●●●さまよう魂たち

100万ポイント山分け！1日5回検索で1ポイントもらえる

434152

HOME | DIARY | PROFILE

2005.08.04

(6)

テーマ：レンタル映画(818)

カテゴリ：アメリカ映画

この映画の疾走感は、
監督の才能なのだろう。
ピーター・ジャクソン監督作品。
死と魂、殺人鬼を題材にしながら、
ホラーにもミステリーにも偏らず、
勿論、中途半端にテーマを追求もしていない。
あるのは、ドンデン返し、
トタバタバタバタ。
縦横無尽のカメラワーク、
空を横切る黒い影は、
死に呪われた町を覆い尽くす。

不慮の事故で愛妻を亡くしたフランクは、
充たされない心を癒すこともなく、
憂鬱な日々をおくっていてもよさそうなものを、
霊がみえるようになったからは、
三人のゴーストとグルになって詐欺商売、
ワザと超常現象を仕掛けて、
悪魔払いなんかしちゃったりして、
ええ加減な人生、送ってたりした。
そんなフランクが巻き込まれる殺人事件、
彼が額に数字を観た人間が
次から次へと死んでゆく、しかもである、
その数字、ひとつずつ、増えていく。
ここで謎解きミステリーかと思えば、
フランクを犯人と睨むFBI捜査官ミルトンが絡み、
スラップスティック‐コメディに、
おまけに正義感のあるルーシー医師との
ちょっとしたラブロマンスもあったりする。
全ては縦横無尽のカメラワーク、
360度グルグル回転する
ジェットコースターのような展開の速さ、
疾走する！疾走する！

魂の救済を考える間もなく。
謎の額の数字の意味を推理する間もなく。
気が付けば、全てが
キレイに解き明かされていく。

グイグイ引っ張る強引なスピードに、
長大で膨大な物語を見事に映像化してみせた、
ピーター・ジャクソン監督の力量を観る。
少年ではなくなった
マイケル・J・フォックスだが、
逃げ回り驚き戦うタイミングの良さは、
天性のものであろう、絶品。
彼の見せるリアクションが、
監督の疾走と上手く噛み合っている。

額の数字、その「１」は。
という、映画最大の謎解きは、
クライマックスのトタバタにかき消される。
今は廃屋となってサナトリウムが甦り、
フランクとルーシー、そして、
最大のボスキャラ、殺人鬼との追いかけっこ、
殺しまくる殺人鬼の迫力、
次から次へと訪れるピンチ！
最後の最後まで息もつかせぬ展開！

生と死、愛情を扱えば、
もっとウェットになるだろうに。
ミステリーの要素があるのだから、
もっと、緊迫感があってもいいだろうに。
この映画はそんなもんを吹き飛ばす。

縦横無尽のカメラワーク、
綿密に計算された超常現象の演出。
ホラーからサスペンス、たくさんの要素を
どれにも突出せずに、疾走してゆく。
その疾走に、有無を言わせず乗せられるのだ。
奥行きのある映画も興味深く、
監督や俳優たちの表現力を見せつけられる。
だが、中味が詰まっていなくとも
観る側を強引に乗せまくる娯楽性の高さも
監督や俳優たちの力量に他ならないのである。

お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう