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私
:甲野氏が、 ある中学校のバスケット部の生徒何人
かを教えたそうだが、その中にひとり、 すごく理屈っぽくて、いつも先生に楯突いていて、周囲ももてあましているような子
がいたらしい。
甲野氏はそういう子がいるのを知らなくて、 2時間くらい皆でいろいろな稽古
をやったんだが、後で聞いたところ、 問題児の生徒
は、 甲野氏のところでの稽古会を契機に、ガラッと変った
という。
人間的にも劇的に変化
したという。
しかし、 甲野氏はその子の印象もないし、特別なことをしたわけでない
という。
A氏
:教える側が気づいていないような「 何か
」が最も強く伝わっていくんだね。
言葉にできちゃうことはそれほど強く感化する力
がないんだね。
「 オヤジの背中を見て育つ
」だね。
私
:「 変えてやろう
」なんてことを考えても、変えられるものはたかが知れているという。
生身の人間だけがもっている感化力の重要性が案外軽視
されているね。
A氏 : マニュアル化の弊害 だね。
私
:甲野氏は、 小学生くらいまでの教育は、「体育と国語と歴史があればいい
」と言っているという。
運動場でロープを張って直角三角形を実際に作る。
物理もシーソーに乗って身体を使って釣り合いを体験する。
数学も理科も実際に体育で身体を使って学ぶ。
A氏 :そして、 人や自然の多様性 が子どもを育てる。
私
: 甲野氏
は、身体の不思議さに憑かれたように、毎日が、発見だという。
限界を知らない楽しみがあるという。
現代の社会は、 次第に身体を使わなくなり、劣化 しているという。 これは必ず、 何か壁にぶつかると警告 しているね。
A氏
:こないだ テレ朝のサンデープロジェクト
見ていたら、最近の子供は運動不足なのか、 足の裏が変形
しているものが 2割
くらいを占めているそうだ。
もう何年もすると、 子どもの障害者が年寄りも増加
するのではないかと警告していたね。
私
: 甲野氏の技
はしかし、言葉に出来ないから、簡単に伝播できないね。
学ぶほうも自然な吸収力がいる。
対談相手の茂木氏は、甲野氏の「 同時並列的な身体運用
」に対して「 同時並列的知性
」と言っているね。
広い視野でものをみるということだね。
ブログ
などを通して自分のコピーをばらまくやり方があり、それはそれで大きな可能性があるが、一方では「 今ここにいる自分
」の中にも 同じくらいの可能性
がたくさんあると気づくことが必要だと茂木氏は言っているね。
インターネットで ブログ
を書き、 ネットの向こうに自分を譲り渡すという行為
は、
「 複製可能な自分
」の領域をどんどん広げていくことで、その結果、「 複製不可能な自分
」の ウエイト
がどんどん減ってしまうと茂木氏は言う。
A氏
: 内田樹
氏もブログをやるが、 日記
の代わりだという。
日記だと後で読んでよく分からないkとが多いが、 ブログだと他人を意識
しているから分かるという。
私
:しかし、この本で ブログの限界
を読んで、その感想をまた、 ブログ
で書くというのも、不思議な行為だね。
内田樹
氏が言うように 日記
と違って後で読み返せるから 過去の自分と「今の自分」を比較
できる。
書くという行為も、 一種の身体運動
だと俺は思うがね。
家庭の主婦が「 自分の虚しさを感ずる
」というのはやはり、 身体感覚が疎かになっているせいだ
と 甲野
氏はいう。
工業用ロボットより、 家庭用ロボット
のほうが作るのが大変なくらい複雑だ。
そういう 自然に動く自分の身体のすごさ、ありがたさ、あるいはおもしろさ
をあらためて実感することが、 現代人の不全感、閉塞感から抜け出すために大事
なんじゃないかと 甲野氏
は言う。
A氏
:人というのは不思議で深いものだということだね。
私
:それに気がつけば、いろいろと体を動かして、 自分の感覚
を見直したくなるね。
脳も体の一部だしね。
このようにブログで書いている自分が、しばらくして、これを読んでどう思うかね。
その変化
が楽しみだね。
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