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3/21でようやく首都圏の緊急事態宣言が解除されたが、依然制限が続いており、なかなか元には戻らないようで。東京都の場合、人数上限・収容率は、以下の「人数上限」、「収容率」のいずれか小さい方を限度とする(両方を満たすことが必要)[人数上限]「5,000人又は収容定員(※1)の50%のいずれか大きい方」又は「10,000人」のいずれか小さい方を上限※1・・・収容定員が設定されていない場合は、10,000人以下[収容率]・大声での歓声、声援等がないことを前提としうるもの →100%以内(席がない場合は適切な間隔)・大声での歓声、声援等が想定される場合等 →50%以内(席がない場合は十分な間隔)クラシック演奏会でホール収容人数5,000人以下であれば、100%チケット販売が可能となりそうですね。ところが「解除後も当分の間、外国人の日本への入国を全面的に制限している措置を継続」となり、「特段の事情がある場合などを除き、外国人の日本への入国を全面的に制限」のまま。『東京・春・音楽祭』は、日本人演奏家の公演は少しずつチケット販売を始め、3/20より開催しているものの、楽しみにしていた「パルジファル」の公演中止が決定。その後のプッチーニシリーズ「ラ・ボエーム」、リッカルド・ムーティ指揮「マクベス」も未定のまま。事務局スタッフは大変な苦労をされているようで。5月GW恒例のラ・フォル・ジュルネTOKYOも全く情報発信無く、今年も中止なのでしょう。プロ野球も横浜ベイスターズが外国人が一人も入国できずに開幕になりそうな状況ですが、特例処置で入国が認められ、14日間待機中の練習も認められるとのこと。ぜひ、公益性の高いクラシック音楽界にも外国人入国の特例処置を早く広げて欲しいですね。End
2021.03.23
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鑑賞日:2014年04月13日(日)10:00開演入場料:¥3,500 E列 【制作・配給】松竹(株)METライブ・ビューイング2013-14マスネ作曲 歌劇「ウェルテル」(全4幕、フランス語上演/日本語字幕付)会場:名古屋ミッドランドスクエアシネマ(MET上演日:2014年3月15日) 指 揮:アラン・アルタノグル演 出:リチャード・エア美 術:ロブ・ハウエル照 明:ピーター・マムフォード映 像:ウェンダル・ハリングトン振 付:サラ・エルデ管弦楽:メトロポリタン歌劇場管弦楽団出演:ウェルテル:ヨナス・カウフマンシャルロット:ソフィー・コッシュソフィー:リゼット・オロペーサアルベール:デイヴィッド・ビズィッチ大法官:ジョナサン・サマーズナレーター:パトリシア・ラセット感想: 単身赴任先での休日、METライブビューイング公演中のタイトルロールがカウフマンとのことで、春の曇り空まだ花粉が舞う中、名古屋駅側のミッドランドスクエアまで出掛けた。 客席は7割程度の入りで、圧倒的に女性が多いのはカウフマン人気か。 ラセットのナレーションの後、前奏曲から木々が動く森の映像が流れ、その後ろで母親の死、お葬式の演技があって紗幕が上がり大法官が子供たちにクリスマスの歌を教える場面へ。 今回の演出はマスネが作曲した19世紀後半の時代設定で、原作通りの人物設定で違和感なし。1,2幕と3,4幕は連続で演奏されたが、1-2幕間は照明と映像を使い、間奏曲間に森の中の大法官の家から牧師の金婚式祝の舞踏会となり、紗幕が上がると教会前の広場に瞬間で変わるのは鮮やか。休憩後の3幕間奏曲は幕のスクリーンに手書きの文字が流れる映像で、手紙の場面に。3-4幕間はウェルテルの部屋が舞台の上部後ろから現れ、舞台へ近づいて来る中でウェルテルへピストルが届けられ自殺する場面へとつながる。幕間で音楽が全く途切れず、その中で場面を追加しているところは演出家が演劇界のためでしょう。 但し、3幕のシャルロット「手紙の場」とウェルテル「春風よ、何故に私を目覚めさせるのか?」だけは音楽を止めて、客席の拍手とブラボーの声が入る。 ただ4幕ラスト付近の演出はいささか拡大解釈の追加演技が見られ蛇足感あり。 歌手は、全員素晴らしい。タイトルロールのカウフマンは、バリトン並みの中域から重みのある歌声のままで高音に持っていく所は、苦悩する役柄にピッタリ。明るいテノールの声では苦悩が軽くなってしまう。本役は、パリ、ウィーンでも歌っているようで、演技含め素晴らしい。 相手役のソフィー・コッシュもお得意の役らしく、MET初演とは思えない落ち着きある演技と歌声で苦闘するシャルロットを演じていた。 リゼット・オロペーサは、今シーズンMET「ファルスタッフ」のナンネッタ役で若々しい容姿と歌声で良かったが、今回の妹ソフィー役も明るい性格とウェルテルへの密かな思いが表現され、今後METの主役になって行くでしょう。 休憩時間のインタビューで、次作「ラ・ボエーム」の紹介で音楽稽古「わたしはミミ」のアリアが入り、アニータ・ハーティックの美しい容姿と歌声が流れた。定番ゼフィレッリの演出に若手歌手とのことで、その若手歌手のPRだったのでしょうが、なんとミミ役が変更になったようで。 映画やドラマと違って別な公演日に撮影する訳には行かないようで、ハーティックは大きな飛躍のチャンスを逃したことになるでしょう。 今シーズン観た「オネーギン」や「ファルスタッフ」同様に、まるで映画の様に詳細な演技や表情、舞台装置、映像など進化しており、出演者は歌声は無論のこと、役柄に合った容姿、スタイルまで求められて来るようになるのでしょうね。End
