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昨夜は星がウォーキングのお供をしてくれました。 最初、煌めいていたひとつの星。 歩いているうちにあっちに、こっちに★を見つけ・・・うれしくなりました~ きれいな月も、秋の虫のコーラスも、頬に触れる夜風も心地いいしたった30分だけれど、時々歩くっていいことばかり。 朝はきっと、異なる五感が刺激されるんだろうな。 TVドラマはあまり観ない方なんだけど、秋の新ドラはなかなか。 ウィルス・テロを取りあげたもの ~ そういう時代が来るかもしれない緊迫感平凡な暮らしに突然やってくる「ささやかなスキャンダル」 ~ ずっと若い子が主役のドラマづくしだったから、かなり楽しみです。 けれど、あんな美人ばかり登場すると、リアル感は? 今夜からチェック マッタリ余裕もいい。 ドキドキ刺激もいい。 メリハリもいい。 でも、平凡がいい。 今日、食べるものがあって 必要なときに使えるだけのお金があって 家族の健康と笑顔があって 自然と触れ合える感動があれば・・・ね? photo by鬼姫太郎さん
2008/10/19
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年間を通して、睡眠のリズムがあって今頃から冬は4時頃に目が覚めるんです。 暗闇で新聞、いいニュースがない。週末はこちらも新聞もチェック(笑) 走る姿は爽快です。 体内時計は時々体調を悪戯に玩ぶ・・・もっと寝たいのに、未だ暗いのに 宇宙時計も自然の不調に戸惑っているのかな、最近。 こんなものを作って朝陽を待っています。 職場の仲間の娘さん(三歳)の大好きなお人形の洋服。 リズムと言えば、最近ダンスをしていて「ドラム叩きたいな~!」と思うんす。好きなライブ(大好きなbass-ウーマンTosikoちゃん)にも暫く行ってないな。、踊ってて身体がドラム音を拾うんです。 だから振り付けをミスるんですよ~ 両手足が自然とウズク(笑)「歳を考えましょう!」と言い聞かせ そう!先月、子宮癌の手術をした友達はとても順調な回復振り。彼女が撮った空の写真を見て、とてもうれしくなりました~ 病を含め、人生に起きる事は心の持ち方次第ですね!「希望と幸福が貴女を手離さない! 」そう思いました。 秋の夜長、半身浴をしながら読書。 岡山県から届いた本の数々は昭和40年代の作品もあり、当時の臭いが心地よい時勢と郷愁を呼ぶ。 鬼才の文面と想像&展開、ラストに托すものが心に沁みます。 季節の変わり目。 健康のリズム管理をしましょう
2008/10/15
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「柴田君、シラタキばっかり食べてない?」 箸を口元で止めた朋子の首の傾げ具合や,まっさらな瞳、澄んだ声に僕は弱い。 きっと裕介も・・・僕は唇の端にタバコを咥えた裕介にふと目を向けた。「肉、喰えよなあ。 すきやきだぜ! おっ! 朋子、卵使わないのか? 」「うん。 温めてヒヨコに孵す」「朋子が言うと、マジに卵が孵りそうだ」「いい? 御呪いよ。 せーの!ほらっ!」 朋子が小鉢の上で両手を開くと、裕介が身を乗り出した。「・・・んなわけねえな! 」 辺りを見渡し、気まずそうにタバコをしまった裕介は、塗り壁に寄りかかり、大きな溜め息を付いている。 どんな格好をして絵になってしまう祐介が朋子の視界にいる。僕は残りのビールを一気に飲んだ。「ああ・・・喰った!」 掘りごたつの下で時々触れる朋子の足を避けながら、僕はテーブルの隅に寄っていた。「んで施設の誕生日会ってどんなことすんの? 」「ホールに集まってケーキを食べて、歌を歌って、プレゼントを渡すのよ」「ケーキ食べさせてくれるんだろ? 何が何だかわからねえ俺の祖母ちゃんのも参加か? 」「わ、わかるんじゃないかな? 楽しい事は・・・」「でもないの。 現実、笑顔の人は一握り。 施設内ではちょっとしたいじめもあってね」「高齢者虐待?」「ね? わかるでしょ、柴田君・・・」 朋子は遠い昔を思うような美しい目をして僕に問いかけた。 僕は彼女の視線を避け、入れ替わり立かわり人声のする店の入口をぼんやり見つめていた。 もう古くなった机の引き出しに、介護実習に行った施設で撮った写真がある。僕も朋子もエプロンをして、孤独で自由であらねばならない老人と肩を寄せて微笑んでいる。社会生活不適合、吃音によるハンデー、高齢者とコミニケーション不可能・・・そんな現実を目の当たりにした日、写真はポトスタンドから外された。 隅においやられた数枚の写真に、僕は暫く触れていない。「ね、裕介君の夢は何?」「肉、喰う事」 祐介が疎外感を隠すようにおちゃらけ、不自然に俯いた。「私はね・・・」 僕等は同時に朋子を見た。「母がやってるジョブコーチの勉強してみようと思う」「知的障害者やいろんな事情で仕事につけない人を応援するって、アレか? すげえなあ、親子で。 俺は基本的に自分のことで精一杯だっ」「ううん、裕介君そのものが夢の中にいるようよ。 ふふっ! 羨ましい」 「マジかよ、俺って夢か? がははっ! 」「そう、夢の輪郭。トラックもね」「僕は! 」「・・・ん? 」「日本中の、さ、さ、桜巡りをしたい。 だ、だけど・・・」「おう! 柴田、出たか桜! いいぜいいぜ! 」「ふふっ、らしいらしい!」「小岩井農場の一本桜は最高だぜえ、今年でも叶うぜ」「だ、だけど・・・」「だけど?」「金、貯めないと・・・家にも迷惑かけてるし」「柴田君は生真面目。 誰も迷惑って思ってないんじゃないかな。 家族ってそうでしょ? 」「そうかな・・・」「俺、俺さあ! 」 裕介の突飛な声に、きれいに繋がった僕と朋子の視線がプツンと切れた。「靴職人っていいなって思うんだ・・・」「靴? ピンと来ないな、私」「デ、デザインの方? 作る方じゃないよね? 」 僕は真っ直ぐ祐介を見て訊ねた。 「わかんねぇ」 偶然とは言え、僕はちょっと驚いた。朋子と祐介の出会いといい、今、三人で鍋を囲んでいることも、ヤンチャな祐介が語った夢も・・・胸の奥の深い部分で、白髪交じりの父の体臭と「小屋」に立ち込める革靴の臭いが広がった。 白い霧の中で、何かが僕らを動かしている。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ダンスのリハが明後日夕方からあるので、今日のレッスンは21時半までビッシリ!衣装やポジションを決め、いよいよ緊迫した空気が流れ・・・毎度のこと。これがピリ辛らっきょうのように、刺激と甘さを私にくれる(笑) 他にないし 話は変わって職場で月一、勉強会とミーティングがある。 先日のミーティングで、ベテランナース&ベテラン事務と、新米の私(物療)と受付&看護助士の同期仲良し4人組の意見(ちょっとした言い合い)が飛び交った。 院長、副院長は真剣。 今の若い子ははっきりものを言う。 裏でうだうだ言うより遥かにいい。私もそっちのタイプなので、日頃感じていることを言った。 物理療法にみえる患者さんは20分以上治療時間があり、同じ顔ぶれになりやすい。だから親しくなっていろいろ喋る。 頷けること、多々あり・・・ま、本音っていうか・・・ 私達が改善していったら、患者さんはもっと○○なのかな~診察から薬会計までの長い待ち時間、患者さんは結構見ているんですね、院内事情。 キャリアのある職員はもちろん仕事ができる大先輩。皆、若葉マークから出発しただろうに、仕事ができてドクターが期待する(私以外)若者を「育てよう!」って思ってくれたらいいなあ~ と、お母さん(私)は思うのです。 患者さんの笑顔は、働く私達の「連携」だと思うこの頃。 この職場が好きだから! これからも前向きな意見は真正面から言っていこう。 娘達に交じって(笑) こんな時間までここにいるのは珍しい ★おやすみなさい★
2008/10/10
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おはようございます。 関東は雨です。なかなかここに座れなくて、夜ベッドで携帯から皆さんの日記を読んでる現実。 先日、患者さんから「もう半年になるねえ」と「そうやって声をかけて下さる方のお陰で,やってこれました」 そう、この仕事をはじめて半年が過ぎました。人生最後の職場になるかなあ・・・そうしたいなあと思いつつ奮闘&感謝の日々 家族の中で帰宅が最後になるので、夕飯はバタバタ。せめて朝食をしっかり!を心がけてます。 この仕事をはじめて変わったことがあるんですね。 1.同じ時間帯に動くので? コレステロール値他が正常になった 2.どんなに食べても体重維持3.笑顔が増えた(家族に言われ・・・)4.多忙の中の癒しの時間(リフレッシュ)が貴重に5.ダンスレッスンにて・・・今までより身体が軽く、より充実6.貴重な休みは夫婦で出かけることがある 今までは? なし7.お小遣が増えたけれど、時間が無くなった8.読書どまりで、小説を書く(考える)気力が落ちた9.平日は手抜き料理が多い・・・圧力鍋を買おう!(笑) 「 元気にしてくれる仲間達 」 小さいもの大好き!
