ジャン=ミシェル・サルマン(池上俊一監修/富樫瓔子訳)『魔女狩り』
~創元社、 1991
年~
(Jean-Michel Sallmann, Les sorcières, fiancées de Satan
, Paris, 1989)
「知の再発見」双書の1冊。
―――
日本語版監修者序文
第1章 妖術の誕生
第2章 魔女狩り
第3章 過酷な裁判
第4章 妖術と魔術
第5章 妖術の衰退
資料篇―魔女のイメージと現実
1 ある妖術事件
2 悪魔学者の語るところによれば
3 サバト
4 ロマン派の視点
5 ルーダンの悪魔
6 ベナンダンティの戦いの儀礼
7 現代の魔女
8 伝統的な知識
9 非ヨーロッパ文化における妖術
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INDEX
出典(図版)
参考文献
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第1章は魔女狩りの前史として、妖術の諸相を概観します。妖術が災害などの原因とされたほか、その起源が古代の神話に求められることなどを指摘します。
第2章では、魔女裁判の具体例や、魔女が行っているとされる様々な儀式などが概観されます。ここでは、「とくにもっとも年老いたもっとも貧しい」 (58
頁 )
女性が魔女とされることが多いことを指摘するなかで、その時代の社会を「世間の人たちがそう信じて自己満足しているほど、老人にいたわりがあるとは必ずしも言えない社会」 (59
頁 )
と評している部分が印象的でした。
第3章は、どう答えても有罪にもっていかれるような事例など、様々な過酷な裁判の事例紹介です。
第4章は、魔女狩りの実施には地域性があり、過酷な魔女狩りが行われなかった地域もあることを指摘したのち、魔女狩りを懐疑的に見ていた人々の存在などを論じます。
第5章は章題どおり、魔女狩りの終焉をたどります。
資料編では、現代や非ヨーロッパ圏の事例も紹介されるのが興味深いです。
本シリーズに共通しますが、図版が豊富でイメージしやすく、また叙述も明解で、読みやすい1冊です。
(2024.03.24 再読 )
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