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2009.01.10
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筒井康隆『邪眼鳥』
~新潮文庫、1999年~

 表題作に加え、一編の短編が併録された作品集です。それでは、それぞれについてコメントを。

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「邪眼鳥」
 物語は入谷精一の葬儀から始まります。精一と年の離れた美貌の未亡人である春子、そして英作、信子、雅司という精一の子供たちが主な登場人物となります。
 遺産のことを巡り、お座敷芸人の岡嶋佐市も同席して、弁護士の工藤と春子が状況を説明する中から、物語は進んでいきます。そこで提示されるのは、精一が若い頃に吹き込んだという一枚のレコード。そのメッセージが、隠れた遺産のありかを示しているのではないか、と次男の雅司が動き始めるのを始め、きょうだいたちはそれぞれ父の過去をめぐって動きます。そして、物語は次第に混沌の様相を呈していきます。

 いやはや、独特の文体です。次第に混沌としていきますが、しかしその中ではぞくぞくしながら読み進める部分もありました。

「RPG試案―夫婦遍歴」
 こちらも、雰囲気としては表題作のような文体で物語が進みます。
 コンピューターのプログラマーにして有名なコメンテーターであった夫は、次第に仕事がなくなっていき、物語が描く時間は、まさに暇になってきた頃の話です。ある日、夫に部長になってくれないかとある企業から連絡が入り、ストーリーは動き始めるのですが、しかしやはり混沌としていきます。
ーーー

 というんで、どちらも独特の文体、混沌とした内容で、筒井さんの作品の中では異色のような印象を持ちました。筒井さんの実験的な作品もいくつか読んできていますが、本書は私にはかなり難しかったです…。
(2009/01/08読了)





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Last updated  2009.01.10 10:08:31
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のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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