2008/10/06
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日が暮れるの早くなり、勤務を終えて外にでると真っ暗。油断してたのね。 いつもの道・・・昨夜事故ってしまい・・・「事故ですか? 事件ですか?」「事故です」「乗用車同士ですか? お怪我はありませんか?」「はい」「お名前は?」「○・・・・です」「○さん、大変でしたね。 それでは事故現場の住所をお願いします」 警察とはこんな会話だったと思う。相手の若者が「身体、大丈夫ですか?」と・・・双方無傷、けれど車はもちろん乗れる状態ではない。 保険会社やらなんやかんやでちょっと・・・疲れた。 けれど携帯電話後、主人がすぐに来てくれ、パニックにならずに済んだし、住所を訊いたクリーニング店の方が親切にしてくれた。 感謝(--) ことし2008年度は、年頭からあまりいいことがない気がする。でも、人間関係等は自分が成長する切欠にしていけばいい。 繰り返さない。 学ぶ。「アルプスの背中」出版化の連絡後「今回は見送りになりました」 またいつか・・・乳癌も悪性ではなく、今回の事故も守られた。 事態は好転している。 ダンスのステージも近づいている♪(^^)♪占いなんかに振り回されない!そう思って今日も明るく、頑張りすぎずにいこう。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「しなやかに散れ」 「朋子も一緒にすき焼きどう?」「私? ああ、さっき揚げ饅食べたから」「まんじゅう食ったの? ひとりでかあー」「そうよ」 朋子が落とした睫毛の影と頬にのった微かな赤。 胸のふくらみを覆ったマフラー。僕は朋子の中に少女を見ていた。 朋子の輪郭は花が自然に香るようにやわらかく曖昧で・・・けれど彼女の意識の外で、それは危ういオーラを放っている。ずっとそうだった。断ち切っても再びはじめてしまう恋ように。だから僕は「手紙」に留め、思惑が見えない誘いを交わし、裕介との行く先を黙って見ているつもりだった。 僕は再びベンチに腰かけた。「じゃあ、私行くね?」 柔らかい黒髪を白い指でかきわけ、微かな笑いを浮かべる朋子を祐介は黒い目で見つめている。「マジ、帰っちゃうんだ」 不器用なのは裕介かもしれない。深夜タイヤを慣らし左右にハンドルをきり、パトカーを警戒しながら走りまわり、彼と母親を置き去りにして去った男を、荒川の土手に呼び出して殴り、女に不自由しないとでかい口を叩いた裕介が、朋子の前では小さく見える。「一緒にどう?」 のってきたらどうする?・・・そんな自問と裏腹に、僕も朋子を誘っていた。「・・・どぅしよっかなあ?」 おかしな事になってしまった。朋子の仕草は「イエス」なのだ。モノトーンの低い空は、抱えきれなくなった雫を、一つふたつと落としはじめた。
2008/09/25
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以前遊びにきた先輩が、いついつのあの会社の分が抜けてた!と言っていました。 近所の方も「もれ」があったと騒いでました。 そして昨日 私にもそれが届きました。もれ? どころか19歳から社会に出た私の足跡(厚生年金)が全てない!記載なし。 要するに結婚後の国民年金の足あとしかなかったんです!30年前の会社所在地と入退社の年月日、年金手帳のコピーをつけて返信するんです。 なんか虚しくなり・・・そして次第に怒りが二社は船会社。 途中、病院。一社は倒産して今はありませんが、長くお付き合いをしている同社の友人から当時の住所を知ることができました。(彼女はもれていなかった) 仕事帰りにタイピスト学校へ通いながらの勤務。 大きな手術の後、勤務した人工透析の病院。私の青春も思い出も、ちょっとの努力も、みんな打ち消されてような気分になりました。 年金改ざん、何! 嘗めんじゃないよ御主人がリストラになると、抜かりなく扶養内の奥さんに社会保険料請求。 【13500円×2ヶ月(当時)お支払いください】 「取る物はしっか取るよね! しかも迅速だし! 」と言っていた友人も蘇り・・・ 今まで収めた厚生&国民年金を即行、全額現金で国民に返せ!昨日はその位、腹が立ちました。 気分転換に(^^) 土曜に午後、イマドキノ遊び? この朝顔、好きなんです~
2008/09/21
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それは一滴の雫だった 涙色の雫だった 音もなく落ち 吸われて消える 雫だった 川も大地も空も ひと雫の命を裏切らない くねりながら 揺れながら より添って 運ぶ どこまでも どこまでも ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 今日、彼女は癌の手術を受ける。彼女とは二年半前、このブログで出会った。大家族の真ん中で、ひろい畑の真ん中で、お花畑の真ん中で、いつも彼女は太陽のように微笑んでいる。 時々 あっちのお部屋(ブログ)こっちのお部屋で見かける時優しく、たおやかな心と気配りに溢れていて、とても心地いい。 前向きで明朗な彼女を見守る温かいご家族、頼もしい息子さん。今まで何度も励まし、笑顔にしてくれた彼女の完治回復を私は心から祈っている。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「しなやかに散れ」 お参りを済ませ、鳩を避けながら古いベンチに腰かけた。目を引いた色とりどりのジュリアンの花は、ひな壇状に並んだプランターで咲き誇る。「幼い子が画用紙に描いたような花だな」 ラムネの瓶を膝の上に置いた祐介は、目を細めて小さく頷いた後、腕時計を見た。「夜メシには早いかぁ。 おまえ腹減ったか? 」 その時、僕は出入りの絶えない老舗の和紙屋に目を止めた。「あれ? 」「ん? 」 先に立ち上がったのは裕介だった。「朋子じゃねえか! 」「裕介? 」 長いマフラーを無造作に結んだ朋子が、白い息を吐きながら小走りにやってきた。足元にいた数羽の鳩が一声に散った。「あれ? 夜勤じゃなかったんだ」 裕介の声が低くなった。「リクレーションの準備で・・・これから例の生地屋にも行くのよ」 朋子は少し慌て筒状になった美しい絵柄の和紙を取り出し「これでカードを作るの」と言った。 そして僕はゆっくり顔をあげた。「えっ!し、柴田君? 」 僕は頭を掻いた後、思わず口角を上げていた。 朋子は僕等の顔を交互に見た。「何で! 何でここにいるの? 」「え! お前等こそ、面識あんの? 」 三人は沈黙の中で互いに顔を見合わせた。 いつかこんな日がくると予感していた僕に、後ろめたさが絡みついた。【今バイト、忙しいんだ。 桜の蕾の頃にどう? 】「柴田君とはね、介護福祉の専門学校で一緒だったの」 朋子は咳払いをした後、明るい声で裕介に言った。「そ、そうなんだー」「で、ふたりは? 」「俺等? 工場で・・・な、柴田」「うん」 その時僕は、裕介と朋子は恋人の域を超えてないのではないかと感じた。 そして心が明るく変色した瞬間を悟られないように、鉛色の空を指差した。「ふ、ふ、降りそうだな、雨・・・」 トップ写真 しば桜さん
2008/09/18
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中秋の名月 微かに煌めく星の上で 凛と佇むお月様澄んだ夜空へ 届けとばかりに 鈴虫のコーラス何を祈ろうか・・・あれも これもといううちに 気つけば感謝今宵 あなたを仰げることへ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 我家のルールを作りました。 いきなり現実1. 燃えるゴミの前日、自分の部屋+担当のゴミ箱を空にする(まとめるっちゅうこと)2. お風呂上りは次に入る人の事を考え、最後の入浴者はバスマットを立て換気をする。3. 見ないTV(電気)はマメに消す。 節電無視罰金制度4. 母が(私)たたんだ洗濯物 ~ 自分の衣類は自分で仕舞う。5. 読み終えた新聞はきちんとたたむ(束ね易いように)6. 近場はチャリか歩きで。 健康&経済事情 ~ 車は出来るだけ使わない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「しなやかに散れ」「雨、降るかもしれない」 僕等は空を見上げた後、新仲見世のアーケードを潜った。穴のあいたジーンズのポケットに手を突っ込み、前屈みで歩く裕介は頼もしかった。「よっ、裕ちゃん!」 粋な車引き、人形焼を売る人、手を擦りながら土産屋から顔を出す人。あっちの威勢、こっちの愛想。 なごりの中で彼等は僕に不思議な眼差しを向けた後、ちょっと間をおいて微笑んだ。「か、顔がひろいな」「柴田も口角をこうやって上げるといい。笑って見えるぞ」「そっか?」「仲見世はな、こっちがいいんだ」 裕介はそう言って顎をくいっと引き上げた。 賑わいだ商店街から一本入ると、レンガ色の外壁に小さな扉と換気扇が並んでいる。ちょうど店の裏手にあたり、迎えには軒を並べた飲食店のまみれて古い民家がある。ひかえめな引戸の入口に掛かった表札からは、僕等が知らない昭和の暮らしが漂っていた。「いいな、こういう感じ」「だろ?」「浅草二丁目○番地、ちゃんと人が暮らしているんだ・・・」「年寄りが多いけどな。 良い余生を送ってんだろうな」「家、近いんだろ?」 今まで触れなかったことを口にして、僕ははっとした。「俺の住処は・・・トラック。 あそこが落ち着くんだ。 家には週の後半、ちょっと寄るくらいだ」「そ、そうか」「祖母ちゃんは施設。 お袋は・・・家には男が時々やって来て、飯食ってる。 狭い玄関に靴がちゃんと揃えてあって・・・けど、夕方帰って行く変なオッサンだ」「そう・・・けど、いいなあ、お袋って響き! 」「暮らしは落ちたけど、女はたくましい」 祐介は僕の顔を見るでもなく、独り言のように凹凸のない口調で話していた。通り過ぎたはずの、けれど彼にとっては大きく重いアルバムを見つめているようだった。 Photo By しっぽ2さん
2008/09/14
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空は高く、心地良い風が秋を告げています。ご心配をおかけしました。 昨日精密検査の結果、良性(経過観察)ということでした。健診は小さな箱(家族等大切な人)の為にも、続けていこうと痛感しました。 この時期、健診結果で「癌」を告げられる人もいます。 私達の年齢になると特に・・・けれど、再発もなく元気に過している方も多いんです。 車の免許を取ったり、仕事に復帰したり・・・手術を控えた友人ふたり、笑顔の再会待ってます。 時を待つ心悪い時がすぎれば、よい時は必ず来る。 おしなべて、事を成す人は、必ず時の来るを待つ。あせらずあわてず、静かに時の来るを待つ。 松下幸之助・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「しやなかに散れ」 平日にもかかわらず浅草雷門は多くの人で賑わっていた。記念写真を撮る人、ガラス張りの交番脇の待ち人、うきうき笑顔の外人。 そこには独特の呼吸と中和があった。汗で濡れた背中が寒さで一層冷えていくのがわかる。電車の中で急に息苦しくなり、慌ててダウンを脱いだ。 常備している水を飲み、小銭入れの錠剤に触れて深呼吸をした。「大丈夫・・・」 その寸前、電車は浅草に着いた。早く地下道を抜け、地上に出たいと夢中で走ったのだ。 午後の陽射しは乏しく、隅田川の方は薄い雲で覆われていたけれど、外気に触れた細胞は、水を得た魚のように平穏を取り戻した。「よっ!早いなっ」 肩越しの声がさらに僕を鎮めた。「どうした?」 祐介は大きく目を見開いて僕の額を見つめている。 黒い革ジャンから除かせた白いティーシャツに、シルバーのチェーンが妙に光っていた。「ち、地下鉄は苦手だ」 裕介がどっちの方向から来たのか? ふいにそこに立っていたという感覚は、初めて会ったコンビニ、再会した仕事場と同じもので、それは幻覚に似て虚ろだった。
2008/09/11
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別に待つ体制をとらなくていいのに、やっぱり待っている。嫌だな、こういう時期。 要・精密検査 (癌検診) 秋の院内旅行 那須 秋のダンス舞台 仕事への充実感 平凡だけど、穏やかな日々・・・楽しいことも待ってるし!
