地を這う虫

2021/11/06
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カテゴリ: オーディオ
ひと月ほど前に届いたモノラル専用MCカートリッジ DENON DL-102をようやくヘッドシェルに装着し聴いてみました。

使用したヘッドシェルは
Audio-Technica MG10 10.0g(純正リード線込み) 

マグネシウム製なので軽量です。
DL-102はメタルボディで重い(13g)ので、軽量タイプのヘッドシェルをDL-102との組み合わせを想定して2~3ヶ月前に新品購入していました。


DL-102
主要規格
形式 ムービングコイル形
出力電圧 - 48 ± 2dB  ※約3mV
(1kHz 50mm/S 水平方向)
インピーダンス 240 Ω± 20%
負荷抵抗 1k Ω以上
周波数特性 50 ~ 10,000Hz ± 2dB
針先形状 0.017mm(0.7 ミル)R 球
針圧 3 ± 1g
自重 13g
 ※取扱説明書からコピペ



出力電圧がMM(Moving Magnet)型のカートリッジと同じくらい高く、昇圧トランスやヘッドアンプを介さずともフォノイコライザーやアンプのMM入力に繋げれば鳴ります、という仕様です。
が、出力インピーダンスが240Ωと一般のカートリッジとは全く異なるハイ・インピーダンス仕様です。このカートリッジは放送局用にDENONが開発したもので、放送局での使用では専用トランスを使う事が前提になっているらしいです。ただ、DENONから民生用機器としてDL-102専用トランスが販売されたことはありません。

「DL-102は昭和36年(1961年)にDENON初の放送局用モノラルMCカートリッジとして、多くの放送局に納入された後に市販されました。 」と某サイトにあるので開発からは既に60年くらい経過している歴史的製品ですな。

DL-102とMG10の組み合わせで23gです。ステレオ用に使っているDL-103(8.5g)とOrtofonのLH-4000(14.3g)は合計22.8gなので、両者はほぼ同じ重量です。



DL-102はモノラル専用カートリッジなので通常は4ピンあるカートリッジの 出力端子が2ピンのみ です。モノラルカートリッジ専用のリード線は市販されていますが高価なので、通常のリード線で接続しています。Audio-Technica製の少し高級?なリード線(今はほぼ完売で入手困難、購入価格は700~800円)では1ピンに2本のリード線を装着することは不可能(端子接続部がきちんと処理されているため)でした。なので、Audio-TechnicaのヘッドシェルMG-10に元から装着されていた細いリード線を使って接続しています。このリード線だと端子部を少し折り曲げることで、1ピンに2本のリード線を挿し込めました。





DENON DL-103に比べてカートリッジの高さが低いので、 厚み1mmのカーボン製スペーサー (ヤフオクで送料込み600円くらいで購入したもの)をヘッドシェルとカートリッジ間に挟んでいます。





取り出しやすい範囲のレコード内にあったモノラル盤は↓

​・Hank Mobley/ Hank Mobley Quitet/ BLUE NOTE 1550 (輸入盤)​
・Lee Konitz /Very Cool/ Verve (国内盤 ポリドール)
・Sonny Stitt/ CADET (国内盤 ビクター音産)
・The Marty Paich Quartet featuring Art Pepper/ TAMPA (国内盤 ビクター音産)

・The Bud Powel Trio/ ROULETTE(国内盤 日本コロンビア)
・Hank Jones / "the trio"/ SAVOY(国内盤 CBS-SONY)
・Thelonious Monk/ The Unique/ RiverSide(国内盤 ビクター音産) 

・An Evening With ANITA O'DAY/ Verve (国内盤 ポリドール)
・Billie Holiday Twelve of Her Greatest Interpretations London (国内盤 キング)


先日レコード収納棚から取りだした10数枚の中にモノラル盤の米国版があったので、とりあえずこれを音源に使って、ステレオ用のDL-103とモノラル専用のDL-102を比較試聴しました。米国版のBLUE NOTEですが「オリジナル盤」では当然ありません。音がそれほど良い盤でもない(笑)
他にもモノラル盤はないかと少し探したら↑のように9枚ほどありました。取り出しやすい範囲だけで探したので、後数十枚くらいはあるとは思います。
あ~~~、モノラル盤だとばかり思いこんでいたものが結構ステレオ盤だったりするので、意外と少ないかもしれません(苦笑)

