まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2022.01.05
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あらためて人種や民族の問題が浮き彫りになりました。
黒人、ミクマク族、アカディア人。

そして、アンの出自。

シーズン3の第1話では、
ダイアナがイングランド系だと明かされたのですが、
今回は、アンがスコットランド系だと分かりました。



まずは、黒人問題。

母を亡くした黒人の赤ちゃんは前途多難です…。
バッシュは男手ひとつで育てられるでしょうか?

マリラが育児を手伝うのも困難です。
ただでさえ、彼女には子育ての経験がないし、
アヴォンリーの人々の多くは、黒人に対して差別的です。

メアリーの葬儀には、
ボグ地区の女性たちや黒人牧師が集まりました。
やはり黒人のコミュニティを頼るしかないのかなあ…。

凧を見上げる黒人の赤ちゃんは可愛かったです。



一方、先住民の寄宿学校では、
外部からの訪問者を排除して、生徒たちを隔離しています。

カクウェットは、
髪を短く刈られ、粗末な制服を着せられ、
母語を禁じられ、英語の名前を与えられ、
逆らえば、カトリックの修道女から体罰を加えられる。

ちなみに、
先住民への同化政策を推進したのは保守党の初代カナダ首相です。

原作では、
マリラが保守党支持者、リンド夫人が自由党支持者ですが、
この作品ではリンド夫人が先住民への教育政策に加担しています。
むしろ本人は善意のつもりなのかもしれません。

一方のマリラは、
先住民に恐怖心を抱いていて、アンの考えとは相容れません。

やはり人種問題は厄介だし、
アヴォンリーのような村では、
なるべく関わらないほうが穏やかに暮らせるのでしょうね…。



そんなかで、
ダイアナがアカディア人の集落に乗り込んだのは驚き!
ジェリーは住み込みじゃなくて、
アカディア人の集落からグリーンゲイブルズへ通っていたんですねえ。

アカディア人の雰囲気が分かったのは今回の収穫。
フランス系とはいえ、だいぶ粗野な雰囲気ですが…(笑)
集落の子供たちは、英語が話せないようです。

そんななかで、
ジェリーは、例外的に英語が話せます。
カクウェットがそうであるように、
ジェリーも当時としては広い視野をもった若者なのですね。



ちなみに、アカディア人は、
北米大陸へ最初に入植したフランス系移民です。
英国系のピルグリム・ファーザーズよりも10年以上早く入植しています。

彼らが入植した土地は、
当初、ギリシャ語由来の「アカディア =理想郷 」の名で呼ばれました。
本来のギリシャ語は「アルカディア」ですね。(ただし、ミクマク語由来説もあるそうです)
アカディア人の呼び名は、そこから来ています。
しかし、彼らの土地アカディアは、
スコットランド系移民に奪われて「ノバスコシア =新スコットランド 」と名を変えます。

もともとフランス人はミクマク族と同盟関係にあったので、
アカディアへの入植の際も、ミクマク族の協力があったようです。
18世紀のフレンチ・インディアン戦争のときも、
アカディア人の英雄ジョゼフ・ブルッサールは、ミクマク族と共闘しています。
その意味で、ジェリーの先祖とカクウェットの先祖は仲間どうしです。

しかし、この戦いの過程で、
多くのアカディア人は現在の米国南部などへ移住させられました。
いまなお彼らは、
ルイジアナ~テキサス州などで「ケイジャン (アケイディアンの訛り) 」と呼ばれています。
ちなみに歌手のビヨンセは、ジョゼフ・ブルッサールの子孫だそうです!

ジェリーの一家は、
そんなアカディア人の生き残りだったのですね。



さて、
ノバスコシアの州都ハリファックスには、
アンの両親の出自について記録している教会がありました。
そこで、アンの両親はスコットランド出身だと分かった。

つまり、アンの両親は、
スコットランド人がアカディア人を駆逐したノバスコシアへ、
19世紀以降に入植した人たちなのです。

そのハリファックスの町は、
いまや先住民の同化政策の拠点になっています。

やはりノバスコシアは戦いの歴史をとどめた場所であって、
アンやダイアナの出自も、それと無縁ではないのですよね。
17世紀以降、スコットランド人やイングランド人は、
アカディア人や先住民を相手に殺し合いをしてきたのだから。

それどころか、
⇒ 前にも書いたように、
14世紀の英国史にまで遡れば、
イングランド人とスコットランド人も戦っていました。
つまり、ダイアナの先祖とアンの先祖でさえ、かつては敵どうしでした。

イングランド系のダイアナと、スコットランド系のアンが仲良くなり、
(イングランド系の?)ギルバートと、アフリカ系のバッシュが仲良くなり、
イングランド系のダイアナと、アカディア人のジェリーが仲良くなり、
スコットランド系のアンと、ミクマク族のカクウェットが仲良くなる…


そういう物語になっています。





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最終更新日  2022.01.07 08:04:20
[アンという名の少女の感想・あらすじネタバレ。] カテゴリの最新記事


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