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2008.05.30
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坂木司『ホテルジューシー』
~角川書店、2007年~

『シンデレラ・ティース』 の主人公、叶咲子さんの友人である柿生浩美さんが、本作の主人公です。咲子さんが歯医者でバイトをしている夏休み、柿生浩美さんは沖縄のホテルでバイトをして過ごします。最初は石垣島のホテルで働いていたが、本土のホテルに手伝いに行くことになる。「ホテルジューシー」。ご飯はおいしいが、オーナー代理からはやる気が感じられず、大変な(厄介な、あるいは気がかりな)お客さんたちがやってくるわで、なかなかに大変なバイト生活が始まります。
 ではでは、それぞれの短編について、簡単な紹介と感想を。

ーーー
「ホテルジューシー」ホテルジューシーにお手伝いとしてきて間もなく、先任のバイトが辞めてしまった。暇をもてあますのが苦手な浩美はばりばり働くが、さっそく、最初の問題が発生する。お酒が好きなおじいさんが、部屋で倒れてしまうのだった。慌てる浩美だが、その場をうまく収めたのは、昼間は頼りないあのオーナー代理だった。

「越境者」浩美が苦手とする人種―ギャルがやってきた。ギャルの二人は、深夜にホテルの廊下でスナックを食べたり、外ではナンパにひっかかったり。ところが、男たちがプレゼントをあげようと言うとき、一人の子が、「子供が欲しい。結婚してほしい」というのが印象的だった。ある夜、もめ事が起こったのをきっかけに、浩美は二人の行動の意味を知ることになる。

「等価交換」あるサギの話。

「嵐の中の旅人たち」旅先での自慢話が好きな青年にふりかかる、ある事件。

「トモダチ・プライス」おいしいお弁当を売ってくれたお姉さんと、浩美はどうやら友達になった。ところが、お姉さんが最悪の道を歩み始めていた。

「≠(同じじゃない)」夏休みも終わりが迫ってきた。早く、辞めることを伝えなければ…と思いながら、なかなか言えずにいた頃、仲の良い老夫婦が泊まりに来た。ところが、二人の行動には不審な点が見えてくる。一方、オーナー代理は、二人のことについてあまり語ろうとしなかった。

「微風」…後日譚。
ーーー

 昼間のオーナー代理になかなかなじめませんでしたが、その事情や、しっかりした一面にふれていく中で、物語が楽しめるようになりました。
 いわゆる「日常の謎」ミステリなのですが、重ための話もけっこうあり…。といって、掃除のおばちゃんたちのほのぼのしたかけあいや、浩美さんのポジティブシンキングなどなど、ぬくもりもあふれています。
 おいしそうな料理も素敵です。ういえば、坂木司さんの物語は、坂木&鳥井三部作もそうですが、おいしそうな料理がたくさん出てくるように思います。 『ワークング・ホリデー』 の少年も料理が得意でしたし…。

" イチャリバチョーデー。行き交えば兄弟。
意味は、袖振り合うも多生の縁、みたいな感じ。
"

 いろんな思いも抱きつつ、いろんな出会いの物語でした。
(2008/05/25読了)





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Last updated  2008.05.30 06:42:56
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のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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