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2006年03月18日
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監督 : ソン・ヘソン
出演 : ソル・ギョング 中谷美紀 藤竜也

ソル・ギョングが主演なのでやはり観る事にした。さすがである。顔は似ていないのに、後半は力道山そのままに見える。肩をいからす仕草。ひきつる様な笑い方。

この作品は2005年の作品である。しかも、90%は日本語でつくられた韓国作品である。それなのに、なぜ去年上映されなかったのか。答えは簡単で、日韓友情年を見越して作られたのに、去年がああいうことになったからだ。そのせいか、韓国ではあまりヒットしなかった。日本では上映が遅れた。しかしそんな作品ではない。

力道山は戦前日本に相撲をするためにやってくる。そこで待っていたのは、相撲部屋における朝鮮人への徹底的な「いじめ」であった。しかし力道山も負けてはいない。タニマチの親分(藤竜也)を味方につけ、綺麗な日本人妻を貰い(中谷美紀)戦前戦後にかけて関脇から大関をねらえるまで成長する。しかし、民族の壁は大関を拒む。そこでインターナショナルなスポーツ、プロレスに転向するのである。力道山の生きる道は、最初のプロレス中継、シャープ兄弟との対決で決定される。私は生まれていなかったが、映画でこの対決を見て、「日本人として」アメリカ人にやられそうになった日本人チームが劇的に相手を倒す展開に思わず血沸き肉踊った。駅前の街頭テレビ前のものすごい人だかりの場面があり、韓国のW杯でのソウル前をイメージして大げさな描写かと思いきや、写真を見ると実際にそのくらい集まっていたみたいだ。彼が引っ込みがつかなくなるのも分かる。彼が日本人としての勝利に異常にこだわったのも分かる。例えばWBCで、もしイチローが本当は韓国人だったとしたら、イチローはもう引っ込みがつかなくなるだろう。(明日はガンバローぜ)

この映画の10%はソル・ギョングが同郷の友人にのびのびと韓国語を話す。そこに彼の本音があるのだ、という構成である。「朝鮮人だからといって、差別されたくない。笑いたい。そのためには力が欲しい。」と力道山は言う。
コリアレポート 編集長の辺真一さんの講演 を聞いたとき、野球の張本から聞いたといって、こういうこぼれ話を紹介してくれた。「力道山は彼を可愛がった。在日だからね。よく家に招待したらしい。(映画にある豪邸でしょうね)ある日、誰も入らせない、防音の部屋を見せてもらった。そこには豪華なオーディオ機器があるだけ。そしてそこにはアリラン等韓国の歌しかなかった。力道山は日本の英雄だといわれ、それにこだわったけれども、家に帰るとそうやって部屋に籠もりかろうじて精神の均衡を保っていたのだと思う。」残念ながらこの場面は映画にはなかった。しかし映画はまさにそのことを描いたのだと思う。そこには自分の複雑な気持ちを言葉ではなくプロレスでしか表現できない「渡来人」の悲しみがある。

力道山と藤達也と中谷美紀は最後には喧嘩別れをするが、しかしそれは本心からではない。山本太郎扮するチンピラが力道山を刺すのも、山本は力道山のファンで単なる偶然である。(ここの事実関係は違う可能性のほうが大きいだろう)最後の場面はもっとも幸せだった時のソル・ギョングと中谷美紀のツーショットである。ここにこの映画の願いがある。





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最終更新日  2006年03月18日 09時51分31秒
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