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Ryu-chan6708

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2008.10.11
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カテゴリ: 歴史


広田弘毅

1937年12月2日 、日本軍が 南京 に迫ろうとしているとき、 蒋介石 は日本の和平条件を基礎として 交渉に入る用意 があると トラウトマン大使 に伝えてきた
  これに対して、陸軍が南京に成功裡に進行しているので 広田 は、 蒋介石に提示した和平条件を厳しくつり上げ出す。

A氏 :南京陥落の前に 世論 はわきあがるね。

1937年12月13日 南京は陥落 する。
東京 では 市民40万人もの行進 がはじまる。
戦勝気分 に酔いしれた国民の多くは、これで蒋介石との戦いは終わったと 錯覚 したろうね。

A氏 :しかし、これは、 日中戦争の泥沼化、太平洋戦争突入 、そして 大量の死者 原爆投下 という 敗戦への道とつながる序曲 だったんだね。

南京陥落 に気を強くして、 広田は蒋介石との交渉条件を厳しくする。
蒋介石の回答
が遅れているうちに、 世論の高揚を背景 に、 1937年12月24日 に、近衛内閣は、南京政府との交渉に期待せず、 華北に傀儡政権を成立 させる方向に転換し出す。
  その頃、 南京事件 の情報が 外務省 に入った。
  これを何故か、 広田外相は閣議に提起しなかった。
これが後に 東京裁判で問題 なる。
広田の死刑判決の一因 とも言われているね。

A氏 蒋介石の回答 が遅れているうちに、ついに、 日本側はトラウトマン工作を打ち切る。

:それは 1938年の1月16日 で、同時に、「 今後、国民政府を対手とせず 」という有名な「 近衛声明 」となる。
  ここで注意すべきは、「『 相手 』とせず」は「 対手 」となっていることだね。
 これはあいまいな 官僚用語 だったが、後で内閣は、「 相手 」もよりも 否定の意味が強いと説明 を付け加える。

A氏 :このような強気は、 南京陥落 のせいかね。

:この本ではそういう説明だね。
  しかし、「 満州事変から日中戦争へ では、 違った見方 をしているね。
  あまり、 トラウトマン工作 に日本がこだわると、 海外から日本は弱腰 だと思われ、 対外為替相場と公債消化率に悪影響 を及ぼすという見方 だね。
 戦争継続に欠かせない 海外からの経済的補給の安定が必要 だったという。
 養老氏・竹村氏 のいう、 歴史を下部構造から上部構造を見る見方 だね。
スパイ・ ゾルゲ 日中戦争 を通じて、 日本には近代的な戦力が強化 されてきたことに気づいていたという。
 今の 北朝鮮 のように、国民は苦しんでも 軍備には莫大なカネ をかけていたんだね。

A氏 1938年6月 には 駐日中国大使館員が全て引き揚げ、日中間は断絶 する。
  近衛は「 対手とせず 」の脅かしが失敗だったことを知る。
  そして戦争も 泥沼化 し出す。

1938年5月 に近衛に勇退を迫られ、 広田はあっさりと外相を辞任 する。
後任の外相 となる 宇垣一成 は、 広田 を「 無為無策 」と 酷評 する。

  後に 政治学者 猪木政道 はその著書で
  「 ドイツに条件を示して和平のあっせんを頼みながら、南京占領後、真っ先に条件のつりあげをするなど 無定見、無責任 である。
城山三郎 の『 落日燃ゆ 』は広田のよい点が強調されているが、 1936年 のはじめころから、 広田は決断力を失っていたのではないかと思う
  と述べているという。

  これは後の話だが、 1986年 昭和61年 )に 昭和天皇 は「 猪木の書いたものは非常に正確である。特に近衛と広田についてはそうだ 」と 宮内庁 を介して 当時の中曽根首相 に伝えていたという。

A氏 東京裁判 での 広田に死刑判決 は、 11人の判事で6対5の僅差 だった。
他の死刑判決 7対4 であるのと比較すると、すれすれだね。

南京事件 を知りながら、閣議に出さなかったというのが、特に判事の心証を害したのではないかという。

 ところで、話は現時点にもどるが、 麻生首相 が決まったとき、 中曽根 さんが「 首相になることは、後世の歴史にさらされることになることだ 」と言っていたが、 首相広田弘毅 もそうだし、 外相 としても「 後世の歴史にさらされた 」ことになったね。

A氏 東京裁判 があったからね。

:昨日は、 株価が8千円台に暴落
  麻生さんも、 アメリカの金融危機 で多事多難のときの首相だが、どうなるかね。
  この本を読みながら、 広田弘毅 を連想したね。






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Last updated  2008.10.11 10:06:19
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