2014.04.13
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鑑賞日:2012年9月2日(日)13:30開演入場料:¥1,500 (自由席)【主催】名古屋ブラームスリングシンフォニカ名古屋ブラームスリングシンフォニカ第3回演奏会会場:愛知県芸術劇場コンサートホール出演指揮:山上純司ヴァイオリン:木野雅之合唱:四日市シンフォニックコーラス カンタービレくわな管弦楽:名古屋ブラームスリングシンフォニカ曲目~オール・ブラームス・プログラム~運命の女神の歌 ヴァイオリン協奏曲 ニ長調交響曲第3番 ヘ長調感想 週末愛知で過ごすことになり、ブラームス専門のアマチュアオケの演奏会を見つけ、残暑の中サカエ地下街の味噌カツ丼で腹ごしらえをして、愛知県芸術劇場へ。 管は標準の2管編成だが弦は14-12-10-10-6と多め。1曲目「運命の女神の歌」は2階席から合唱が入るのだが、アマチュアコンサートでは良い所をだけを聴くようにしているので、コメントは省略。 2曲目は日フィルのソロコンマス木野雅之が入ってのヴァイオリン協奏曲。ヴァイオリンソロは流石に素晴らしく技巧も完璧。オケもソロに合わせバランス良く、出すところは出してブラームスの音楽を感じる。フルートやオーボエソロもヴァイオリンソロにぴったり合わせ上手い。これを聞けただけでチケット代の元は取れた気分に。 休憩を挟んで、3曲目は交響曲第3番。各楽章とも主題が強調され良く聞こえる。有名な第3楽章のテーマは各楽器に上手く受け継がれ重なり聞こえてくる。弱音部でバラツキはあるものの、ここまでブラームスの音楽が表現出来れば大したもの。 最近出来たアマチュアオケは上手い若手メンバーが集まった所が多く楽しめる。このオケも2009年が第1回演奏会でブラームス交響曲を2番→1番→3番と進めて来たようなので次回は4番か?また機会があれば聞きに行きたい。End
2012.09.02
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鑑賞日:2012年1月14日(土)10:00開演入場料:¥3,500 F列【配給】松竹METライブビューイング2011-2012グノー作曲歌劇「ファウスト」(フランス語/字幕付/全5幕)会場:ミッドランドスクエアシネマ・スクリーン3指揮:ヤニック・ネゼ=セガン演出:デス・マッカナフ合唱:メトロポリタン歌劇場合唱団管弦楽:メトロポリタン歌劇場管弦楽団出演:ファウスト:ヨナス・カウフマンメフィストテレス:ルネ・パーペマルグリット:マリーナ・ポプラフスカヤヴァレンティン:ラッセル・ブローンシーベル:ミシェル・ロズィエ解説・インタビュアー:ジョイス・ディドナート(MET上演日 2011年12月10日) 感想: METライブビューイングは最初の頃に歌舞伎座で行われた「魔笛」以来、観る機会が無かったのだが名古屋で過ごす今週末に丁度上演があり、カウフマンがタイトルロールなので、朝から名古屋駅側の映画館ミッドランドスクエアシネマへ出掛けた。 このビルは2007年新しく建てられ、47階中5階までが商業施設でルイ・ヴィトン、ディオール、カルティエ等の高級ブランドやトヨタの事務所が入っており、その5階に映画館がある。 映画館の対応も行き届いており、両隣が空いている席を取ってくれた。観客は少ないだろうと予想したが130定員のスクリーンに60~70人はおり、女性客が多いのはカウフマン目当てか。 最新の劇場なので座席はゆったりとしており、荷物掛けやドリンクホルダもあり快適。オペラ劇場の何時もの安い席では、前の観客が乗り出すと舞台が半分見えなく不愉快な気分になるのだが、大きなスクリーンで字幕も直ぐ下に表示され座り心地の良い座席でゆったりと観られる。 音響も歪むことなく、自宅のTVで観るよりはるかに臨場感を感じられ、途中ホール内が明るくなって休憩が2回入るが、スクリーンにはMETの観客席が映り休憩終了までの時間も表示され、カーテンコールもあり、正にMETに居るように思わせる。 いつものMETライブビューイング同様に冒頭に作品紹介があり、途中にインタビューも入る。 今回の演出は2つの世界大戦の間の時期で、ファウスト博士は原爆研究者との設定。途中で白衣を着た研究者達が舞台設定したり、合唱で登場したりするが、意味不明。そのためかカーテンコールでは、演出家のみブーイングが出ていた。 主役3人の歌は流石。カウフマンは好調で、去年のローエングリーンでぜひ生の声を聞きたかった。ただ途中のインタビューで、イタリア語、ドイツ語、スペイン語圏で上映される話しは出てきたが、日本他アジアのことは一言も出てこず眼中にはないのでしょう。 ルネ・パーペもメフィストテレス役10回目とのことで、落ち着いた深見のある悪魔だった。 マルグリット役マリーナ・ポプラフスカヤは、声は素晴らしいのだが、エラの張った顔が最後まで気になってしまった(個人的な趣味でスミマセン)。 ライブビューイングは、よりルックスが重要なようで、この後はネトレプコのマノン、デセイの椿姫が予定されている。End
