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投資家はたいてい、それまでの信念を捨てることが大嫌いだ。市場リターンに追いつけない投資家が多いのは、自分の価値観に反する情報をうまく咀嚼できないからだ。
2012年12月20日、アックマンのプレゼンテーション「大金持ちになりたいのは誰か」を聞くために500名の聴衆が集まった。アックマンは、ハーバライフがピラミッド・スキーム【マルチ商法】のビジネスだと批判し、この空売りから得た利益を「血の金」と呼び、慈善事業に寄付すると言った。
長時間にわたったプレゼンテーションの翌日から3日間で、株価は35%下がった。この急落を見て、最も強力なライバルの一人が参戦した。
2013年1月9日、ヘッジファンド、サード・ポイントの創業者ダニエル・ローブは、ハーバライフの株式890万株、発行済み株式の8.24%を取得してSECに届け出て、同社第2位の株主になったと発表した。
ローブの届け出から5日間で、ハーバライフの株価は20パーセント上がった。1週間後、億万長者のアクティビスト投資家、カール・アイカーンがハーバライフの株を取得したとウォール・ストリート・ジャーナルが報じ、その1か月後の開示資料で、アイカーンが同社株の12.98パーセントを保有していることが明らかになった。
カール・アイカーンとダン・ローブ対ビル・アックマンの直接対決は、アックマンが自説を堂々と主張したことに端を発したものだ。
問題は、ビル・アックマンが「自分はこれでとことんやる」と公言したため、巨大かつ格好の標的になってしまったことだった。アックマンを苦しめるには、株価を上げればよかった。誰かが株を借りて空売りをしている時に、株価が劇的に上がってしまい、売り手が買い戻しを余儀なくされることを「ショート・スクイーズ」と言う。これは株の空売りに伴う非常に危険な側面の一つだ。理論的には、株価はいくらでも上昇する可能性があるからだ。
自分の投資スタンスをあからさまに公言してしまうと、運用資金がヘッジファンドにあるのか、証券会社の口座にあるのかにかかわらず、成功は極めて困難になる。自分の感情の制御すら難しいのに、他人の感情と圧力にうまく対処できるわけがない。
2019年6月、アックマンはついにハーバライフから撤退したと報じられた。
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