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2009.02.07
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死仮面(春陽文庫版)
横溝正史『死仮面』
~春陽文庫、1998年~

 本書の刊行まで、角川文庫版などに収録された『死仮面』は、全ての原稿が見つかっていなかったため、一部を中島河太郎さんが補筆していました。ところが、この春陽文庫版は、その幻の原稿の発見を受けて、完全なかたちで『死仮面』を収録した一冊となっています。ネット古書店でもなかなか見つからなかったのですが、先日(2月1日)に、よくお世話になっているブック・オフさんで発見したのでした。見つけたときは感動のあまりちょっと震えもくるくらいでした。この手のチェーン店ではなく、古本屋で見つけていたならもっと高価になっていたろうと思うと、この出会いを本当に嬉しく思います。
 …と、前置きが長くなりましたが、本書には、表題作「死仮面」と、「鴉」が収録されています。「鴉」については、角川文庫 『幽霊座』 の記事にゆずるとして、ここでは、表題作についてのみ、内容紹介と感想を書いておきます。

ーーー
 昭和23年(1948年)秋。『八つ墓村』事件を解決した金田一耕助が磯川警部を訪れると、警部は新たに金田一耕助の興味をひく事件を抱えていた。
 マーケットの奥の方、人通りの少ないところに、野口慎吾という、人付き合いのない彫刻家の店兼住居があった。そこで、女の腐乱死体が発見された。野口によれば、女の名は山口アケミ。女は、死ぬ間際、自分のデスマスクを作り、ある女性のもとに送ってほしいと言い残したという。その送り先の女性とは、参議院議員で教育家の川島夏代だった。
 野口は警察から取り調べを受け、精神鑑定に護送される途中で、逃げてしまったという。
 …そして、東京。三角ビルに事務所を構える金田一耕助のもとに、上野里枝という女性が依頼にやってきた。彼女は、川島夏代の妹で、山内君子の姉だという。三人の姓が違うのは、父親が全員違うから。そして、君子というのが、デスマスクをとられた山口アケミと同一人物のようであった。
 川島夏代が経営する女学院には、脚の悪い男が現れ、その頃から、夏代の健康状態も悪化していったという。そしてついに、夏代が殺害された…。
 女学生の白井澄子の協力を得ながら、金田一耕助は事件の真相に迫る。
ーーー

 …ある事実が判明したとき、衝撃のあまり震えがきました。
 本作は、金田一耕助シリーズの中でもかなり重たいです。冒頭から独特の雰囲気があります。
 また、金田一シリーズではありますが、ある意味では内容紹介にもふれた白井澄子さんが活躍するのを、金田一さんがフォローするような、そんな感じもあります。いくつかの章は、白井さんを中心人物とした視点で進んでいくからです。
 本作は、昭和24年(1949年)と、戦後初期― 『本陣殺人事件』 『獄門島』 など、充実した作品を発表していた時期―に書かれたこともあってか、トリックも秀逸だと思います。
 冒頭でも書きましたけれど、とにかくこの文庫との出会いは感動でした。もちろん内容も面白く、ずっと大切にしたい一冊となりました。

*表紙画像は、横溝正史エンサイクロペディアさまからいただきました。

(2009/02/01読了)


ーーー
 本日(2月7日)、やっと新居でネットを接続しました。既にパソコンに向かってだらだらの時間が出始めているので、気をつけていきたいと思います…。
 けれど、新居ではテレビも置いてないですしまだ新聞もとっていないので、天気やニュースを把握するためにも、ネットをしない日はなかなかつくりにくくなろうかと思います。せめて、あまりだらだら向かわないように努力ですね。





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Last updated  2009.02.07 21:14:42
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のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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