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A氏
:19世紀、20世紀と「 国民国家」の時代
だね。
日本は戦後、「 国民国家
」としての独立性を失うような事態
になる。
それが 教科書問題に反映
する。
それを韓国は問題視するが、 韓国も国家としての独立性を強調するためには、民族と文化の「誇り」を教科書で強調
する。
それは中国も同じだね。
それなのに、 日本が民族の長い歴史
から、「 戦後レジーム
」の空白を反省して、 民族としての独立性、「誇り」、「愛国心」を言い出すと、中国、韓国が問題にするのは異常
だね。
私
:韓国の歴史にも 1990年代に外国労働者を虐待し、差別している過去
があると著者は言う。
1970、80年代に国家指導者と軍が民間人を拷問し命を奪った過去
がある。
著者はそれも 韓国では教科書に載せるべきであるという
。
自国の恥辱を直視していないとして日本の教科書を非難すれば、 同時に韓国もまたそのような欲望から自由でなかった事実
もあることを明らかにすべきだという。
A氏 :ところで「 慰安婦 」問題も教科書問題につながっているね。
私
:著者は、日本政府は「 慰安婦
」に対する責任を否定していないし、「 慰安婦
」問題自体も否定していないが、韓国での一般的な認識は違っているという。
この問題も、 沖縄集団自決問題
と同じで 軍の「強制性」の有無
が問題だが、 ソウル大学の李栄薫
は「 強制的」に引っ張られていった「慰安婦」はなく、20万人という数字も当時の人口資料からして膨らまされたもの
だという。
しかし、自発的に性を売ったわけでなく、 背景に男性優位の社会、植民地政策のための貧困
などがあり、やむを得ない事情があるとしているね。
それが戦争で引きおこされた以上、 戦死者の遺族の補償と同じで著者は「慰安婦」の補償は必要
だとしている。
A氏
:それに対応して 日本政府は1990年代以降
、「 女性のためのアジア平和国民基金
」を 設立
しているね。
形は民間基金のようだが、 政府が密接に関係
していた。
最初、「 軍の関与
」を認めていなかったが、 1993年
には河野洋平官房長官が「軍の関与」を認め、謝罪する
。
そもそも、 1965年の日韓協定
で「 国家対国家の補償
」は一旦終わっている。
そのカネを当時の韓国政権は、 経済復興の投資
に使う。
私
:日本側は「 国家対国家の補償
」は終わっているから、基金にしたんだが、韓国側は基金では「 国家対国家の補償
」ではないから 真の「国家的な謝罪」
ではないとなった。
しかも、この 国民基金
は 自民党単独政権
ではもめていて、 自社さ連立政権
ではじめてできたもので、 日本側もそれなりの努力
をしているんだが、これが韓国人一般にはほとんど伝わっていなかったという。
A氏 :韓国では「 基金 」は 日本の責任逃れとして解釈 されたわけだ。
私
:「 慰安婦
」問題に献身的な努力をしてきた日本人の一人である 臼井敬子
氏は「 国民基金
」の関係者だということだけで、 韓国への入国を拒否
される。
彼女は「 良心的な」日本人
だったのにである。
彼女は「 民
族的な自尊心や矜持が、あらゆる人権より勝るという観念なら、この運動は多くの人々の共感を得ることは非常に困難だと思う
」と語っているという。
A氏 :しかし、軍隊には 「慰安婦 」はつきものだね。
私 : 日本軍兵士でもあった朝鮮人兵士が「慰安婦」施設を利用していた事実 、 朝鮮戦争当時韓国軍が慰安隊を作り経営していた事実 は、韓国国民を当惑させると著者は言う。
A氏
:戦後、日本はアメリカ占領軍のために 慰安所
を作るね。
池田勇人
元首相がまだ、 若い大蔵官僚のときに裏で業者にカネを出す。
一般市民の女性の保護のためだという大義名分
だね。
私
: 韓国も同様の目的でアメリカの駐留軍のため同様な施設を基地村に作った。
1970年代に売春禁止法が実施されたが、基地村には適用されなかった。
ところで、この問題は、この本の出版後の昨年、アメリカで 人権問題 として再燃するね。
明日は 靖国問題 に移ろう。
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「イスラムの怒り」内藤正典著・集英社新… 2009.08.24