・Hank Mobley/ Hank Mobley Quitet/ BLUE NOTE 1550 (輸入盤)

2本のトーンアームや2台のレコードプレイヤーを持っていないので、DL-103とDL-102の交換には針圧調整等の時間が必要なので、前に聴いた音(DL-103)と今聴いている音(DL-102)を正しく比較できているかどうかは不明です(笑)
まぁ、印象評価ということで・・・。

リファレンスとしてDL-103 + Phase Tech T-3(昇圧トランス)で先に試聴(A面の頭2曲)しました。

​次に

・「トランスなし  MM入力」A面1曲目試聴
​​​​​​​ ​​
 ※昇圧トランスへの入力ケーブルとトランスからの出力ケーブルを接続アダプターで直結しています。アース線は昇圧トランス経由でアンプに接続されています。
 ・DL-103に比べて低域が緩む、ボンボン鳴る感じ、中域の厚みはあまり感じず
 ・DL-103よりは明らかにレンジが狭く(高域が出ていない)、DL-103に対する優位性を感じられず
 ・DL-103の方が良い


・「トランスあり(Phase Tech T-3)」 A面1曲目
​​ ​​
 ・トランスなしよりは低域が締まる、中域の厚みはそれほど改善されず
 ・DL-103よりは明らかにレンジが狭く(高域が出ていない)、DL-103に対する優位性を感じられず
 ・DL-102は出力電圧が3mVと大きく、T-3の昇圧比ではアンプのMM入力では過大電圧になりクリップする、サチるかもしれないと懸念したが、そういう気配は感じられず。歪感はMM直結時と変化なし
 ・電気工学の知識が薄いのでインピーダンスマッチングの計算ができません。ただ、受け側(トランス)がローインピーダンスなので、ミスマッチングのため昇圧比がトランスの仕様(定格)範囲のインピーダンスのカートリッジとの接続時に比べてかなり小さくなっているのでしょう。ホンマかいな?

DL-103よりは明らかに周波数レンジが狭いのは公称周波数特性からも明らか で、当たり前です。ネット上にあるDL-102のレビュー記事(専門店、アマチュアのオーディアマニア等のブログなど)でよく見かける中域の厚み、ぶっとい音という印象は全く感じられず・・・。

昇圧トランス T-3は
適合カートリッジ出力インピーダンス  1.5Ω~40Ω

なので、DL-102の出力インピーダンス240Ωとは明らかにインピーダンスマッチングがとれていません。ただ、あるオーディオマニアのブログには「アンプのMM直結に比べてT-3を介した方が明らかに低域の厚みが増した、とりあえず当面はT-3を介してDL-102を鳴らそう」てな記事があったんですけどねぇ(笑)
まぁ、このマニアさんは今はT-3ではなく別のハイ・インピーダンス対応の昇圧トランスを使用されていますね。

レコード再生状況

ということで、今のシステムではDL-102本来の性能を発揮できていないように思われます。
なので、ハイ・インピーダンス対応の昇圧トランスの購入を検討しています。購入候補はDENONの技術者が独立して作った会社(Highphonic 多分今は存在しない会社)がDL-102専用に開発したモノラル専用トランス

Highphonic HP-102MX
https://www.audiounion.jp/ct/detail/new/182914/

FR(Fidelity Research この会社も今は存在せず)のFRT-4
https://audio-heritage.jp/FIDELITYRESEARCH/etc/frt-4.html


※インピーダンス切り替えスイッチで100Ωを選択可能。ネット上の情報ではDL-102との相性がかなり良く高音質らしいです。低いインピーダンスでの使用時もかなり高音質らしいです。
販売当時の定価は¥33,500(1973年11月発売)、¥54,000(1978年頃)

