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・ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調op.36
エレーヌ・グリモー(p)
録音:2004年12月
ドイツ・グラモフォン UCCG1222
ショパンのピアノ・ソナタ第2番を続けて聴いているが、今日はグリモーを聴いた。グリモーは17歳以降ショパンを弾いていなかったが、日本でポリーニのオール・ショパン・リサイタルを聴いて、(自分がショパンの)驚くほど直接的で、親密な世界にいるのがわかったという。ショパンのソナタ第2番でポリーニが伝えた力--歌うような悲痛さ--が、彼女の中に再び火をつけ、その場でもう一度ショパンの世界に入ってみようと決めたというのである。
異なる作曲家それぞれに対するグリモーのアプローチは、実に素直で、それぞれの作品の本質を良く表現してくれるように思う。ショパンのピアノソナタ第2番の場合も、この曲のいろいろな面を余すところなく提示し、共感させ、その世界に引き入れてくれる。
グリモーはどちらかといえばペダルを使うほうかもしれないが、実に良くコントロールして的確に使用している。この曲でも、ピアノの音が豊かに響き、いく分アシュケナージを思わせる。しかし、アシュケナージよりはペダルを抑え気味で、タッチがよりクリアであり、ディテールが良く表現されている。
第1楽章、第2楽章は悲痛な叫びと力強い意思と幸福な歌が複雑に入り組んで人生そのものの絵巻物のようだが、グリモーは生命の躍動感でそれらを統一した世界を鮮明に描いてくれる。人間への深い愛があっての表現と思う。
第3楽章「葬送行進曲」では、この人のとてつもない優しさを感じる。中間部の回想的部分はゆったりと丁寧に弾いていて美しく、なつかしい世界を歌い上げている。
謎めいた第4楽章もこの人の手にかかると実に美しい。
命の営みのすべてが凝縮されたような、非常に内容の濃い、充実した演奏だ。
ポリーニのショパン ソナタ第2番 2009年09月11日
ペルルミュテールのショパン ソナタ第2番 2009年08月30日
アシュケナージのショパン ソナタ第2番 2009年08月28日