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今週 は、 興味を持った本 が 3冊 あった。
私 : 総選挙 では 表立った争点 とはならないとしても、「 緊急事態条項」の新設は「9条加憲」とともに、自民党などの改憲アジェンダの柱 になっていくはずである。
このところの 北朝鮮の行動 は、 「草案」が「緊急事態」に「大規模な自然災害 」だけではなく「外国からの武力攻撃」も含めていることに現実味をもたせはじめている 。
国民の権利を大幅に制約する権力 を 政府に与える憲法 条項 が、 いかに危険かを理解するうえで、本書は優れた導きとなる と 評者 は言う。
A 氏 : 麻生副総理の「ナチスの手口を学んだらどうかね」という発言 があったね。
それを逆手にとり、その「手口」から「国家緊急権」の危険性を鮮明に浮かび上がらせている という。
私 : 本書によれば、 ナチスが合法的な過程を辿り、民意の支持を得て政権に就いたという歴史理解 は、 ナチスのプロパガンダを引きずったかなり粗雑なもので、それは、ナチスが国家テロを用いて自由な言論を封殺したという事実を覆い隠してしまう 。
ワイマール憲法の「大統領緊急措置権」 は、 「国家の安全」という口実のもとに基本的な自由を市民から奪い、憲法をも凌ぐ全権をヒトラーが掌握する際の手段となった。
A 氏 : 憲法にいったん「国家緊急権」が設けられたら、為政者はそれを濫用する誘惑に必ず駆られる。
この教訓に学べば、「 緊急事態条項」は本当に日本の 憲法 にとって不可欠 なのか、かりに必要だとして、 その濫用をいかに制御するか が問われなくてはならなく、 本書はこの問いに明確に答えている という。
私 : 評者 が 付言すれば、「 緊急事態条項」は、人的・物的動員を容易にする新たな有事法制 の根拠として用いられる恐れ もあり、 集団的自衛権は、米軍の後方支援 を日本に課しており、「 緊急事態条項」は日米同盟 における従属的役割をさらに強める だろうという。
2.中島岳志〈著〉『親鸞と日本主義』・評者・原武史(放送大学教授・政治思想史)
私 : 親鸞 といえば、 阿弥陀 仏 のみを信仰し、その信仰を世俗のいかなる価値よりも上位 においたため、 師の法然とともに流罪となった人物 で、その信仰を徹底させれば、 国家主義 が強まった 昭和初期 にあっても、世俗に流されることなく、 国家に対する批判的な姿勢を保つことができたはず だった。
A 氏 :ところが本書によれば 全く逆 で、 作家の倉田百三や亀井勝一郎などは、親鸞の思想を都合よく解釈し、「国体」を正当化 しようとした。
それは、 真宗大谷派の教団幹部も同様 だった。
本書の魅力 は、 なぜ、このような矛盾が起こったのか を正面から問い直そうとしたところにあると 評者 は言う。
親鸞の思想には後の国体論につながりやすい構造があった という。
私 :しかし、 評者 は、 真宗大谷派の竹中彰元のように、昭和初期に親鸞の思想に忠実になろうとして、反戦運動を続け、検挙された人物がいた と付け加えているね。
さらに、 本書では親鸞自身が残した著作が引用・参考文献に全くあげられていないとして、評者は著者に批判的 だね。
3.山口裕之〈著〉『「大学改革」という病 学問の自由・財政基盤・競争主義から検証する』評者:諸富徹(京大教授)
私 : 2004年の国立大学の法人化 で、 大学への「トップダウン型ガバナンス」導入 が図られたが、 真理を探究する非営利組織としての大学には不適合 だと、 著者は批判 する。
A 氏 :他方、 大学の研究教育をめぐる状況は悪化 していて、 大学予算はこの間、中規模国立大学5~10校が消滅するほど削減 が行われ、 常勤ポストが減って、若手研究者の雇用不安定が深刻な問題 となっている。
私 :その結果、 日本の論文生産数は世界各国が伸びる中、大学法人化の06年頃より減少に転じている。
著者 は、 学生が批判的思考を養い、対話による意見構築の技法を学ぶ点にこそ、大学の意義がある と説く。
A 氏 : 著者 は、 改革はトップダウンではなく、教員同士の自主的な取組み支援するやり方に転換すべきだと提案 。
私 : 評者 は 大学改革 について、 一歩立ち止まって考える上で必読の書 だとしている。
しかし、 大学への「トップダウン型ガバナンス」導入した政治家や官僚
は、 大学の研究の本質
を どのように考えて導入したのか、それが疑問
として残るね。
論文数が減った責任 をとれるのかね。