停電＆ closure

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August 1, 2008

テーマ：海外生活(7776)

カテゴリ：マラウイの生活

マラウイは、電気の供給が安定していません。
私は、電気の使える家で暮らしていますが、
教員住宅の敷地を出れば、電気の通っていない家に
暮らす村人たちも多いです。

特に乾季には、週に数回、計画停電が行われます。
夕方の６時頃から１時間程度が最も多いのですが、
２時間くらい続くこともありますし、
明け方、１～２時間のこともあります。

計画停電のお知らせは、新聞広告に載せられていますが、
村では、日刊新聞も手に入りませんし、
広告とは日時がずれることもあります。

計画された以外の停電も、頻繁にあります。
ここまでひどかったのは、１度だけですが・・・

というわけで、停電になったら、
復旧をひたすら待つしかありません。

日本の大学で修士号を得たマラウイアンが、
「日本で30ヶ月暮らしたけど、停電は一度もなかった」
と、おっしゃっていました。
マラウイでは30ヶ月、どころか30日さえも、
停電なしにすごすことはできないね、とその人と笑ったのですが。

昨夜は、夕方４時過ぎから真夜中まで、停電でした。
久しぶりに、ろうそくの下でシャワーし、七輪で調理をしました。

一昨日の夕方も２時間ほど停電だったため、
7/30/水曜に書いた日記を、今日やっと更新することができます。

昨日はお昼寝をしたせいか、コーヒーを飲みすぎたのか、
深夜、ベッドに入ったものの、なんだか眠れず、
再び起き出し、結局、５時過ぎまで起きていました。

明け方、急に、変な緊張感に捉われ、
なんだか怖くなって、久しぶりに実家に電話をしました。
日本から７時間遅れのため、日本はすでに正午すぎ。

実家も、特に変わったこともないと聞き、
少しほっとして、床に就きました。

朝８時過ぎ、学校へ向かう途中、
うちから道を２本はさんだ向かいのお宅の庭で、
男性と女性が、それぞれ十数人くらいずつの円陣を組み、
無言で、ただ座ってはりました。

そのお宅に住む、妊娠中の小学校の先生が、病院で亡くなったそうです。
初産で、手術が必要だったものの、それがうまくいかず、
でも赤ちゃんは無事だったとのこと。

明け方の緊張感は、彼女が自宅に帰ってきたのを感じたのでしょうか？
単に寝不足のためかもしれませんが、
今までの徹夜では、味わったことのない感触でした。
この時やひめゆりの塔、沖縄平和祈念館を
　訪れた時の感触に近かったです。

経営学者、飯田史彦さんの著書『生きがいの創造』（PHP文庫、1999）によれば、
私たちは、魂の成長のために、何度も生まれ変わっているそうなので、
死を迎えるのは、今世、自分に課した課題を終えた時でもあるのでしょう。

とは言え、死別はつらいです。

私の配属先の人たちも、何人かその円陣に加わり、座ってはりました。
お葬式の準備や、こうして死者を悼むため、仕事や通常業務が滞ってしまうのは、
効率優先の先進国の論理からすれば、非生産的とも言えるかもしれません。

数年前、バリで見た、火葬を思い出しました。
火葬のための“はりぼて”を作る時間―それは、遺された家族が、
死を受け入れるための時間でもあるかもしれないと思ったこと・・・

日本では、あれよあれよという間に、葬儀屋さんが手配してくださって、
哀しみに浸る間もなく、お骨になっていますものね。

死者を悼み、別れを受け入れ、立ち上がるまで、
遺された者たちの心を癒す時間も必要だと思うのです。

だって、私たち、人間だもの。
哀しみをたやすく乗り越えられる、強い人ばかりじゃないと思う・・・

バリやマラウイには、死者を悼む、時間のゆとりがあります。

それを「未開」と表現できるのかもしれないけど、
私は、数値化できない、豊かさだと思うし、
文明、金主主義へとひた走るなか、
私たち日本人が、どこかに置き忘れてきたものかもしれません。

表題、closureには、
「最終的な心の整理：身近な人の死や失恋した人などが
　最終的にその事実を受け入れて、
　それまでの悲しみの状態に終止符を打つこと」
という意味もあるのだそうです。
（『プログレッシブ英和中辞典　第４版』小学館、2003）