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私
:2009年1月15日、 サレンバーガー
は ニューヨーク発シャーロット経由シアトル行きのUSエアウェイズ1549便
で 機長
を務めていた。
同便は 離陸直後に両エンジン停止
という事態に陥った。
サレンバーガー
はこの状況に対し、 ハドソン川に不時着水
するという選択を取った。
A氏
: 乗客は無事
だったね。
これで彼は一躍「 ハドソン川の英雄
」となったね。
私
: ニューヨーク市長
からクルーに「 ニューヨーク市の鍵」が贈呈
された。
このとき、鍵のほかに 市長
は、 機長が着水の際に失った本を1冊贈呈した。
これは「 ジャスト・カルチャーJust Culture
」という本だという。
この「 ヒューマンエラーは裁けるか 」というのが、 この本の日本語訳の題名 で、原本の題名の「 ジャスト・カルチャーJust Culture 」は 日本語に訳しにくい ので意訳したようだね。
A氏 : 航空機の操縦エラー を扱っているのかね。
私
:それもあるが、 医療事故
もあるし、 警察
、 消防
の話やいろいろあるね。
俺が驚いたのは、 ヒューマンエラー
に対して 欧州諸国が、日本に劣らず、事故の現場作業従事者の刑事責任を追及する傾向が強い
ということだね。
その点を、 この本の推薦文
を書いている 柳田邦雄
氏
が 指摘
しているね。
逆に、 アメリカ
では、 犯罪の疑いがない限り、事故調査機関の調査活動が優先され、FBIは動かない。
A氏
: CSI
(犯罪現場調査班)
の登場か。
日本では 警察
が動く。
アメリカ式
は特殊なのかね。
私 :生産活動にも ヒューマンエラー があるが、その意味では、 トヨタ生産方式の考えもアメリカ方式だ ね。
A氏
:君のブログの「 JALの事故と個人責任
」でも、 2007年
に JAL
が当時、 相次ぐトラブルの再発
に手を焼き、 トヨタ生産方式を導入
したことが書いてあるね。
そして JAL
はそれまでの 方針を転換
して、小さな事故に対して、あくまで原因を追及することに重点を置き、 個人責任を追及した懲戒
はしないことにしたとあるね。
私
:この本の 著者
も、 ヒューマンエラー
による事故(インシデント)を 刑事事件
として扱うことが 不毛な対策
であることを強調しているね。
だから、結果的に 日本の警察、司法、行政の対応には批判的な内容
となっているね。
アメリカでは、 看護師
はエラーで、事故を起こしても 刑事責任を問われない
ようだね。
全体のシステムの原因を追及する。
また、 真実を把握して再発を防止
するため、「 刑事免責
」もある。
裁判にかけると、真実は隠れ、責めはスケープゴートにされた個人が負う。
A氏 :刑事事件にするのは 始末書 をとるのと同じ発想で、 再発防止のためには効果的でない ね。
私
: JR西日本の宝塚線の事故
の背景に「 日勤教育
」という考えがあったのは、教訓的だね。
そして、これも 刑事事件
となっているね。
柳田
氏が、 推薦文
で次のようなことを言っているが、この本の結論もこれに尽きるね。
引用させていただく。
「・ ヒューマンエラー
の 古い視点
は、 ヒューマンエラーをインシデント(事故)の原因と考える。
これに対して、 新しいシステム的な視点
は、 ヒューマンエラーは原因でなく、症状と考える。
ヒューマンエラー
は、 システムの内部の深いところにある問題の結果である。
・ ヒューマンエラー
には犯罪になるかならないかの一本の線があると一般に勘違いされているが、 そこには守るべき線などない。
誰が線を引くかが問題だ。
捜査機関
が線を引くのか、 行政
が線を引くのかそれぞれに線の位置が違ってくる。
・ 民事訴訟
も 刑事訴訟
も ヒューマンエラーの抑止力として機能しない。
それによって生じた不安は
、
たとえば
、防衛的医療や質の低い医療につながったり
、 インシデントの発生率を高めたり
することにさえなる。
・ 裁判
、 解雇、降格、停職、辞職
などは、 個人にとっても組織にとっても安全性向上には何の役にも立たない「 後ろ向きの責任
」
でしかない。
代わりに、 説明責任に対する要求に十分に応えることや、組織やその構成員が学習し、前進することを可能にするような失敗の分析報告
は、 未来志向
の「 前向きな責任
」の取り方である。」