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私
:日本企業の 国際競争力が次第に上昇
し、 工業製品市場で外国と遜色のない価格と品質を実現できるようになった結果
、 67年を転機
にして、 貿易収支は恒常的な黒字
になる。
その繁栄ぶりは 70年の 大阪万博
の賑わいに象徴的に示されるね。
もっとも、俺は仕事が忙しくて、そんな混雑している博覧会に行く気はなかったがね。
A氏: 俺も行かなかったね。
私
:日本は工業製品でアメリカに追いつき、追い越したといえるね。
しかし、そういう日本の好調さに対して、 アメリカからの抵抗
が当然生まれるね。
1970年代
になると、 アメリカの国際政治・経済両面での圧倒的な優位
が崩れる。
政治的には 1972年のアメリカのニクソン大統領の訪中
だね。
A氏
:一方、経済面では、 ベトナム戦争で疲弊
したアメリカは 大きな財政赤字
を抱えることになるね。
ドルの金などとの交換停止
をやるね。
私
: 今回のアメリカの金融危機の始まりはここからだ
という学者もいるね。
訪中とともに「 ニクソンショック
」
だと言われているね。
今まで、 1ドル360円
の固定相場制が崩れ、 変動相場制
に次第に移行し、以後、円高になっていき、 円高に一喜一憂
することになる。
A氏
:ニクソンは貿易赤字に占める日本の輸入が多いことから、圧力をかけるね。
これから、 日本に対する政治的な圧力
はその後の 歴代大統領が継続
してやってきたことだね。
貿易摩擦
だね。
私
: 1979年
に「 ジャパンアズナンバーワン
」という本がアメリカから出版される。
今まで、日本企業の「 後進性
」とされてきた 企業別労働組合
、 終身雇用
、 年功賃金
なども見直される。
「 カイゼン
」や「 ケイレツ
」などは 国際的に通用する日本語
となる。
トヨタ生産方式
は、1980年代にはアメリカのMITで「 リーン生産方式
」として評価されるね。
しかし、 日本の躍進の原因
であった「 後進性」構造
に目をつけたアメリカは、それに介入を始めるね。
A氏 : 1989年 から始まる「 日米構造会議 」だね。
私
: 金持ちになった日本
では 1986
年には「 財テク
」という言葉が流行り出す。
ある中堅企業の社長は、 1日にして億近いカネを「財テク」で稼いで、時の人
になる。
もっとも、この会社は、 バブル崩壊で破産
したがね。
いい技術を持っていた会社なのにね。
「 財テク
」 をしない経営者
は、経営能力がないと言われたくらいで、経営者向けのセミナーが盛んになるね。
このあたりから、 理系の優秀な学生でも金融機関に高い給与で就職するケース
が生まれるね。
急になりあがった金持ちは、効果的な金の使い方を知らないみたいだね。
紀ノ国屋文左衛門
みたいだね。
A氏 :1989年、ソニーがコロンビア・ピクチャー・エンタテイメント社を、三菱地所がロックフェラー・グループ社を買収する。
私: 技術革新による生産性向上
でなく、 利益追求を中心にした経済成長
に関心がいくようになるね。
こうして、バブルが生まれ、ついで 1990年代のバブル崩壊
とつながる。
この本では日本は 高度成長時代 を経て、「 経済成長は神話になった 」とあるね。
それは、今回の 衆議院選挙の各党のマニュフェスト
に「 経済成長戦略
」が乏しいという批判によく現われているね。
「 成長なくして福祉なし
」という両面は、 経済についてまわる神話
なのだろうかね。
「ポスト戦後社会」吉見俊哉著・シリーズ… 2009.09.01
「イスラムの怒り」内藤正典著・集英社新… 2009.08.24