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Ryu-chan6708

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2009.02.27
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カテゴリ: 歴史

日本語が亡びるとき

A氏 :25日の 朝日新聞 の「 天声人語 」では、 世界には、6千前後の言語 があり、 うち2500語が消滅の危機 にさらされているという。
生物多様性 ばかりでなく、 言語の多様性 もこの地球上で細りつつあると嘆いている。
  印刷術、ラジオ・テレビ、そして、現在は インターネット と技術が、 少数派の言語を駆逐 しているという。
英語 も大切だが、 弱肉強食にまかせていては多彩な文化は守れない と最後にまとめているね。

:この「 天声人語 」では 日本語の運命 のことはふれていないね。
  重大な問題なのにね。

 この本は、 インターネット により、「 普遍語 」化しつつある 英語 に対して、日本語はどうあるべきかを論じたものだね。

A氏 :題名からして、著者は、 日本語滅亡論者 かね。

:違うね。
日本語コンプレックスから脱し、立派な日本語とその文化をいかに守るかの提言 だね。
  著者は 小説家 だが、この本は 評論 だね。
  このブログでも 「本格小説」上・下 「私小説・from left to right」 で著者の小説を紹介している。
  「 私小説 」で述べているように、 著者は12才で父親の仕事の都合で渡米 してから、 滞在20年
フランス語教師 までやるようになる。
 しかし、興味あることに、 アメリカの学校生活では、ヒマがあれば、日本の「近代文学」に読みふけっていた という。
ハイスクールの休み時間 でも読んでいたという。
  著者のそのアメリカの生活との対比で得た 深い日本語感覚 が、 この日本語論に深みを与えている ように思うね。

A氏 :日本語というと、一応、現在、日本列島に住む 日本人が使う 国語 だね。

:著者は、西洋の言語も含め、「 国語は自然なものではない 」として、その歴史を詳細に辿っていて勉強になるね。
 最初、「 現地語(土着語) 」としての 日本語 が、 中国の漢字文化 とぶつかったときが、 第1の危機 だね。
  しかし、大陸から離れていたため、 朝鮮などの周辺諸国 と違い、 中国の直接の言語支配 を逃れ、日本は ひらがな、カタカナ などの 独特の文字言語 を作り出すともに、 歌、紀行文、小説 などを産み出す。
  また、日本は 科挙制 を行わないね。
  こういう 日本語文化 は、 印刷技術が進む江戸時代 まで続くね。

A氏 日本語の第2の危機が明治維新 だね。
  西洋に対して、 表音文字でない日本語コンプレックスが発生 する。  
漢字廃止論 が生まれるね。
  有名なのは、当時の 文部大臣 前島密 の「 漢字廃止」の上申 だね。

:しかし、 夏目漱石 に代表されるような 近代小説 などが生まれる。
  「 国語 」という考えが生まれる。
  著者は、「 国語 」とはもとは「 現地語 」でしかなかったものが、「 翻訳 」という行為を通じて、「 普遍語 」と 同じ重荷 を負うようになったという。

A氏 明治維新 による「 国民国家 」の誕生とともに、 国民の言葉 となるわけだね。

:しかし、 昭和のナショナリズム時代 でも、 北一輝 は、意外にも「 日本語は劣悪な言語で50年後には使われなくなるから、エスペラント語にすべきだ 」と言っていたそうだね。

第3の日本語の危機 太平洋戦争の敗戦 だね。
占領軍は漢字が嫌いだ。
漢字廃止
が決まる。
全面廃止 まで「 当面使用 」される 最低の漢字 が定められた。

A氏 :あぁ、それで「 当用漢字 」というのか。
  確か、当時、 志賀直哉 日本の国語をフランス語にすべき というね。

:日本語がようやく 自主性 をとりもどすのが 1966年 だね。
  当時の 中村梅吉 文部大臣 が「 国語の表記は漢字かなまじり文によることを前提 」と述べた。
明治の前島密から続いていた 漢字コンプレックス から、 百年たって解放 された。

  そして、 第4の日本語の危機 インターネットのグローバル化 だね。
英語 が「 普遍語 」となりつつあるからだ。

  明日は、これに対する著者の提案にふれよう。






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Last updated  2009.02.27 10:44:39
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