PR
Keyword Search
Calendar
Comments
Freepage List
私 : 児美川教授 は、 新卒一括採用 は、 新卒のときに1回だけ、採用機会への挑戦権が与えられるしくみ で、 双方にメリットがあるから、定着 してきて、 日本の若者の失業率が低いのも、このおかげ で、 年功賃金を基本とする日本型雇用システムの入り口 とも言え、 海外に例を見ない という。
A 氏 : 高度成長期の大幅な人手不足の時代に完成した採用方式 で、当時は、だれもが「どこかには採用されるだろう」と思え、 利点 が目立ったが、 いまはこの一本道からはみ出す学生が増え、弊害が大きくなり、看過できない状態 。
学生有利と言われた昨春 でも、 新卒の9%にあたる4万9千人が無業 で、毎年、 職のない若者 が多く生まれ、 その後も不安定な状態に置かれるのは大きな社会的損失だ 。
私 :学生は、 正社員 になれない先輩の苦難を目の当たりにし、 新卒一括採用という安定コースから落ちこぼれられないという強迫観念に支配される。
金ぴかの「新卒ブランド」を維持するためには留年も辞さないし、就活時期に間に合わないからと、留学をためらう。
就職後も安定を志向し、一度手に入れた正社員にしがみつく。
最大の弊害は、再チャレンジしにくい社会、リスクを取らない、取れない社会を生み出していることだ と 児美川教授 はいう。
A 氏 : 一方で、 90年代初めに約25%だった大学進学率は昨年は52%に伸び 、短大や専門学校を含めた 高等教育機関進学率は80% となった。
だから、かつて 新卒一括採用の関門は、世代の4分の1の人たちの問題 にすぎなかったが、 進学率がいまは8割の人が直面しており、重みが全然違う 。
私
:
実質的な競争を高めている背景
に、 就活サイトの存在
も大きく、 サイトを通じ、ワンクリックでどの大学の学生も応募できるから、何十社もエントリー
する。
人気企業では、数十人の枠に万人単位の学生が群がり
、不採用が増え、不採用が繰り返 されると、自分が全否定された気持ちになり、学生の心は折れていくと児美川教授は指摘
する。
A
氏
: 児美川教授
は、 対案
として、「 卒業後3年程度は新卒とみなす」しくみを実質化
することを勧めている。
現状でも、 「第二新卒」として一度就職した人でも新卒とみなしてはいるが、アルバイトの人、仕事をしていない既卒者にも広げるべき
という。
私
:しかし、 ソフトバンク
は、すでに その先を行っている
ね。
ソフトバンク常務執行役員・
青野史寛
氏によれば、 ソフトバンクは、2016年度に入社する人たちから「ユニバーサル採用」を始めた
。
入社時に30歳未満なら、新卒・既卒を問わず、同じ選考基準で年間を通して採用するものだ
という。
事業のグローバル化で、海外の人材も通年で採る
ようになり、 日本だけ新卒一括採用を維持するのはナンセンスになってきた
からで、 変化するのが、当たり前の時代
だという。
A
氏
: 欧米
では、早ければ大学1年から 企業のインターンシップ
に参加
し、 大学で学んだことを社会で実践し、経験を踏まえて学び直す。
若者は企業と大学を行き来しながら、将来について考えている
。
ところが 日本は「就活解禁」が迫るまでは、将来を考えることを後回しにしがち
で、逆に時期がきたら、「 新卒ブランド」を逃さないために、考えが定まっていなくても仕事を決めてしまう。
日本
では、 アメリカに比較して優秀な人材が企業にとどまってしまい、ベンチャーに挑戦し、イノベーションを起こさない
のも、 背景にこの雇用制度
があるね。
私
:さらには、 日本の学生は就職前に留学やワーキングホリデーに行くために、わざわざ休学や留年
をする。
「新卒」の権利を守るため、必要のない授業料を払うくらいなら卒業後に行けばいいし、
そのお金で起業に挑戦したっていい
。
せっかく何かに挑戦する志を持つ人が、「既卒」となった途端に、経験者採用のみになるのはもったいない、との思い
もあったと
青野史寛
氏は いう。
A
氏
: ソフトバンク
では、 選考基準だけでなく、入社した後の昇給・昇格のしくみも、新卒と既卒で同じにしていて、年功色がない実力主義なので、年齢構成は気にしない
。
でも、 会社や仲間への愛着
は大切にしたいので、 新入社員研修などで古き良き同期意識は培えるようにしている
という。
私
; ソフトバンクの「ユニバーサル採用」の認知度
はまだ低く、 今春入社した約400人の中で既卒は30人ほどだった
が、他社にも広がり、若者に普通の選択肢になればと思うという。
日本の企業が「変われない会社」のまま社会から取り残されないために、まずは採用から変えてはどうか
と、
青野史寛氏
はいう。
他社の人事担当
と話すと「 本当はソフトバンクのやり方がいい
」と言ってくれる人も、 自社では「できません」
となりがちで、 人事からトップを説得する気概がほしい
し、 トップにも決断してほしい
と
青野史寛
氏はいう。
トップ
もそうだが、 経団連や政府
も 就活解禁時期などという姑息な問題
を論ずるよりも、 その廃止の検討を進めるべきだ
ね。
第3の矢
としての、 若者によるイノベーションを促進するためにも
。