2012.01.14
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鑑賞日:2011年11月12日(土)18:00開演入場料:¥2,500 2階(L列)【主催】宗次ホール第2回 四季の日コンサート 会場:宗次ホール出演:大谷 康子 四季の日ストリングス曲目:モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークより 第1楽章アラード:椿姫ファンタジーより 乾杯の歌ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集 「 和声と創意への試み」作品8より「四季」 ~アンコール~モンティ:チャルダッシュ感想: 愛知で過ごすことになった週末、何か良いコンサートは無いかと当日朝に探し始め大谷康子の名前に目が止まり、演目はヴィヴァルディ「四季」なのでホールに電話し当日券ありとのことで、栄の宗次ホールまで秋晴れの中出かけた。 宗次(むねつぐ)ホールはカレーハウスCoCo壱番屋の創業者である宗次徳次氏が名古屋の中心地「栄」でいつでもクラシック音楽を気軽に聴けるようにと2007年3月に建てた、全310席のクラシック音楽専用のコンサートホール。 HPのコンサートカレンダーにあるように、ほぼ毎日クラシックの演奏会が開かれている。 平日夜だけでなく、ランチタイムやティータイムコンサートがあるのも映画と同じように気軽に聴いてとのホール側の考えなのでしょう。 ホールは床が石造り、壁や天井は白のコンクリートで良く響く設計。舞台は低く客席と一体感がある。また座席がゆったりと座りやすく、前との幅も十分にあり座ったままで前を通ることが可能。2階席の手すり上部はガラス張りで舞台が良く見える。ホール入口の扉付近には、「ご自由にお使い下さい」と毛布が置かれていたりと、観客の気持ちが良く考えられたホールで居心地が大変良い。 開演のブザーと伴に四季の日ストリングスのメンバーが登場。Vn6人、Va2人、Vc2人、Cbs1名、チェンバロ1人の編成で名フィル、中部フィルの他、音大大学院生も入っている。 続いて大谷康子が登場し、直ぐにナハトムジークが演奏される。大変澄んだ心地よい響き。大谷康子のMCが入り2曲目は椿姫ファンタジーより「乾杯の歌」。池辺晋一郎アレンジとのこと。ダイナミックが大きく面白い編曲。 大谷康子は名古屋出身で宗次徳次氏とも知り合い、何度か宗次ホールで演奏したとのこと。 そして3曲目はメインの「四季」。今度は舞台中央に譜面台が置かれ、大谷康子が立ったままの演奏で全体を引っ張る。早弾きは流石。曲毎の強弱も有り、表現豊かな演奏になった。 拍手は鳴り止まず、アンコールが始まったが、大谷康子は登場せずこのままストリングスメンバーで演奏かと思った所で客席後の扉から演奏しながら登場。客席中にグァルネリの美音が響く。そして早弾きのところで舞台へ。客席を楽しませる演出はベテラン心得たもの。 本日のコンサート名の「四季の日」とは宗次徳次氏の結婚記念日で妻との交際時にヴィヴァルディ「四季」を良く聞きぞのレコードをプレゼントしたことから日本記念日協会に申請し昨年認定されたとのことで、今年がその2回目に当たるとのこと。まあどうでも良いのだがこのように聴き心地の良いホールで素晴らしい演奏を手頃な料金で聞けるのは嬉しい訳で。 名古屋に素敵なクラシックホールを見つけ、また機会があれば是非訪れたい。 End
2011.11.12
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震災の影響で当初スケジュールを大幅に変更し開催されたLFJ2011が終了。早々に公式結果発表が出たので、これまでの比較表に追加。年 回期間テーマ来場者数 フォーラム 全体チケット 販売数 有料/無料 公演数2005年 第1回4/29 -5/1ベートーヴェン と仲間たち306千人 324千人109千枚120/209 2006年 第2回5/3 -5/6モーツァルトと 仲間たち490千人 695千人160千枚145/377 2007年 第3回5/2 -5/6民族の ハーモニー660千人 1,060千人200千枚181/4732008年 第4回 5/2 -5/6シューベルトと ウィーン640千人 1,004千人182千枚221/5292009年 第5回5/3 -5/5バッハと ヨーロッパ411千人 711千人137千枚168/4192010年 第6回5/2 -5/4ショパンの 宇宙420千人 808千人141千枚175/3582011年 第7回5/3 -5/5とどけ!音楽の力 広がれ!音楽の輪 タイタンたち146千人 ・・・・人45千枚90/175 来場者数は今回東京国際フォーラム館内分しか掲載されていないが、5/3に参加した印象通りに昨年の1/3の結果。有料公演数が半分だが、有料チケット販売数が1/3以下で、5,000人収容のホールAが使えなかった影響がそのまま出ている。 地下展示場での企業ブースやグッズ売り場もなく、有料コンサートでの1枚もののプログラムも無し。また生放送は5/4NHK-FMのみでTV録画も無かったようで。 規模縮小で少々寂しい印象も受けたが、直前の余震や福島原発レベル7引き上げの混乱の中で開催は、主催関係者は寝る暇無く、さぞ大変だったと想像される。 当初予定コンサート中止分の払い戻しの手数料対応で不満も出ているようだが、特定記録郵便で送り郵便振替での支払いと手間がかかるが手数料含んだ返金手段を設けたことも評価したい。 とにもかくにも来年も続くとのことで、公式ブログではルネ・マルタンから「ロシアをテーマ」との話しも出たようで。チャイコ、ラフマニノフ、プロコフィエフの協奏曲やロシア5人組もいるし楽しみだ。 ただ合唱関係となるとロシア民謡やダッタン人、森の歌程度しか思い浮かばず、はたしてコルボ&ローザンヌは来るのか?ボーチェス8は? またあれこれ思い浮かべて楽しんで待ちたい。End
