめてしまうからである。「それを防ぐのには、目標達成の仕方にこだわったらいい。日本代表チームの水泳選手も『そろそろゴールだ』と思った途端にスピードが落ちます。そこで私は、勝ち方に勝負をかけるように彼らを指導しました。すると北島選手たちは『残り10メートルは日本中の人が感動するような勝ち方をする』といって、見事な結果へつなげてくれたのです」それなら同じ売り上げ目標の金額を達成するのでも、目標まであと1割のところまできて後は流して終わりにするのではなく、ほかの人が売れずに困っている製品を売ることにこだわってみたらどうか。その売り方のコツを掴んでオープンにしてあげれば、組織全体の売り上げアップへつながって皆から感謝されるだろう。そして何よりも、自分自身の達成感が向上するはずである。金融、武道、失敗学、脳神経外科というよって立つ分野の違いはあっても、マイナス状況に直面した際、それに背を向けたり怯んだりすると、人間の思考力がダウンしてしまうことを指摘している点では共通している。何かと閉塞感が漂う世の中であるが、ここは一つ気持ちを前向きに切り替えて、思考力をアップさせてみてはいかがだろう。※すべて雑誌掲載当時(伊藤博之=文)
March 7, 2013
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「それを防ぐのには、目標達成の仕方にこだわったらいい。日本代表チームの水泳選手も『そろそろゴールだ』と思った途端にスピードが落ちます。そこで私は、勝ち方に勝負をかけるように彼らを指導しました。すると北島選手たちは『残り10メートルは日本中の人が感動するような勝ち方をする』といって、見事な結果へつなげてくれたのです」それなら同じ売り上げ目標の金額を達成するのでも、目標まであと1割のところまできて後は流して終わりにするのではなく、ほかの人が売れずに困っている製品を売ることにこだわってみたらどうか。その売り方のコツを掴んでオープンにしてあげれば、組織全体の売り上げアップへつながって皆から感謝されるだろう。そして何よりも、自分自身の達成感が向上するはずである。金融、武道、失敗学、脳神経外科というよって立つ分野の違いはあっても、マイナス状況に直面した際、それに背を向けたり怯んだりすると、人間の思考力がダウンしてしまうことを指摘している点では共通している。何かと閉塞感が漂う世の中であるが、ここは一つ気持ちを前向きに切り替えて、思考力をアップさせてみてはいかがだろう。 - プレジデントオンライン(2012年8月26日)おわり
October 8, 2012
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人間にとって危機的な問題の一つは、生活ができるかどうか、つまり、毎日生きていけるかどうかです。 生活に関して問題が起きたら、まず収入を得る方法を考え、とにかく実行してみる。一見バカげたことでも、一生懸命皆で力を合わせてやってみると意外に成果が出たりします。 生活の問題は、とてもシビアです。場合によっては、生きるか死ぬかの瀬戸際のことにもなるのです。考えれば考えるほど、落ち込んでしまう。 しかし大事なのは、「絶対に乗り越える」という決意をすることです。たとえまったく当てがなくてもです。 【あたりまえすぎて気がつかない 問題解決の法則】浜口直太著/株式会社グラフ社
July 2, 2012
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行動する人は、世の中にたくさんいますが、行動しながら、成果や成功を願い祈る人は少ないものです。 結局、最終的には行動しているのに成果を出せている人と、そうでない人の大きな違いの一つは、行動しながら「願い祈る」ことができるかどうかです。なぜだか分かりますか? ただ一生懸命行動しているのと、行動しながら祈っている人とは、一つの大きな違いがあるかなのです。それは何でしょう?一言で言うと「執念」です。 願い祈っている人には、目標や達成へのものすごい執念が出てきます。ですから、何度上手くいかなくても、挫折しても、困難に追い込まれても、絶対に諦めません。執念でもって、這い上がってきて行動し続けます。それこそ、最後の最後まで。 