とっくの昔に製造中止になっている製品ですからオーディオショップやハードオフの中古品又はヤフオク等での中古品購入しか選択肢はありません。
ただ、このトランスは私のようなDL-102ユーザー(?)に大人気のようで、ヤフオクでは新品価格(1978年価格)よりも高額で落札される場合もあるようです。困ったもんだ。。。


海外のオーディオマニアのブログから拾ったFRT-4のマニュアルからのコピーらしい画像は↓
https://darklanternforowen.wordpress.com/2021/01/01/fidelity-research-frt-4-mc-cartridge-transformer/

これがFRのマニュアルの記載であれば100Ωの欄にカートリッジ名DL-102を記載しているということは、FRの製造業としての真面目な体質(ようしらんけど昔からそういう雰囲気のある会社であった事は事実)から推察すれば、DL-102を使っての試聴、開発を行っていたこと事は充分期待できます。
​なので、DL-102との相性良しというネット上の評判には裏付けがあるように思います。​
​​ ​​








​【Monaural Record List】 2021/11/14 13:45更新​

​​​  ※ 所有レコードを全てチェックした結果 約60枚所有と判明

 ※※ 2021/11/17 19:30修正
記憶では所有しているはずのレコードがジャケットのクリーニング時に確認、現認できていないような気がします。どこかに数十枚程度のレコードが未だあるように強く思います(苦笑)​
自分のベッド下、娘のベッド下を確認したが見当たらず。後はアソコくらいしかないが、なかなか確認するのは難しい(意味不明?)

​​​
・Art Farmer/ Early Art/ Prestige(国内盤 ビクター音産)
・Art Farmer/ When Farmer Met Gryce/ Prestige(国内盤 ビクター音産)
・Art Pepper/ discovery/ discovery(国内盤 CBS-SONY)
・Clifford Brown and Max Roach/ Emarcy(国内盤 日本フォノグラム)
・Clifford Brown and Max Roach/ at the Basin Street/ Emarcy(国内盤 日本フォノグラム)
・Clifford Brown and Max Roach/ Incorporated/ Emarcy(国内盤 日本フォノグラム)
・Clifford Brown and Max Roach/ Study in Brown/ Emarcy(国内盤 日本フォノグラム)
・Clifford Brown/ Paris Collection vol.3/ Vogue(国内盤 東宝レコード)
・Charlie Parker on DIAL vol.4~vol.6/ Dial(Stateside) (国内盤 東芝EMI)
・Charlie Parker on SAVOY vol.1~vol.4/ Savoy/(国内盤 CBS-SONY)
・Dizzy Gillespie/ For Musicians Only/ Verve(国内盤 ポリドール)
・Dizzy Gillespie/ the Modern Jazz Sextet/ Verve(国内盤 ポリドール)
・Hank Mobley/ Hank Mobley Quitet/ BLUE NOTE 1550 (輸入盤)
・J.J.Johnson/ Blue Trombone/ CBS (国内盤 CBS-SONY)
・Johnny Griffin/ The Congregation/ Blue Note(国内盤 東芝EMI) 
・J.R.Monterose/ J.R.Monterose/ Blue Note (国内盤 東芝EMI)
・Lee Konitz / in Harvard Square/ Storyville (国内盤 トリオ)
・Lee Morgan/ Candy/ Blue Note (国内盤 東芝EMI)
・Lee Konitz / Very Cool/ Verve (国内盤 ポリドール)
・Miles Davis/ at Carnegie Hall/ CBS (国内盤 CBS-SONY)
・Miles Davis/ Dig/ Prestige(国内盤 東芝EMI)
・Miles Davis/ Walkin'/ Prestige(国内盤 東芝EMI)
・Miles Davis/ and the Modern Jazz Giants/ Prestige(国内盤 東芝EMI)
・Miles Davis/ Collecters' Item/ Prestige(国内盤 東芝EMI)
・Miles Davis/ Bags Groove/ Prestige(国内盤 東芝EMI)
・Miles Davis/ Cookin'/ Prestige(国内盤 東芝EMI)
・Miles Davis/ Workin'/ Prestige(国内盤 東芝EMI)
  ※上記7枚のPrestige(東芝EMI盤)はレーベルにはMonaural/Stereoの記載なしですが、聴いた結果はMonauralのようだ(Dig のみ試聴) オリジナル盤はMonauralなので、東芝EMIが当時Stero盤をリリースする可能性は極めて低い
・Phil Woods/ Woodlore/ Prestige(国内盤 ビクター音産)
・Sonny Stitt/ CADET (国内盤 ビクター音産)
・Sonny Rollins/ a night at the"Villege Vanguard"/ Blue Note(国内盤 キング)
・Sony Stitt Sonny Stitt Sonny Stitt Sonny Stitt Sonny Stitt/ Roost (国内盤 日本コロンビア)
・Sonny Stitt with Bud Powell /with J.J.Johnson/ Prestige(国内盤 東芝EMI)
   ※レーベルにはMonaural/Stereoの記載なし
・Sony Stitt/ with the New Yorkers/ Roost(国内版 日本コロンビア)
・Thad Jones/ The Magnificent/ Blue Note(輸入盤)
・Zoot Sims/ The Modern Art/ Dawn(国内版 日本コロンビア)


