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2016.01.05

「ザ・トライブ」をみて

(4)

テーマ： DVD映画鑑賞(14234)

カテゴリ：映画鑑賞

「ザ・トライブ」

2014年ウクライナ＆オランダ映画、原題も同じく"The Tribe"です。

ウクライナの新鋭監督ミロスラヴ・スラボシュピツキーの長篇デビュー作で、

登場人物は皆、ロシア語手話を使うろうあ者で、字幕・ナレーションは一切ありません。

カンヌ国際映画祭批評家週間グランプリなど3冠他、27もの賞を受賞しています。

アメリカでのレーティングは不明、日本ではR18+です。

ザ・トライブ【Blu-ray】 [ グリゴリー・フェセンコ ]
価格：4,720円（税込、送料込）

あらすじ

舞台はウクライナ。寄宿制聾学校に転校して1人でやってきた10代後半のセルゲイ(グリゴ

リー・フェセンコ)。

初日から、昼ご飯は横取りされて食べられなかったり、自分のベッドに案内してもらった

かと思いきや、夜中に起こされ移動させられたりと、落ち着くことができません。

同じクラスであり同じ部屋で寝起きする男子生徒たちは、ある生徒をボスとする不良グル

ープの子分で、低学年の生徒たちが寝静まった夜になると、起きてきて学校を抜け出し、

副業？(生業？)の窃盗・売春斡旋などに精を出し始めます。

ボスの彼女アーニャ(ヤナ・ノヴィコヴァ)ともう一人の女子生徒は、男子生徒がポン引き・

送迎する車中で派手な服装に着替えて、仮眠停車中の大型トラックの駐車場でドライバー

相手の売春を夜な夜な行って稼ぎます。

セルゲイも必然的にその仲間入りをさせられてしまいますが、体格がよく腕力があるため、

殴られてもそれ以上に殴り返し、すぐに頭角を現します。

ポン引きをしていた男子がトラックに轢かれてしまったため、木工教師が運転する送迎車で

売春業に同行し、トラックドライバーとの交渉役を引き受けることになります。

セルゲイは、帰りにこっそりアーニャに金を渡して自分にもしてくれと頼みます。

当初嫌々相手を引き受けたアーニャでしたが、セルゲイが気に入ったように見えました。

殴り合うことにも転校直後は気後れしていたはずのセルゲイは、犯罪にどっぷり手を染める

生活に慣れると、ボスの思い通りに動くのではなく、自分の欲求のままに行動するように

なり…。

私の感想

字幕説明もナレーションもまったくない、ろうあ者の手話だけによる映画ってこれまでに

なかったようです。音声はあります。

手話をする時に立てられる音など聞こえてきます。

しかし、手話でどういう会話を交わしているのかは全く説明がないので、知る由もありません。

成り行きや表情、しぐさなどを観察して推測するわけです。

激昂した会話の時などは手話もヒートアップしていき、激しくなります。

また、相手がこちらを見ていないと自分の言いたいこと伝えられないため、こっちを見ろと、

よそに視線を向けた相手の体を頻繁に叩いて注意を引いておりました。

ウクライナの高校生年代の生活など知りませんし、本作はフィクションとは思いますが、

「不良グループ」と呼んであげられるほどの幼さや可愛げなど微塵も残っていない、大人顔

負けの悪事や暴力行為を平然と働く犯罪者ぶりに唖然とさせられました。

逞しすぎるというか、なんというべきか。

聴覚障害を持っているがために健常者のようにアルバイトができないからとあのような非行に

及んだものでしょうか。

やはりまだ日本とは比較にならないほど物資に乏しいようで、欲しいものを力づくで奪うので

はなく、何でもいいから目ぼしいものがあれば他人から奪い自分のものにしようとしていたのが

印象的でした。

日常的に売春などをしている女子の場合、大きなつけを払うことにもなっていましたから、

その対処方法のお粗末さ(不衛生で無許可であろうとも、体が頑丈で耐えられれば、支障ないの

でしょうか)にもびっくりです。　Σ(・ω・;|||

ふと、数年前にご紹介したルーマニア映画 「4ヶ月、3週と2日」 を思い出してしまいました。

あちらの方がもっと恐ろしく、ぞっとしましたっけ。(￣□￣;)

そういえば、あの作品もカンヌ国際映画祭での評価が高かったんでした。

気になる方は探してみてみてください。

本作の主要キャスト2名の役名および名前は、見てる間は全くわからないため、あとで

調べて書きました。

他のキャストについては写真と名前を照合できないので特定できず、明記できませんでした。

ご了承ください。<(_ _)>

主要キャスト、グリゴリー・フェセンコとヤナ・ノヴィコヴァの、本作が初めての演技とは

思えぬほどの存在感と度胸ある演技に恐れ入ったので、☆4つにしたいと思います。

他のキャストの演技もなかなか真に迫るものでした。

(*゜▽゜ノノ゛☆

☆☆☆☆