先に紹介したエイブラハム・リンカーン大統領(何度も落選しても諦めずに大統領になることを目指して、行動し続けた)やカーネル・サンダーKFC創業者(何度も事業に失敗し、大借金を負い、生活保護を受けるようになっても、周りの人の反対を押し切り行動し続けた)がそうです。彼らもとにかく行動しながら、願い祈りました。逆に言うと、やることはやっていたので、後は結果が出るよう、成功するよう願い祈るだけだったのではないでしょうか。まさに「人事を尽くして天命を待つ」思いで。 私も今まで生きてきて、必死でしたが、単に行動だけをしていた場合はことごとく失敗しました。強い願い、深い祈りがあったときは、「何が何でも成功するぞ!」「死んでも成功させるぞ!」という凄い執念が湧いてきて、ある種の強烈な「成果を出すぞ!」オーラ、「成功させるぞ!」オーラが放たれ、それを察知した周りの人が、どんどん助けて、応援してくれました。 今振り返ってみると、自分ひとりの力ではダメだったのです。いろいろな人の助けや応援があったからこそ、成果も出て成功できたのです。それだけ、願い祈るという行為というのは、威力があるのです。 正確に言うと、願い祈っていると、その思いがすごい迫力となって言動に出るのでしょう。それで、周りの人が感動し、ついつい助けてくれるのでしょう。 【一流の行動力】浜口直太 著/グラフ社
June 21, 2012
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私は機会あるごとに、「ギブ&ギブ&ギブ」の大切さを説き続けております。意味は、「親の愛情のように見返りを一切期待せず、徹底的に人の相談に乗り手助けしてあげること」ですが、これがなかなか簡単にいきません。 頭で理解できても、これを実践するとなると、ともすると物質主義や自己中心主義になりがちな自分と厳しい戦いをしなければなりません。しかし、一度これを真剣に徹底的に実践した人は、どれほど「ギブ&ギブ&ギブ」、つまり見返りを考えずにお手伝いをし続けることが、自身を一流にし、また幸せにしてくれるかがよくわかるはずです。 見返りを考えずにお手伝いすると、周りにあなたのファンが増え、気がついたら、多くの人があなたを尊敬し、慕い、応援したくなります。あなたのために何かしたくて、周りの人はあなたを放っておきません。それを実践していれば、部署で誰かを昇進させなければならない場合、上司を含め、周りの人は、真っ先にあなたを推薦するでしょう。これを人は、「人望が厚い」「面倒見がいい」「人徳がある」と言います。 下心あって、人のお手伝いをすると、不思議なもので、その言動からすぐ魂胆がバレてしまいます。どこか恩着せがましくなり、かえっていやらしく、手伝われたほうは、気持ちが悪くて素直に喜び感謝できません。 【一流の行動力】浜口直太著/グラフ社
May 18, 2012
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上司の指示、積極的に受け入れる心構えをPHP総合研究所代表取締役社長 江口克彦上司から一段高い仕事を与えられる。あるいは一度に幾つもの仕事を任されている。たいてい「本当に自分にできるのだろうか」「一度にそんなにたくさんの仕事をこなせるだろうか」と、一瞬戸惑ってしまうものである。しかし、できないという前に、とにかくやってみるべきである。失敗を恐れて、できない理由をあれこれ探すのではなく、できる方策を考える。このチャレンジ精神が何より大切だと思う。新しい仕事に取り組むのは、確かに不安が伴う。だが、やってみなければわからないではないか。やらずに後悔するよりも、やって後悔する人生、仕事の仕方のほうが面白いし、結果としてできなくても、それはそれで上司の思いに前向きな姿勢で応えたことになる。また、やってみて失敗したことは、貴重な経験となって、後に必ず生きてくる。それを、やる前から逃げ出していたのでは、自分の能力を確認することもできない。実は私自身、指示された仕事を断ったことがある。それは松下幸之助にPHPの経営をやってみろと言われたときだ。当時の私の力量ではとても無理だと思ったのである。それでもやってみろということで、私の経営者としての仕事が始まった。力をほどほどに出していたのでは、経営者はとうてい務まらない。