2011.05.08
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先週の神奈川県民ホール「アイーダ」、新国立劇場「マノン・レスコー」に引き続き、東京・春・音楽祭「ローエングリン」も中止のメールが届いた。 指揮者、ソリストが海外メンバーのため、福島原発騒動で来日出来ないのが主な理由。自国の優秀な人材は危険な地域へ行かせないよう、ストップが掛かるのでしょう。 東京・春・音楽祭は中止にせず、HPには「主催者にとってなすべきことは、音楽芸術が持つ力を信じ、演奏会を開催し、ひとりでも多くの方々に、生きることの喜びを、蘇らせることではないかと考えます。」との鈴木幸一実行委員長(IIJ社長)のメッセージが表示される。 4/2マーラー「大地の歌」公演は中止し、代わりに読売日本交響楽団特別演奏会が被災者支援チャリティーで開かれる予定で、当初チケットそのままで入場出来る。このような急な変更は対応が大変だったろうが、主催者側の強い意志、リーダーシップを感じる。 ぜひ「ローエングリン」も日本人のカバーキャストで一部で良いので公演してもらえれば、差額はチャリティーと考え喜んで聴きに行くのだが。 新国立劇場「ばらの騎士」も公演が危ぶまれぜひ同様に開催をお願いしたいが、これまで通りのお役所的な仕事では・・・。 地元合唱団の方は利用施設の方針が変わり、前日に計画停電中止が決まれば利用出来るようになり3/26土曜日は練習が出来たが、4/2利用予定の別施設は10月末まで全て夜間休館に決定。両施設は500mも離れていないのに、どうしてこうも違ってくるのか? 休止中の火力発電所が順次立ち上がり、電力事情は日々改善されて来るので、公共施設はただ休館にするのではなく、現実的、臨機応変な対応を! 電力は余ってもほとんど貯めておけないのだが。End
2011.03.29
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鑑賞日:2011年3月5日(土)15:00開演入場料:¥2,000 5階(2列)【主催】(財)日本オペラ振興会・(社)日本演奏連盟2011都民芸術フェスティバル参加公演藤原歌劇団公演ドニゼッティ作曲 歌劇「ルチア」(イタリア語/字幕付)公演監督:岡山廣幸指 揮:園田隆一郎演 出:岩田達宗合 唱:藤原歌劇団合唱部管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団出 演 ルチア:佐藤美枝子エドガルド:村上敏明エンリーコ:谷 友博ライモンド:彭 康亮アルトゥーロ:川久保博史アリーサ:牧野真由美ノルマンノ:所谷直生感 想 久々の藤原歌劇団公演で狂気の場が有名な「ランメルモールのルチア」を観に花粉が飛ぶ天候の中、上野まで出かけた。 幕が開くと更に幕(板)があり、両脇の板を残して中央の赤い部分が上がると後に向かって床が高く、狭くなっている台が舞台奥まであり遠近法そのもの。照明効果は入るが、第1部から第3部最後まで基本的に同じで、両脇の幕板が有ったり無かったり、床の台の両脇に黒いカーテンが入る程度。 休憩は途中1回で舞台装置が簡素な分、途切れず上演出来たのはメリットだが、同様に最近のオペラは世界的にどんどん舞台装置が簡略化される傾向で、寂しい思いだ。 衣装は兵士は濃いえんじ色の軍服、女性も黒を基調に暗めのドレス衣装に統一されている。ルチアの婚約の場面でも黒色のドレスで、オペラ全体に悲劇的な印象を与えていた。唯一狂乱の場だけは白のドレス(ガウン)で血しぶきが強調され、はっとさせられた。 歌手の方は、皆それなりに歌えていた印象。タイトルロールの佐藤美枝子は10年前にも同じ役を歌っているとのことで全体的に丁寧で、演技も良く出来ていおり、狂乱の場での微笑みには恐ろしさを感じた。ただ声量的には少々物足りなく、狂乱の場でも感動が少なかった。 ちなみにネットで検索してみると狂乱の場の動画ページがあり、世界的歌手と比較するとその差を感じてしまう。 エドガルド役の村上敏明も良く通る声で最後も良かったが、こちらも演技含めもう少しインパクトがほしい所。 合唱は音量があり、さすが藤原歌劇団との印象で素晴らしかった。 管弦楽も大きなミスはなく、良かった。特に狂乱の場でのフルートソロは歌手との息もぴったりで完璧でした。 全体的見れば日本ではレベルの高い公演で、ドニゼッティの音楽をそれなりに表現出来ており、チケット料金分は十分に楽しめたが、あと一歩物足りなさを感じたのは贅沢でしょうか。 藤原歌劇団公演は9月に「セリビアの理髪師」公演が予定され、シラグーザ&高橋薫子なのでこれはぜひとも聴きに行かなくては。End
