りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年07月08日
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カテゴリ: ある女の話:ユナ
今日の日記



<ユナ3>



男女がしゃべってる中、あぶれたような私とヤッサンは、
いっしょにお酒を飲んで酔っ払っていた。
ヤッサンの目は終始ミーコを追っていた。
ミーコはカッちゃんと楽しそうに話していた。

可哀想に、ヤッサン…。

あ、でも向こうもそう思ってたりして。

「恋してる~?ヤマちゃん?」
哀れみなのかヤッサンが私に声をかける。

「いや~。飲んでりゃ楽しいッスよ!
ヤッサンは…」

恋してる?とか聞いて、協力を求められたらヤバいじゃん!
と、思って、慌てて話題を切り替える。

「仕事は順調?」

サラリーマンかよ?
ああ…、もう帰りたい…。

それから職場の現状の話になったけど、
女が女の悪口を言うと、男は大抵嫌な顔をするので、
適当に営業所がどんな感じかってことだけを話した。

ああ、もう、叫んでしまいたい!
私は今、最悪なんだよっ!
変な女が同じ営業所だし、
同期の男には遊ばれるし、
サイッテー!!!

その男はアイツだっ!

フジサワくんを目でにらむ。
マルちゃんと楽しそう。
指指して叫んだらさぞかし楽しいだろう。

でも、我慢した。
それで我慢する代わりに酒をガブガブ飲んでやった。

ヤッサンが楽しそうにしている。
女のくせに、すげーなぁ…とかって。
あはははは!
と、私は気分と裏腹に大笑いをした。

そしたら何だか楽しくなってきた。

…が、その楽しさは続かなかった。
帰り頃になって気持ち悪くなってきた。

うう…。もうどうしてこんなことに…。

私がシートに横になって眠っていると、
そろそろ帰るよ~と声が聞こえた。

ミーコがカッちゃんの車で帰っていいか聞いてきたので、
大丈夫だと答えた。
私は帰りは車で眠らせてもらうだろうから…と。

後で報告するね~!
とミーコはご機嫌だった。
そんなミーコの笑顔に癒される。
カワイイ。
私もあんな素直な女の子になりたかったな。

そんな訳で帰りは私とヤッサンとフジサワくんとで帰ることになった。
ヤッサンは後ろの席で爆睡していた。

本当は私も眠るつもりでいたのに、目が冴えてしまっていた。
それに、私まで寝ちゃったら、フジサワくんが可哀想な気がした。

酒臭い車内。
ヤッサンの寝息とフジサワくんが好きそうな曲だけが聴こえてくる。
沈黙が重い。

「大丈夫…?」
耐えられず、私はつい声をかけてしまった。

「うん。大丈夫だよ。」
フジサワくんの声が優しい。
ドキリとする。

「寝てていいよ。オレ平気だから。」

私は何だか平気な顔をしているフジサワくんに、
どうしていいのかわからない。

「マルちゃんにこっちに乗ってもらえば良かったよね。」

あ、ヤバ…。ちょっとイヤミ入ってたかも。
ヤキモチ焼いてると思われたかも。

「う~ん、方向が全く違うからな。」

フジサワくんは何とも思わなかったらしい。
え?でもそれって方向がいっしょなら送ってったってこと?

「残念だったね。」

私はそう言って眠ることにした。
ヤバイ!でもこれじゃフテ寝みたいじゃん。
誤解招くって。
私は何とも思ってないんだからね。
私は何とも思ってない。

「家ってあの駅なの?」

なのにフジサワくんが話しかけてくる。
気を遣ってるのか?
眠気防止か?
私もフジサワくんが眠って事故にでもなったら困るから…
そう心に言い訳をして返事を返す。

「ううん、違うよ。ミーコがいっしょだったから。」

私は自分の家の近くの駅を言った。
ああ、あの辺なんだ…とフジサワくんがつぶやいた。

「あの子はカッちゃんが好きなの?」

「え?何でそんなこと聞くの?」

ヤッサンが聞いてたらどうするのよ!私はそう思った。
が、ヤッサンはイビキをグーグーかいている。
でも、タヌキかもしれない。

「そうなのかな~と思って。」

「さあ、わかんない。聞いておくね。」

「いや別にオレが好きなワケじゃないんだけどさ。」
フジサワくんが慌てたように言う。

「ふ~ん。」
私はどーでもいいので、相槌も投げやりになってしまう。
実はミーコが好きだったりするワケ?
まあ、誰が好きでも構いませんけど。

フジサワくんが指でヤッサンを指す。

「うん。それは知ってるけど…。」
と私は答えた。

「バレバレだよね。かわいい奴!」
と、フジサワくんが嬉しそうな顔をして言った。
変な意味じゃなくて、男には人気あるんだ~とか何とか。

その無邪気な顔がまた憎らしくなった。
この男のことで一喜一憂している自分にムカつく。

流れる風景を見ながら、
フジサワくんチョイスの曲を聴いていた。
ヤマグチさんて何聴くの?
とか、他愛無い話をされて、
気付くと私の駅の近くまで来ていた。

「家どの辺?」

「え?!」
何だか申し訳ない気分になりながら、家の近くの通りで止めてもらう。

「ありがとう。」
そう言って車を降りると、フジサワくんが運転席から降りてきた。

「どしたの?」

「あのさ…」

フジサワくんはヤッサンが眠っているか確認するように車を見る。

「電話、どしてくんないの?」

はあっ?!っと私は思った。

「いや、ホントはオレからしようと思ったんだけど、
でも、何かバツが悪いって言うか、
出てくれなかったらどうしよう、とかって。
何て言ったらいいか…。」

なんだ。それは、私だって同じなんだけど…

「その…、酔ってたからってあんなこといきなりしちゃったし…
オレが強引だったっていうか…
抵抗できない状態だったじゃん?」

でも、酔って受け入れちゃった私もバカだったって言うか…

思い出したら顔が熱くなったのがわかった。
お願いだから、もう思い出させないでよ!
突然のことだったので、何て言っていいのか…。

顔赤いだろうか?
何だか恥ずかしい。
もう忘れちゃいたいのに…。

「ヤマグチさん、側に寄ってこなかったし、
怒ってるんでしょ?」

どういうつもりでこんなこと言ってるんだろう?
だってマルちゃんがずっと隣にいたじゃない?

何だか泣きたくなってきた。

「そんなこと無いけど…。」
ようやくそれだけ口から出せた。

「じゃあ、何で…?」

遊ばれたと思ったんで…。

そう口にしていいのか迷った。

「オレのこと嫌い?」

そんなこと今更言うかなぁ~!
酔いは覚めたはずなのに、心臓がバクバク言い出した。
首を横に振る。

「明日電話していい?」

うん。と頷くのがやっとだった。
何だか顔が見れない。
私、何だか女の子みたいじゃない?って思った。
いや、性別は女なんだけど、
「女の子」ってやつになったって言うか…。

ようやく顔を上げてフジサワくんの顔を見たら、
すごく嬉しそうな顔をしてるのが見えた。

胸がキュンって言ったような気がした。
ホントに好きになっちゃったんだ…って思った。

車に乗るフジサワくんに軽く手を振る。

フジサワくんはクラクションを一回鳴らして去って行った。

ウソぉ~!
って、私は思った。








続きはまた明日

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最終更新日  2009年07月08日 20時17分30秒
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