どうすれば最大限の能力を発揮することができるかを必死で考えながら、今日まで三十数年間、全力で取り組んできた。もちろん、松下の期待通りの成果をあげたとは思っていないが、それなりの結果を出すことができた今、やる前からいったん、断った己の愚かしさを痛感する。そして、一度断ったにもかかわらず、再びチャンスをくれた松下に感謝している。人間自省を込めてそう思う。もう一つ言えるのは、上司が部下に仕事を与える場合、とてもできそうにない仕事を与えるということはないということだ。質、量ともに、その部下の能力より少し高い水準の仕事をさせて、部下を伸ばしていこうという考えるものである。また、上司たる者、そうでなければならない。だから、上司の指示は積極的に受け入れる心構えをもっていくべきである。自分の能力を自分で限定してはいけない。新たな仕事に挑戦することによって、「自分はこんなこともできるのか」と、それまで気付かなかった能力や可能性を発見することができる。そして、さらなる成長につながっていくのである。【部下としての心構え<8>】公明新聞09・4・22
July 14, 2009
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さらに、今まであげた五つの要件に加えて、最も大切な指導者の条件として、後継者ならびに未来にそなえての人材の育成という問題があります。会社組織においても、また一つの国家においても、この長期的な人材養成が行われているかどうかが、最大の眼目になってきます。そうした意味で、いかなる組織であろうと、ある指導者が真に偉大であるか否かは、その指導者の死後、三十年から五十年後の状態がどうであるかで、判断できると思っています。未来を担うべき青年たちが、どこまで大切に教育され、未来飛翔のエネルギーをたくわえているか、一民族、一国家また一組織の盛衰の鍵となると確信します。【人生問答】聖教新聞社 松下幸之助/池田大作著(おわり)
April 13, 2009
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この全人格的な力とは、さらにこれを具体的な要素に分けると、一つは包容力、第二に公平さ、第三に確信、第四に責任感、第五に先見性といった内容が含まれると思います。包容力は、さまざまな個性をもつ人びとを、大きく包容する人間としての幅の深さです。具体的にいえば、一人ひとりの才能を発見し、また、その境遇や立場を、よく理解し、それぞれが、自信をもって、自分の才能を十二分に発揮しながら、組織の推進にあたれるように、配慮していけるかどうかです。それには、人の心の機微を鋭敏に感じとる心と、大きく相手を包み込む慈愛がなくてはなりません。第二に公平さとは、自己の感情や情実で動かされないこと。厳正公平に人を評価し用いていく一つの“能力”といえます。といっても、機会のように冷たい行き方ではなく、人間愛に根ざした公平さでなければならないことは論ずるまでもありません。第三に確信。中心者のその組織体の目的に対する確固たる信念と、その組織間にたった個々の問題についての明確な判断、組織全体にエネルギーをみなぎらせ、大きく前進させていく力となります。この確信がないと、周りに不安と動揺を与え、出せるはずの力も、十分出せずに終わってしまうものです。とくに、いざというときに示す、中心者の信念と決意と勇気と果断の有無が、きわめて大切だと思います。第四の責任については、あらためていうまでもないでしょう。一つの組織の長であるということは、その組織の最高責任者であるということです。責任とは、よく世間でいわれるような、“失敗の責任をとる”といった、いわゆる出処進退ですまされる問題ではないはずです。現実の行動のなかで、確かに責任をもって、こうしたいという実態で示されるものでなければなりません。五番目にあげた先見性ということは、正しく時代、歴史を見る目があるかどうかということです。組織をあずかり、目標を目指して指揮をとる者にとって、絶対不可欠の要素です。現状に対する正確な認識と、そこを基点とした未来への深い洞察があるかないかが、組織の盛衰を決するからです。(つづく)
April 11, 2009