2011.03.05
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鑑賞日:2010年10月27日(水)18:30開演入場料:¥8,000 1階(18列38番)主催:TOKYO FMJACCS PRESENTS Performance 2010山下達郎会場:神奈川県民ホール 演奏ボーカル、ギター、キーボード:山下達郎ギター: 佐橋佳幸ベース: 伊藤広規キーボード:難波弘之、柴田俊文サックス: 土岐英史ドラム: 小笠原拓海コーラス:国分友里恵、佐々木久美、三谷泰弘感想 昨年6年振りの山下達郎のコンサートがあり、その際のブログに、『「コンサートツアーは毎年続けて行く、新譜アルバムも直ぐに出す」と言っていたが、ファンの方はいつもの台詞と苦笑しながら、次回のコンサートを気長に待つことに。』と書いたが、新譜アルバムの方は予想通り9/15発売が延期(時期も現在未定)。ツアーの方は(嬉しい方に)予想を裏切られ何と今年も全国で開催。本日は定時に職場を飛び出して、気温10℃寒空の中、山の神と伴に神奈川県民ホールへ。 今年デビュー35周年とのことでコンサートも当初35回が予定され、その最後が本日の神奈川県民ホールだったが、追加公演が後に3本入ったので当人曰く「なっんちゃって千秋楽」。 何時ものように1人アカペラのテープが流れ、メンバーが登場。リズムギターが鳴りスポットが達郎に当たってコンサートがスタート。昨年はヒット曲が中心だったが、今回はシングルカットされてないマイナーな曲も多く、シュガーベイブの当時のアレンジで聴けたのは稀少。1人アカペラは勿論のこと、1人コーラステープに合わせた演奏曲もあって、演奏内容も昨年より工夫されている。 昨年からバンドメンバーが固定され、また今年ツアー中の最後の方だったこともあり、バンド演奏全体が安定しており、安心して聴けた印象。ギターやサックスのアドリブ部分も完璧。またアンコール曲も2曲ほど多かったようで、終演は22:00をまわっていた。 舞台セットも良かったが、これ以上はネタバレなので省略(昨年同様本人の依頼もあり)。何より達郎のボーカルが昨年より更に良くなっており、開演18:30から3時間半歌い放しにも係わらず、アンコールで3オクターブ出す所は流石。 30年以上前の曲から現在の最新曲まで聴いても、全く違和感なく、音楽の一貫性を感じられる。また詩の内容が当初の恋愛や個人的なものから最近の社会、人生、人類的なものに変わって来ている所は年齢を積み重ねた影響からでしょう。最後の一言も達郎らしい。 客席は勿論満席で、立見もあり。年齢層は親に連れられて来た小学生から、60歳超え頭が禿げ上がった方まで幅広いが、後半は席を立って手拍子、何時もの曲でクラッカーを鳴らし、皆で達郎の音楽を楽しんでいることがよく判る。 今年は更に10年振りの竹内まりやコンサート等もあり、新譜アルバムはいつになるか?「コンサートは還暦まで毎年続け、来年はライブハウスで」とも言っていたが、昨年同様、ファンの方はいつもの台詞と苦笑しながら、次回アルバムとコンサートを気長に待つことに・・・。End
2010.10.27
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鑑賞日:2010年9月11日(土)15:00開演入場料:¥19,000 E席5階主催:日本経済新聞社、日本舞台芸術振興会英国ロイヤル・オペラ日本公演ジュール・マスネ作曲「マノン」(全5幕 フランス語上演/日本語字幕付) 会場:東京文化会館指 揮:アントニオ・パッパーノ演 出:ロラン・ペリー美 術:シャンタル・トーマス照 明:ジョエル・アダム合 唱:ロイヤル・オペラ合唱団管弦楽:ロイヤル・オペラハウス管弦楽団出演)マノン・レスコー:アンナ・ネトレプコ騎士デ・グリュー:マシュー・ポレンザーニレスコー :ラッセル・ブラウン伯爵デ・グリュー:ニコラ・クルジャルギヨー・ド・モンフォルテーヌ:ギ・ド・メイブレティニー :ウィリアム・シメルプセット :シモナ・ミハイジャヴォット :ルイーゼ・イネスロゼット :カイ・リューテル宿屋の主人 :リントン・ブラック感想) 地元所属合唱団の演奏会などあり、しばらくオペラ鑑賞は遠ざかっていたが、英国ロイヤル・オペラハウス18年ぶりの来日公演で、なんと言っても今一番売れているソプラノの一人であるアンナ・ネトレプコの生の声を聴きたくて、どうにか入手したE席チケットを手に残暑の中、上野へ出かけた。 さすが注目公演のため客席は本当の満席で1階席も空席を見つけることが出来ない状況で、5階席までビッシリ。 指揮者登場の後、軽快な序曲で幕が開く。第一幕はアミアンの宿屋で、城壁に囲まれた中に中庭があり右側に宿屋の入口がある。放蕩貴族のギヨーが友人のブレティニーと娼婦3人とを連れ城壁から中庭に階段を降りてくる。この娼婦がギヨーをからかうアカペラを歌うのだが、これがバランス良く上手い。軍人レスコーが従兄弟のマノンを待っていると、馬車到着するのだが、実際は荷物の固まりと沢山の乗客達が登場し、騒がしさを歌う。人々が居なくなるとマノンが残り、レスコーと対面した所で歌い始めるのだが、ここで既に耳は釘付け。