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Ryu-chan6708

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2006.10.25
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カテゴリ: 読書感想

:この本は 北海道の旭山動物園 北九州の到津(いとうず)の森公園にある動物園 の起死回生の物語だね。
 旭山動物園には、今は日本だけでなく、台湾、中国からも見に来るという。

A氏 :ビジネス・リバイバル物語りかね。

:全く違うね。
 二人の個性的な園長の哲学実践の歴史だね。
 それによるサクセスストーリーだね。
アミーバ経営 の京セラの稲盛さんが 経営には哲学がなければならないという見本 ともいえる。
 今、 自殺 子殺し 親殺し いじめ が問題になっているが、その観点からすると人は野生動物から学ばなくなったという。
 俺はその 動物園運営の哲 に知的興味が湧いたね。
シートン動物記街道 の一つとして、図書館で借りた。

A氏 :言い換えれば「バカの壁」の 養老孟司 氏のいう 都市化」に対する動物園の挑戦 かね。

:うまいことを言うね。
 「新明解国語辞典」(第4版)によると動物園の定義は次のようになるという。

生態を公衆に見せ、かたわら保護を加えるためと称し、捕らえてきた多くの鳥獣・魚虫などに対し、狭い空間での生活を余儀なくし、飼い殺しにする、人間中心の施設 とあるという。

A氏 :なるほど、言えているね。

私: これに対する自然から学ぶ動物園の再生の物語りと言えるね。
ハードとソフトの両面からの大改革だね

A氏 :君のシートン動物記でシートンが示した考えと共通しているね。

人間の自殺や親子の殺し合いやいじめと関連 して興味があったのは、「 動物の密な社会関係 」という見方だ。
 オスのチンパンジーを赤ん坊のときから育てたが、成人しても交尾ができない。
人工哺育されるとチンパンジーがチンパンジーでなくなる
 それから、 赤ん坊が生まれても親が面倒を見ない。
 そこで、飼育担当が空気のような存在になって、母親が子供を放したら、そっと胸にもどす。
 それを十回くり返す。
 そのうち、やっとオッパイを与えだす。

A氏 :チンパンジーは社会的な存在なんだ。

群れの中で育ってこなかったコザルを急に群れに放すと、引きこもるか、攻撃的になるか、どっちしかないという

A氏 :今の日本に似ているね。

:園長はいう。
 戦後の家族政策がおかしいとね。
 核家族は、父親は仕事でいっぱいで、 母と子が一対一の人工哺育 だから、サル同様、子は母親の王様になり尊敬しない。
団塊の世代の親子関係 と、その子供が今、親となったときの 第二の団塊の世代の親子関係 で問題となるのだろうか。

A氏 :人間の「 密接な社会関係 」が崩壊しているんだね。
 町ぐるみの活動がなくなっているしね。

イジメもマスコミはその目で見ていないようだね
 ところで到津の公園では 子供の林間学園 をやっている。
 ところが母親が「うちの子はだれだれさんといっしょにしてくれ」と言ってくる。
 学園ではわざとバラバラにする。
子供はそうやって育つ。
 今度は学年を超えてバラバラにすることを考えているそうだ。

A氏: たくましくないとイジメにあいやすいのかもね。
 イジメなども上級生が混じっていると防げるのではないのかね。

:森林公園は、虫が多いから刺される。
 お母さんが「つける薬はないか」とくる。
 「つばをつけておけ」と思うけれども薬を出す。
 お母さんは子供の足に熱心に薬を塗る。
その子はお母さんに「ありがとう」も言わない。

A氏 :人工哺育だね。

私: 林間学園には5つの誓いがあるという。

1.よい空気を体いっぱい吸います。

3.先生としっかり勉強します。
4.ケガをしないようにします。
5.学園のきまりを守ります


 シートン動物記での 野生動物のルール だね。

A氏 :24日の朝日の朝刊で、 鶴見俊輔 さんと語るという記事があったが、そこで、氏は幕末から明治にかけて時代を作った 坂本竜馬、後藤象二郎、西郷隆盛、大久保利通らは、江戸時代の寺子屋で多様な層が学んだおかげだと 言っているね。

:「 密接な社会関係 」だね。
 インターネットは、その代わりになるだろうか。
フェイス・ツー・フェイス の動物的な自然のかかわりのほうがより「 密接な社会関係 」を作るのではないかね。
 その意味で、 この本は動物園だけの本ではないね
 もっと、 根源的に今の日本人の人間生活の社会的関係を問いただしているね。
 物語が、時間的に前後してちょっと読みにくかったがね。

戦う動物園





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Last updated  2006.10.25 07:16:29
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