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私 : ロシアの組織的なドーピング疑惑 を機に、 国際オリンピック委員会 (IOC) は 15年8月 、 2008年北京五輪と12年ロンドン五輪でのドーピング再検査 に本格的に動いた。
4月時点 で、 北京大会では65件 、 ロンドン大会は46件 と合計 111件の陽性反応が発覚 しているという。
A 氏 : 今になって不正を発見できた理由 として 体内に長く残っている新しい代謝物の発見 がある。
使用した薬物は体内で代謝され、次々に構造が変わり、尿に排泄される が、使用した薬物そのものや代謝物が尿の中に見えなくても、いくつか姿が変わった後の、いわゆる 「代謝物の代謝物」のようなものを見つけたことで薬物使用の兆候を見て取れた という。
私 : 分析機器の進歩で微量でも検出できるようになった ということだね。
種類別 では、かつて 東独 で作られ、 筋肉増強効果のあるデヒドロクロロメチルテストロンが多い という。
その他、 1988年ソウル五輪陸上男子100メートルで金メダル剥奪となったベン・ジョンソン(カナダ )が使ったスタノゾロールも多く報告されている という。
分析前の前処理や分析機器の設定値を変える などして、 スタノゾロールの新たな代謝物を発見 し、 以前は数週間だったのが今は数カ月間見える という。
A 氏 : 禁止薬物からしか生まれない代謝物を検出 すれば、 使用した薬物を推定 できる。
そこで 代謝経路を調べ、その代謝物をつくる研究 が進められた。
多額な費用 がかかるため、 世界反ドーピング機関(WADA)も負担 。
10年前の検査だったら、ドーピングした選手はおそらく陰性というケースはある という。
私 : 短期間で消えてしまうものが多い主要な代謝物 から、 長期間確認できる代謝物に照準を切り替えた ことで、 多くの違反者を見つけられるようになった というわけだ。
A 氏 2大会の再検査で陽性反応が相次いで出ている ことに、 複雑な思いを抱える関係者 は多く、 中には繰り上げ入賞者 もいる。
重量挙げ界 は 再検査での陽性反応が49件(4月時点) もあり、 「外国では(薬物使用を)やったもの勝ちのようにもなっている」 という。
私 : WADAのニグリ事務総長 は「 今は無理でも、10年先に捕まえればいい 」と ドーピング根絶をめざす という。
しかし、 ドーピングしてまで記録をのばす動機 をなくさなくては、 ごまかしのきく新薬の開発 と そのごまかしを暴く検査技術 との「 いたちごっこ 」が続くおそれがあるね。
IOCはどういう対策 を考えているのかね。
東京五輪でのドーピング検査 はどうかね。