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私 : 昨日のブログ の 「リベリアにて 希望満ちた世界、祝福しよう」 で、 世界の最貧困層の数は驚くほど減少 していて、歴史上のほとんどの期間、世界人口のおそらく 90%以上が極貧生活 をしていたが、 今日では10%に満たないまで急速に減っているという事実 を改めて知ったね。
この著も格差問題で新しい視点を提供している ようだ。
A 氏 :この 著書 は、 ピケティ 『21世紀の資本』以来の久々に格差に関する問題作 だという。
著者 は ルクセンブルク所得研究センター上級研究員 、 ニューヨーク市立大大学院センター客員大学院教授、世界銀行 調査部の主任エコノミストを20年勤務 していた 経済通 。
私 : 著者 はまず、 グローバル化が加速した年代 ( 1988~2008年 )の 所得分配 を検証する。
縦軸に所得増加率 、 横軸にグローバルな所得分布 をとると、 所得増加率の高い「世界最上位1%階層 」と「 グローバル中間層」(中国、インド、東南アジア諸国の中間層)の高い山 に挟まれて、 先進国中間層がその谷間に位置 する、 象の鼻に似た形状の曲線(「エレファントカーブ」) が描け、これは、 所得増加率がほぼゼロの先進国中間層の没落、アジア諸国の著しい台頭を裏づける という。
次に著者は、 ノーベル経済学者クズネッツの提唱した「クズネッツ曲線」の妥当性に異を唱える。
A 氏 : 縦軸に格差 をとり、 横軸に時間 をとると、 曲線は経済発展とともに右肩上がり(格差の拡大) となり、 やがて頂点に達して、今度はさらなる経済発展とともに右肩下がり(格差の縮小)の「逆U字型曲線」を描く。
実際、 多くの国々が近代化/工業化でこの経路をたどり、曲線の妥当性が立証されてきた という。
私 :しかし、 さらに時間が進むと、我々が今まさに目撃しているように、格差は再び拡大 。
また、 中世から現代まで長期の時間軸 をとると、 格差は拡大・縮小過程を循環してきたことが分かる という。
著者はこれらから、 「クズネッツ曲線」に代えて「クズネッツ波形」を提唱 。
この波形は、不平等が無限に拡大しないことを物語る 。
極端な不平等は人口減少と国力低下を引き起こし、支配層にとっても許容可能でなくなるからだ 。
A 氏 :著者は、 これらの知見に基づいて将来、グローバル格差は縮小すると、大胆にも予測する 。
現に、 人口加重した各国間の所得不平等度は1980年代以降、着実に縮小の一途をたどっている し、さらにデータから、 中国国内の格差の拡大傾向も天井を打った とみる。
私 : 問題はアメリカ で、 あらゆる状況証拠からみて格差拡大傾向が収まる兆候はみられず、中間層のさらなる没落と富裕層支配強化(「金権政治化」)の恐れがある という。
A 氏 : 格差への処方箋 として本書は、 事後的な所得再配分ではなく、教育への公的投資や資産保有の平等化など、事前的な是正アプローチの有効性を強調 。
私 : グローバル化と格差の関係 ではこのブログでとりあげた 「世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す」ジョセフ・スティグリッツ著 と本書の主張は異なるね。
その点 、 評者 は、 先進国/20世紀以降だけで格差を語る場合と、グローバルな視野/中世以降の長期的視点で格差を語る場合とで、こうも風景が異なって見えるのだろうかという。
そして、 グローバル格差の分析 を通じて、 アジア資本主義の歴史的台頭を裏づけた点に、本書の大きな功績があると高い評価 をしている。
格差 が、 中世から現代まで長期の時間軸をとると、拡大・縮小過程を循環してきたという指摘 は、興味があったね。
現実に、 格差 で 人口減少と国力低下を起こしている日本では、どうなるのだろうか 。
格差 はこれで天井をうったのか。
自民党内 でも 岸田外相 のように アベノミクス見直し論 も出ているね。