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私 : IT(情報技術)の進展によるデジタル革命 は 多くの人々を失業 させ、 激しい格差社会 を招くのではないか? という 悲観論 が近年、世界的に高まっている。
一方で IT業界に多い楽観主義者 は、 技術の進歩は新たな仕事を生むので心配ない と言っているが、 百家争鳴の中、本書はこの今日的な論争に多数の興味深い視点を提供してくれる と 評者 はいう。
本書は産業革命と比べながら考え、産業革命とデジタル革命の類似点と相違点を指摘 する。
産業革命の際、無数の手工業の職人が失職 したが、 今後の米国では自動運転で約500万人が仕事を失う といい、 大学ではオンライン講座で数十万の教師が失業する可能性がある という。
A 氏 : しかし、 著者 は「 大きなテクノロジー革命はふつう、破壊をもたらすとともに多大な恩恵も生み出すことはぜひ覚えておきたい 」という。
新技術の利用に社会がなじむまで時間がかかるため大きな時差 が生じたが、 産業革命は結果的に大多数の人々の生活水準を劇的に向上させた。
デジタル革命 も 時差を伴いつつ「人類に多大な恩恵をもたらす」と著者は見ているが、 今回は 違う面 もあるという。
私 : 社会の変化が速く、転職を迫られる人が急増すると再教育は容易ではなくなり 、しかも、 自動化、グローバル化、スキルの高い少人数の生産性向上が労働力の余剰を発生させる ため、「 失業した労働者のほとんど」は「低スキルの仕事の奪い合いに追いやられる 」。よって「 困難を極める経済の混迷期が非常に長く続く可能性がある 」と懸念されている。
それは政治体制をも揺るがすリスクがある という。
A 氏 : ただし、 教育の効果については本書は悲観的過ぎる ように思われ、 高スキル人材を多数育成しても、それに見合う仕事の賃金が下落するだけだ という。
私 : 評者 は、「 教育制度の改革によって新時代に適応できる若い人材が厚くなれば、相乗効果で新たなイノベーション が生まれることもある、信じたい 」という。
しかし、 日本は急速な少子高齢化をかかえている ので、それとの関係でどうなるだろう。
少子化で若いIT技術者が不足するという専門家の予測 もある。
日本の特殊性に絞って 考えたいね。