能登半島地震でマスコミが映さない原発の「不都合な真実」 ずさんな避難計画を隠そうとする政府と電力会社 古賀茂明 (msn.com)
からです。先週に続いて、あまり知られていない原発の「不都合な真実」をもう一つ紹介しよう。
それは、原発周辺住民などのために作られている 原発災害避難計画 は原子力規制委員会の「審査」を受けていないということだ。
普通の人は、国が再稼働を認めるからには、ちゃんとした避難計画があり、その計画は、政府が言うところの「世界最高水準の」基準に従って規制委が審査していると思うだろう。だが、実際には全く違う。 規制委は、避難計画にはノータッチなのである。
原発災害の際の避難計画は、各自治体が策定することになっている。そこで、志賀原発が立地している「 志賀町原子力災害避難計画 」をネットで検索してみた。平成 29 ( 2017 )年 11 月付の資料だ。
読んでみて呆れたのだが、避難手段を記載した箇所の冒頭に、
「 避難にあたっては、災害の状況に応じ、自家用車をはじめ、自衛隊車両や国、県、町の保有する車両、民間車両、海上交通手段などあらゆる手段を活用する 」
と書いてある。
要するに、主たる移動手段は「自動車」としているのだ。ご丁寧に自家用車で避難できない人はバスで運ぶとまで書いてある。避難ルートは国道・県道などとし、警察・消防が避難誘導を行うそうだ。
今回の地震を見れば、この計画が全く役に立たないことがよくわかるだろう。ほとんど笑い話のようだが、笑い事ではすまない。ことは多数の人命に関わる問題なのだ。
こんな杜撰な計画を真面目な顔をして住民に提示している志賀町はとんでもない自治体だと思う人もいるかもしれない。志賀町の町長も町会議員も町役場の職員も本気でこの計画で大丈夫だと考えていたのだろうかということが疑問に思えるだろう。
しかし、全国の原発立地地域の自治体が作った避難計画は概ねこの程度のものだ。実は、彼らもこんな計画は絵に描いた餅であることはよく知っている。しかし、原発を動かさないと地域にお金が入ってこないので、やむなく作っているということだ。
彼らから見れば、それも住民のために仕方なくやっていることなのだろう。
逆にいうと、住民のためにやむなくやっていることで後から責任を問われるのは割に合わないと思う自治体の長も多い。
仮に、規制委が避難計画を審査することになれば、どう考えても、承認されるとは考えられない。つまり、日本の原発は全て止まり、廃炉にするしかなくなる。
避難計画を規制委の安全審査の対象外とすることは、極めて不合理である。
第一に、住民の避難ができない可能性があるのであれば、原発から放射能が漏れることは絶対に許さないという安全基準にしなければならない(それは原発を禁止するのと同義である)。
第二に、避難はできても時間がかかるということであれば、その時間が経過するまでの間は事故があっても放射能が漏洩しないような設計にしなければならない。
メルトダウンは稼働中なら 2
時間で起きる。
フィルターベント(事故の際、原子炉格納容器内の圧力が高まって破損する恐れが生じた場合に、フィルターを通すことで放射能の濃度を下げたうえで蒸気を外部に逃がす装置)で放射能を外に放出するまでの時間を長くするためには、格納容器や原子炉建屋の容積を大きくする必要がある。
避難にどれくらい時間がかかるかがわからなければ、設計基準が決められないはずだ。
いずれにしても避難計画と設計基準は論理的に切り離せないのだ。
日本の原発規制は極めて歪んでいる。
原発再稼働が全ての前提になっており、再稼働の妨げになるものは、考慮しないということが平気で行われているのだ。
規制委は、住民の安全を守るためではなく、原発を動かすことを第一目的とした機関となっている。
これは、規制委ができた時からわかっていたことだ。
脱原発には反対でも、まともな避難計画を作れということに反対する人は少ないだろう。
さらに、 報道の劣化 についても言及しています。
今回、志賀原発で大事故が起きなかったのは本当に幸いだった。だが、それで喜んでいるわけにはいかない。
現にさまざまなトラブルが原発内で生じ、また周辺道路も一時通行ができなくなった。震源が少しずれていれば、もしかすると大惨事になっていたかもしれない。
住民の反対で頓挫した 珠洲原発 の建設計画も、当時は地震でも大丈夫だという話だった。もし、計画が実現して珠洲で原発が稼働していたら、壊滅的な被害が生じ、周辺住民は避難できず大惨事となっていたことだろう。
今回の地震に際し、マスコミには当初、原発周辺の現場に足を運んで取材する様子が見られず、 1 月 5 日ごろになるとようやく写真などが報じられるようになったが、報道としては極めて小さな扱いでしかなかった。
忖度しているのかなと思ってテレビ局の複数のディレクターなどに聞くと、驚くべきことに、スタッフで原発のことを気にかけていた人はほとんどいなかったという話だった。
原発にカメラを出そうと提案をしても、人手もカメラも足りない中で、原発にカメラを出してどうするのだと言われるだけだと最初から諦めたという人もいた。
忖度でもなんでもない。ことの重大性の理解がないのだ。
報道の劣化が如実に表れた場面である。その結果、原発関連のニュースは今も極端に少ないという状況が続いている。
これは、政府や電力会社にとっては嬉しい話だ。
国道8号線の土砂崩れ
が報じられていました。
一桁の国道が不通です。
有力な避難ルートのはずなので避難計画に赤信号ですが、再稼働に突き進むのでしょうか。
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