2008/09/03
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蒸し暑い! ~ 雷 ~ バケツをひっくり返したような雨! こんな繰り返し。 8月ってこうでしたっけ? やっぱり変 入浴中の長い停電 ただ浸かるのみ(><) コンビニの床に流れ込んだ雨(><) ~~~~~ 「模擬原爆パンプキン」 ~~~ 1945年 7月~ 終戦1ヶ月前 「パンプキン」による投下訓練は通常の空襲に紛れて投下されており、明らかにされたのは15年前。 (アメリカ特殊部隊509は、最終目的(原爆投下)を知らされないまま訓練を行っていた)富山市、名古屋市、島田市(静岡県)、愛知県他 合計49発 死者400人 負傷者1200人ポツダム宣言でアメリカは日本の降伏を迫るが・・・黙・・・トルーマン大統領の元 8月6日 リトルボーイ (ウラン型)広島原爆投下 9日 (プルトニューム型)長崎原爆投下 更に14日 (終戦1日前)模擬原爆「パンプキン」愛知県に投下 死者7名。 目的 ~ 今後「パンプキン」が通常の兵器として使えるかを再確認 結果 ~ 投資のわりに威力が今ひとつ よって海の底に沈める 「その時歴史は動いた」 より 「人はモルモットではない」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「しなやかに散れ 」・・・・・・・・ 中庭に太陽の冷ややかな光が立ちこめる中、いつもより明るい顔で出かけていった父に、和奏は首を傾げている。「父さん、最近メールするのね。 知ってた? 」「普通だろう。 工場の先輩もしてるよ、で、でかい文字で」「ふーん・・・」 年が明け、七草粥をよそる和奏の前で、僕は一枚の年賀状に手を止めた。 それは、裕介のトラックに描かれた桜が、白いパレットに零れたような美しいちぎり絵だった。 差出人 草野朋子・・・ 昨年秋から、彼女からの誘いを何度か断っていた。 思いつきと曖昧につき合えない・・・心の片隅で呟く一方、卒業間直の窓際で肩肘を付いてぼんやり外を眺めていた愛くるしい顔がちらついた。「ねえ、明日会えない? 」「休めないんだ、バ、バ、バイト」 工場に僕の代わりはいるのに、そんなふうに応えていた。 不思議なオーラを起用に交わせない自分がじれったい。 それは確実に言葉の詰まりにでる。「そう・・・・・」 何か言いたげな隙間を埋めようと、僕はつい「蕾の頃にどう? 」と言ってしまった。「なーんだ、そんなに先? まあいいけど」 年賀状に散りばめられた桜から、微かに甘い香りがした。 それを嗅ぎ分けた和奏が意味深な目を向けた。「七草粥、感心するよ 」 とって付けたような態度に、束ねた髪を解きながら和奏は「ふふっ、早咲きね 」と笑った。「彼し、いないのか? 」「こっちに振らないでよ」「頬骨が目立つから、髪、下ろした方が似合うぞ」「そっちこそ! 細目だからアイライン引いたら? 」 部屋に戻ると、白い枕の上で携帯の着信ライトがブルーのラインを描いていた。 「たまには新仲見世辺りですき焼きでも食うか? 築地で海鮮丼といくか? 」 「浅草がいい 」 電報のような返信に、きっと裕介は笑っている。「そうか! んじゃ、決まりだな 」 Photo By SOU
2008/08/30
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特定基本健診、生活機能評価、大腸がん検診、肝炎ウィルス。10月31日まで、窓口ではこういった対応に追われる。 高齢化が進み、耳が遠くなったり、細かい字が読めなくなったり、ペンを握れなくなっている患者さんもいらっしゃる。 もちろん私も老眼鏡なしで、細かい文字を読解することは不可。 いろいろ改善しているんだろうけれど、複雑かつ記入難な用紙が数枚。待合室で対応せざるを得ない場合、「今日が何月何日かわからない事がありますか?」 「電話番号を調べて自分で電話をかけれますか?」 「預金の出し入れをしていますが? 」 「今まで楽しかった事が、最近億劫になっていませんか?」 「友人を尋ねることがありますか? 」 「夜、ぐっすり眠れますか? 」 「スーパーなどに、買い物に行けますか? 」 「自分は、必要とされていないと感じることがありますか?」 こんな感じの質問を、耳が遠い方に読んでいって、シートに/(check)するんですね。 なんとも複雑な心境です。 いずれ自分も・・・ですから。人は死ぬまで生きるんです? 自然環境も、政治経済も、社会情勢も、未来はけっして明るくないです。「長生きしたっていいことないよ!」 こう言い残して帰っていった患者さんの後姿。 笑いや世間話が絶えないご婦人の集団。様々な光景を見て、感じること多々。 尚、私が働かせていただいている病院は、月、木曜日の心療内科の日が特別混むんです。老若男女、問わず増えています。 時代を物語っています、きっと。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「 しなやかに散れ 」「浅草?」 父の声がした。裕介の住処が浅草二丁目なら、案外ふたりは仲見世辺りですれ違っているかもしれない。階段を上りながら、ふとそんなことを考えた。 五十を過ぎた父が「小屋」と呼ぶ小さい工場は、浅草国際通りの裏手の一画にあり、数人の職人と作った靴は都内のデパートの片隅に並ぶ。 まだ畳の上で作業をしていた昭和五十年当時、元気だった祖父が、隅田川を越えて向島や深川からやってくる客の靴の修理や特注を受けていた。「この一帯は東京大空襲で壊滅し、十万人の命を奪った」 金鎚の音や革の匂いのする中で、B29やM69と言われる焼夷弾のことを聞きながら、父は靴作りを覚えた。「小屋」を気にかけながら母が死に、色々重なって中学へ行けなくなったあの頃、僕は「登校拒否」という狭い檻の中にいた。やがて僕と父は多くを語らなくなり、和奏が伝書鳩のようにふたりの間を行き来きしていた。けれど今、たとえWorking poorであっても、社会と接点を持てた僕に、父は話しかけている。広げた新聞のむこうで・・・・・我儘が自由にすり替えられ、狂った基準が個性と美化され、未来は霧に包まれているこんな時代の狭間で、父は何を思っているのだろう。「事件が起これば、すぐに俺のような食み出し者が疑われる 」と祐介は言った。「そ、それは一昔前で、今は僕のような! 」と僕は反論した。「世間の風はどっちにも冷たいってことさ」 Photo By しっぽ2さん
2008/08/25
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タオルケットに包まって寝ています、この頃・・・今朝はそれなりの寝具?を洗って干しました。 朝晩深夜と真昼の気温の差が激しいですね。体調管理に気をつけないと1年の速さを痛感します。 直に山は染まり、街はイブのイルミネーションに(気が早い) そろそろ恒例秋のステージ。 レッスンに勤しまないと好き~ これが基本ですが、最近実感するんです。 ストレス発散と基本のヨガとストレッチで健康に役立ってる・・・と。 仕事の帰宅後の疲れ加減で、価値判断してやっていかないと、年齢的に無理は禁物。 今週から毎週、日曜日は受付になります。 平日の物療と頭を切り替えて・・・流し上手、切り替え上手になりました、この4ヶ月でだいぶ。 たぶん私が一番苦手なこと。 季節の変わり目、皆さんも体調管理&心の休養&コントロールで秋を迎えましょう。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「 しなやかに散れ 」 山茶花が咲く中庭で、和奏は籠に残った服を竿にかけ、ふいに振りむいた。「それで?」「だ、だからさ」「彼は何者? んで、どこに住んでるの?」 僕は窓際に寄りかかり、ちょっと考えてからこういった。「浅草。 たぶん」「呆れた! 」「いい奴だから」「ほんとは朋子さんって人と一緒だと思ってた。 それはそれで見直すけど。 ふふっ」 触れて欲しくない名前が再び現れた。「お、おまえ! 見たのか手紙? 」「宛名だけよ。 風情があるじゃない、手紙」「おふくろに似てきたな、そういう干渉! 」「話を変えた! 兄ちゃん最近変わったし」 和奏は途切れた言葉の代わりに、視線を山茶花に送っている。「そうだな」 目を伏せたほんの僅か、言葉になりそうでならないものが漂っていた。「あ、やっぱ兄ちゃん、普通の二十三歳」「四だよ。今月は行かないよ、東北は寒いし」 こんな会話のテンポが僕らには新鮮だった。詰まって呑み込まれた言葉の多くを庇い、庇われた方は重く澱んだ石を積んでいく。 陽だまりに紛れた心の写しを滑らかに噛みしめながら、朋子を思った。【先月、朝顔市へ行ったの】朋子は時々こんなメールをしてくる。浴衣姿の彼女の隣にはきっと、裕介がいる。「ね、今度会わせてくれない?裕介って人に」「だ、駄目だ!」「何よ、むきになって」 僕はくるりと背を向け、軋む廊下を歩きだした。 鬼姫太郎さん
2008/08/21
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短いね! 夏休み。主婦はどこにいっても動かねばならぬ。 何故? と思いつつ・・・ やることはきちんとやって、楽しんだのかな~ 明日はゆっくり体を休めて仕事に備えよう。 今はシャワーの日が多いけど、この子お風呂に浮かべるのた楽しみ~ ちなみに孫は未だいません(><) おまけの二枚 ~^^~ 写真不足で携帯写メで、色々撮っている最中(モンぺじゃないです) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 雷が怒ってるので、今夜はこれにて・・・・・
2008/08/16