低音から高音まで無理のない真っ直ぐな歌声で、16歳でまだ楽しんでいたいのに修道院に入れられる心境を歌う。灰色系の地味な服装なのに、輝いて見えてしまう。 突然騎士グリューが登場し、マノンを一目見るなり美しさに目を奪われ、修道院入りの話を聞くと、それを思いとどまらせて、二人でパリに行くことにマノンも同意。デ・グリュー役マシュー・ポレンザーニは柔らかいリリックなテノールであり、役に合っておりネトレプコとのデュエットもピッタリ。ギヨーの馬車を盗んでパリへ出発する所で幕。 第二幕はデ・グリューのパリのアパート。2階建てで部屋と階段だけが作られている。二人の愛情豊な暮らしの中にマノンを手に入れたいブレティニーと彼に買収されたレスコーが現れる。デ・グリューがレスコーに父親もマノンと結婚を許してもらうおうと手紙内容を説明している間に、マノンはブレティニーに「貧しい生活とおさらば、贅沢な暮らしを」と誘惑され別れを決意し「さよなら、この小さなテーブルよ」を歌うと、ずいぶん身勝手な思いなのに、納得させられてしまう。突然、父親の配下が現れ、デ・グリューを馬車で連れ去られてしまう。 第三幕第1場は祭りで賑わうレーヌ通り。手すりが付いた通りが上部、斜めと組み合わされ、背景には明るい街灯がつながっている。ギヨーが登場し、金に物を言わせて、オペラ座を呼んできてバレエを踊らさせマノンを誘惑する。バレエダンサーも背が高い美人揃いで華やか。マノンは群集を前に「町を歩けば」、「甘い愛に誘う声に従いましょう」を歌うが、ネトレプコは超高音も難なく歌いここでも群衆と同じくその歌声に思わず女王様と思ってしまう。ここでデ・グリューが神父になっていることを聴いたマノンは、オペラ座も断り教会へ。 第2場は教会の場面。数本の大きな石柱と信者が座る椅子が見え、下手にはデ・グリューの部屋。デ・グリューはマノンとの思いを断ち切るために神に仕えようとするが、思いは断ち切りがたく、「消え去れ、優しい幻影よ」を歌う。そこへマノンが登場し変わらぬ思いを伝えるが、耳を貸そうとしない。そしてマノンが「誘惑のアリア」を歌う。このアリアはアカペラから始まり、段々と楽器が増え、音も上がって行くが、無理に押す声ではなく、Pと同じ美しい歌声で自然に音量を上げて行く所は圧巻。これで迫れれば、神に仕えるデ・グリューもついに陥落しベッドの上で抱き合ってしまう。 残念ながら所用があり、当方の鑑賞はここで幕。オーケストラは統制が取れて、よどむ部分やはみ出す様な所もなく大変上品な演奏の印象で、そこが英国的なのでしょう。歌手も、主役二人以外もバランスが取れた歌声であり、合唱も振り付け含め良かった。演出も豪華絢爛とは言えないが、それなりに場面を再現しており、全体的に穴が無いところが引っ越し公演の良い所でしょう。 なんと言ってもネトレプコの歌声が素晴らしく、無理なストーリー展開もその歌声で思わず納得させられてしまう。5階席でも聴いても何度も鼓膜が震え、大きなホールでも全く影響なく歌えるのでしょう。 久々に素晴らしい歌声を堪能することが出来、これだからオペラ通いはやめられない。End
2010.09.11
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GWのクラシックイベントLFJ2010が終了した。今年の公式結果発表が出たので、昨年の比較表へ追加。年 回期間テーマ来場者数チケット 販売数 有料/無料 公演数2005年 第1回4/29 -5/1ベートーヴェン と仲間たち324千人109千枚120/209 2006年 第2回5/3 -5/6モーツァルトと 仲間たち695千人160千枚145/377 2007年 第3回5/2 -5/6民族の ハーモニー1,060千人200千枚181/4732008年 第4回 5/2 -5/6シューベルトと ウィーン1,004千人182千枚221/5292009年 第5回5/3 -5/5バッハと ヨーロッパ711千人137千枚168/4192010年第6回5/2-5/4ショパンの宇宙808千人141千枚175/358 3日間公演の昨年と比較して来場者数は上回っており、1日当たりの来場者数もこれまでの公演で一番多いことになる。 その割には東京国際フォーラム付近の混雑度は昨年より幾分解消された気がしたが、常連客が増えた影響か。 公演数は昨年より若干増えているものの全体公演は減少しており、スポンサー減少による関連プログラム減少のため。 有料チケット販売数も昨年より若干多い(前夜祭、東京芸術劇場公演も含む)。 全体的には昨年並みといった所か。日本経済現状の割には奮闘したと言えるでしょう。LFJとしては東京だけでなく、金沢に加え、今年は新潟、びわ湖まで拡大しており、やはりクラシックとしては日本最大のイベントになっている。 5/3に訪れたが関連イベント含め午後2時から9時まで楽しむことが出来た。ただコンサート聞くだけでなく、色々な形でクラシック音楽に触れられる所が魅力で稀少。 訪れた5/3はNHK-BShiとNHK-FMで生放送された日で、BShiを留守録。鑑賞した2公演と地下展示ホール公演とも放送され帰宅後見返したが、ホールでの演奏の空気振動を直接聞いた印象とは大きく異なり、やはり生演奏の素晴らしさを認識出来た。 来年についても開催予定とアナウンスされているが、テーマの正式発表は今の所無し。ナントの方は「ブラームスからリヒャルト・シュトラウスまでの後期ロマン派」とのことなのでコルボ&ローザンヌの「ドイツ・レクイエム」を期待。「愛の歌」「Naenie」も聞きたい。End
