法人としての日産も立件へ 長期で巨額の虚偽記載を重視
2018
年 11
月 21
日 朝日新聞
日産自動車 の代表取締役会長 カルロス・ゴーン 容疑者(64)が報酬を約50億円過少に申告したとして、 金融商品取引法 違反容疑で逮捕された事件で、 東京地検特捜部 が法人としての日産を立件する方向で検討していることがわかった。 有価証券報告書 への虚偽記載が長期にわたって続いていたとして、特捜部は法人の責任も重視。法人も罰する「両罰規定」の適用に向けて捜査を進める。
特捜部の捜査に協力する見返りに 刑事処分
を軽くしてもらう 司法取引
に合意した部下は、執行役員を含む複数の幹部らと判明。虚偽記載は、代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)がこの執行役員らに指示していたという。
ゴーン会長はケリー代表取締役と共謀し、2010~14年度の5年度分の 有価証券報告書
に、実際はゴーン会長の報酬が計約99億9800万円だったにもかかわらず、計約49億8700万円と過少に記載したとして逮捕された。
金融商品取引法
は、 有価証券報告書
の重要事項についてうその記載をした場合、10年以下の懲役か1千万円以下の罰金を科すと定めている。さらに社員が業務に関して違法行為をした場合、事業主体の法人も罰する両罰規定があり、法人には7億円以下の罰金を科すとしている。
今回の逮捕容疑について特捜部は、経営トップであるゴーン会長の虚偽記載が5年間と長期にわたり、約50億円と巨額にのぼる点を重くみて、法人の責任も免れないと判断し、立件を検討するものとみられる。
日産は約50億円の差額分について、ゴーン会長が会社の投資資金や経費を私的な目的で使ったとみている。子会社を通じた海外での住宅購入費などには数十億円があてられたとみられるという。このため、日産はこうした住宅に住むための費用を 有価証券報告書
に記載すべき報酬ととらえ、虚偽記載にあたると判断。検察当局に情報を提供したという。
日産は海外の子会社を利用して ブラジル ・リオデジャネイロやレバノン・ベイルートなどに住宅を購入し、ゴーン会長に提供していた。ケリー代表取締役が取引を主導し、執行役員らに事務的な処理を指示していたという。特捜部はこの執行役員らとの間で 司法取引 に合意し、捜査への協力を得たとみられる。
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