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二週間ほど前、同じ時間にみえる患者さんのひとり(60代女性)が、「両手を見せて」と言って微笑んだ。 反射的に掌を差し出すと・・・・「だいぶ落ち着いてきたわね。でも60歳過ぎたら、ちょっと気をつけた方がいい」ん~(><) 何をどう気をつけるの? あくる日、「何だか気になって・・・・」と言うと、「ごめんなさいね・・・・・じゃあ生年月日は?」 反射的に(笑)195?年、○月○日と応えた。 そしたらちょっとはホローしてくれるのかなって期待して 翌日、白い紙を渡された。○歳~ 乱○歳~ 建○歳~ 最良○歳~ 最悪 最悪とされる60歳から63歳に、命に関わる病気をするかもしれないと。 元気で可愛いお婆ちゃん目指してるのに!! その様子を、見て見ない振りをしていた別の患者さん(男性83歳)のコメント「明日のこともわからない。 あの人だって五分後はわからない。 気にすることじゃない」 家族(若い方)のコメント「手のシワで、人生決められてたまるか! 」 でも、性分柄、なぜか気になる香乙でした。 皆さんなら?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「しなやかに散れ」 スポット 7 それから時々、僕は祐介と走った。愛媛、金沢、青森・・・・祐介が工場にやってくる金曜は、リュックも心も膨らんだ。 ある時、夕映え色の山を背に、ハンドルを遊ばせながら祐介が言った。「青葉ナーシングビレッジ」 僕は動揺した。「朋子と三度目に会った時、妙に不機嫌でよ。ジイちゃんに太腿を触られたって・・・介護の現場じゃ、珍しい事じゃないらしいぜ。『男はいくつまで男なの?』って聴くんだ。 あん時マジに困ってよ、『俺、しゃぶ以外の事は対外やってきたけど、その種のお触りはしたことねえ』って応えたんだ。 そしたら、吊りあがった目がドングリのように変わって・・・『裕介君、しゃぶしゃぶが嫌いなの?それともお肉全般?』 だって。 あっ! この子いいなって、そん時思ったわけよー」 拒みながら揺れていた心の正体を、僕はその時知らされた。 photo by 鬼太郎姫さん
2008/08/09
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セピアの中にあなたがいた。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 第一章 広島の朝 一九四五年八月六日、広島市。 人々は・・・・・ 先日出版社に送信した(はずの)メールがトラブルで 今日、8月6日に届きましたとの報告が。 やれやれ~ 「アルプスの背中」 は二年の間に3度タイトル変更。 今回は、書き始め「紫輝」の半分のページ数に。 今日は乳癌健診。 また、今朝は5時からウォーキング30分。昨年の今頃、夜歩いていたんだけれど、仕事が18時過ぎまでなので朝に変更。悪玉コレステロール値を、正常値に戻したい。 ~ 昨年から5キロ痩せたのに、血中はそれとは関係ないので(><)、食事もいろいろ工夫してます、それなりに(笑)きなこ、煎りゴマ、かつおぶし、自然塩、オリーブオイル等を納豆やサラダ、ヨーグルト等に加え、間食をひかえてます(これがストレスになってるかも) 皆さん、暑い夏を元気に乗り越えましょう
2008/08/06
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リビングの窓(東側)はこんな風景です。 100均(by ナチュラルキッチン)で買ったものに手を加え、そこに南部鉄の風鈴を。 患者さんに頂いたお気に入りのランドセル。 中には防犯ベルが! 嫌な時代だね。 ゆとり・・・昨年にはない光景 はまってる本です。 かなり、入り込んでいます 左~友達からいただいたウーロン茶、美味しい! そして、ピロリ菌によいという朝コップ半分の「飲むヨーグルト」 (薬も6錠飲んでるけど) おしゃれなエコバック(コムサ)。 大きくて便利です。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「しなやかに散れ」 スポット 6 夜明け前、トラックは外房の波乗り通りを走りはじめた。「今、すげえ朝陽に会わせてやるよ」「おう!」「おまえ、感染してねえか? 俺の・・・・」 裕介はふっと笑い、少年のような一途な瞳で夜と朝の狭間をかき分けて行く。やがてハンドルを抱きしめた裕介が 「セーフ!」と言ってトラックを止めた。沈黙から解放された空がダイナミックなスクリーンを展開する様に、僕は言葉を失った。「すげえだろう。何か願い事ねえか? あのダイヤモンドが海からすっぽり抜ける間に祈るんだ!」「えっ?」「情けねえなあ・・・・俺はあるぜ!」 裕介は素早くトラックを降り、金色に光る海に向って両手を広げだ。「朋子! 早く会いてえよー!」 朋子がおす車椅子に、裕介の祖母が顔を緩めて笑っているシーンが瞼の奥で揺らめいた。 /////////////////////////////////今までのお話//////////////////// 柴田利春は就職活動の最中、心無い面接官の言葉や吃音等から発作を起こし心療内科へ通っていた。 介護の仕事についた仲間と距離をおき、暫く家に引きこもる。 半年後、ようやく決まったアルバイト先で、ひょんな出会いをした「裕介」と再会する。裕介は桜が描かれた派手なトラックに乗って工場にやってくる。 互いに異質を感じながらも、なぜか自然でいられる・・・ ある日、専門学校時代の仲間のひとり「朋子」から手紙が届く。 ひそかに好意を抱く朋子に利春は現状を打ち明ける。 裕介が「社長の愛人の息子」だと聞いた雷の晩、裕介に誘われるままトラックに乗りこんだ。
2008/08/01
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先週木曜日、夕方6時。 「今日は新人が盛り上げるのよ。 それが恒例なのよ 」 え~! それ聞いてないし! 同時期に入った若い子ふたりは 「 セーラームーン♪ 」 を強制されてるし(笑) オバサンは何をどう盛り上げればよいの~結局、お酒の力を借りて18番を歌い、ピンクレディーと、ソフトバンクのCMで外人が踊ってるアレ♪ Morning Train を真似して踊った。 アホ丸出し~ 盛り上げたか盛り下げたか? だけど。帰宅は通常10分の家路まで、ジグザク歩きで20分・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「しなやかに散れ」 スポット 5 常磐道を下りる頃には雨は上がり、フロントガラスの雫が微かに揺れていた。路面は冷めた光を映し、辺りに見知らぬ町の匂いが漂っている。高速を走っている間、僕等はほとんど口を利かなかった。 話した事と言えば、カーテンの奥を覗き込んだ僕に「後ろは寝返り不可な仮眠スペースで、女と寝る時は重なりゃいいんだ」等、僕が適当に流す類だった。 ライターをつける音、車線変更のウインカーの音、裕介の鼻歌。くねりのない高速で虚ろな時が過ぎていた。 守谷パーキングエリアにはたくさんのトラックが息を潜めており、裕介のトラックは特別目立っていた。 深い闇が目を覚ますような絵は、まるで映画のセットようだった。「自販で何か買ってくる。どうする?」「降りるよ」 シートからの慣れない着地を見て裕介が笑った。僕は浮き絵に触れながら裕介の後ろを歩いていった。「桜、好きか? 」「ああ」 和奏からのメールに気付いた裕介が、振りかえって「女か?」と訊いた。「い、妹。 外泊は滅多にないから」「友達って? どこに泊まるの?ってか。 女はウザイ。 歳とると話が途切れないしよう」 「お、お袋がいないからちょっとは心配してるんだ」「そうか・・・・・俺等、お互い何も知らねえんだな」【さっきの工場の先輩の話が真実なら、君は社長の愛人の子。 自由で孤独な走り屋】 秋の風に肩を窄ませながら、自販の前のベンチに腰かけ、僕は裕介の喉仏を見ていた。【道に迷って辿り着いたコンビニで君とぶつかり、エロ本を買わされた。やっと決まった仕事場に一匹狼が桜を連れてやってきた。 君は散り際が潔い桜に惚れ、僕は花びらの舞いを惜しむ。 なのに僕が自然でいられる相手は、少なくとも今は、君だけだ】「俺を育てた婆ちゃんはよ・・・・去年まで浅草で団子を売ってたんだ。正月過ぎに境内でコケて、その後認知症っぽくなってケアーハウスへ入ってよ。 だんだんおかしくなって・・・・」「そう」「俺の顔を見ても、今は笑うばっかりで・・・・こっちが辛くなるぜ」 続く Photo By 鬼太郎姫さん
2008/07/28
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夢かな? と思っていました。 また地震がありました。 被災地・・・暑い上、未だ復興の最中です。 (--)都内で! 地下鉄で! 職場起きたら? 不安に拍車をかける少子高齢化、医療の現状、世相、地球の悲鳴。 ・・・・・・・・ 気分転換に、今流れてる詩を追いかけ ・・・・・・・・・・ あなたの思わせぶりなくちづけは 堪え切れぬ程の苦しさ 心は 暗がりの扉の影で 報われぬ愛の予感に震える 息を潜めた夜にまみれて 忘れかけてた 愛の香りよ・・・ 一度は 傷ついたはずの心で 信じあえるには あまりに悲しすぎる 二度とふり向くことは できない 甘く 危険な愛の香りよ・・・・・ あなたに 取り戻す日々は もうない そっと目隠しの振りして 通り過ぎる By 山下達郎 今夜の飲み会で歌おう。 丸山圭子 「どうぞこのまま」 リリー 「私は泣いています」 「天使の誘惑」 「真夏の夜の夢」 年齢バレバレ! PHOTO BY 鬼太郎姫さん
2008/07/24
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思わぬタイミングで岡山県倉敷市から届いた本。 大切にします(--) 一冊読み終え、次はどれにしようかと心騒ぐ。 昨日は午前中診療のの鍵明け当番で、早朝から緊張!大きな紫陽花の影や庇の下に早々に行列が! 土曜日から和歌山の親友が遊びに来ていて、仕事から帰宅すると美味しい昼食が!ありがとう、お姉さんもう、家族もオオヨロコビ。 このまま家族になって欲しい~ ほどよい距離間が、今の友情を維持してる・・・・・・・・・・・・・「しなやかに散れ」 スポット4・・・・・・・・・・ 雨は白いカーテンのように闇を覆いはじめた。 「柴田よう・・・・・」 休憩を終えた先輩のひとりが、僕を呼びとめた。「奴と仲がいいんだなあ。 知り合いか? 」 曖昧に交わそうとした僕の心臓が、一度ドキン!と大きく鳴った。「あいつ、社長のコレの・・・・・ナニだ!」 僕の目だけが彼に向った。 彼は小指をひっこめ、まだ何か言いたそうに口ごもっていたが、視線の絡みはすぐに解れた。「さっ、明日の準備にかかるか」 彼の足跡が遠ざかると、僕はロッカーをあけ、ジーンズに足を突っ込んだ。「コレのナニ」・・・・・不愉快と納得が絡みあう中、裕介が待つグランドに走った。「自転車を積んで国道で下ろして貰えば助かるけど」 裕介はタバコを消して運転席の窓を開け、顎をしゃくりあげた。 「そんな言い方しねえで、一度乗ってみたかったって言えよ!」「べ、別に!」(自分の事をわかったように言われたくないよ) 雨は容赦なく裕介の顔を叩く。 「もうチャリは積んだぞ。 どうせ明日はオフだろ? 乗れよ!」 出逢って半年。 裕介とのコントラストや、経緯を探る雑音を、高いシートから見下ろす。「このまま突っ走るか?」「ど、どこへ?」 剃り上げた眉の下で、ほんの一瞬やわらかな光が放った。トラックは雨のグランドを一周した後、遠くに霞む灯かりを背にウインカーを点滅させた。裕介は大きな手でハンドルを握りかえし、ゆっくりアクセルを踏んだ。 フロントガラスに水の輪が張り付き、しなやかに落ちていく。 無数の雨の叫びが、扇を描くワイパーに挑む様を、僕はじっと見つめていた。