2010.05.07
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鑑賞日:2009年12月5日(土)14:00開演入場料:¥6,615 C席3階(L8列1番)主催:新国立劇場ジャコモ・プッチーニ作曲歌劇「トスカ」(全3幕 イタリア語上演/字幕付)会場:新国立劇場・オペラパレス指 揮 :フレデリック・シャスラン演 出 :アントネッロ・マダウ=ディアツ美 術 :川口直次衣 裳 :ピエール・ルチアーノ・カヴァロッティ照 明 :奥畑康夫再演演出:田口道子舞台監督:斉藤美穂 合 唱 :新国立劇場合唱団、TOKYO FM少年合唱団管弦楽 :東京フィルハーモニー交響楽団出演:トスカ: イアーノ・タマーカヴァラドッシ:カルロ・ヴェントレスカルピア: ジョン・ルンドグレンアンジェロッティ:彭 康亮スポレッタ: 松浦 健シャルローネ: 大塚博章堂 守: 鹿野由之羊飼い: 九嶋香奈枝感想: 新国立2003年公演の再演。有名なアリアを楽しみに、電車中で「のだめカンタービレ」最終巻を読みながら、初台へ出かけた。 劇場へ入ると制服姿の高校生が多く見られ、チケット購入時のアナウンス通り、3、4階席に学校団体が入っており開演前のお喋りの大きさに心配したが、始まると一変に静寂となり、通常公演よりも静に感じたのは学校での事前マナー指導があったのでしょう。 舞台装置は1幕の教会内部、2幕宮殿内部、3幕城の屋上がそのまま再現され、1幕では後半教会の壁全体が移動し祭壇が現れたり、3幕では屋上部分が下がって、上から鉄格子の壁が下り牢獄になったりと場面転換が瞬時に行われた所は、なかなか豪華でお金が掛かっている。 演出、衣装も原作に忠実でオーソドックスなもので、高校生が初めて観るオペラとしては適しているのでしょう。 トスカは主役3人の歌の出来具合が重要だが、まあまあと言った所。カヴァラドッシ役カルロ・ヴェントレは1幕の「妙なる調和」は声の乗りが良くなかったが、3幕「星も光りぬ」は高音部をこれでもかと伸ばして歌えてはいたが、声質に輝きを感じなかった。タイトルロールのイアーノ・タマーもビブラート掛かった声質で2幕「歌に生き、愛に生き」もそれなりに歌えてはいたが心を動かされるまでは至らず。歌声としてはスカルピア役ジョン・ルンドグレンが輝きのある歌声だったが、反って良すぎてスカルピアの悪役感が少々薄らいでしまった印象。 管弦楽は淀むことなく音楽が流れ、ダイナミックスもあり、プッチーニの音楽がよく表現されていた。特に1幕終演のテデウムは合唱も素晴らしく、荘厳な雰囲気の中で盛り上がりを感じた。 この様な公演を高校生の時に観るのは貴重な経験であり、少しでもオペラファンが増えればとは思うのだが、再来者はほとんどいないか。本公演は記録撮影が入っていたようなのでTV放送される可能性有り。 新国立公演は来年2、3月のワーグナー・リング後半を観に行く予定でそちらも今から楽しみだ。End
2009.12.05
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鑑賞日:2009年11月21日(土)14:00開演入場料:¥3,885 D席4階(3列18番)主催:文化庁芸術祭執行委員会/新国立劇場平成21年度(第61回)文化庁芸術祭主催・新国立劇場公演共同制作:バイエルン州立歌劇場アルバン・ベルク作曲歌劇「ヴォツェック」(全3幕 ドイツ語上演/字幕付)会場:新国立劇場・オペラパレス指 揮:ハルトムート・ヘンヒェン演 出:アンドレアス・クリーゲンブルク美 術:ハラルド・トアー衣 裳:アンドレア・シュラート照 明:シュテファン・ボリガー振 付:ツェンタ・ヘルテル合 唱:新国立劇場合唱団、NHK東京児童合唱団管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団出演:ヴォツェック:トーマス・ヨハネス・マイヤー鼓手長:エンドリック・ヴォトリッヒアンドレス:高野二郎大 尉:フォルカー・フォーゲル医 者:妻屋秀和第一の徒弟職人:大澤 建第二の徒弟職人:星野 淳マリー:ウルズラ・ヘッセ・フォン・デン・シュタイネンマルグレート:山下牧子感想: 故若杉弘氏が新国立オペラ芸術監督に就任時に20世紀オペラの重要作品として上げた作品であり、日本で一般商業公演では上演不可能であろうベルク作曲「ヴォツェック」を観に、遅れない様(3幕連続公演で途中休憩がないため)早めに初台へ出かけ、オペラシティー地下で腹ごしらえをしてからオペラ劇場へ。 今回2008年11月バイエルン州立歌劇場の公演舞台演出をそのまま持って来たもので、前公演「オテロ」と同様に舞台一面に水が張られいるが、照明は当てられず真っ黒な水面、その上に部屋の舞台装置が前後することで場面転換される、シンプルなもの。 部屋が後に下がる際に胸に「Arbeit(求職)」のプラカードを下げた黒ずくめ男達が複数名現れ、時々投げ入れられる残飯に水しぶきを上げながら群がるのは貧困と苦悩の象徴なのか。登場人物全て顔が白く塗られ、更にヴォツェックとマリー以外は髪の毛が後方だけか坊主で額まで白く、不気味さを含んだ異様な雰囲気。 