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2006年12月17日
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カテゴリ: 教育基本法
今起こっている問題の核心をたどっていくと、半分以上は財政問題に突き当たる。ところが私を含めて数字が出てくると、とたんに尻込みをする人が多くて、ブログ界でもなかなかメスを入れることができていないと思う。

教育基本法が参議院で粛々と可決されていたそのとき、私は山家悠紀夫氏の「『骨太方針』にみる財政問題」の学習会(社保協主催)に参加していた。財政問題を大局的見地から、経済的素地のない私でもわかるように説明してくれた。いくつか目が覚めるような部分があった。

そのエッセンスだけでも紹介したいのだが、私の力量では難しい。まあ、自分用のメモとしてここに書いておこうと思う。

以下講演内容
小泉の『構造改革』と世間の『構造改革』、最初から最後まで世間はこれを誤解し、小泉はそれを利用した。

小泉の言う『構造改革』とは、「企業が儲かるような経済構造に日本経済を変えていくこと」であった。

96年橋本内閣で一度取り組んだが、挫折した。小泉で再出発をする。 彼は『成長分野』の企業は育て、『停滞分野』の企業を整理すれば、日本経済はよくなると主張した。 具体的には以下の政策を実行した。
1.企業が儲け、強い企業は育つように、規制を緩和した。例えば労働分野では、労働基準法を変えたり、派遣法の規制もはずした。
2.企業の儲けの部分が増えるように、『小さな政府』を唱えた。例えば、医療保険を縮小して、民間保険に移るのを促進した。
3.政府の力で、成長分野を支援・育成した。
4.政府が圧力をかけて、停滞分野を除去した。

結果はどうなったか。
2000年度(小泉内閣発足前)と2005年度(小泉内閣5年目)を比較しよう。
国内総生産は504兆から503兆で、2000年度比-1兆である。
国民所得は372兆から361兆。-11兆。(この10兆はどこへ?)
雇用者数は4972万人から5007万人。正社員は302万人減り、非正社員は337万人増えた。
正社員の平均年収は461万円から437万円に減った。
法人企業の資本金一億以上の経常利益は11兆円増えた。
法人企業の人件費は203兆から197兆(-6兆)。
役員賞与は1.9倍。配当金は2.6倍。内部留保は3.3倍。
つまり、 大企業はぼろ儲けをし、所得格差は開き、貧乏人はますます貧乏になっていった。

確かに政府の財政赤字は538兆円ある。しかしこれは国家破産を意味しない。 なぜなら日本は世界一の資金余剰国だからである。日本には金融資産が1433兆円ある。(つまり郵便貯金などですね)このため、結局、対外純資産残高が185兆もあるのだ。これは世界一なのだ。ちなみに、スイスは50兆。香港42兆。ドイツ18兆。フランス14兆。ロシア-8000億。イタリア-9兆。カナダ-16兆。英国-18兆。米国-283兆である。財務省も当然承知している。だから財政赤字をゼロにしようなどとはゆめゆめ思ってはいない。2011年まで財政収支を黒字化にしたい、というのが彼らの目論見である。つまり、歳出の抑制で11.4兆~11.3兆減らし、歳入の増加で5.1兆~2.2兆増やす。それで16.5兆浮けば安定する。これ自体はいいだろうと思う。しかし、方法がよくない。『小さな政府』で減らし、消費税と所得税の増税で増やそうというのである。

『小さな政府』というけれど、日本はすでに小さな政府である。
人口1000人あたりの公務員数を比べてみよう。日本は35.1人。英国は73人。フランスは96.3人。ドイツは58.4人。米国は80.6人である。
対GDP比の政府支出。日本38.1%。英国41.8%。フランス53.4%。ドイツ48.7%。
そのうち保険・社会保障関係。日本20.4%。英国23.2%。フランス29.0%。ドイツ29.0%。病気診療三割負担と原則ただの欧米との違いが出ている。
文化・教育関係。日本4.7%。英国5.8%。フランス6.8%。ドイツ4.9%。20人学級の国との違い。
経済・公共関係だけは多い。日本7.8%。英国3.6%。フランス7.0%。ドイツ5.8%。つまり公共工事とかはもっと削れるはずだ。

2006年骨太の方針の『小さな政府』 はどうなっているのか。
雇用保険への政府負担の廃止、介護保険、医療保険の見直し。公務員の削減、給料引き下げ。教職員定数の子供の数に応じた削減。奨学金の回収強化、貸付上限金利の引き上げ。
一方、公共事業費、軍事には甘い。公共事業を06年18.8兆円から11年度16.1兆~17.8兆にする。おいおい、1兆しか削らないのかよ。軍事は伸び率ゼロにする。米軍再編に要する経費は別枠である。つまり3兆円はほいほいと出す。

企業減税1兆円をする、とこの前発表されたばかりである。なぜ下げる必要があるのか。必ず出てくる説明に『国際競争力に負けるから』というのがある。しかし『負けてもたいしたことはないのである。』日本は10数年間ずっと国際収支で世界一を続けている。内部留保を溜め込んでいる企業に、少しばかりそれを吐き出させても痛くも痒くもないのだ。

それよりか、消費税、所得税の増税が問題である。消費税の害悪については、省略。最悪の選択であるということだけ言っておく。

所得税についても、現在高所得者に優しく、低所得者に厳しい税になっている 。1986年、約8800万円以上の所得者には70%、2500万以上には55%、1400万以上には40%、757万以上には25%の所得税がかかっていて、その他15段階に細かく決まっていた。今は四段階である。787万以上は20%、1430万以上は30%、2380万以上はいくら儲けてもたった37%である。一方課税最低限は日本が一番厳しい。ここは改善してもいいだろう。

財政赤字にどう対処すればいいのか。 まずは景気を本当によくする必要がある。家計所得の増加のためにいろんな手立てをかけるべきだ。医療費、社会保障費はむしろ増えて当然である。最大の無駄は5兆円の軍事費だ。外交さえうまく行けば、軍事費なんてそもそも必要ないのである。公共費の無駄も切り詰める必要がある。大企業増税も必要だ。大企業にはその負担能力が十分にある。その上でなお足りなければ、所得税の増税も、高額所得者中心に必要だろう。

以上、私のメモである。






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最終更新日  2006年12月17日 13時26分46秒
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