2008/07/21
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保湿パックをしながらの更新です。今の手入れは10年後の肌を! 最近肌の綺麗な人に憧れます。栄養バランス、睡眠、運動、ストレス解消の他、美肌人から得た情報が・・・・(4,50代)1.シワを伸ばしながら、コットンで化粧水を入れる。 入れ込む(笑)2.毎晩のマッサージ(リンパの流れに沿って)を欠かさない。3.洗顔は泡泡泡泡立てて・・・・やさしく。 あまり構わないで、スッピンで紫外線を浴びていたことが多かった。 後悔・・・50代を美しく(自分が心地いいからです。誰の為でもなく)今30代40代の方、十年後の肌は+5分の努力かも♪ 地域フェスタにて(素材 粘土)ちょっと失敗。 息子からのプレゼント 一昨年の今日、綾小路きみまろの本~ 「笑いは健康にいい!」 今回~ 「人の足腰も大事だけれど・・・いつまでも健康で」 そんな思いが込められているのかな
2008/07/16
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今日は以前から休みをもらっていました。日曜しか病院に来られない方がいらっしゃるので、かなり多忙。 ごめんなさいと心で呟き・・・ 今日の地域フェスタはホールの四階を借り切って、華道、茶道、粘土細工(お人形やお花)蕎麦うち等に混じって、リフレッシュ体操を。毎年、舞台の他に何度かこういう類のイベントに出向きますが、前回はヤングママ対象。その前は4,50代の女性対象でした。 今日は老若男女の集い 基礎から頭を悩ませ・・・今朝ようやくメニューが完成♪暑いので、無理なく、楽しく、暮らしに取り入れ続けられるストレッチ等を中心に。さらに頭の体操(刺激、物忘れ防止?)で一曲は振り付け。今旬の、ソフトバンクのCMで流れている曲モーニングトレインに決定。 家事を終えたら、AMのうちに音響、会場再check. スポーツドリンク等の準備。 メニューも時間も年齢層や状況を見て柔軟に対応。 無事故で皆さんが笑顔で帰れるように配慮したいと思います。
2008/07/13
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稲妻は雲の奥でひしめき合い、ジグザグの光は空に亀裂をつくっている。僕は持ち場の縁せきに腰を下ろし、灯かりが漏れる部屋の窓を見上げた。 彼等は黄ばんだ壁や穴の開いたソファーにもたれ、煙草を咥える。 闇を通り抜けた男の気だるさが煙になって漂う。いつしか僕は、二十分の休憩を外でとるようになっていた。 「朋子の手元に手紙は着いただろうか?」 沈んだ夜にふと思いを馳せる。 癖のないスッキリとした顔、しなやかな肩のライン、白い指。 時々花びらのような儚い輪郭が便箋と一緒に現れる。 抱いた女性(ひと)はさらっと消え、夢で会う事もないのに・・・・・ 二十三時、僕の視界に鮮やかなコントラストが円を画いてやってきた。 切り取りたくなるような情景に、僕はすっと立ち上がり、小さく手を振った。「柴田君、積荷済んだら帰っていいよ」「えっ?」 僕が聞きかえすと、奥山さんは後ろを向いたまま手を振って去っていった。「よう! 早いな、一週間は・・・・・」 裕介は歯切れのいい声でそう言うと、不安そうに空を見上げた。「こりゃあ来るな!」 僕は頷きながら軍手をはめ、早速積荷にかかった。 倉庫の床が見える頃、大粒の雨がパシャパシャと地面に落ちてきた。 裕介は尖った顎をトラックに向け「乗るか?」と訊いた。「タ、タイムカードを押してきます」「おう!」 撮影 鬼太郎姫さん
2008/07/11
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活気のある仲見世通り。昨日は偶然「ほうずき市」でした! (ほうづき?でしょうか・・・)ライブも久々に原点に戻って、まっさらな気持ちで聴けました♪ 歌の上手さ、はもりの凄さ、ドラム、ベース、ギター、笑顔、呼吸、完璧! めぐみ かおと
2008/07/10
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久しぶりの日記アップです。今日は第二水曜で仕事が休みなので、のんび~りしてません(笑)週末の地域フェスタ♪の選曲とメニュー、振り付けをイメージしながら買出し。 どんより空を見上げながら、僅かな風を頼って洗濯物を干し、合間に小説の行く末に思案。諦めきれないタッコちゃん。 「アルプスの背中」にタイトル変更して、無駄な贅肉を削除しながら修正中。核より通り魔、そういう時勢?介護疲れによる鬱病や小児心療内科の存在。世相は重く、命は軽く・・・ ん~! 何か狂ってる! 古き良き時代をしたためた所で何がどう変わるのか? 知識、才能の薄さと格闘しながら、自分が何を伝えたいのかさえ未だ文字にできないジレンマ。 先週、病院のアルカディア(物理療法室)の本を整理した。あまり好きじゃない週刊誌を束ね、旅や料理の本を置いた。 モチ、自腹でそこに「奏でる時に」を潜めてみた。 あんな高校生レベルの恋愛もの、誰も手にしないだろうと思いつつ ところが数日後、まず手にしたのは57歳の男性。 続いて私と同世代のご婦人。 「明日は読まないだろう、どうせ一時の暇つぶし」と思いきや、二人はあくる日老眼鏡を持参。 続きを読んでくれている。やがて83歳のおじいちゃんがおじいちゃんはレーザー治療に移動する時も、本を持っていく。文章が単純で短くて読みやすい。 そんな所だろうねって家族も言う。 納得! 「その日とうとうあいつは加奈子を抱いた・・・・・・加奈子は自分で作った水槽の中で孤独な魚と化した」 このページを開く時、恋を卒業した(であろう)方達は何を想い、どう感じるのか?目下観察中。 さて、今日は夕飯の下拵えをして洗濯物をたたんだら、浅草へ行く仲見世を歩いて気分転換&アンテナ張り? 夜はビートルズ中心のライブ 単純な脳みそに複雑な思考。 整理してきます~ か お と
2008/07/09
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「 草野朋子様 今日は細かい霧雨が降っているね。 あんまり静かなので白い便箋を前に困っているよ。咳払いなんかして・・・もう何枚も便箋を捲ってるし。 手紙を書くことから離れていくのかな、僕等は・・・ 庭に面した古い縁側に腰掛け、懐かしい丸文字を追っていると、まるで朋子がすぐ傍で話をしているような気持ちになった。 元気でやっているんだね。 最近、介護の送迎車の往来が目立つな。激変する社会、人手不足や労働条件の厳しい中、みんな頑張っているんだね。朋子の心根が優しいから、感動と出会える・・・そう思うよ。(朋子ってこんなに喋るんだ? 耳元で囁いて僕を散々困らせた少女は誰だったんだろう?) 僕は今、食品工場で積荷のバイトをしているよ。暮れかける夕陽を眺めたり、月の出入りを見上げたり、パチパチ煌めく星の音を感じたり・・・いろいろあって皆と路線が違ったけれど、今の僕の居場所はここだと思っている。二年ダブって転校してきた時と同じで、最初は顔を上げることすらできなかったけれど、今は限られた人と話ができるようになった。 ありがたいよ、僕の詰まりを待ってくれる人。 最近気になる奴がいて、軽快に振り回されている。 どっかの誰かのように自然体過ぎて憎めない。 彼は大柄で、俗に言うイケ面。 僕とは見た目も気性も正反対だ。自分の楽しみを追及する彼の色が、僕には羨ましい。 朋子の仕掛けは僕の心を軽くしてくれたよ。 ありがとう。不慣れな手紙だけれど、電報のようなメールよりマシかな? 仲間に会ったらよろしく。 追申: いつかどこかで会うより、手紙の方がずっと正直になれるものだね。 柴田 利春 」 PHOTO BY aniy-line
2008/07/02
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「 前略 上野公園から半年。 柴田君、元気でやってる? 何度かメール打ったんだけど凄く長くなっちゃって・・・久しぶりに便箋をひらいたよ。私は相変わらずボケボケっとしながら、何とか元気で過してる。 そういえば先週、サルビアや金魚草がふわふわ揺れる中央公園を、利用者さんと散歩していたの。 たまたま校外学習に来ていた子供のひとりが(たぶん小学2年生位の男の子)傍にやってきて、私の顔をじ~っと見るの。何だろうと思っていたら「 こんにちは! 」と大きな声で挨拶してくれて。それから彼は、車椅子の利用者さんを見て少し困った顔で俯いた・・・たぶん障害を抱えた人に会ったのは初めてだったと思う。 ちょっとの沈黙があって、私が「じゃあね」と言ってストッパーを解除した時だった。「こんにちは・・・」 と小さな声で彼は言ったの。 利用者さんも、ほんのり赤い干し柿のような笑顔になった。私はしゃがみ込んで「おばあちゃんも、目で『こんにちは』って言ってるよ。 ありがとうね」 って返したの。男の子はもう一度ニコっと笑って、お花畑の方へ走って行ったよ。中には嫌な目で見る大人もいるのに、勇気ある一言には正直驚いたな。 たとえ話せなくても、目や動作で伝え合える。 授業より現場! 些細なひとコマだったけど誰かに話したくて・・・ そんな時、柴田君だ!と思ったの。 (飲み会で、顔見えなかったし) 何か一方的な話になってごめんね。 また会えるといいな 草野 朋子 」 友情出演 バウさん
2008/06/29