音楽は無調性の現代音楽。アリア的なメロディーもなく、台詞に音楽が付いている印象。会話場面はP基調の音楽だが苦悩の独白等の場面では大音量になり、そのダイナミックスで最後まで引き込まれた。 2幕レストラン庭での踊りの場面では黒ずくめの男達が四つん這いになった上に置かれた長方形の台上にバイオリン、クラリネット、チューバにギター、バンドネオンのバンダが登場する所やピアノが浮いた台を回しながら演奏する所も面白い。 歌手は皆歌えており、その中でもマリー役ウルズラ・ヘッセ・フォン・デン・シュタイネンの表現が良かった。 一番目立っていたのはヴォツェックとマリーの子供であり、終始無言で父親に甘えていると思えば、常に冷静に親を見ていて、壁に黒ペンキで「GELD(金銭)」と書いたり、最後は子供たちに「母親が殺されたよ」と石を投げられると「ママ」と小声で叫び、その手にはナイフを握っていた。貧困と苦悩がそのまま子供に受け継がれてしまう所に救いのない世界を感じた。 演劇だけでは表現出来ないオペラの奥深さを感じた公演であり、日本で公演出来たことは故若杉弘氏の功績でしょう。End
2009.11.21
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鑑賞日:2009年11月3日(火・祝)15:00開演入場料:¥15,000 B席2階(7列36番)主催:Bunkamura/KAJIMOTOBunkamura20周年記念特別企画大野和士指揮 フランス国立リヨン歌劇場管弦楽団マスネ作曲歌劇「ウェルテル」全4幕(演奏会形式)(フランス語上演/日本語字幕付き)会場:Bunkamuraオーチャードホール指 揮:大野和士(リヨン歌劇場首席指揮者)管弦楽:フランス国立リヨン歌劇場管弦楽団児童合唱:東京少年少女合唱隊(合唱指揮:長谷川久恵) 出演:ウェルテル: ジェイムズ・ヴァレンティシャルロット:ケイト・オールドリッチアルベール: リオネル・ロート大法官: アラン・ヴェルヌソフィー: アンヌ=カトリーヌ・ジレシュミット: バンジャマン・ベルネームヨハン: ナビル・スリマン感想: 10月は自身のオペラ合唱出演や地元文化祭合唱団出演などありオペラ、コンサートへ行けなかったが、(「愛の妙薬」高橋薫子のアディーナを聞き逃したのは残念)今が旬で是非聴いてみたい指揮者の1人大野和士が首席指揮を務めるリヨン歌劇場管弦楽団を引き連れて演奏会形式でオペラを演奏するとのことで、木枯らしが吹くなか渋谷へ。 開演45分前から大野和士が舞台に登場しプレトーク開始。マスネが作曲に至った経緯、ワーグナー「トリスタンとイゾルテ」との共通点等の話の後、(モネ劇場での解説参照)、自らピアノを弾いて有名な「オシアンの歌」、児童合唱「クリスマスの歌」でキリスト教と自殺との関係、舞踏会での二重唱、そしてピストルを撃つ部分を紹介、ゲーテ原作とは異なる部分もあるが規範を超えて愛を全うする、ロマンティズム、若き血潮が溢れているところが共通点と結び、プレトーク終了後ピアノは舞台下へ。 ピアノまで準備してのサービス満点のプレトークで観客はいやが上にも期待が高まる。 第1幕前奏曲からロマンチックな旋律が奏でられ、コンマスソロの美しさで既に甘いクリームに包まれた様な気分に。特にfからpへの急激な音量の変化も完璧に抑制して鳴らす管楽器は素晴らしく、この当たりがフランスのオケなのでしょう。 児童合唱団と大法官がオケ後方の山台にいてクリスマスの歌から開幕。シュミットとヨハンの掛け合い、ソフィーの後にシャルロットそしてウェルテルが登場。音響の悪いホールで且つオケと同じ舞台での歌唱なので大変なのだが、皆さんそれなりに聞こえてきた。 その中ではシャルロット役ケイト・オールドリッチの感情を込めた歌声表現が良かった。ドレスも1、2幕は赤、3,4幕は白と場面に合わせていた。 ウェルテル役ジェイムズ・ヴァレンティは声があまり届かずオケに消されることも多かったが、「オシアンの歌」はそれなりに歌えており役柄としてはしょうがないか。但しずっと突っ立ったまま楽譜を見て歌っており、演奏会形式としても他の歌手の様に動作、絡みの表現が欲しいところだが。 児童合唱は4幕は裏歌だったが天使の声の様に美しい響きが聞こえてきた。 そして全幕通じて管弦楽が素晴らしく、歌手がいなくても管弦楽だけで既に音楽を表現出来ている。大野和士はダイナミックな指揮振りで、時には指揮台の手すりより後に仰け反って歌手達にも見せており全てを統率している印象だった。 プログラムの大野和士インタビューでリヨン歌劇場において託児所設置(預かった子供たちにもオペラの話を聞かせる)や若者への劇場の開放など改革を行い、今では観客の4分の1が25歳以下とのこと。観客に対するサービス精神は大したもで、小澤征爾にも通じるものがある。日本も見習って欲しいのだが・・・。 オペラにおける管弦楽の違いを改めて認識できた演奏だった。この後リヨン歌劇場管弦楽団だけの演奏会もあるようだが日程が合わず断念。 それから来シーズンの新国立劇場の「トリスタンとイゾルテ」の指揮が大野和士とのことで、今から楽しみだ。End
2009.11.03
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