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Ryu-chan6708

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2006.08.12
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カテゴリ: 読書感想
この前の日記 蒙古斑 のことを書いたんで、その知的なつながりで、図書館でこの本を借りたんだ。
 新刊で、本文400頁あまりの分厚い本だ。
 著者はイギリスの歴史家及び旅行作家で、モンゴル関係に詳しいという。

A氏 小泉首相 が一昨日、中国を素通りして、モンゴルに行ったね。
 モンゴルの豊富な天然資源が目当てだと新聞は報道していた。

:それに今年は、 チンギス・ハンの即位(モンゴル建国)八百周年 だというからいろいろな行事があるだろうね。

A氏 :君は モンゴル に行ったことがあるんだね。

私: 中国の 石窟の観光ツアー のとき、内蒙古がセットになっていたんだ。
 記録を見ると1992年だね。
ゲル(パオ) に一泊した。
 深夜、トイレに起きたら、満天、星空でアッと驚嘆した。
ぐるりと四方を囲む地平線まで数多くの星がまたたいている
星の数が日本で見る数の何倍も多い
野原に大の字に寝て、30分くらい天を仰いで星空を満喫したよ。
 翌日、皆、競馬かなんか見ている間に、俺は一人、遠方に見えた丘に何か石を積んだ小さな塔みたいなもの( オボ )があったので、歩いた。
 秋の草原はバッタが多かったね。
その丘の上で遠望したがゆるやかに果てしなく起伏する壮大な草原の連続だったね。

A氏 :われわれの小さい頃は、チンギス・ハンでなく、 ジンギス・カン だと言っていたと思ったが、今は違うのだね。
 これは地位を表す言葉で名前は テムジン と言ったね。

:テムジンは変わらないが、蒙古語は発音がいろいろあるらしいね。

A氏 :チンギス・ハンの墓は未だに不明だそうだね。日本でも調査隊が行ったというが。

:遊牧民族は固定した建築物を立てない。
 移動する民族だ。
 だから、墓もない。
 それとチンギス・カンは、大きな戦いの最中に戦線で死亡したので、死んだことを隠す必要があった。
 武田信玄の最後に似ているね。
 似ていないのは、孫のフビライのとき、領土を中国全土からヨーロッパまで拡大し、 世界史上最大の元の国 を作ったことだ。

A氏 :しかし、モンゴルの一部族の長に過ぎなかったテムジンがチンギス・カンとなり、50年余にわたり、活動して、その征服範囲をイスラムから東ヨーロッパまで拡大していったということはすごいことだね。
 その指導力は偉大だね。

:著者は、そのもとになっているのは、 チンギス・カンが変化する周囲の状況、増大する自己の力に合わせ、自己を成長させたことだと言っている
 企業の拡大と似ているね。
 事実、彼は組織が拡大すると、モンゴル族が不得手な 官僚制 を導入するね。
 文字文化の導入もそうだ。
 著者は、彼のリーダーシップは次の10の原則を備えているとして歴史上の人物では最高点をあげている。
1.忠誠心に報いよ

3.自制心を養え
4.できるかぎり人材を見つけて、活用せよ
5.敵はためらうことなく殺せ
6.残虐行為は慎め
7.あらたな政治手段を積極的に取りいれよ
8.神の後ろ盾があることを知れ
9.神の後ろ盾があることを配下や後継者にも信じさせよ
10.信仰の自由を尊重せよ


 チンギス・カンの征服した地域には、 仏教、イスラム教、キリスト教、道教 などがあったわけだから、ある一つの信仰を押付けるわけにはいかないね。

A氏 :しかし、ヨーロッパまで征服するには、リーダーシップに伴う 軍事力 があったのだろうね。

:著者は、狩猟時代から放牧時代があり、次に農耕時代があるというステップは間違いで、 狩猟時代から農耕時代があり、その後、放牧か固定的な農耕かに分かれるという。
 モンゴルでは、 農耕時代に馬を徹底的に改良して、放牧に移るとともに、機動的な戦力の中心にすえた。
 そして、戦線の拡大につれ、いろいろな地域の兵器をうまく取り入れ、 当時としてはどこにも負けない強大な兵器を持った軍隊で活動するようになった
 この軍事力は 火薬 が登場してから、衰退するがね。

A氏 :モンゴルは、今は、小さな国になったね。

:やはり、 移動する国家から、定着した国家になったとき、弱点が出たのだろうね
 この本が読みやすいのは、著者が実際にモンゴルの原野を走り、現在の姿を述べながら並行して過去の歴史を語っていることだ。
 だから、ソ連と共産主義の中国の間にはさまれたモンゴルの現代史と信仰の的としての現在のチンギス・カンの位置も詳細にふれている。
 そして、 チンギス・カンは今でもモンゴル人の神的な存在であるようだ

A氏 :一時、ソ連時代には、チンギス・カンの恨みで大分、意地悪されたようだね。

:それは日本が第2次大戦で ポツダム宣言 を受諾したとき、 社会主義者であるスターリン がこれで 日露戦争 の仇を取ったといったのと似ているね。
 民族というのは復讐心がどうしても消せないのだね。

 ちょっと、本題から外れるが、中国の文革のとき、スズメの撲滅運動があり、木をたくさん切った。
 しかし、スズメは減らず、荒野だけ残った。あわてて、成長の早い樅の木をたくさん植えたとこの本では書いているね。
 日本の杉と似ているね。閑話休題

チンギス・ハン





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Last updated  2006.08.20 16:27:04
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