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仕事前、一人でまた同じ映画「マジックアワー」を観てきた。 三谷幸喜の作品センス、シチュエーションは才能! 館内が賑やかな笑いにシワが増えるけど、腹筋は鍛えられるかな? 爆笑だもん! アレ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 最近、旅に出ている人の日記を読むと、ああいいな~と思う。なかなか連休が取れなくなって、行けない。 できたらラウル(愛車)で、山に囲まれた川の声を聴きに行きたい。 さらさら休まず流れている・・・そんな所へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ よくわからないけど、動いていた何かが何処で終ったような・・・不思議な心地。私自身がシンプルで、スリムで、スマイルになったから、よしとしよう♪ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 先日コインランドリーで・・・「 変だ!? 」と思い、雑誌を閉じて確認すると、なんと! 隣の洗濯機にコインを入れてた(100円)ことに気づいた。乾かないわけだ! 隣は空っぽのまま七分回ってたことになる。 エコ妨害こういうオッチョコチョイは今に始まった事じゃないけれど・・・知る人は知る。 主人のシェーバー(ひげそり)を食器と一緒に洗ってダメにしたり人のネームプレートを付けて仕事してたり よくあることじゃん! 天然じゃない、こん位~ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「意外とまじめで、人の事までいろいろ抱え込んじゃうから、疲れちゃう部分ある・・・」未だ2ヶ月足らずの職場の20歳も下の子がらそう言われた。(笑) 感情感傷のup,downは加齢とともにゆるゆるとおさまりつつあるけど。 スローライフを目指しつつ でも地球も、自然も、おまけに世間も騒がしくて、未病(病気の手前)の方も増える一方。 だからついつい、お腹抱えて笑う時間が欲しいわけ。 映画! ダンスに浸りたいわけ。 売れない、出ない小説に、何かを託したいわけ。 旅に出たいわけです~
2008/06/25
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「ど、どうも」 リアクションが薄い僕に向ける視線は、初めてコンビニで会った時と同じ温度でやってきた。「俺、裕介。 おまえは?」「し、柴田」「何も頭下げることねえよ。 下は? 」 僕が足元に目を落すと、裕介は馴れ馴れしく肩を叩いて笑った。 「名前はそれ見りゃわかるよ。 下のなまえ」 「あ、はい。 としはる、こうです...」 裕介は肩を寄せ、掌で動く僕の指ををじっと見ていた。「利春かあ。 利息付きの青春だなっ! 覚えたよ」「は?」 それまで多くの場で呑み込んできた言葉は、消化されないまま喉の辺りに積もっている。けれど裕介は、話を促すようなフレーズで僕を引き止める。 奥山さんは頬を緩ませ「 彼、ここの担当になったから頼むよ! 」とさっと交わして去って行った。「俺、これから朝まで走るんだ。 これで! 」 ハロゲンの明りがトラックのサイドを照らしている。 それは濃紺の夜空を背景に絵の具のパレットを広げているようだった。「お、大きいです」「そこかよ!」「す、す、凄いです」「並だなぁ」「エ、エアーブラシですね」 ようやく言えた。 あの花からこんな息吹を感じたことはない。 凄い・・・僕の口から小さな息が漏れた。「おう! そう来なくっちゃ! 」 そこには艶やかな着流し美人と桜を背に、ティーシャツと同じ跳ね文字が描かれている。「絆・・・」「いいだろ?」「・・・あっ! で、でも、つ、積荷が先かもしれません!」 荷台でズボンの裾をたくし上げた裕介は、身振り手振りも声も大きい。 打ち上げ花火のような金茶髪。 こんな縁でもなければたぶん自分から近づかないタイプなのに、違和感がないのは何故だろう。 ふと裕介のシューズを見る。 ナイキのマークが額の傷と重なった。 「おまえ、ガタイ小さいのに力あるな! 」 僕の額に滲んだ汗を夜風がすっと拭ってくれた。 トラックに乗り込んだ裕介はハンドルを握ると、躊躇いがちに窓を開けた。「あのよう・・・」「え? 」「俺の自転車、ベンチの婆ちゃんに邪魔だったな。 コンビニのさ!」 閑散とした工場から最終便が去って行った。 photo by 鬼太郎姫さん
2008/06/24
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湿度は体力を落すね。 昨夜はひたすら眠くて21時半に「おやすみなさい~」 身体のシグナルに素直に 今朝は8時20分起床。 「あれ~? 11時間寝てた・・・」 こんなはずじゃなかったのに! かえってダルイ 今日は26年付き合った彼の誕生日。 ちょうど私の半生を共に過したことになる。 今頃陣痛の兆しがあって、お天気もこんな感じだった。 夕方凄い雷で 停電 そんな暗闇の中、力んだよ~ (笑) 年々時間が早く過ぎる。 今年も早いね。 嫌な事件や大きな地震。 花の咲き方も変。 物価も上がって・・・明日が見えない世の中だね、ホント。 飽和状態? さて、エンジンをかけよう
2008/06/20
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今までのお話~介護福祉専門学校を卒業した主人公(柴田利春)はただ一人就職が決まらぬまま上野での打ち上げに何食わぬ顔で参加した。 その後、福祉施設の面接で「吃音は高齢者との疎通不可能」と断られ、ようやく決まった病院では、彼の働き振りを褒める婦長とのやり取りに嫉妬した先輩からリンチを受ける。 やがて予期不安がストレス性の発作を生み、とうとう家に引きこもる。 花を愛した母の亡き後、家を仕切る妹の和奏と父にすまないと思いながら時は過ぎていく。 社会不安障害・・・心療内科に通院しながら仲間との連絡を絶っていたある日、空の青さに心奪われ自転車でコンビニに向う。 ひょんなことで出会った異質な若者彼の額には三日月型の傷があった。 「絆」の背文字を追うと・・・若者は「俺のじゃねえよ! 」と否定した訳ありの自転車に跨り、去っていった。 そんなある日、以前断られた食品工場から電話が入った。 未来は時々煙突の煙のように空に刃向かう。 青が藍より青く、風が灰色を透明に変える技を持っていても、未来の明暗を握るのは火種を熾す(おこす)自身だ。 僕は今、労働に携わり、あたたかいご飯を食べられる以上の幸せを望まない。 工場には一定の時間帯にトラックが出入りする。 リストラ後、十年ここにいるという先輩が僕の前を大股で歩く。 ネームプレートには「奥山」と書かれおり、盛り上がった筋肉は汗を滲ませ、作業着の所々にこびり付いた汚れがあった。色のない深夜の倉庫で黙々と仕分けをする彼等は、時々振り向き、蛍光灯の明かりでいっそう白く虚脱に見える僕を怪訝な顔で見ている。けれど僕は、緊張の傍ら、わずかに上がる鮮度計を感じることができる。 僕の作業着のポケットに、赤と黒のマジックと軍手、カッターが収まった。 数日後、夕日を背景に一台のトラックが大きなカーブを描いて入ってきた。 奥山さんが僕の肩を叩き、荒れた手でトラックを指した。「あれ、覚え易いだろろ・・・な?」「た、確かに」 男は運転席から忍者のように飛び降り、直ぐにこっちに向ってきた。反射的に後ずさりする僕に、彼は笑みを浮かべ目を光らせて言った。「よう! 新米っておまえだったか!」 日に焼けた額には、キラキラ光る汗の雫と三日月型の傷があった。 photo by 鬼太郎姫さん
2008/06/17
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主人公 柴田利春 妹 和奏 専門学校当時の仲間 隆夫 、千尋 ほのめく人 朋子 謎の若者 「 彼 」 夏休みを控えた昼下がり、裏路地を歩く小学生のランドセルに防犯ベルが下がっている。今、犯罪は土地を選ばない。 僕はいたたまれない気持ちで、急いで路地を曲がった。 汗を拭いながら自転車を降り、図書館から借りた本をリュックから出す。一冊一冊タイトルを確認するこのひと時は、停滞した心にかがり火が灯る。閑散とした家で鳴り響く電話の音・・・まもなく留守電のアナウンスに変わる。僕は淡々と本を並べていた。「もしもし、柴田さんのお宅でしょうか。こちら日鮮運輸と申しま・・」「は、はいっ、柴田です!」 僕はこの一声を発するのに、もの凄いエネルギーを消耗する。 だから滅多に受話器を取らないし、家族もそれを弁えている。 特に僕がひきこもってからは・・・ 電話は以前断られた会社からだった。「週三日でいいから、来てほしい」と言う内容だった。 すまなそうな声の後ろで微かな自信が漂い、僕の躊躇と絡み合う。夕方から深夜にかけての仕分けと積荷は関わる人が限られ、今の僕には最適なのだ。最後に書いた履歴書への思いが甦る。いったん社会の荒波に船を出すと、言語や心身の不具合など容赦ない。 僕は再び闇の岐路で立ちすくむ。 けれど・・・いじめも無視も、長い退屈にも今の僕は耐えられるし、僕にできた免疫を盗むことは誰にもできない。 そう、夢の彼は言った。 「 所詮は地球の欠片・・・」 僕はとうとうその日を迎えた。丸い卓袱台に置かれた弁当に、白い便箋が添えてあった。「兄ちゃん、外で食べる弁当はイケルよ。 念の為、保冷バックに入れるから。 水筒はお父さんの分しかないから、自販でお茶でも買ってね。それから・・・・・ 就職おめでとう。 和奏 」 撮影しっぽ2さん
2008/06/14
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主人公 柴田利春 妹 和奏 介護福祉専門学校の仲間 隆夫、千尋、朋子 夕立が通り過ぎた中庭で、明日の色を抱いた朝顔に触れる。「口紅のようだわ」 和奏は蚊取り線香を子豚の容器に入れて僕を見上げた。「兄ちゃん、朝顔の花言葉知ってる?」「まあ」 浅草朝顔市で、僕等は人であふれる仲見世通りを歩いていた。 花の香りが立ち込める賑わいで、浴衣の裾を揺らしながら朋子が言った。「愛着の絆」 その声は風鈴のようにささやかで、まるで美しい音色だった。 蕾を指さし「ねじれ」と言って肩をちょこんと上げた仕草も、僕の胸で眠っている。「なーんだ、知ってたの」「絆に会ったよ、最近」「何それ?」「もう会えないと思う」「兄ちゃん、訳わかんないー」 彼の背中に描かれた「絆」の文字が雲の迷路から顔を出し、爽やかに走り去る自転車が頭を霞めた。もう和奏はいない。 まるで気の早い雲のようだ。 せかせか家中を動きながら、起用にメールをうち、流行の服を着て鏡の前で何度も角度を変え、にこやかに振る舞う。けれどそれを見ると、僕は心底ほっとする。 きっと父も・・・ 僕は部屋に戻り、ベッドに寄りかかって携帯の受信履歴を開いた。「あれから三ヶ月、そろそろ飲むか? ってか夜勤、超キツイよな! 隆夫」「柴田君。 仕事はどう? 音、ないから気になって。 千尋」削除を押す度に指先から心臓へ虚無が巡り、やがて体が深く沈む。 カーテンの揺れ、秒針の刻み、階下の気配が僕を眠りに誘う。 「いつまで優等生でいるんだよ。 みんな地球の欠片に過ぎないよ。 同じ重さのひとかけらだ。自然も時間も君の味方だ。 俺もだ・・・」 セピアの夢に現れた彼は、庭の木陰から静かに僕に語りかけて去って行った。裏木戸の軋む音で、僕は目を覚ました。 イメージ写真 ちぎれ雲さん
2008/06/12
