医療にホリスティックケアを広めたいナースの日記

医療にホリスティックケアを広めたいナースの日記

2007年12月27日
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カテゴリ: タッチケア
アロマセラピスト必見の本を紹介します。

~ 『第三の脳』 皮膚から考える命、こころ、世界 ~

                 傳田光洋著   朝日出版社

以前紹介した、『皮膚は考える』 の著者による新刊です。


前著では、皮膚はバリア機能以外に、表皮のケラチノサイトと呼ばれる細胞自体が
脳のように情報を処理し、判断し、自己修復するということが書かれてありました。

皮膚にテープを貼って角層はがして行なわれる実験など
たくさんの新しい発見に胸が躍りました。

ちょうど一年前のクリスマスのブログです → http://plaza.rakuten.co.jp/neoaroma/diary/200612240000/



そして、今回の新刊には、更に皮膚についての研究と
皮膚からみた生命の進化論や、心との関わり、
皮膚が第三の脳であることを謳いあげるわけが詰まっています。



これまでの解剖生理でも、皮膚の感覚受容器は、真皮にある
抹消神経の圧力センサーとしてマイスナー小体や、メルケル細胞が
また振動センサーとして皮膚深部にパチニ小体が存在し
皮膚に圧力や振動を与えたとき、これらのセンサーが信号を神経に伝えるといわれています。
さらに、C繊維と呼ばれる神経線維が表皮に存在して、温度や化学刺激を認識すると学んできました。

しかし、これまでの皮膚科学とは違って、表皮細胞のケラチノサイトが皮膚感覚の受容体であり
センサーであり情報処理をするという仮説を証明する研究がたくさん紹介されています。



本の表紙には、皮膚の錯覚について体験できるように工夫してあるのですが
是非、触ってみてもらいたいです。

同じ厚みで印刷されているにも関わらず、滑らかな面と粗い面が隣り合っているところを
なぞると、滑らかな面をくぼんでいると錯覚するのだそうです。


炎症が起こるしくみとしては、白血球が傷口に集まってきて、サイトカインという物質が
発熱や痛みを起すと考えられてきましたが、

表皮ケラチノサイトもまた、角層バリアの破壊や紫外線の照射に伴ってサイトカインを

放出することが明らかになってきたそうです。
皮膚が傷ついたとき、SOSを発信するのは、表皮ケラチノサイト自身だったと。


表皮の電気システムについても
人の表皮は、表側はマイナス数10ミリボルトの電位を持っている。
いわば、角層側をマイナス極とした電池で、表皮の中のカルシウムイオンや
マグネシウムイオンの流れが電位を起しています。

テープではがして、角層バリアを破壊した後、プラスの電位を付加するとバリア回復は遅れ
マイナスの電位を付加するとバリアの回復が促進されたそうです。

傷が出来た場合には、表皮細胞はもぞもぞ傷に向かって動き
マイナス電場の付加でその治りが速くなるというのです。

これって、精油の電位の表から皮膚をサポートしてくれる精油を導き出すことが出来るのではないでしょうか?

この皮膚の電気システムから応用したスキンケアとしては
高濃度のイオン性水溶液を皮膚に塗布するといいのではと考えられていて
マグネシウム塩の水溶液が角層のバリア回復を促進
カルシウム、カリウム塩の水溶液は回復を遅らせることが分かったそうです。

温泉や、美肌の湯の効能は、この辺にあるのかもしれませんね。

そういえば、アトピー性皮膚炎に海水浴が良かったり、
にがりを水に溶いたものが化粧水になるとかいう美容法もありましたね。


加齢によって、皮膚の回復機能が低下するのは、表皮の更新速度が遅くなり
古びたままの表皮で角層が厚くなって、角層が破壊されやすく、回復が遅くなっているのだそうです。


また痒みについても、抗ヒスタミン剤は、アトピー性皮膚炎や老人性乾皮症、透析の患者さんの痒みには効かない。

2007年の研究皮膚科学会で、ジンマシンの痒みと、アトピー性皮膚炎の痒みでは
脳の血流が上昇している場所が違うことが発表され
これは、それらの痒みは別のものと脳が認識していて、痒みのメカニズムが違うことが示唆されています。

アロマセラピーでは、痒みの訴えには、抗ヒスタミン作用のある精油と考えがちですが

それだけではなく、神経の過敏を抑制するような働きを促す方がいいかもしれません。



興味深いのは、皮膚に電位があるのなら、「セラピューテッックタッチ」や「ヒーリングタッチ」
「外気功」の気も 皮膚を撫ぜたり気を送ることで、電位のバランスを取っているのかもしれません。

皮膚が電波を発信している可能性を示す実験についても書かれているので、
興味のある方は是非読んで確かめてみてくださいね。

傳田先生自身の体験として、金の棒で身体を摩擦する施術でうつ的な状態から
回復できたとあります。
金以外の金属は、空気中では酸化皮膜が出来てしまうので
純粋な電気伝導体として金が、気を充実させ、回復に役立つような効果がある。

金と皮膚の接触面に電場が生じていて、皮膚や、細胞、神経にも作用している。
これが外気功のメカニズムの1つではなかったのかと説明しておられます。


香りを使った実験では、
若い女性に200の設問に答えるというストレスを与えて、その直後には
皮膚のバリア回復機能が遅くなることを確認。
その時に、鎮静効果のあるバラ由来の香料を嗅がせると回復の遅れが無くなったそうです。

ストレスは皮膚のバリア機能に影響を及ぼしますが、
他の皮膚炎も、精神的ストレスで悪化するという報告は多く

締め付ける下着やごわごわした下着が、ストレス性ホルモンである
コルチゾールのレベルを上昇させることや、

うつ状態の女性に優しいタッチのマッサージをしたら、血中のストレスホルモン
(コルチゾール)の量が減って、ストレスが改善された例もあり、

また、ここ数年話題になっているオキシトシンというホルモンでは
動物実験で、皮膚接触によってオキシトシンの分泌が促進されたと報告があります。
オキシトシンを感知する機能を破壊したマウスでは攻撃性を増し、母親マウスが
まともに子育てをしなくなったことから
オキシトシンは他人との信頼関係や、相互関係の維持に役立っているといわれています。


こころは皮膚に密接につながっていて、
また逆に、皮膚はこころに影響を与えています。

人間社会の基盤である、他者への信頼という感情に作用する物質が
皮膚への刺激で分泌されるのです。

スキンシップは人間の高次な社会行動に大きな意味を持っていそうです。


こうして、「こころを育む皮膚感覚」へのつながっていきます。

ハーロウの子サルの実験や
霊長類のグルーミング(毛つくろい)
顔面マッサージが気を補う効果


肌の触れ合いによるコミュニケーションに、素晴らしい可能性があるような気がしてなりません。

この本は、皮膚から見つめた、人間の進化論にまで及びましたが
アロマセラピストからみると、皮膚に触れるということの大切さを、
心と身体に与える影響や、皮膚という外界との区別やバリア機能だけでなく
表皮自身が情報を処理し、守り、修復していることを、深い畏敬の念と共に
再確認することになりました。

セラピストさん必携の本であることを、皮膚の新たな可能性をみつめて欲しくて
お勧めしたいと思っています。






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Last updated  2007年12月28日 01時42分02秒
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