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松下 経営というのは、たんに企業経営のみならず、あらゆる団体、ひいては国家のうえにもあてはまることだと思いますが、その経営をうまく行なうかどうかは、ひとえに経営者のいかんにかかっていると思います。そこで、経営者としての立場にたつ人の資格、要件というものが大事になってくると思うのです。その資格要件の内容として最も大切なものというと、どのようなものがあるのでしょうか。池田 あらゆる組織・運動体について、“経営”とか“経営者”という言葉が、そのまま概念として適用できるのか、多少疑問があります。さらに、いかなる組織にも共通した、中心者の資格要件というものが、はたしてあるのかという点も、厳密に考えますと疑問です。その組織の規模、構成、機構、そして、なによりも、その“目的”によって、その行動様式も、中心者のあり方も、相当異なってくるではないかと思うからです。また、ごく一般論として、いわゆる“指導者論”なるものも、ここで、あらためて論ずるまでもなく、幾多の論著が巷間に出ておりますし、なによりも、歴史ののなかから、さまざまな教訓を学びとることができると思います。私自身『三国志』とか『水滸伝』、また歴史に一時代を画した人物の生き方などをとおして、多くの貴重な教訓を得てきました。それらのなかに、指導者のなんたるかは、ほとんど尽くされているといってよいと思います。したがって、ここでは、そうしたさまざまな教訓と、私自身一つの組織をあずかる責任者としての、今までのいささかの体験のなかから、組織の指導者の条件、中心者の要件について、感じたままを、のべることにしたいと思います。まず、人間によって構成された組織であるかぎり、その中心者は、なによりも、人間としての全人格的な力をそなえることが、第一の前提となる条件ではないかと確信します。多種多様な欲求や才能をもった人間を生かしつつ、指導する立場にある以上、偏った人格では、全き組織の推進は図れないといえましょう。人それぞれの個性を生かし、包容しながら、全体として一つの確かな方向に舵をとっていくためには、全人格的な豊かさと深さがまず要求されるといえます。(つづく)
April 10, 2009
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脳神経外科医 林 成之(日本大学大学院教授)相手を好きになるところから始まる人間の脳は、自己保存の本能の働きで、嫌いな人の話は、それがどんなに正しくても受け付けないものです。それでは力を出し切れません。 ◇人を育てたり、力を出したりするためには、まず、相手を好きになり、好かれることです。人間ですから、嫌いなタイプはあるでしょう。でも、逃げないで、相手を好きになる力を鍛えていくのです。 一気に駆け上がれ真面目にやっているのに、なかなか目標を達成できない人がいます。それは最後まで一気にやり抜かないで、だいたいできたところで「もうやった」と考えるからです。脳は「楽」を好み、同時に新しい情報にすぐに反応するので、楽な「もうやった」ことにするのです。調子のいい時や、伸び盛りの時こそ、「自分は一気に限界を突破するぞ」と心がけることが、脳を最大限に生かすことになるのです。 ◇脳は、「統一・一貫性」を基盤に、ものを考える仕組みになっています。「統一・一貫性」とは、“筋が通っている”“理にかなっている”“バランスがとれている”ことを、脳は自然に求めているということです。脳にとって、目的を達成するために必要な目標が明らかにされていないと、その目的を達成することにつながっていきません。我々はよく「頑張ります」と言いますが、何を頑張るかを言わないと意味がないのです。 ◇経済的な効率を求めるあまり、成果主義が行き過ぎると、競争相手を蹴落としたり、意見が違うと言って、抵抗勢力と決め付けたりして、脳が本来、もとめている「違いを認めながら共に生きる」という社会からはずれてしまいます。ビジネスでもそうです。自分も客も良い思いをするビジネスを脳は求めています。それなのに、自分だけが“勝ち組”に生き抜こうとするあまり、かえって脳が求めていない社会をつくっているのです。【伸ばすコーチング】大白蓮華09・4
April 9, 2009
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