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Ryu-chan6708

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2006.06.09
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カテゴリ: 映画

小津安二郎監督 のこの映画も何度見ても飽きない一本だ。1953年制作だから 、「七人の侍」( 1954年)と同じ頃の制作。当然、白黒だ。

A氏 :俺も学生時代に見た映画だ。3年前は 小津安二郎監督生誕百年 だったので、国際的にも高く評価され、いろいろな催しが行われたね。
俺も、この監督の作品の中で「東京物語」が一番好きだよ。日本が高度成長に入る直前だね。そのときの市民生活が分かるね。

:風呂は銭湯。夏の上京だが、クーラーもテレビもない頃だ。
映画のストーリーは、尾道に住んでいる 俳優・笠智衆(りゅう・ちしゅう)と東山千栄子が演ずる老夫婦 が、東京で独立した子供たち(一人は開業医、一人は美容院)を見て回り、そしてまた尾道に帰るというもの。今は新幹線があるが、当時は大旅行だ。
そして、帰りの途中で、東山千栄子の体の具合が悪くなり、途中、もう一人の子供がいる名古屋に立ち寄る。 尾道に帰ってから危篤。あわてて、子供たちは尾道にかけつけるが、翌日、68歳で死去。 当時としては長生きのほうだろね。
すぐに葬式をすませ、翌日、子供たちは仕事があるので東京に帰っていく。
最後に、笠智衆が家の中で、一人、ぼんやり、団扇をあおいでいるシーンと瀬戸内海の俯瞰シーンで終わる。静かな夏の瀬戸内海だ。

A氏 :この話のなかに、 美人女優・原節子が、この老夫婦の息子の嫁という役で登場するね。息子は戦死し、すでに数年たっているが、この嫁はまだ独身で、東京で仕事をしている 。そして、老夫婦が東京に行ったとき、 言わば赤の他人の原節子が一番心にこもった接待をする。実の子達は、つれない。

:アクション映画と異なり、平凡な日常シーンが展開され、淡々とした日常会話が続く。
最後、実の子供たちが帰った後、原節子が葬式後の後始末で2,3日残り、いよいよ、義父役の笠智衆と別れるシーンがある。
義父は、「もう、息子のことは忘れ、いい人がいたら結婚しなさい。そうしないと私も心配だ。」と言う。原節子は「ときには、将来の不安を考えることもある。」と言って泣く。 これが、唯一、この映画で感情が大きくゆれるシーンだ。

A氏 :小津監督のカメラ角度は、 ローアングル で有名だが、ラストシーンでは、俯瞰した瀬戸内の風景が出てくる。
また、原節子が東京に帰る汽車(もう、 原節子は義父に2度と会うことはないであろう )が、煙を出しながら、走り去るところが、やはり俯瞰でとらえられる。しかし、次の瞬間、列車の車輪がまわるローアングルになる。そして、その車内で原節子が形見にもらった時計を取り出してみるシーンが続く。

:好きなシーンは、妻が早朝、息を引き取った後、笠智衆が一人ぽつんと、近くの寺から尾道の晴れたおだやかな朝の瀬戸内海を見下ろすシーンだ。
原節子が心配で迎えに行くと、笠智衆は 「今日は、暑くなるなあ。」 とぽつんと言う。 そして、2人はきびすを返して、家のほうに歩き出す。

映画は騒々しいお寺中の葬式のシーンに切り替わる。

背景は昭和30年頃だが、淡々とした時の流れを感ずるね。

◆邦画DVD≪東京物語≫小津安二郎






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Last updated  2006.06.09 07:11:26
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