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仕事から帰えると、テレビで凍りつくような事件が!昨日、秋葉原に立ち寄った。つくばエックスプレスから JR に乗換る際、秋葉原はいったん外に出なくてはならない。目指すは都内のライブ 天然性方向音痴を逆算して、早め早めに家を出る わ た し最近話題の秋葉原はどんなもん? 若者は? 街並みは? 匂いは? 私、文章が膨らむように時々フラッと探索する。 情景描写が下手だし(;;) 命ってなんだろう・・・あまり頻繁に残酷な事件があるので、やがて忘れ去られ・・・被害者のご家族は? 映画「 相棒 」で世に問うた部分でもある。 この頃 「 挿し木 」に凝っている。 小バラやゼラニウムの根がついた切って違う場所に挿せば、息を吹き返すって凄い 人の命は・・・こうはいかない。 気分転換に み~んな頂き物、もちろん手作り。玉手箱に仕舞って、時々眺めてる・・・今は出番があまりないけれど 仕事はだしね。明日が皆さんにとってよい日でありますように(--) おやすみなさい
2008/06/08
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引き寄せられるように辿り着いた場所は、学生時代に立ち寄ったコンビニだった。向かいは大きなバスターミナルで、周りを囲うように並んだプランターには四季折々の花がこぼれる様に咲いている。 「行き届いた手入れはボランティアの人が・・・」 父が言ったことが今、心に染みてくる。 いや、今だからこそ、僕は花をそんなふうに眺めることができるのかもしれない。空と自然のコントラストは、停滞していた僕の巡りを緩やかに促した。 山型の植え込みに立つ時計台が、十時を指していた。「ずいぶん走ったな・・・」 僕は自転車を降り、自販の脇のベンチでお茶を飲んでいる老夫婦に目を止めた。立てかけてある杖は女性の物らしい。 僕は無造作に置かれた自転車を速やかに移動した後、店でコーラとポテチを買い、ちょっとのつもりで求人雑誌を捲りはじめた。 ところが数秒後、「介護」の文字に反応し、僕は即座に雑誌を閉じた。 脈が乱れ、汗が滲み、口じゅうに苦いものが込み上げてきた。 この前兆を作動前に切り替えなければ! 予期不安が招く悪循環にどれだけ苦しめられたか・・・僕は急いで店を出ようとした。 その時だった。 立ち読みしていた長身の男性に肘が触れ、雑誌がスニカーに被さるように落ちてきた。「ん?」、「す、すみません!」 僕は露出の高い表紙を持ち替え、彼を見上げた。 額に三日月型の傷があった。「ま、気にすんな」 心臓の後ろで待機していた余波が去った。 コンマ1秒のリセットに安堵する。すると、何かをキャッチした彼の瞳はいちずな光を投げかけた。「あのさあ、さっき何で自転車動かした? ほら、ベンチの所の」「あれ、貴方の自転車ですか?」「俺んじゃねえよ」 彼は茶色い髪を帽子に突っ込み、ポケットをまさぐった後、大きな手の平に小銭を置いた。「200円、足りねえや」「は?」 僕はこんなに堂々とエロ本を買ったことがない。 気合いが入ったヤンチャな彼をガラス越しに追っていた。藍色のティーシャツに跳ね上がった文字が描かれている。「絆」 「浅草仲見世風来坊」 やがて彼は、僕が勝手に移動した自転車に跨り国道の方へ去っていた。
2008/06/06
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一昨日、転職後 初めてのお給料日でした。 何か記念に残るものを! とずっと考えていました。 植物? バック? 絵? 貴金属? 寿命近い洗濯機? コンパクトドラムセット?今、欲しい物といえば・・・・・・・・ シミが消える消しゴム しわが伸びる皮膚用アイロン 毛穴一本につき二本の髪の毛 結局、半分は定額貯金することに。 残りは(そんなにない) お花、旅行の積み立て、リンパマッサージ、ライブ、映画、ランチ、そして手芸用品などに消えるでしょう~ ・・・と言うのも、時々地元の福祉センターに手作りの巾着やビーズを持っていく。 私達はおばあちゃん達の笑顔を貰って帰る。 そんな楽しみもあって 適度に疲れるからよく眠れる。 心が疲れないからよく眠れる。 ささやかな楽しみも 週一のジャズダンス、ワルツ、ヨガ. 想像力を巡らせて、人間ウォッチングの貯蔵庫から一つ二つ摘まんできて、物語を作る。 主人公に寄り添い、おなじ空間で暮らす楽しみ。 今の職場で、私のような者は特別な事はできないけれど、せめて笑顔と心からの一言を 私がそうされてきたように・・・ 何はともあれ、[ ささやか ]が一番!と思うこの頃 かおと
2008/06/01
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紫陽花の葉の上で雫が光っていた。 庭の片隅には母が好きだった小さな桜の木がある。 夏を越え、秋の休息を経て、厳しい冬に耐える。 ほんの一時ふわふわと花びらを揺らし、誇らしげに春の主役を演じる桜が僕も好きだ。 靴職人の父は浅草の工場へ、妹の和奏(わかな)は三人分の弁当を拵えて学校へ行った。 多くを訊かない二人にすまないと思いながら、僕は庭を眺めていた。 梅雨明け間もないある日、置き去りにされたの自転車のサドル拭いているうちに、ふと街に出たくなった。 心療内科で処方された薬が効いてきたのか、僕はそのまま自転車に跨がり路地を抜けた。 表通りに出るとペダルを漕ぐ足がとても軽いことに気づいた。「空がこんなに青い! 」 僕は感動した。 風から感じる季節と心地よく調合して、見えなかった「明日」がこの青に溶けている。 そしてこの日、こころの薬箱に新しい風が入り込んだ。 photo by しば桜さん
2008/05/29
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雑草の隙間で小花が揺れている。 毎年今頃になると顔を出す花の名前を僕は知らない。 黄色い帽子を被り、大きなランドセルを背負った少女達が花を摘む姿がとても眩しい。 僕はこの日も無駄足を踏んだ。 凝りもせず・・・絞り込んだ地元の福祉施設で、尖った顎を上向きにした面接官から、雇う側が裏手でヒッソリ対処すればいいことを、僕は直に浴びた。 汚水が入ったバケツごと・・・ 「はっきり言わせてもらうけど、君、吃音があるね。 利用者さん・・・つまり高齢者とのコミニケーションが取れるのかい?」 僕はその白い建物で暮ら多くの高齢者を、気の毒と思う事で自分を励ますしかなかった。雨上がりの路面を見つめながら、僕はひたすら歩いた。 それから一週間、僕は誰とも口を利かずに過ごした。 空がとても青い朝だった。 その日、開き直って向かった病院の面接が思いがけず通ってしまった。 仲間達と再会する日を描いて心浮かれる一方で、もう後はない!という緊張感が僕のエネルギーとなった。 院内介護病棟で二本線が入ったナースキャップを見つけると、陽だまりに入り込むような心地になった。 採用を決めてくれた松浦婦長は僕のコンプレックスを弁え、汚物処理をする僕に優しい言葉をかけてくれた。 自分にも息子がいて、眉の濃い所がよく似ていると、目じりを下げて微笑んだ。 死んだ母のように穏やかな人だった。「柴田君、そういう事、嫌な顔しないで黙々とやってくれる」「・・・仕事・・・ですから」 ところが数日後、介護の現場でそれは起きた。日頃から低賃金重労働をぼやく先輩数人から、僕は予期せぬ罵倒を浴びリンチを受けた。「婦長が目をかけてるからっていい気になるなよ、ん?」 一過性だと思っていた何時かの発作が襲った。 汗で濡れたユニフォームをロッカーに入れ、鼻血を拭きながら裏口から病院を去った。「 松浦婦長様 いろいろお世話になりました。 とても感謝しております。 申し訳ありません。 五月二十日 柴田利春 」
2008/05/28
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電車が荒川の鉄橋に差し掛かかると、足元から突き上げる振動と金属音が僕の体を縦断し、 耳の奥にメンタルな響きを残していた。「じゃあね!」「また会おうぜ!」 気心知れた仲間の笑顔が、まどろみの向こうに去っていく。 耳元で囁いた朋子の声も浮遊しながら夜空に消える。「桜の蕾はね、好きって言えない少女なの。 フェルメールの絵のように・・・」僕はもう彼等と会えない気がする。 朋子の異質に心揺れ、好意を抱く未来も描けない。 疲れた・・・机には書きかけの履歴書と数冊の求人雑誌が、侘しげに僕を待っていた。僕は水道の蛇口に直接口を付け、拾うように水を飲んだ後、洗面台に両手を置いてゆっくり顔をあげた。 窪んだ目が光の中で潤んでいく訳を辿った。それは腐れたプライドだった。 少しばかり勤勉で、卒業には特別の表彰を受け、早々に資格も取れた僕の・・・ 明日からまた「 僕を必要としてくれる場所 」を、探さなければならない。/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////// 今日、感じたこと ( 傘の気持ち ) 今のように駅の傍にコンビ二やドラックストアーが無かった頃は、家族や恋人が傘を持たずに出かけた事に気づくと、傘をさして、片方の手に相手の傘を持って迎えに行った。ちょっと優しい気持ちに浸って、うきうきして。 恋人の場合は、傘は結局一本で足りて・・・腕にしがみ付いて、半身濡らして歩いたもの。便利になったけれど、そういう光景が見られないって寂しいね。 かおと
2008/05/25
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繰り返す条件反射の果て、僕には石垣のような習性ができていた。それが自然な行為でも、彼等が陽気に交わす事を僕は直ちに流すことができない。 街はしだいに闇に包まれていった。電車の音、溢れる人、繁華街の赤ちょうちん、焼き鳥の匂い、威勢のいい呼び込み、裏路地の気だるさ。 芸術色がある公園側とアメヤ横町側は、まるで別の顔だった。 黄色に変わった信号で足を止めた僕は、ひんやりした風の中、陽気に笑って走っていく彼等の背中を見つめていた。 ふと侘しさが込み上げた。 人が行き交う上野駅の構内に入ると、駅名掲示板を見上げながら千尋が言った。「上野って凄くない?」「どうして?」「なごってる」「ん?」「古き良き時代の・・・それよ」「おまえ、何気に尊敬するよ。ピカソの次に」「あっ! バカにしてる?」 淡々と流れる時の中で、僕等の夜が終ろうとしていた。「こういうの、もうないね。散るんだもん私達」「咲くんだろ!これから」 髪をツンツン立てた隆夫の言葉が、僕のホールに木霊した。介護の現場に羽ばたく仲間の傍らで、地上の活動から見放された輪郭が揺れていた。
2008/05/22
