● 冬の味覚の王者、越前がに |
ズワイガニの仲間もそうですが、「越前がに」は卵からふ化した後、幼生は海面に浮上して約3ヶ月のプランクトン生活を始めるそうです。その期間に3回脱皮し、そして4回目の脱皮で海底生活に入ります。それから雌ガニは10回まで、雄ガニは12回までそれぞれ脱皮するのですが、いずれも、海底生活に入ってから11回目脱皮の頃には漁獲してもよい親の大きさになっているようです。また雌雄とも、ふ化してから親の大きさになるまでに10年かかるといわれ、その後何年か生きることから寿命は約20年と考えられているようです。
ところで、「越前がに」の漁獲高は昭和39年(1964)の1091tをピークに減り続け、昭和54年(1979)には210tとピーク時の5分の1に激減しましたが、その後、福井県がカニを保護するための漁礁を設けたり、漁獲の自主規制したことが功を奏し、平成5~6年(1993~1994)には400tを超え、最近では500tに回復しています。しかし、いずれ再び漁獲高が減少するのではないでしょうか。国内では北海道周辺で雌ガニの漁獲が禁止されているものの、市場には結構多くの雌ガニが出回っているようですし、一方では、雌雄とも漁獲されてもよい大きさになるまでに10年も要するのですから、せめて感謝して味わいたいものですね。何もカニだけの話ではないのですが…。
カニを買う時のポイント
カニを買う時のポイントは、小さくても重いものを選ぶ。重みがあるカニは肉が多く美味しいといわれています。また、鮮やかな赤み、艶があり、腹部分を指で押さえてみてより硬いカニを選ぶ。持った時に体液が出るものや、不快な臭いがするものは避けたほういいといわれています。さらに、カニ鍋や焼きガニに使うのでなければゆでたカニを買ったほうが美味しく食べられるといわれています。それだけカニのゆで方は難しいようです。
福井県沖で漁獲された大きな雄ガニは、「越前がに」のブランドで市場に出回りますが、これには福井県内漁港で水揚げされたことを示す標識表「黄色いタック」が付けられています。また、福井県沖で漁獲された雌がに「セイコ」は、もはや最終脱皮を終えた親ガニだけなので、肉質などの心配はないといわれています。
ところで、冷凍されたカニは一般的に輸入物とみられているようです。それは、カニが冷凍されると本来の味を失うため、国内産カニが冷凍されることはまずないと考えられているからです。ただ、生きたカニの輸入物はほぼ一年中入ってくるようですが、生きて輸入されたカニと、国内で水揚げされたカニを区別することは難しいといわれています。