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2010年07月20日
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カテゴリ: 邦画(09~)
あらすじ
19歳の孫娘・春と、北海道の漁村・増毛で暮らす74歳の忠男。かつて漁師だった忠男は、妻と春の母である一人娘にも先立たれ、兄弟たちとも疎遠になっていた。しかし、春が勤めていた小学校が廃校になり、春は都会へ出たいと言う。そこで、忠男は兄弟たちの家に居候するために、春とともに兄弟たちの家を訪ねて行くことにする。最初に訪れた長兄・重男は、忠男の申し出を拒んだ。実は、重男は老人ホームへの入居が決まっていた…。(goo映画より)


何もかも分かって姉は云う。神妙に頷く忠男。
「分かっていないんだよ、もう一回云うよ…」

監督・原作・脚本 : 小林政広
出演 : 仲代達矢 、 徳永えり 、 大滝秀治 、 菅井きん 、 小林薫 、 田中裕子 、 淡島千景 、 柄本明 、 美保純 、 戸田菜穂 、 香川照之

昔の若いころのニシン漁が忘れられない、小学校しか出ていない、おそらく周りに色々と迷惑もかけただろう、漁一筋で生きてきた男。仲代達矢は思えば、昔から無頼派の男ばかりを演じてきた。知識人であっても、スマートに事を運ぶことを知らない、一匹狼が多かった。その名優が、「150本の出演作中、5本の指に入る脚本」といって出演した本作はまさに今まで仲代が丸裸のまま演じたかのように134分最初から最後まで出ずっぱりで、一身に男の「老い」を演じて見せた。

思いもかけず、ロードムービーである。増毛、気仙沼、鳴子、仙台、北海道静内。それぞれ、老いを迎えつつある日本の家族の、いい所も悪いところも、裸のままで見せようとする監督の姿勢に共感を覚える。

この映画の射程は長い。日本の老いを見つめようとするとき、何度でも顧みられるべき作品だと思う。

足の悪い忠男を見て育ったせいか、いつもがに股で歩く19歳の孫娘を演じた徳永えりは総じてがんばってはいた。ところどころ、粗は目に付いた。周りの俳優がすごいのだから仕方ないかもしれないが、残念である。ただし、最初どこにでも居る田舎娘に見えた彼女が、人と真剣に相対した時に大きな目でみせる表情には、どきりとするものがあった。脚本的には最後のシーンは、気持ちは分かるし、早かれ遅かれあの結果になったとは思うが、しかし取ってつけたような終わりかたであり、この作品の品格を落としたような気がする。

息子たちが言うがままに今度老人ホームに二人して入るのだという大滝秀治と菅井きんの夫婦、生活に疲れた食堂のおばさんが実に似合っている田中裕子、一番のしっかり者で苦労人、時折淋しさも滲ます淡島千景、不動産の失敗で隠遁生活をしているが意地を張り通す柄本明と美保純の夫婦、泣き崩れる娘を躊躇いながらもしっかりと抱きしめる香川照之、それぞれがワンシーンながらも印象深いシーンを見せてくれてなかなか良かった。

01春との旅.jpg
人は人に
寄り添って生きていく。
良いときも、
悪い時も―。





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最終更新日  2010年07月20日 09時55分00秒
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