・Billy Taylor/ at the London House/ ABC(国内盤 日本コロンビア)
・Bud Powell/Swingin' with BUD/ Roost(国内盤 ビクター音産)
・The Bud Powel Trio/ ROULETTE(国内盤 日本コロンビア)
・Bud Powell/ the Genius of Bud Powell/ Verve(国内盤 ポリドール)
・Bud Powell/ blues in the closet/ Verve(国内盤 ポリドール)
・Claude Williamson/ 'Round Midnight/ Bethlehem(国内盤 CBS-SONY)
・Dave Mckenna/ Solo Piano/ abc(国内盤 日本コロンビア)
・Dave Mckenna/ The Piano Scnene of Dave Mckenna/ Epic(国内盤 CBS-SONY)
・Hank Jones/  "the trio"/ SAVOY(国内盤 CBS-SONY)
・Horace Silver/and the Jazz Messengers/ Blue Note(輸入盤)
・kenny drew trio/ Verve(国内盤 ビクター音産)
・Ray Bryant/ Ray Bryant Trio/ Prestige(国内盤 ビクター音産)
・Red Garland / at the PRELUDE/ Prestige(国内盤 ビクター音産)
・Thelonious Monk/ GNP Crescendo (輸入盤)
・Thelonious Monk/ The Unique/ RiverSide(国内盤 ビクター音産) 
・The Marty Paich Quartet featuring Art Pepper/ TAMPA(国内盤 ビクター音産)


・Anita O'day/ An Evening With ANITA O'DAY/ Verve(国内盤 ポリドール)
・Anita O'day/ ANITA/ Verve(国内盤 ポリドール)
・Anita O'day/ ANITA SINGS THE MOST/ Verve(国内盤 ポリドール)
・Anita O'day/ pick yourself up with anita o'day/ Verve(国内盤 ポリドール)
・Billie Holiday Twelve of Her Greatest Interpretations/ London(国内盤 キング)
・Billie Holiday/ The Billie Holiday Story(3枚組 日本編集)/ MCA(国内盤 ビクター音産)
・Chris Connor/ This is Chris/ Bethelehem(国内盤 日本コロンビア)
・Lambert Hendricks & Ross/ Sing A Song Of Basie/ abc(日本コロンビア)
・Sarah Vaughan/ with Clifford Brown/ Emarcy(国内盤 日本フォノグラム)






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Last updated  2022/04/04 02:19:52 PM
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tckyn3707 @ Re:自由民主党総裁選候補者の推薦人リスト(09/13) おばんです。 斉藤慶子ちゃん北海道弁で…
ケルンコンサート @ Re[1]:長崎オランダ坂の思い出(09/05) alex99さんへ レス原稿書きますた😅😓🙂 …
ケルンコンサート @ Re[1]:長崎オランダ坂の思い出(09/05) alex99さんへ 後ほど、alex99さんのとこ…
alex99 @ Re:長崎オランダ坂の思い出(09/05) ケルンコンサートさんへ 遅いコメントで…

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