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風雨で夜中に何度か目がさめた。 この雨は昼過ぎにやんで、明日~気温がぐーんと上がりそう。 今の仕事を始めて、そろそろ一ヶ月。 初日から着ていた制服? ユニフォーム?が,ブルーからピンクに変わった。「ああ、年齢で色分けされてたんじゃないんですね! ホッ!」 「どうなることかと思ったけど、○○さん! 何とかなりそうだね」 と患者さん。何たってこんな私だからこれからも笑顔で頑張ろう うれしかったこと 先日、「奏でる時に」を読んで下さった関西のご婦人(70歳)方から、栞が届いた。栞の裏に 「 文学路の甘菜 2008.4.25」 と書かれていた。 高山植物が大好きな方で、この時期に甘菜が採れるのは珍しいと・・・大切にしよう。この花を撮って下さった方にもとても感謝している。 時は黙っていても過ぎていく。 何がどう変わっても、穏やかな心に戻してくれる。 今日からまた、新たな時を刻もう。 自分史を奏でよう! 「天然なりの・・・」
2008/05/20
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三年前、僕は冬を越えた花芽の膨らみに見惚れながら、ちょうどこの辺りを歩いていた。専門課程を終え、就職が決まった仲間達の目は輝き、声は俄かに弾んでいた。 「フィラデルフィア美術館展」 僕がコースに加えたもので、彼等にとってはオマケのようなものだった。青い矢印を辿って行くと、やわらかな陽射しに包まれたレンガ色の美術館が佇んでいた。 僕は一点のぶれもない絵画の中に入っていく心地だった。「柴田君って前から好きだったっけ? 絵とか、そういうの」 千尋が、にきびを隠す為にカットした前髪を小さな手で触りながら言った。 「動物園よりはね。 だけど・・・」 美術館は初めてだ・・・それは心地よく途切れ、前を歩く数人が歌いはじめた。「さくらーさくらー 今咲きほこれー・・・」「未だ咲いてないじゃん!」 隆夫が照れくさそうに辺りをキョロキョロ見ている。 茂みの向こうの人集りからはラテン系の音楽が流れていた。 「桜はね・・・思わせぶりなの。 さっき見た絵のように」 歌声に紛れた朋子の言葉は、僕の肩越しで程よく戯れていた。 モネの「睡蓮」「日傘の女性」、それともフェルメール? きっと僕に浮かんだものは朋子の言う「思わせぶり」とは違う。 すると僅かなジレンマを見透かしたように、朋子が囁いた。「柴田君、あのね・・・」
2008/05/17
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それは一枚の美しい絵だった。公園の木々から、淡雪のような花びらが舞いはじめた。甘い静寂に迷い込んだ僕は、両手をあげてはしゃぐ彼女を見つめていた。「ね、花吹雪?」 僕がほほえむと、彼女は満足そうに空を見上げ、スカートの裾を少し摘まんで舞いはじめた。 すらりと伸びた白い足や、戸惑いのない仕草から目を背け、僕はベンチに腰かけた。そしてお気に入りのモネの絵葉書をリュックにしまい、再び桜の木を見上げた。 すると木々の間から、太陽をさえぎる雲がみるみる引いて行くのが見えた。 陽だまりの天使はいつの間にかしゃがみ込んでいる。「こんな日がくるなんて・・・」 僕は裕介を想った。 想うほどに胸は熱く、瞼が僅かに痛む。それは時々、僕を優しく苦しめた。 「ほら・・」 得意げに差し出した帽子を覗き込むと、繊細な指の感触で集った花びらが健気に身を寄せ、甘い香りを放っていた。 photo by しば桜さん
2008/05/14
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今朝から四時起き。 家族のリズムが変わると母(一応)はね~肉体労働者に朝食を!ってことになる。夕方から学校に行き始めた息子。 新たな目標をめっけた様子。私はPM2時半出勤。 当然昼寝などできないわけで、早寝になる。 淡々と同じリズムを繰り返すパートナー(サラリーマン)は至ってマイペース。 ゴミ出しと風呂掃除をやってくれるから、感謝。 この春減った体重(マイナス6キロ)でジーンズがゆるゆる!不経済だよね。 太るのも痩せるのも・・・逆ダイエットを試みよう。 この夏、猛暑で干からびてミイラになっちゃう 週末は東京へ。 ルンルン! 都内に出た夜は実家に泊まって、母と長っ話をしてくる。 それもまた親孝行。 さあ、今日もまた笑顔で仕事を! 楽しみはたま~にあるから「楽しみ」なんだよね。
2008/05/12
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昨年挿し木した薔薇が、蕾をつけていた。 ミニ薔薇も地面に根を張り、健気に顔を出している。力をいれずに、ちょっと試みたことは案外良い結果がでるような気がする。 力尽きて心歪むより、ゆとりや隙間を・・・要は歳。 学習能力?最近、心もそれををちゃんとわきまえていて、注ぐ、抜く、引くのバランスを保とうとしてくれる。 そしてありがたいことに温かいアドバイスも頂いた。「出たとこ勝負!」も下町育ちのガサツな私を形成した素材の一つに違いない。裏腹に潜む「壊れ易さや不安」 これも私のDNA。 昨夜からダンスに復帰。 秋のステージの振り付けに、休息していた細胞が作動するのがわかった。 「わっ! まだ踊れる! 」この春体調を崩し、6キロ落ちた体重。 体力より精神力に正直不安があった。 休診日の今日、半月で出会った患者さんの顔を浮かべながら思う。たぶん私にとって最後の仕事場。 ぜひそうでありたい仕事。 事故後のリハビリに通う若者、同世代の方、大好きなおじいちゃん、おばあちゃん。十年以上お世話になった病院で仕事をする因果。根を張った挿し木のように、新たな場所で自分の色を生かせたら・・・ photo by yuu yuuさん
2008/05/10
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変える所(見直す)は思い切って変え、変えてはならないものは頑なに守る。ある文面から飛び込んだ言葉。結構気に入っている。 人に当てはめたらどうか? 分析に頭が働かないけれど( 仕事で脳細胞使用中 )とにかく単純に 潔くよくて私は好き。 「白黒はっきり! グレーがない」 「0か100って感じ」私は時々こう言われる。歳を重ね、様々な場面を経て、最近緩やかになってきたと思う。でも心の癖や傾向性は、なかなかしぶとい。じっくり考えてから行動する派行動してから考える派私はどちらかというと後者。 大胆な反面、いつまでも錆びたオモリを引きずっていたり・・・許容量ギリギリまで我慢し、溢れた汚水をせっせと拭いたり・・・ 家族や友達、趣味、移り行く自然、素知らぬ顔した時間、そしてこうして書く事が、オモリを軽くしたり、溢れる前に器をデカクしてくれる。そう思う昨今。 さて、私は何を言いたかったんだろう忘れちゃった! かおと
2008/05/08
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「 .com 」 いいな~ こんな小説のタイトル。 シナリオは浮かぶんだけどね・・・書けないんだよね今。 熟して発酵後かな。 内容を家族に話すと、「よく、そういう事考えるねぇ・・・妄想力?」 ドットコム ~ 実はこれ、競走馬の名前。 昨日は映画を観に行った。 どっと混む! さすが、噂の映画。 行列に加わり、時計を見ながらポップコーンとコーラを買い・・・ 館内は張りつめた静寂? 「みんな息してるのかな~? 」そういう映画だった。 となりの相棒は時々、涙。 この作品、脚本は何時見ても粋だけど、中半でわかっちゃうんだよね、結末が 私の心に残る映画は 「レオン」 「海の上のピアニスト」 「卒業」 「アース」 気になる上映予定のポスターを振り返りながら映画館を後に 帰りに、一目ぼれした花をいっぱい買って帰宅。 明日から再起動 毎・金曜ダンス♪、月一・ライブ(お姉さん!と呼んでくれる可愛い妹Bass) 職場で旅行の積み立てをしてるのもワクワク! 佐渡、福島、青森? ん~楽しみ・・・ そうだ! 数週間吸った止めよう!っと ドットコム ~ 「けじめる」 私的イメージ。
2008/05/06
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昨日はぼへら~っ!とした一日だった。家事を済ませ、ブログ徘徊。 友達の日記の下部から一年前をクリック。 おう! こんなコメント書いていたんだ、私。 こういう仲間が来ていたんだ、ここ。なんてタイムスリップして、あちらこちらのあの頃を。 懐かしい! シャワーのような雨が振ったり、時々太陽が雲を掻き分けて覗いたり・・・空は時々悪戯っ子。 昨日は26回目の結婚記念日で、夕飯はでリクエストした赤と黄色の薔薇を、何処に植えようか? そんな小さな楽しみが心をわくわくさせた。 おっと! もうこんな時間一番忙しい日曜AM. では、仕事行ってきますぅー kaoto
2008/05/04
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暮らしに新しいリズムができて、体調も良く、今日も仕事に行けます!これって、当たり前のことじゃないんだよね。 今,元気なことに感謝しないと 様々な病気を抱えた方がたに申し訳ない。「松葉杖を使わなくても良くなった! ほら、ゆっくりだけど・・・歩けるだろ?」「来月娘が出産なんでね。 早く治して孫を抱きたいんだよ」 新米の私に「頑張って下さいね!」と振り返って声かけてくれる方も。新しい小説は病院舞台? だったりして・・・ 先日ようやく念願の車がきた。 初めてのトヨタ車。 う~!ギアとサイドブレーキが~? (汗) 早くドライブしたい リズム ~ ダンス、ドラムだけじゃなく、暮らしにも大切。宇宙にリズムがあるように、人の心にも身体にもあるんだよね。 不思議な周波数。 人との波長。 テンポ。時の仕業で歪む時も、軌道修正して新たなリズムを そう! 自分のペースで「奏で」られればいいよね。 か お と
2008/05/02
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今日旅立つ人 おめでとう! 今日笑顔の人 明日もネ! 今日涙の人 明日は大丈夫! 空を見上げれば 心軽やか 空に微笑むと 空も応えてくれる 空に唾を吐けば 自分に落ちてくる 「 今日も頑張ったね! 」 と自分を褒めてあげよう! 遠い日の為に 自分で撒いた種は、自分で刈り取ろう! 良い種でなかったら 枯れてしまったら・・・ 今度はよい花を咲かせよう! ♪ KAOTO ♪
2008/04/29
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