三鷹、聞いたか、吉祥寺、二子玉川 and Shibata

三鷹、聞いたか、吉祥寺、二子玉川 and Shibata

全て | カテゴリ未分類 | 美術 | つぶやき | スポーツクラブ | 時事問題 | 食事 | 富士山 | JAZZ | 植物園 | 家族 | 韓国 | 旅行 | 東南アジア | 吉祥寺 | コンサート | 三鷹 | TV | 病気 | 催事 | 都心散歩 | 映画 | | 家事 | 食品 | 美術展 | マテリアル | 買い物 | 演劇・ミュージカル | お正月 | 郊外散歩 | オリンピック | 自然文化園 | JALカレンダー | 井の頭公園 | スポーツ | 昔語り | 海外旅行 | 私の好きなMusic | 片付け | Shibata | おでかけ | 原発 | 二子玉川 | ネット右翼 | 天声人語 | 新型コロナウィルス | 会社 | 資産運用 | パラリンピック | 英会話 | バス旅行 | フィギアスケート | インターネット | 友人・知人 | 親族 | 住まい | バレエ | Zumba | 戦争 | 天皇・皇室・皇族
2020.11.09
XML
カテゴリ: 時事問題

(日曜に想う)「政治的方言」に慣らされない   編集委員・福島申二

アメリカ大統領選 の喧噪(けんそう)を離れて 菅義偉首相 のこの間を振り返れば、まず注目していた初の 所信表明演説 は肉付きのとぼしい印象だった。実務的に各論を積み上げる流儀はわかるが、流れを漕ぎ上がっていくような言葉の力がない。

約25分の話を聞きながら胸に浮かんだのは、自決から50年になる 三島由紀夫 のエピソードだ。戦後すぐに 大蔵省 の官僚だったころ、大臣の演説草稿を任されたことがあった。だが書き上げたものに上司は不満で、根本的に改訂されたと自著「文章読本」で振り返っている。

直されて出来上がった演説文は三島も感心する「名文」だった。「すべてが感情や個性的なものから離れ、心の琴線に触れるような言葉は注意深く削除され」ていたそうだ。 紋切り型 の表現がちりばめられ、「一定の地位にある人間が不特定多数の人々に話す」ための、独特の文体になっていたという。

菅首相ばかりではない。 安倍晋三 前首相の被爆地でのスピーチをはじめ政治家の言説を聞くたびに、三島のいう名文が「永遠の命脈」を保っているとの思いを新たにする。とりわけ近年は 恥ずかしげもない作文棒読み がはびこって、国会論戦は貧相にやせ細るばかりだ。

そのような生気を欠いた、模倣的で陳腐な文体や言い回しを、英国の作家ジョージ・オーウェルは「 政治的方言 」と呼んでいた。演説者の喉(のど)から音は出ているが「自分で言葉を選んでいる時のような頭の働きがそこには加わっていない」と手厳しい(「政治と英語」から)。

     *

所信表明から2日後。 日本学術会議 の任命除外について菅首相は「多様性が大事なことを念頭に判断した」と国会で答弁した。その奇妙な弁明を聞いて、今度はシェークスピア劇の「 悪魔も手前勝手な目的のために聖書を引用する 」というセリフが、ふと胸をよぎった。

多様性や異論をむしろ排したと見える6人除外を、「多様性」という言葉を味方につけて正当化しようとする不条理を思ってのことだ。たとえて言うなら強権国が民主化を求める市民を制圧して、それを「正常化」と呼ぶような言葉づかいのまやかしをわたしは感じた。

それら苦しい弁明に用いた言葉のツケを、首相は先週の衆参 予算委員会 で払うことになった。それにしても答弁はおぼつかなかった。不器用というのでもない( 高倉健 さん以来、不器用はむしろ好意的な言葉で、それには誠実さという裏打ちが要る)。聞いていると、首相はこれまで頼みにしてこなかった言葉から仕返しを受けているように思われる。

長かった 官房長官 時代には「差し控える」「問題ない」「当たらない」を連発し、自前の言葉で説明する手間は徹底して避けた感が強い。これでは言葉のほうもそっぽを向こう。木で鼻をくくったようなあしらいはある種の威厳をもたらしたが、首相となればそれでは通るまい。

     *

「カビってどうして生えてくるんでしょう」と聞かれて、「早く食わねえからだ」と答えたというある落語師匠のエピソードは、問答のちぐはぐが愉快で笑わせる。だが言論の府でのかみ合わない問答は、大抵は狡猾な戦略とみていい。

先に掲げたオーウェルの論評に照らせば、擁護できないものを擁護しようとするとき、政治の言葉は婉曲と論点回避と曖昧性が露わになる。いわゆる「ご飯論法」のごまかしも、「会っていない」と言わず「会ったという記憶はない」と言うのもその類いだろう。今回の学術会議の問題をめぐる説明も、モリ・カケ・サクラと同じ型にはまり込んでいる。

ここまで書いてきて、日本のいちばん大切な公共財は日本語だと言っていた 井上ひさし さんを思い出す。それに比べれば 新幹線 も高速道路もものの数ではあるまいと。この作家らしい卓説である。

政治への信頼は、政治家の言葉への信頼なしには成り立たない。 なのにせっかくの「大切な公共財」を軽く横着に扱って恥じぬ政治家は少なくない。語られる言葉の貧困、怠惰、不誠実に「いつものこと」とは慣らされるまい。その意識が為政者に緊張をもたらすことになる。
(朝日新聞 2020 11 8 日)





なかなか読ませてくれる記事でした。
8年近くも内閣のスポークスマンをやっていたスガの予算委員会での姿は真に無様でした。

記者会見なら、事前のやらせ質問やうるさい記者への指名をやめたり広報官を通じて圧力をかけることができるのでしょうが、国会の質疑ではそれが通用しませんでした。
さすがにアベのようなヤジはなかったものの、そのことがスガを一層貧相に見せたように思います。

学問の自由を侵すだけでなく思想信条の自由や表現の自由をも侵害していると思います。
任命拒否した6人のうち業績を承知しているのは加藤陽子教授のみとは驚きでしたが、
では任命した99人の方はどうなのかスガに聞きたくなりました。
こちらは名簿を見て決裁しているのですから、知らないとは言えないでしょう。

それにしても、裏で暗躍している公安警察官僚の杉田が、広範に思想信条調査を行っているのでしょうね。
ひと昔前は、電話の盗聴や信書の開封でしたが、今はメールのチェックやSNSの監視でしょうか。
前川さんは尾行されましたね。
行動確認というそうです。


参考:

菅首相のジャカルタ内外会見は、質問と回答が用意された”ヤラセ会見”。現地記者からも抗議の声

https://hbol.jp/231691







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2020.11.09 00:00:11
コメント(4) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: