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2007.05.10
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吉本ばなな『ハネムーン』
~中公文庫、2000年~

 若い男女の結婚生活を描いた長編です。
 物語はまなかさんの一人称で進みます。彼女は、高校生の時点で、幼なじみの隣人、裕志さんと結婚します。裕志さんの父親がアメリカで妙な宗教に入っており、父親のところに行くことなく、しっかりした自分の場所をもつためのことでした。
 裕志さんがまなかさんの家族と交流を深めるきっかけになった、まなかさんの家の犬・オリーブも、裕志さんがずっと一緒に暮らしていたおじいさんも亡くなってしまい、悲嘆にくれる裕志さん。まなかさんもなんとか彼を支えようとしますが、彼女も苦しみを感じます。
 …こういった日常に加え、過去に二人でいった最初のハネムーン、そして、現在の二回目のハネムーンが物語の軸となります。
 オーストラリアで二人が見た、厳しい大海原で遊ぶように生きるイルカたち。そしてまなかさんは、人間が穏やかなところからイルカたちを見るように、誰かが穏やかな高台から人間たちを見たとき、こっけいに、ちっぽけに、そして力強く見えるのだろう、と考えます。このあたりの彼女の思いを描いたラストが、とても素敵でした。救われるような気持ちになりました。
 ところで先日、ある方と、吉本さんの作品の中に描かれる料理がとても美味しそうだと話していました。本書では、弱りながらも無理している裕志さんにまなかさんが作るうどんが印象的でした。病気から回復したまなかさんがおいしいと感じながら食べる、唐辛子とあさりのスパゲティもおいしそうでした。私ごとですが、昨日熱を出してしまい、今日も頭痛で休んでいたのですが、食べたくなったのはうどんでした(そして食べました)。パスタも食べたくなります。
 数年ぶりの再読ですが、素敵な物語でした。
 ところで、本書には、MAYA MAXXさんの挿絵が何枚か挿入されています。<SUDDENLY I FEEL LONELY>という絵が、特に印象的でした。
 それから、表紙カバーの裏側を見ると、かわいい犬の絵がいっぱいで、発見した自分にちょっと嬉しくなりました(笑)

(追記)
 アクセス数が10万を超えました。ありがとうございます。これからもぼちぼち続けていきますので、よろしくお願いします。





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Last updated  2008.03.23 15:32:36
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のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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