いつもお世話になっているKガイドと私の共通する趣味は本・映画・音楽である。Kガイドはアルパインルートや他のガイドが行かないワイルドなルートをテント泊スタイルでガイドする人であるが、趣味は文系なのが意外である。山に移動する車の中でこれら各分野の話で盛り上がる。唐沢幕岩に行った9月末、私は「蜜蜂と遠雷」Kガイドは「ALONE ON THE WALL」を持参してそれぞれ交換した。 ヘブン(5.12)をフリーソロするアレックス・オノルド 撮影 ジミー・チン 早速「ALONE ON THE WALL」を読んだ。この本はフリークライマーのアレックス・オノルド本人のフリーソロの登攀記録とディヴィッド・ロバーツというクライマーの説明文(?)の二つが交互に出てくる珍しい形で構成されている。ムーンライト・バットレスのフリーソロから始まる彼の単独登攀はヨセミテ・トリプルやスピード記録、更にはアラスカとセンデロ・ルミノソやフィッツ・ロイと世界へと大発展している。この本には彼のクライミングに対する純粋かつ用意周到さや世界各地での冒険はもとよりガールフレンドとの葛藤や家族など様々な面も語られていて大変興味深かった。