のぽねこミステリ館

のぽねこミステリ館

PR

Profile

のぽねこ

のぽねこ

Calendar

2007.08.29
XML

筒井康隆『魚籃観音記』
~新潮文庫、2003年~

 10編の短編を収録した短編集です。それぞれ書いていると長いので、目次を掲げた上で、印象に残った話の感想を書くとします。

「魚籃観音記」
「市街戦」
「馬」
「作中の死」
「ラトラス」
「分裂病による建築の諸相」
「建物の横の路地には」
「虚に棲む人」
「ジャズ犬たち」
「谷間の豪族」

 表題作の「魚籃観音記」にふれておきますが、笑いを織り交ぜたエロ小説ですね。ブタクサと、ブッタマゲタという言葉の由来については、しょうもないながらも笑ってしまいました。
「分裂病による建築の諸相」は、論文風に書かれた作品です。階段がわずかに傾いた家、鏡だらけの家、蜂の巣のような家など、奇妙な事例を紹介していくのですが、途中から変な感じになっていきます。なんだか読んでいていろいろ不安な気分になったのですが、筒井さんの作品らしい作品となっています。
「虚に棲む人」が、とても印象的でした。強烈な「個性」をもつ彼女をモデルに、「おれ」は小説を書きます。その後、いろんな人の作品に、「彼女」が登場していることに気付き…というお話。面白かったです。
 最後の、「谷間の豪族」も良かったです。ものすごい長さの階段を下りたところにある村。おれの妻がその村の豪族の出身だったため、家庭の事情により、おれも一緒に村に行くことになるのですが…。ラストが良かったです。小説の細かいジャンル、特にいわゆる「純文学」が何を意味するのか詳しくは分からないのですが、そんな雰囲気の作品です。

 その他の作品も楽しく読んだのですが、なかなか調子がよくならないので、このあたりで。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.08.29 07:13:59
コメント(0) | コメントを書く
[本の感想(た行の作家)] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: